Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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設定いろいろ練ってるのはいいですがいつの間にかトンデモ例外祭りになってたりします
まあ原作が例外祭りだしいいですよね(おい)


41話 四日目:友と呼ばせて

「馬鹿め!」

 

俺の腹をぶち抜かんと虚空より出で飛んでくる金の鎖。そんなものは予測済みよと強化した腕で打ち払う。

あいつはとことん遠距離爆撃特化のタイプと見て一気に距離を詰めてやる。

 

「ふ、甘いわ!」

 

どうやら本気で近接は嫌らしく、鎖をどかどかと射出して俺の動きを阻んできた。

もれなく剣やら矢やらも射出してきて厄介なことこの上ない。

分割思考の一つを使い、初級動魔術で体重の軽量化や重力制御を担わせ俺は飛んだ・・・・・・速度的に鎖は避けられなくもないほどだが何しろどこからでも出てくるからタチが悪い。

 

「くそ、じゃりじゃりじゃりじゃりうるせえな!」

 

「ちょこまかと目障りだな・・・・・・少し気が変わった」

 

また空中に開く門。飛び出てきたのは一本の赤い槍・・・・・・

この程度ならば簡単に避けられると思った、それが間違いであった。

いくらその槍を蹴ろうとも、弾き飛ばそうとも、俺を追ってくる。

先ほどまで直線的な投射しか出来ていなかったのになぜなのか。そもそもこいつはなぜここまでの量の剣たちを持っているのか。

 

「その槍は必中のゲイ・ボルク。貴様の心臓を貫くまで止まりはせぬぞ」

 

「・・・・・・お前、どっからどうみてもクー・フーリン関係ってぇ感じじゃねえけどな!」

 

神話からしてクー・フーリンはとにかく戦士としての名誉や節度を大事にするタイプで人を見下したり雑種呼ばわりはそうないはず。

というか戦闘スタイルが違いすぎる。

それにゲッシュで『一日に一人の戦士と戦う』というものがあるため、これを守っていたとすればサーヴァントはもう3騎ほど消えているはずだがそんなこともないっぽい。あと今日はマンドリカルドと戦闘をしていたはずなので、俺との戦いに応じたという時点でおかしい。

影の国の女王スカサハなんてこともないだろうし、ならばこいつは誰なのだ?

考察をいろいろしたいが分割思考にも限界がある。とにかく今はこの宝具を、止めなければ──────!

 

「ぐぁ!?」

 

先ほどよりも更に複雑な動きで鎖が放たれ、俺の腹へと巻き付いてきた。

こうなったらもう回避は不可能、この身で槍を受けるしかない。

 

印象改変(Eindruck / Modifikation)ッ!!」

 

「っ海、テメッ何を・・・・・・ぐ、ぁあああ!!」

 

深紅の槍が俺の肩を脱臼させつつぶち抜いた。激しい痛みと痺れ、そして出血。

死に至るほどの傷ではないが、やはり宝具ともなるとかなりの苦痛・・・・・・こんなものをマンドリカルドは何度も食らわされたのかと思うと、心まで痛くなってきた。

 

「マスター・・・・・・」

 

俺の悲鳴を聞いたマンドリカルドが、血に濡れた目をこちらに向けてくる。

お前の受けた苦しみと比べればわけないぞと俺は叫び、刺さったものを抜いた。

傷口からはじくじくと棘のような痛みが続くのだが、全然治癒してはくれない・・・・・・そういった呪いの類か。心臓に当たっていれば確実に死んでいただろう・・・・・・海の入れた横槍が幸を奏したというわけだ。

 

「邪魔が入ったな・・・・・・だが、奴はもうどこぞへ逃げていったわ。もうどうしようもないな、雑種?」

 

「・・・・・・はっ、どうやらここらへんで詰んだみてえだな・・・・・・まあいい、俺はこの首が吹き飛ぶまで、心臓が木っ端みじんになるまで・・・・・・セラヴィを、ライダーを守るために戦うだけだ」

 

抜き取った槍を手に俺は立つ。例えかなわずとも、最後まで逃げる気はない。

 

