Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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オンライン授業が本格的に始まり死にそうです
毎日小説更新できるように頑張ってますがカツカツです(一話作るのに間食してると1時間くらいはかかるので)


51話 五日目:今度こそ

とんでもない速度で山名を駆け抜け明海まで到達する。

走れる屋根が無くなったのは痛いがマンドリカルドにはそんなこと関係なし。器用に人々の間を縫ってぶつかることなく走り続けている。

 

「疲れてんだろ、一回休むか?」

 

「大丈夫っす、克親の魔力たんまり貰ってるんで!」

 

風圧でめちゃくちゃ噛みそうだが何とか踏ん張って発音する。

なおサーヴァントってここまで加速する戦闘中でも喋れるレベルに調整されているのだぞ、と言わんばかりの平然さでマンドリカルドは声を出していた。

 

「もうそろそろ着くっすよ!!」

 

もはや速すぎて見えないレベルで流れていた景色を見ると、その言葉は嘘でないと判断できる。

俺の会社の社屋がもう目の前にあり、このままじゃあぶつかるのではという危惧さえあるくらいだ。

 

「よっしゃストーップ!」

 

「無理っす、このまま一回上行かせてもらいます!」

 

「え?」

 

ビルに激突する寸前のところでマンドリカルドは軽く跳躍したかと思うと、そのまま壁に足をつけそのまま駆け上がる。

落ちる前にもう一方の足で上に上にを繰り返し、どんどん高度を上げていく。

意味が分からないって?安心しろ、俺もだ。

 

「なんで壁走ってんだ!物理学演算ぶっ壊れてんぞ!!」

 

「あのままじゃ克親が挽き肉になってたっすよ!!仕方ないっしょ!」

 

「やっぱサーヴァントの思考回路ってどっかおかしい!!」

 

途中で力尽きて転落しないようにとありったけの術をかけたし死ぬことはないと思うが、やはり人間意味のわからんことを普通にやられると混乱してしまう。

フェンスを含めた25階建てのビル(75mくらいあるはず)を軽々と登りきり、マンドリカルドと抱きかかえられた俺はそのまま屋上床に降り立った。

一瞬で空気から感じ取れる異様さ・・・・・・ビルをものすごい速度で上っていった時にもなんとなく感じたが、この瞬間疑念は確信に変わった。

 

「・・・・・・ここまでの術式、ビルが木っ端微塵になるレベルだぞ」

 

いたるところに描かれた陣が示すのは破壊。

発動すれば最後、人間や機械もろともどかんと吹き飛ぶこと間違いなしだ。さすがに明海の真ん中にあるこのビルが崩壊するとなると、近くの通行人や隣の建造物まで巻き込んでの大災害になる。

 

「ここでどれだけの人をぶっ殺すつもりだ、ナディア」

 

屋上から見える明海のビル街を楽しそうに眺めていたナディアへと、俺は声をかける。

振り返る彼女。その顔には下衆そのもののような笑みが浮かんでいた。

 

「さぁ?どれだけ・・・・・・と言われましたら、この会社にいる社畜さんらと・・・・・・通行人と。しめて1000人は軽く」

 

悪びれもなく言ってのけるナディア。

普通魔術師というものは自分の利益の為なら平然と人を殺すもの・・・・・・どれだけの益が前に転がっていようとしない俺みたいなのが異端なのだ。

 

「お前の持つ魔力ならいくら燃費が悪いと噂のバーサーカーでも保つと思うんだが・・・・・・目的は何だ」

 

「・・・・・・あなたをもっと苦しませるために決まっとるのですわ!平尾家の血筋に傷を付けられる大義名分があるのですから!幾千の無垢なる民を殺してでも!」

 

ああ、狂ってやがる。

平尾家とシトコヴェツカヤ家にある地味な確執。舞綱市に根を下ろす魔術師一家の中でも結構な縄張り争いを前からしていたのだ・・・・・・しかしその話は司馬田家が魔術を始める前の時代。つまり平尾家で言うと二代目から三代目の間に起こった出来事。

そもそも舞綱の良い龍脈に目を付けたシトコヴェツカヤ家がやってきてここは私たちの土地だ呼ばわりしたのだから小競り合いしてしかるべき。ちょくちょく街を破壊しながら戦い続けていたが、まあ結局は平尾家が山名を、シトコヴェツカヤ家が明海を、という感じで市を二分するように終戦条約を結んでいたはずだが。

 

「俺に言われても困る話だ、お家同士の争いなんてめんどくせえことに固執しやがって」

 

「あんたにはわからんでしょうね!私の家が受けた辱めを!」

 

