Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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ネーミングセンスのなさに泣きたくなってくる今日この頃です
あと邪ンヌガチャ無事爆死しました(パールヴァティーさん来ただけでもよしとしたい)


48話 五日目:えくしーどじょうたい

あれからまた寝て、再び起きた頃にはもう午前10時である。

篠塚が出勤前に作っていったご飯を安定の寝坊をかました(本人はこれがいつもなのと言い張っているが)海と食べながら、いろいろと話を進めていた。

 

「いやあ俺もあそこで魔眼使っちゃったからさ、あのパツキン男・・・・・・ギルガメッシュとか言ったっけか?の敵認定されててもおかしくない訳よ。まあ歯牙にもかけられてないっちゅう可能性もあるが、一応は警戒しときたいもんなんだよ」

 

わかめと豆腐の味噌汁を啜りながら海が力説する。つまるところ自分を守れということなのか。

マンドリカルド一人にそういうことを任せるのもなんか申し訳ないような気がするけど、ここで海をほっとけるわけでもなく。微妙な板挟みを食らってしまい、せっかくの飯も旨さが20%減だ。

 

「家にいる間はまあ守れると思うが、仕事のほうどうなんだ。遠隔で指示が出来るようにその部門滅茶苦茶強化してるって話だけど」

 

「あーそこはもーまんたいよ。社屋の全棟が停電しようが地震が起きようが大丈夫なようにはしてんだし、連絡に携わる社員もできるだけ通信技術の高い奴とってるから。もれなく金もやってるし不平不満も今のところは上がってないし」

 

社員の不満をなくすための解決策が金とかいうめちゃくちゃ単純な戦法を乱用しているが、なんだかんだ言って海は人事に関しちゃまあ優秀だ。

本人が残業を死ぬほど嫌っているので会社でも残業は原則禁止らしく、それを実行していてもちゃんと業務が回せている辺り良い人材を取っているようだ。

最近は勤務の情報を見た新卒とかがこぞって面接に来るんだそうで、面接官役が毎回その時期になるとヒイヒイ言ってるのが難点・・・・・・という話。

 

「いやぁ、来てくれるのは嬉しいんだけどね。倍率がエグいことになってて毎度毎度大変なんだよ」

 

「はーん。俺みたいな平社員にゃわからん悩みだ」

 

最後の米粒(だいたい取りにくい)を箸でなんとか取って口の中に放り込み、麦茶で胃へと流し込む。

ごちそうさまの声だけ上げて、俺は一度畳の上に転がった。マンドリカルドはすでに食べ終えていて、なんかどこそこで猫が木の上にいたんですが助けられましたーみたいな平和ニュースばっか流してる番組をぼんやりと見ていた。

 

「何があったら20m近くある(にれ)の木に上るんだよ」

 

「馬鹿と煙と猫は高いところに上るって話があるし、そういうことじゃないっすか?」

 

『猫は』の部分その言葉にあったか?という疑問を抱きつつも、俺は相槌を打った。

匍匐前進をするかの如く、腕だけでずりずりとテレビの前まで動いてそのまま転がる。

 

「お前らは兄弟か、同じような姿勢でごろごろしやがって」

 

部屋の中で煙草を吸うことが禁止されているので、海は苦虫を噛み潰したような顔をして棒つきの飴を舐めている。

どうやら何かしら歯で噛んでいないと不満らしい・・・・・・ヤニ中毒の次は糖尿病になるぞと言ってやったが本人はこれ以上妥協するつもりはないらしい。という飴ですら死ぬほど譲歩した結果だそうだ。

 

「もしかしたらそうかもしれねえな。俺とセラヴィはソウルメイトだし」

 

「ぶぼぇっ!」

 

突飛な発言にマンドリカルドが軽く悶死したがまあ問題はない。

海からの返答がないと思って俺は後ろを向いたが・・・・・・そこには、眼球が飛び出そうなほどに目を見開いている奴がいる。

俺はそこまで変なことを言ったつもりじゃあないんだが。

 

「お前がそんなこと言い出すなんて明日世界終わるんじゃね?」

 

「失礼な」

 

俺を何だと思っているのだ。

こっちだってちょっとぐらい浮ついた発言するんだぞとぶーたれるけども奴は初めて見たわと意固地になりやがる。

 

「い、いきなりソウルメイトとか言わないでほしいっす・・・・・・陰キャにそんなキラキラしたワードは・・・・・・きついっつーか」

 

また顔を赤くしてもじもじするマンドリカルド。

わかりやすく親愛を示す言動をされても慣れていないのかものっそいびっくりしてしまうらしい。

経験がないのも考え物だなと思うがよくよく考えれば俺も同じようなもんだったと気づく。

 

「じゃあmon trésor(俺の宝物)

 

「ももももっと駄目っすよ!!なんすか、克親は俺をからかってるんすか!!」

 

「そうだが」

 

「ぬわぁんでぇ!?」

 

憤慨しつつも、マンドリカルドが見せる表情にはどこか嬉しさを孕んでいるように見えた。

まあ、自分のことを宝物だと言われりゃ少しはそうなるよな。

ぎゃあぎゃあ騒いでいる俺たちを見て呆れたのか、海は500mlペットボトルの茶を脇に抱えてどこかへ行ってしまった。

 

「ほーらもう司馬田さんどっか行っちゃったじゃないすか!」

 

