Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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あれこの世界線にいるマイフレンド地味にアグレッシブなところあるんだけどなんで?(すっとぼけ)


45話 Interlude:なんでわかった

「・・・・・・あの、さ。アンタって・・・・・・時々中身が変わったみたいになるっすよね」

 

「え、やっぱそう見えちゃいます?ふとしたときに口調が何でか変わっちゃうんですよ・・・・・・別に二重人格とかってわけじゃないんですけどね?」

 

困ったもんですと篠塚が眉をハの字にして苦笑した。

・・・・・・単純な問題ではないということが見て取れるが、あまり無用な詮索をするのも可哀想だしと思って俺はふーんとだけ言い返す。

 

「まあそこまで社会的に終わるようなことにはなってないんで大丈夫なんですけどね・・・・・・たぶん俺の精神がまだ未熟で決まりきってないせいなんだろうとは思いますけど」

 

「・・・・・・未熟、か。俺からしたら、かなり立派な奴に見えるっすよ」

 

そう言いつつ、俺は顔を篠塚の方へと向けた。

金平糖を袋から一粒ずつ出してぽりぽりと食べるその姿は、さっきよりも幾分か男らしく見える。

 

「全然俺は、立派なんかじゃないですよ。セラヴィさんもお世辞が上手ですね」

 

「い、いや別に世辞で言ってるわけじゃあないんすけど・・・・・・」

 

陰キャにはこういった認識の齟齬への対応が難しい。思ったことをそのまま伝えても別の方に受け取られてしまう・・・・・・この問題は二人の頭が完全に共有でもされてないと解消できない、人間が持つ命題の一つなのだ。

 

「・・・・・・もう20時ですよ。旦那のとこへお戻りにはならないんですか?」

 

あっ、今の絶対愛想尽かされたやつだ。またぬかってしまったか、俺のバカ、死ね。

篠塚に促された以上反抗するのもなんだか嫌なため、俺はマスターのいる部屋へと戻ることにした。

畳から少し重たくなった腰を上げ、一つ背伸びをする。

 

「少し早いですけど、おやすみなさい」

 

「・・・・・・おやすみなさい」

 

仕方なしに部屋を出て、ペタペタ足音を立てつつ廊下を移動する。

二階に上がるとそこには光の漏れている部屋が2つ。マスターの寝ている部屋は手前側で、奥は司馬田の部屋・・・・・・そっちからはなにやら物音がしている。

・・・・・・マスターが腐れ縁だと溜め息をつくほど密接な関係を持った存在に少しだけ興味が湧いた俺は、霊体化して壁を突き抜け司馬田の部屋を覗いてみる。

別に彼女がマスターというわけじゃあないのだし、まあちょっとくらいなら許してもらえるだろう。

 

「コランダムのCr1%で83、Cr5%で130・・・・・・」

 

なにやら宝石を使って魔術の研究をしているらしい。

種類は白魔術系統のようで、魚を活け作りにしては元に戻すという狂気じみた実験・・・・・・俺のマスターが特殊なだけで、だいたい魔術師ってこういうものだと今更思い出した・・・・・・研究のためには仕方ないのかもしれないが、なかなかものすごい光景である。

 

「ルビーはやっぱ微妙だな・・・・・・ダイヤ=白金触媒が一番効率的・・・・・・合成のラインはもう敷いてあるしまたダイヤ1キロくらい作らせるか・・・・・・」

 

頭を抱えつつ司馬田は唸る。宝石魔術というのは金食い虫だとかよく言われているし、彼女も家が家だから普通より楽ではあるがそれなりに苦労しているみたいだ。

それにしても、人工物でもきっちり機能するというのは初めて知ったような気がする・・・・・・

基本、土の中でなっがい年月をかけて出来る宝石には自然霊の類が宿るとされ、それの力を利用して術に転換したりするのが基本原理だったはずなのだ。

自然霊の宿る余地がない人工宝石だとただの魔力伝導率がいいだけのものに過ぎないのに、彼女は何のためにそれを使うのだろうか・・・・・・

 

「・・・・・・おいセラヴィくんよ、人の研究を覗き見たあ随分いい趣味してんな?」

 

