Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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Interludeの頻度と期間やばくねって最近思う私でございます。
まあこのお話マンドリカルドくんも主人公みたいなもんなんで許してたもれ・・・・・・


44話 Interlude:飯は心も満たすもの

「ご飯できましたんで夕餉にしましょう。食べる気力があるといいんですが」

 

時刻は午後7時。

あたりも真っ暗になったところで部屋の扉が開き、篠塚が顔を出してきた。少しだけ長い後ろの髪をくくり、料理中に垂れないようにしているらしい。

ほくほく顔で俺を招いているあたり、今日は美味しい何かができたのだろう。

 

「せっかくなのでここはひとつ、呼ばれるとしますか。まあ俺サーヴァントなんで、飯は食わなくても生きてられるんすけどね」

 

「だめですよー食べなくてもいいからって抜きにしちゃ。体だけじゃなく、心まで壊れちゃいますよ?」

 

招かれるまま、俺は食卓のある部屋へと案内される。

マスターの家とは違ってかなり和風なここの作りは見ていて新鮮だ。欄間とかいう襖の上についている飾りのなんと精緻なことか・・・・・・あれだけでかなりの値段がするに違いない。

 

「すごい家っすよね、ここ」

 

「そうですよね。なにせこのあたりでも結構名のある家だそうで・・・・・・こんなところに居候させてもらうのが申し訳なくなっちゃいますよ、あははは」

 

後頭部に手を当てて篠塚が笑う。

つられて俺の口元も綻んできてしまった・・・・・・なんだか、彼には俺の出している心の壁なんて見えないみたいだ。

ついこないだ出会ったばかりの人なのに気さくに接してくれている・・・・・・これが穏やか系陽キャというものなのか、末恐ろしい。

 

「海さんはあとでってごねてますんで、今は二人だけで」

 

「・・・・・・ふ、二人っきりすか・・・・・・陰キャにはちょっときついかもっす」

 

相手は男だというのに何がきついというのだ。

つか前々からマスターと二人で飯食ってたのになんでここで緊張するんだよ俺は、人見知り拗らせすぎだろ。

・・・・・・相手は一般人だと言ってもあんまり喋りすぎるとあとで面倒なことになるという考えも根底にはあるが、あまり警戒しても逆に問い詰められそうな気がする。

 

「大丈夫です、ご飯の前には陰陽関係なしですから。俺陰キャだの陽キャだのあんまわかってないんで・・・・・・詰まるところ気にしないでいいですよ」

 

本物の陽キャほどそういうこと気にしないって本当だったなと感慨に耽りながら、俺は畳へと座る。

この家の食卓は四角い卓袱台方式みたいで、俺にとっては初めての経験・・・・・・この場合正しい座り方としては胡座か正座、正座してるとふくらはぎの圧迫がきつそうなのでここは胡座でいこう。

 

「さーて今日はいっぱい作ったんで、たくさん食べてくださいよ?」

 

お残しは許しませんでという言葉の裏に潜む圧力を感じた。

まあ今日はただでさえ魔力消費が激しかったのだ。飯を食えば僅かながら消費を抑えられるということもあるしここは食えるだけ食わせてもらおうか。

どかどかと並ぶ魚料理の数々・・・・・・基本内陸生活な遊牧民系の人間だった俺にとってあまり馴染みはないが、おいしいということはもはや説明不要。見るだけで幸せになれそうなものを作り出せる篠塚の料理スキルがおぞましく感じる。

 

「・・・・・・んじゃ、いただきます」

 

「いただきまーす」

 

豪快によそわれたご飯へ、照り焼きにされた魚の身をほぐしてのせそのまま口に放り込む。

悪魔的な醤油の味と魚自身の脂が米と絡み合って神経から幸せにしてくれる・・・・・・なんてことだ、なんてことだ・・・・・・あまりにも旨すぎる。

 

「この時期の鰤は美味しいですからね。最近工場とかから流す窒素量の最適値が見つかったらしくて、いい具合に魚が増えてるらしいんですよ・・・・・・おかげで、マトウダイなんてのもお安く手に入ったわけです」

 

薄紅色の刺身を持ち上げて、篠塚は嬉しそうにニコニコと笑う。

どうやら簡単に買える代物じゃないらしく、手に入れられた幸せをめちゃくちゃに謳歌していた。

 

「マトウダイは肝醤油作って刺身で食べるのが一番なんですよ。どぞどぞ」

 