「いいんだよあいつはほっときゃ」

 

やいのやいの言ってる間に平和ニュース番組は終わり、いつの間にか普通の報道モノへと変わっている。

なんか昨日はいろいろとあったようで・・・・・・

 

「次のニュースです。先日舞綱市で起きた暴力団員への暴行事件、────容疑者は死亡していたことが明らかになりました。死因は銃が原因の失血死とされ、警察は被疑者死亡の事件として処理した上で、これが報復の可能性も見て捜査を続けています」

 

マンドリカルドが暴走していたときに起こした事件だったが、なぜか全く知らない男が槍玉にあげられたついでに殺されている。

・・・・・・おそらく唐川が手を回したのだが、何も円満に解決するため赤の他人殺さなくったっていいだろうに。ああかわいそ。

 

「・・・・・・俺のした犯罪をなすりつけられて殺されたんすか、あの人は」

 

「事実を述べればそうだが、お前がそこまで気に病むことじゃねえよ。唐川のバカがあんな隠蔽方法を取ったのが悪い」

 

よくも悪くも責任感が強い彼は一度『俺が悪い』と認識するとどんどん深みにはまっていく、というきらいがある。

早い段階ですくい上げて、お前は気にするなと言っておかねば危険だ。

なんとなく頭を撫でてやるが、そんなもので宥めになるのかと考えれば微妙な気もする。

 

「そもそもあいつらはここいらで事件起こしてばっかだったしいいお灸にでもなったんじゃねえか?舞綱市民も声には出せないがみんな内心すかっとしてるだろうよ」

 

実際俺もそうだしと付け足して笑ってみせるが、マンドリカルドの表情はまだまだ暗いというかなんというか。

さすがにこれ以上ちょっかいかけたところでって感じなので俺は続きを話すのをやめ、テレビの液晶へと視線を戻した。

 

「舞綱市にて辻斬りとおぼしき事件が発生し、3人が意識不明の重体で医療センターへと搬送されました。警察は殺人未遂罪として、捜査中とのことです」

 

聖杯戦争が始まってから随分と物騒になったものだ。

巨大建造物が壊れたなんていう事件はまだ起きていない(昨日の廃倉庫は海が魔術で偽装しているらしく、中に入られでもしない限りバレることはない)のだが、この調子だと終盤にはマンションの一棟や二棟くらいは消し飛びそうなのが恐ろしい。

 

「・・・・・・これは俺じゃないっすよ」

 

「わかってるよ。偏見で物を言うが、辻斬りとまで言うんだから日本刀でやられたって確証があるはずだろ?普通ならもっと簡単に刃物で斬りつけられてーって言うだろうし」

 

聖杯戦争と関係ない一般人がやったという可能性だって無きにしもあらずだが、おそらく剣士のサーヴァントが魔力を補給するために襲ったと見て間違いない。

セイバーは西洋剣を持っていたし、バーサーカーはロシア圏、アーチャーのギルガメッシュはあの宝具をいくらでも出す能力からして刀も持つことは可能だと考えられるが、本人の性格を鑑みれば一人ずつ食らっていくというそんなまどろっこしいことはせずに大人数を一気に殺害しそうだ。

ランサーのブラダマンテは先日消滅したそうだし、残りはアサシンかアヴェンジャー・・・・・・この二騎については情報が全くないので、判断がつかん。

 

「何にせよ、これはほっとくとヤバい話だな・・・・・・戦術的に間違っちゃいないが、出来るだけ一般人へ危害を加えるってのは抑えたほうがいい」

 

「・・・・・・やるんすか?」

 

マンドリカルドが俺の意図を汲んでそう問ってきた。

以心伝心、という感じがしてなんだか嬉しいなあと思うが今はそんなことを考えている暇もない。

俺はだらしなく転がしていた体を起こし、ちゃんと背筋を正して座る。マンドリカルドもそれに追随して同じように座り、俺の顔をじ、と見てきた。

 

「ああ、やるつもりだ。だが、俺たちは昨日の怪我もあって本調子じゃあない・・・・・・そうだろ?」

 

俺は海に治療してもらったとはいえ肩の傷がまだ地味に痛むし、マンドリカルドも派手に魔力を消費したせいで実体化を保ててはいると言えど戦闘面ではまだ不安が残る。

俺は気を失った後のことを知らないので事情がまだわかってないのだが、なんとなくわかるものがある・・・・・・彼は昨日、自分の限界を超えた駆動をしたおかげでオーバーヒートに陥っているような気がするのだ。

 

「そうっすね。あん時、なんつーか・・・・・・これ以上やったら自分の霊基がもたないっつう臨界点まで行きかけてたような。我を忘れてギルガメッシュをぶっ飛ばそうとしてたから何をどうしたのかあんま覚えてぬぇーんすけど」

 

「・・・・・・わかった。その現象・・・・・・まあ簡単にエクシード状態とでも呼ぶとしよう。アレは簡単に使えないし使ってはいけない代物ってのは間違いない。霊基が消えかかるまで魔力を使うんだ、俺の魔術補助を使ったとしても危険すぎる」

 

アレは最後の切り札、ギルガメッシュともう一度正面切って戦うような場面にしか使えない最終兵器であるという認識を俺たち二人の間で確定させる。

・・・・・・不安な部分がとても多いが、いざという時出せるカードを把握できただけでもよしとしておきたい。

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