Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
この調子でやってたらいつ終わるのかねこれ(白目)
39話天の鎖(エルキドゥ)とはカニファンくらいでしか言ってないのでルビ消しました~
胸がざわめいた。
「・・・・・・海、セラヴィが危ない」
今もどこにいるかはわからないが、彼が危機的状況に陥っていることが知覚できる。
恐らく、とても強力なサーヴァントと戦闘に入り大怪我をしたと見て間違いない。俺の中から持って行かれる魔力の量も増加しているし、こりゃ相当な悪状況だ。
「今こっちにも連絡が入った。山名と明海の境目あたりにあるボロ倉庫・・・・・・あそこで戦闘音を聞いた奴がいるらしい。そんで隠れて見たところアタリだそうだ。さっさと行くぞ」
信号がちょうど青に変わったので、俺たちの乗ったバイクは車の間を縫うように駆けていく。
件のボロ倉庫はここから時速50キロで行くとすると10分くらいかかる・・・・・・それまで、マンドリカルドが保っていてくれないと困る。
「今日は渋滞とかなくって助かったな」
「ほんとにな」
エンジンをふかしさらに加速していく。あと少しで警察に呼び止められるくらいのギリギリスピード・・・・・・海も精一杯の尽力をしているようだ。
「もう禁じ手その1使っちまおうか!?」
「大丈夫なのかそれ、捕まるような沙汰にならないならまだ許すが!」
「じゃあOKだな!いくぞ、”
バイク諸共俺達の姿が消滅する。
視認されなければ見つけられることもない、というトンデモ理論だが今回ばかりはこれに頼らざるを得ないのだ。
規定速度を20キロほどオーバーした車体は先ほどよりもさらに強い轟音を上げて爆走する。
流石の海も呼吸が苦しいんじゃなかろうか。
「海大丈夫か!?」
「たりめぇよ!」
信号も完全無視して道路を突っ走っていく。時折通行人を轢きかけるが轢いてないので問題ない。
予定していた半分ほどの時間で倉庫へとついた俺たち・・・・・・入り口の近くで誰かがこちらへと大きく手を振っていた。
よく見るとそれは篠塚で・・・・・・プレイヤードの仕事はどうしたというのだ。
「
海がお得意の宝石魔術により声の聞こえる範囲を限定する。
これで俺たちの会話は他人に聞こえない。
「篠塚くん!」
「平尾の旦那・・・・・・バレない範囲で覗いて見たんですけど、セラヴィさんが妙な金髪の男に拷問を受けてるみたいなんです。鎖で拘束されて酷い傷を負っていて・・・・・・」
妙な金髪の男・・・・・・恐らく、あの日俺に謎の忠告をしてきた赤目の奴だろう。
マンドリカルドに危害を加えることができているという事実を鑑みると、やはりサーヴァントで間違い無さそうだ。
しかし・・・・・・俺や海は強化でほんの少し戦えるがサーヴァント相手には瞬殺だろうし、ましてや篠塚なんて本当の一般人だ。
神秘の秘匿的な問題を考えてもこれ以上関わらせるのはまずい。
そして海も戦闘まで巻き込むわけにはいかない・・・・・・俺みたいな普通企業の平社員とは違い、海には自分の会社があるのだから。
「・・・・・・俺が行く。お前らはここらへんの地形が変わる前にさっさと戻っていろ」
そうとだけ言って俺は結界の範囲から出ようとするが、海に止められた。
顔を見るに俺も戦わせろと言いたいらしい。が、それを認めるわけにもいかん。
俺は迷いを振り切って結界から抜け、倉庫の入り口に立った。
「─────ッ」
金髪の男の背がまず目に入ったが、そんなことはもう一瞬でどうでもよくなった。