渡された小皿に入っている醤油の中には、なにやら細かくされた物体が入っている。

篠塚の言葉からして、タイの内臓をすりつぶしたものなのだろう・・・・・・ちょっと鳥肌が立った気もしたが、これがこの国の食文化と割り切るしかあるまい。

意を決して、俺は刺身を食らう。

 

「・・・・・・褒める言葉が見つからねー」

 

なんとまあ美味しいことか。

醤油のキレがうまい具合に宥められまろやかになり、刺身本体との調和も最高。

無意識のうちに頭を抱えてしまっていたくらいだ、やばすぎるにもほどがあるだろう。

 

「喜んでいただけてよかった・・・・・・外国の方だから肝とか大丈夫かなって思ってたんですけど」

 

「いや大丈夫っす全然大丈夫っす。俺一応豚はダメってことにしてるんすけどこういうのなら大歓迎」

 

「あ、ムスリムの方だったんですか!?言ってくれればそういったメニューにしたんですけど」

 

めちゃくちゃ気を使われて申し訳ない気持ちになってきた。

俺は食べなくて大丈夫な体なんだし、他の人たちが食べたいものを食べればいいと思うのだが彼の前ではそういうことも通用しないらしい。

 

「配慮してくれなくて結構っすよ。豚がダメってのもちょっとした自戒くらいの気持ちなんで・・・・・・ここらへんなら神も見てない、はず」

 

自分がムスリム及びサラセン人なことを忘れないように・・・・・・と心に留めているだけだから、別に食べても構わないとは考えている。

英霊としていろいろしているうちに宗教観がじわじわと変わってしまったせいだ・・・・・・全く、英霊になっても敬虔な信徒であることを貫き続ける奴らからしたら俺は完膚なきまでに叩きのめされるのだろうな。

 

「・・・・・・そ、そうなんですか。そう言ってくださるのなら、こちらも通常通りさせていただきます」

 

ちょっと納得いってない表情をしながら篠塚は野菜を口に運びだす。

彼らからしたらサラセン人ってのは結構戒律に厳しいみたいなイメージがあるのだろう、たぶん。

 

 

その後もちょくちょく短い会話を繰り返しながら食事を続け、ついでに図々しくおかわりも請求した上で腹一杯になるまで食ってしまった。篠塚の作るご飯が美味しすぎるのがいけない(別にマスターのご飯がまずいとかいうわけでは絶対ない)。

 

「結構大食漢なんですね、びっくりしました」

 

「・・・・・・つい夢中になって食っちまったっす、すんません」

 

「ああいいんですよ、それだけ俺の飯気に入ってくれたってことなんでしょうし」

 

食器を片付けながら心底嬉しそうに笑う篠塚。

・・・・・・さすがに食いすぎたかちょっと苦しい、失礼だとは思うが我慢ならずに俺は畳の上で横になった。

独特な草の薫りが鼻を突き、そのまま通り抜けていく・・・・・・これが和室というものなのか。日本人じゃねえのに落ち着く。

 

「そんなところで寝たら顔に跡付いちゃいますよ」

 

「・・・・・・ああすんません・・・・・・寝るときはマスターのとこに戻るんで」

 

天井を見上げてふうと一息つく。蛍光灯の発する光が目に刺さるが、5秒もしないうちに眩しいとは思わなくなった。

 

「それならいいんですけどね?」

 

皿洗いが終わったらしい篠塚は、ぽりぽりと何かを食べながら先ほど食事をしていた席と同じところに座った。

前から気になっていたのだが、時折彼の口調というか中身そのものまで違って見えるのは何故なのだろう。

 

「・・・・・・金平糖、好きなんすね」

 

あまりじろじろ見ていても疑われると思ったので、俺は見たらわかるようなことを言って視線を逸らす。

いつもの篠塚ならそれなりに話しかけやすい存在だと思うのだが今の彼は遠くかけ離れたオーラを放っている。

雰囲気の柔らかさに拍車がかかって、まるで女の子のような・・・・・・

 

「ええもう大好きですとも!というかお菓子全般大好きなんですよね、金平糖だけじゃなくて団子とかも!」

 

あっかわいい、なんて彼に対して思ってしまったのは俺の勘違いということにしておこう。




篠塚くんの属性が多すぎる
アサシンパライソちゃんも戦慄せざるを得ない性癖(?)フックの多さだ・・・・・・
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