「ああわかる訳ねえだろ教えられてないんだし」

 

マンドリカルドが念話でこれ以上煽ったら危険だという旨を伝えてくるが、俺は安心しろとだけ返してやる。

俺には策があると察したらしく、彼はすっと押し黙った。

 

「俺は貴族っぽいこた嫌いなんだよ、先祖のことでぶちぶち言いやがって猫も跨ぐような不味い女だ」

 

とりあえず思いつく限りの言葉で罵倒してみる。

さて、以外と時間がかかったが向こうは気づく様子もないらしい。傍らにいつの間にか現れたバーサーカーにも、気づかれた訳じゃない。

 

「それに、一人前たあ言い難い俺なんぞの隠蔽した術式に引っかかるなんて・・・・・・お前の親が見たらどう思うだろうな?」

 

ガラスの割れるような音が空気を引き裂く。

ナディアの張っていた爆発の式は塵と消え去り、代わりに俺の巡らせた結界の式が発動した。

攻撃を無効化するカウンタータイプの結界なのだが、今回は攻撃の前段階で条件を満たさせ起こしたのだ。

 

「・・・・・・ライダー、ここで意趣返しといこうか。お前も煮え湯を飲まされた訳だし・・・・・・」

 

「うっす・・・・・・マスター、命令を」

 

一瞬で鎧姿に換装したマンドリカルド。俺はその手に、まだ持っていたままであった縮小武器の一つである大鎌を元のサイズに戻して渡す。

取り回しの難しい一品だが、そんなことはマンドリカルドにとって関係なし。

どんなものでも手にすれば彼にとってのデュランダルなのだから・・・・・・振るえて当然なのだ。

 

「よし・・・・・・ライダー、バーサーカーを殺せ。あとできるだけビルの設備は壊さないように」

 

D'accord, mon seigneur(了解っす マスター)

 

俺の命を受け、マンドリカルドは大鎌をぶんと一度大きく振るって駆け出す。ビルの屋上だから水を溜めるタンクなどがあるので、それを破壊すると大惨事は避けられんのでそんな命令も下した。これが相手にとってのアドバンテージにならないといいのだが・・・・・・

 

「また勉強もせんとアホみたいに突進?これがじゃぱにーず”カミカゼ”?・・・・・・ふん、バーサーカーも見くびられたものですわ!やりなさい!」

 

хороший(御意)

 

バーサーカーがその腕を振るうと、そこからは風と違う”何かが”噴き出した。

これをもろに食らうと危ない、と察した俺は急造の結界を張る・・・・・・しかし、コンマ一秒ほど遅かったようだ。

 

「く、あァ!?」

 

マンドリカルドは急停止し、鎌を取り落とす。

頭を抱えて地面に転がり、四肢を痙攣させ始めた。

・・・・・・やはり向こうが使うのは精神攻撃、対策を怠っていたのがやはり仇となったか────!

 

「さあ、もうここで自らのマスターを殺し!消えるのですわライダー!」

 

「ア”、こ、ころ・・・・・・ス!ァアアアアアアアア──────────!!」

 

落とした鎌を拾い、マンドリカルドは俺の方へと振り返る。

目の中で出血をしたのか、白目が全て深紅に染まりおぞましい形相というのをより印象づけていた。

今度こそ、殺されるのか・・・・・・友として、一緒に戦うと誓った彼に。

 

「シ、ネェ!!」

 

・・・・・・令呪は使うまい。どうせこれほどの狂化をしたのだ、幾ら対魔力がCだからとて命令は通るわけがない。

ギロチンのように一瞬で首をはねてくれと願いつつ、俺は向かってくるマンドリカルドの顔を見つめた。

 

「ッラぁあ!」

 

空間すらも切り裂きそうな音を立て、その鎌が振るわれる。俺は反射的に目を渋った。

俺は、悶える間もなく首を飛ばされ絶め・・・・・・

 

「・・・・・・あ、れ?」

 

俺の首は飛ばなかった。どういうことかと目を開けると、そこにはおかしい光景が。

向こう側にいたバーサーカーの右腕が、肘から先をなくしていた。

 

「は、ははは・・・・・・今のは・・・・・・けっこーキツかったっすね」

 

ぜいぜいと息を吐きながら、マンドリカルドは俺の方を向いて笑う。

ああそうか、と俺の中で合点がいった。

 

「・・・・・・棄てたか、狂気すら」

 

「そういう、わけっすね・・・・・・この手、二回は通じないっすよ」

 

そんなことを言いつつもマンドリカルドは不敵な笑みを浮かべていた。




最初は使う予定なかったスキルですけどここで活きるとは思わなかったね()
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