霊体化していて存在しなくなっているはずの心臓が跳ねた気がした。ついでに呼吸も一瞬止まった感覚だってした。

なぜ普通の魔術師である司馬田が霊体化した俺を知覚できたのだろうか、もしかしてどこかにサーヴァントが潜んでいる・・・・・・いや、そんな気配は全くしないし有り得ない。

 

「バレちまったらしょうがねえ」

 

取りあえず彼女のすぐ隣で実体化する。ついでに何かあれば即マスターを回収して逃げる算段を立てておく。

 

「は、適当に言ったがほんとにいるとは思わなかったぜ。で、なんだ?俺なんかの魔術が見たかったのか?」

 

どうやら当てずっぽうだったらしく、聞いて俺は安堵した。

人間の勘というものは意外と侮れないものだなと考えながら、司馬田に問いを投げかける。

 

「・・・・・・なんで自然霊のいない人造の宝石で魔術が使えるのかと、気になってつい」

 

「あーそれか。まあ普通気になるよな・・・・・・何てったって俺の家は宝石というものの構造を利用する魔術を継承してるから」

 

随分と科学的な観点から攻める魔術らしい。

話によると宝石は種類ごとに構造が違っているらしく、それぞれ術式に組み込む上での適性があるそうだ。

ダイヤはオールマイティー、ガーネットは発火と回復、サファイアは水関係と回数限りの模倣などなど宝石によって得意分野は千差万別。彼女の家は代を重ねるごとに『この宝石はこれが向いている』というものの記録を積み重ね、効率的な石の利用アルゴリズムを組んでいるそうだ・・・・・・どうやって根源を目指すのかは全くわからないが、さすがにそれまで教えてくれるわけもなかろうというわけで聞かないでおいた。

 

「てなわけで、日々ちまちまちまちま実験の繰り返しってわけだ」

 

「・・・・・・魔術師ってのも大変なもんなんすね」

 

「お前さん、前に聖杯戦争へ参加したこととかないのか?サーヴァントにしては知らんことが多いと思うんだが」

 

ぐ、と返答に詰まる。

元からそこまで頭がいいわけじゃないので記憶力にいささかの問題がある。というか聖杯から与えられた知識はちゃんと覚えているのに魔術師周りのことだけちょこちょこ薄ぼんやりしているのはなぜなのか・・・・・・

 

「・・・・・・馬鹿ですんません」

 

「まあ俺が実害被る訳でもないしどうでもいいや。んで、他になんか聞きたいことはあっか?」

 

「・・・・・・ないっす」

 

じゃあ出てけ、と出入り口の方を指差されたので俺はそれに従い部屋を出る。

正直マスターのことについてとか聞きたいことはまだあったが、それは俺が自分で聞かねばならないと思って言うのを躊躇ってしまった。

あのとき見たマスターの記憶。

彼の起源と、絶世剣という言葉・・・・・・いつかは知っておかないと駄目だって、俺の中にいる何かが叫んでいた。

 

 

「・・・・・・お前は、なんなんだ」

 

『─────である、マンドリカルド。俺は──を知っている、お前自身だ』

 

意図的に言葉がかき消されたのか、重要な箇所が全く聞こえなかった。

返答したのは奴の気まぐれだったみたいで、それ以上は何回声をかけようと何も返ってこない。

彼は、俺は・・・・・・何を知っているというのか。

 

「なんでこうも悩みが増えるんだか」

 

もう考えるのが嫌になったから寝ることにした。思考能力のカットが出来るし魔力の消費もほんのり穏やかになるから現状の最適解だ。

収納部に置かれていた布団を拝借し、マスターの隣に敷く。

勝手にこんな近い場所で寝るというのも如何なものか、と思うが・・・・・・まあ前にがっつり添い寝しているし不問にしてくれるだろう。してくれないと困る。

 

「・・・・・・朝になったら」

 

目を覚ましていてくれと、俺はマスターの頬を撫でて静かに目を閉じた。

祈ることしか出来ない自分が嫌だけども、今はそうするしかない・・・・・・誰か、俺に願いを叶える力を与えてはくれないのだろうか。

 

「・・・・・・自分で身につけなきゃ意味ぬぇーだろ、学習しろ俺」

 

自戒の意味も込めて一発自分自身の右頬をひっぱたき、そのまま流れで俺は意識を落としていった。

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