体中に絡みつく金の鎖。絨毯を敷いたかのような円形の血溜まり。有り得ない方向に折れ曲がった四肢。まるで針山のまち針がごとく、マンドリカルドの体に刺さる無数の剣や槍。
あまりの光景に、一瞬言語能力を失ってしまったかというほど言葉が出なかった。
「・・・・・・遅かったな雑種。貴様の僕は随分と主人を待ちわびておったぞ」
前と同じ黒いジャケットを着た男が機嫌良さそうに嗤う。
その服に血は一滴たりともついておらず、圧倒的な遠隔攻撃の名手だと見て取れた。弓を使っていないが、アーチャーなのだろうか。
「お前、こいつに何をした」
「我にそれを問うか?」
男は俺の求めた答えを言わない。
下等で卑賤な生物を見るかのような目で、質問を返してくるだけ。
「何をしたって聞いてんだよ」
「・・・・・・ふん、下僕が下僕なら・・・・・・主も主よな」
足首に何かが絡みついた感覚。
下を見やればそこにはマンドリカルドを拘束しているものと同じ鎖が幾重にも巻かれていて、ふくらはぎの半分ほどまで締め上げられていた。
「っうぁっ!?」
ぐん、といきなり何かに引っ張られ、俺は宙に舞った。足の鎖が一瞬にして解かれて自由落下するしかなくなる。
このままでは頭から地面に激突する・・・・・・とっさに腕を強化し最悪の事態だけは免れるが、この様子じゃどうやったって抜け出せる気がしない。
勢いそのまま床に転がって、止まった場所はマンドリカルドのすぐ前あたり。赤くまだ温かい血が肌に触れる、そして服に染み渡る。
「・・・・・・あ」
また”知らない記憶”が蘇って、俺の頭に槍で貫かれたかのような痛みが一瞬走る。
血は、嫌だ。見たくない、触りたくない、思い出したくない。
「そこに・・・・・・いるのは、ま、すた・・・・・・ぁ、か?」
ぽたぽたと唇から血を垂らしながらも、マンドリカルドは俺のことを確かにそう呼んだ。
虚ろではあるが、その双眸は俺を確かに見据えていて・・・・・・申しわけなさそうに、眉毛が動く。
またこいつは、自分を責めるのか。自分が悪い、自分が弱いと笑うのだろうか。
・・・・・・そんなことが許されてたまるか。
「待ってろよセラヴィ。俺が・・・・・・あのいけ好かない野郎めったくそにぶっ飛ばしてやるから」
「無理・・・・・・に、決まってん、だろうが・・・・・・」
馬鹿じゃねえのと俺を罵倒できる元気があるのならまだいい、少しだけ時間をよこせとだけ言って俺は立ち上がった。
どうせマンドリカルドがやられてしまえば俺もどのみち死ぬのだ。どうせ死ぬんなら戦って死んでやる、俺は一度でも友だと言った人間を捨て置ける人間なぞではない。
額にある魔術回路のスイッチを一瞬で入れて、全身に強化魔術をかける。今回はサブ回路も一つ叩き起こして合計55本・・・・・・これでサーヴァントにかなうかと言うと正直無理くさいがやるしかない。
「ふ、ふふふ・・・・・・ははははははははははははははははははは!!」
突如として額に手を当て高笑いをする金髪男。
そりゃそうだ、サーヴァントみたいな一体いるだけで戦闘機を落とせるような存在、ただのちょっと強い人程度で勝てるわけない。
笑い方がものすごくムカつくけども、俺が実際やろうとしていることはちゃんちゃらおかしくて横っ腹の筋肉が断裂するほどのものなのだから。
「よい、よいぞ雑種!その蛮勇、その尊大さに
「・・・・・・うるせえ野郎だなあっ───────!!」
一度横に跳び、壁を蹴って方向転換しつつ男の方へと突撃する。
拳にありったけの力と魔術を込めて殴りかかった。まずはその頬に一発叩き込ませろってんだ!
ギルさんが一人称を我(われ)と言うのは花札ネタですけどわかる人どれだけいるんだ・・・・・・