Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
サブ垢では兼ねてからの推しであるジュナ氏にしました~
サーヴァントを探しているうちに、いつの間にか日没が近づいてきた。
俺は海の近くにある廃倉庫に入り込み、休憩を取る。
やはりマスターと離れているせいで少しきつい・・・・・・つか、マスターの奴休みだからと言って俺を探し回りやがって。
おかげでおちおちほっつき歩けもしない。
「・・・・・・はぁ」
壁により掛かり一つため息をついた時・・・・・・とても怖い、声が聞こえた。
甘えにまみれた弱い俺自身の声が。
『戻ろう、マスターの元に』
「・・・・・・俺は、戻らねえ」
愛した者は誰一人として幸せにできなかった俺の性質が、サーヴァントになったからとて変わるわけがない。
これは、奴のためなのだ。死ぬときはひとりで寂しく消える・・・・・・俺は、そうありたいと願ったのだ。
『なんで、なんでお前はいつもひとりでいたがるんだよ』
「それがみんなの幸せに・・・・・・繋がるからだ」
俺ひとりが我慢すればそれでいいのだから、至極簡単な話じゃないか。
もう生前のようなわがままは言わないと、そう俺は決めた。
「いつか、絶対に失うもんだから・・・・・・俺はただ、悲しくなるのが嫌なんだよ」
俺のくせになんでわからないんだよと、叫びながら俺は壁を叩く。
大きな音を立ててもその声は収まらない。自分はまるで関係ないかのように無責任な言葉ばかり此方にぶつけてくる。
『俺は・・・・・・ひとりぼっちが嫌だ、寂しいんだ、誰かと一緒に生きてみたいんだ!』
勝手なことを言うな、サーヴァントの癖に夢を見るな語るな!
頭の中をかき回されるような苦痛が、俺を襲う。ああ殺したい、今すぐ殺してしまいたい。
いつまで経っても甘ったれて、わがまま言っときゃなんでも叶うと思ってる勘違いした王子様野郎が・・・・・・俺は大嫌いだ。
「うるせえ死ね、消えちまえ」
秘めるべき欲をさらけ出そうとする愚かな自分に怒鳴りつけ、俺は再び壁を殴りつける。
心臓が握り締められるような苦しみが俺を苛むが、この欲望を吐き出してしまうよりかは万倍マシだ。
ようやく収まったその声にため息をつきながら、俺は廃倉庫を漁り始める。
服や装備はともかくとして、木剣を魔力で編むのはかなり難しい。それも技術的な問題ではなく、魔力的な問題なのだ。
その気になれば何本でも出せるが宝具を発動する瞬間と同じレベルの量を持って行かれるため、使い捨てにすることを考えるとかなり効率が悪い。
マスターの魔力量に概算はつけているし、予備回路まで回させたときの予測も立てている・・・・・・だが、そう簡単にいかないのが現実。マスターと離れているので魔力の供給にラグが生じやすくいざという時に足りないということがかなりの確率であり得る。
ので、出来るだけ省エネ戦闘を心がけなければならないのだ。こういうところは落ちているものなんでも武器として使える性質が有利に働いている。
「お、あったあった」
幸い折れ曲がった鉄パイプや塩ビ管というものなどが転がっているのでそれを頂戴することにした。
あまり数はないが、ないよりましだろう。リーチもそれなりにあって、長いものは槍の代用品としても機能しそうなくらい。
取りあえず3本ほど頂戴して、俺はそろそろここをお暇しようと出口の方へと向かったのだが・・・・・・
そこに異様な雰囲気を放つ、赤い目の男がいたのだ。
「・・・・・・誰だ」
「問いを投げるか?雑種風情が・・・・・・この
此方を嘲るような視線、家畜以下のような何かを見る目、そして押しつぶされそうなほどの圧力。
奴はサーヴァントだ、それも・・・・・・相当な手練れの。
「誰だ、と言ってんだ。聖杯に言葉も教えてもらわなかったのか貴様は」
「・・・・・・ほう、我への拝謁などどうでもよいとばかりによく鳴く雑種だ。そんな癡鈍は生きるどころか・・・・・・死ぬ価値もない」
一歩、男が此方へと踏み出してくる。