「なぜ下僕のために命をかける?」

 

至極当然の疑問だろう。総大将が足軽の命を優先して討ち死にしに行くような、突飛で滑稽な話だ。

生憎と俺は軍人とかじゃないんでねと言って、俺はさらに付け加える。

 

「簡単な話だ。俺はセラヴィと共に生き、共に思いをぶつけあって、共に戦うと決めたんだよ」

 

槍を握る力が強まった。

肩口からの出血は止まらないが、なんにせよこいつを殺せば治るという自信がある。

 

「・・・・・・サーヴァントを、友と言うか」

 

「よくわかってんじゃねえかお前も。そうだ、俺の友達に・・・・・・これ以上手ェ出されたくないだけだ──────!!」

 

俺は駆ける、純然たる殺意を持って。

 

 

「・・・・・・愚かよな」

 

「だぁらああああああああああ!」

 

放たれる武器を弾いて男ににじり寄ろうとするが速度的にジリ貧だ。この槍を扱うのもギリギリだし、射出されるものに押し負けないよう体へ強化をかけているのでぐんぐん魔力は減っていく。

ただでさえマンドリカルドが消費しているというのに、このままでは底をついて二人共々サヨウナラが避けられない。

どうすれば、どうすればここから一気呵成で勝てるのだ。

 

「マスター、やめろ、もういいから・・・・・・逃げろ」

 

「もうここまで来て尻尾巻いて退散できるわけあっかぶぁーか!」

 

腕が耐えきれなくなってきたか、何本か弾き切れず肌を切り裂いてしまう。

どくどくと体中から出血している感覚が気持ち悪いが、現状最低限の止血しかできないのが歯痒い。

 

「っ、ぐぅ!?」

 

ついに一振りの剣が俺の腹へ深々と刺さり、貫通してしまった。

さすがに耐えきれるはずもなく、俺はゆっくりと剣の刺さりまくった床へと倒れ込んだ。

痛い、痛い、痛い。

体が自由に動かない、意識がぼやけてくる。

・・・・・・これが死なのか?

 

「・・・・・・なかなか愉快だったぞ、人間。下僕なぞに命を投げ出しおって、誠に愚かよ」

 

「どうとでも言え・・・・・・俺は、俺の信念に従って、戦ったまでだ。セラヴィは・・・・・・俺の大切な、初めての友達みたいなもんだ。そいつのために死ねるのなら悔いはねえ、誰かを守るために命を失うのなら別に怖くねえ。友を死なせて、俺一人生き残るなんてのが嫌なだけだ」

 

まだ、俺が生きているのなら。

少しでもいい、苦虫を噛み潰したかのような顔をして俺を侮蔑するあいつに何かしてやりたい。

 

「・・・・・・なんで」

 

マンドリカルドがそう小さく呟いた。

 

「なんで、か・・・・・・理由なんかねえよ、友達だから、大切な奴だからで全部終わりだ」

 

「・・・・・・馬鹿だ、世界一の馬鹿じゃねえか、テメェは」

 

「そうだな。これは馬鹿なりの考えさ・・・・・・高貴な英霊さまには、到底理解できない話だろうよ」

 

マンドリカルドは唇を噛む。

こんな馬鹿マスターを持ったことを後悔しているのか。悪かったな、ポンコツでコミュニケーション能力がクソで血を見るとぶっ倒れて勝手なことばっか言う魔術師で。

 

「・・・・・・わかるわけねえよ、克親」

 

マンドリカルドは手に巻きつく鎖をぎゅうと強く握った。

いつの間にか俺の魔力を吸い骨折していたであろう場所は修復されて、新たに流れる血も無くなっている。

・・・・・・それでも、俺が死にゃ意味はなくなってしまうのだが。

 

「わかんないっすよ、俺は・・・・・・あんたの友達でいて・・・・・・いいのか」

 

「・・・・・・いいよ、いいに決まってんだろ」

 

そう言って、俺は笑ってやった。

つう、と。

俺の意識が消える刹那、マンドリカルドの頬に、透明な何かが伝ったのが見えた。

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