武器も何も持たず、格好はただの現代人と同じ・・・・・・鎧も盾も、兜もない。
俺を完全に舐めくさっているとわかったが、それに漬け込んで殺すというビジョンが全く沸かないのは何故だ。
・・・・・・こいつがそれほどの力を持っていると、無意識のうちに知覚しているのだろうか。
戦うことを拒否している体を無理やり動かして、俺は鉄パイプを握る。
ここで逃げたら既にボロボロになっちまった名が更に廃るぞと、自分に言い聞かせた。
「ナメやがって─────ッ!!」
地面を蹴る。
相手が油断している家に殺さなければ、まずいと・・・・・・そう思ったからだ。
「・・・・・・下らんな」
男の立つ場所のすぐ近くが、ぐにゃと歪んだ。
顕れたのは一本の剣で・・・・・・とんでもない速度の初速を与えられたそれが、俺の顔面へ一直線で飛んでくる。
これが刺さったら流石に一発で終わりだと体は反射的に剣を打ち落とした。ぎぃん、という鈍い音が鳴りその剣が地面へと転がっていく。
「なんて奴だよ・・・・・・!」
虚空から剣を射出するなんて意味が分からない。
これじゃあ容易に近づくことが不可能ではないか・・・・・・鉄パイプじゃあ打ち合っててもそのうちに叩き折られるか斬られること間違いなし・・・・・・圧倒的に分が悪い。
「笑わせてくれるな雑種。貴様の持つ力・・・・・・どこか我にとって忌々しい者を想像させる。尤も、貴様は片手どころか小指一本で払いのけられるような者。
詐欺野郎呼ばわりされたことに少しカチンと来たが、それは間違いでなく真実。
絶世剣の名と切れ味を騙ってただの棒を振り回す俺は、まさしく詐欺を働く不届き者でしかない。
「何にせよ、我の持つ財宝の名を騙る道化には・・・・・・痛快な悲鳴で我を楽しませて貰おうではないか」
男は手をズボンのポケットに入れたまま嗤った。
瞬間、辺り一帯が先ほどのように歪み剣がまた姿を見せる。
それはまるで
「おかしいだろ、んなの・・・・・・!」
剣の刺さった肉塊に変えられたいという願望はない、そう易々とやられてたまるかってんだ。
一斉に飛んでくるものたちを必死に避けて地面を転がるが、どうすればあいつに一矢報いることができるのか。
「ふん・・・・・・その程度で我へと刃向かっているつもりか?我を倒したいのだろう?ならば、疾くその剣にも満たぬ屑を振るえよ雑種!」
「っ・・・・・・この、野郎──────!!」
こんなところで怒っても俺の寿命を早めるだけだとわかっていても、溢れ出す激情が止まらない。
鉄パイプに魔力を纏わせ擬似的なデュランダルを作り出し、男へと斬りかかる・・・・・・!
「やはり、ペテン師はペテン師よな」
刹那的な、その時間。
俺がいつか見た剣がそこにはあった。
見紛うはずもない・・・・・・人生をかけて求めた絶世の剣デュランダルそのものが、男の手に握られていた。
「馬鹿め」
一閃。
男が軽くその剣を振るっただけで、俺の持っていた鉄パイプは両断された。
どういうことだ、ローランやロジェロはあんな力どう考えたって持つ訳ない・・・・・・じゃあ、デュランダルを持っているあの男は一体何者だというのだ。
「貴様・・・・・・その剣をどこで!」
「どこで、と言われても困るな。この世の財宝はすべて我の物だ・・・・・数多いる王の中の王である、英雄王ギルガメッシュのな」
躊躇う様子もなく、そいつは真名を言い放った。
それは今から殺す雑魚に与えるせめてもの手向けか、真名を知られたところでどうということはないという自信の表れか。
いずれにせよものすごく恐ろしいことに変わりはない。
「さて、と・・・・・・そろそろ終わりだ、雑兵」
再び展開される無数の剣たち。先ほどよりも密度は高く、避けたところで致命傷とまでは行かずともかなりの傷を負うこと間違いなし。
だが俺はこんなところで死ぬわけにもいかん・・・・・・なんとか、してみせる。
いきなりの金ピカ(微妙に怒りモード)ですね。
口調がずいぶん怪しいんですが金ピカぽくできてるでしょうか、不安でならんのです(白目)