Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
相も変わらず誤字ばっかしてるかもですが許してチョモランマ(激寒)
「会社は無事だったみたいで何より何より」
体の主導権をデルニから返してもらって数分後のことであった。
また、目の前にセイバーが現れたのだ。武装はしておらず、また一般人そのもののような格好だ。
あの戦闘をどこかから見ていたのだろうか・・・・・・傍観を決め込むとはいい根性をしている。
「マスターの会社が本当に襲われかけていたのは真実だったが・・・・・・なんで、それを知っていた?そしてなんで教えた?」
放っておけばもしかしたら敵を一人潰せたかもしれないのに・・・・・・いや、バーサーカー陣営が多量の魔力を手に入れるのを恐れたのか。
そうだとしてもなぜ俺たちに頼ってセイバーを動かさなかったのだろう。いかにも強そうなオーラを醸し出す彼ならば、精神汚染を食らう前にバーサーカーなぞ真っ二つの筈だが。
「信用してもらうためってのが一番でかいかね。お前さんのマスターはあまり仕事以外で人と関わらないから、よほどのことをしないと信用してくれそうにないっちゅううちのマスターの言い分でな」
・・・・・・セイバーのマスターは、克親のことを知っている。そればかりか、人となりまである程度把握しているようだ。
ならば、知人であると見て間違いないが・・・・・・司馬田とナディア以外の魔術師が彼の知り合いにいるのか?
「良ければ会って話をしたいそうだが・・・・・・どうする?」
「・・・・・・どうせ断ったら俺の首が飛ぶんだろ?残念ながら俺のマスターはこの通りだが、それでもいいなら」
いやあ話が早くて助かるなあなんて嬉しそうに言いつつ、セイバーはくるりと180°回転した。
明海と山名の境目近くに、彼の主がいるらしい。
怪しい動きを見せたら即逃げられるように、ブリリアドーロの呼び出し準備だけはしておこう。
何事もなく、俺たちはとある一軒家へと到着した。
雑草がこれっぽっちもないきれいな庭と、汚れのない外壁。表札には来栖と記されてある。
「ここだ。罠もなにもないから安心してくれよ」
出来れば逃走時のため、家の前で話をしたかったのだが・・・・・・入らなければいけない雰囲気だ。
あ、ヤバい。こういう時に限って戦闘のときの疑似陽キャモードが切れそう。ああもうこれ以上は保たんだめだ!
「あ、ではお邪魔します・・・・・・っす」
開かれた門扉から中に入るが、結界の類は一切知覚できない。
隠蔽がよほどうまいか、それともなにもないただの丸腰か・・・・・・判断はつかないので、取りあえず最悪のパターンだけ考えよう。
こちらへの攻撃はまったくなし。足が遅くなるなどの弱体化系もなし。
家の中にまでお邪魔させてもらうが、それでもなおこちらへの干渉は行われない。
「マスター、連れてきたぜ。ライダーくんとそのマスターだ」
セイバーがある扉を開く。
そこに鎮座しているベッド・・・・・・上には、だいたい俺と同じくらいの年齢をしているであろう女性が座っていた。
黒く長い、艶のある髪が腰のところまで伸びている。黒い瞳はつぶらで、油断したら射抜かれてしまいそうなほどかわいらしい。
・・・・・・いや止めろ俺、生前のナンパ癖を再発させるな。相手は敵にも味方にもなるであろう存在だ、余計なちょっかい出して怒らせたらたまったもんじゃない。
「あ、ありがとうございます、セイバーさん。は、はは初めまして!来栖榛奈と申します!」
「・・・・・・ライダーっす。多分知ってると思うがこっちはマスターの克親」
未だに意識がないままの彼をずっと背負っているのもきついのでちょっとだけ床に寝かせようとすると、セイバーに止められた。
「床で寝させちゃ痛いでしょ。ベッドの方に・・・・・・」
「ななななななななに言ってるんですかセイバーさん!そんなの無理に決まってるでしょ!馬鹿言わないでください!」
わかりやすく慌てふためいて来栖はセイバーへと枕を投げつける。
そして彼はそれをひょいと軽く避けた・・・・・・のはいいが、枕はそのまま俺の顔面へ。
柔らかい枕なら大丈夫だろうと思って一瞬油断していたのが悪かった・・・・・・飛んできたものは顔面へクリーンヒット。おまけに中身は枕にあるまじき質量と硬さである。危うく首が持って行かれるところだった・・・・・・ま、まさか最初からこれを計算しての枕投擲か。やっぱこの家入っちゃだめだった。
「みゃぁああああごめんなさいライダーさんあの攻撃の意図は決してなかったというかあのえっと!・・・・・・これは私の過失ですごめんなさい!」
「・・・・・・大丈夫っす」
どうやら事故だったらしい。
転がっていった枕を返却して、取りあえず顔を手のひらで撫でてみる。鼻血の類はないし首も痛めてない・・・・・・よかった。
「蕎麦殻はさすがにきついでしょ。容赦ないねーマスターも」
「そもそもセイバーさんが悪いんでしょ!いきなりとんでもないこと言い出して!」
「すんませんねライダーくん。うちのご主人様、君のマスターが好きらしいんだ」
克親本人が寝ているからと言ってそれ言ってよかったのか、という疑問が浮かんだが無論いい訳がない。
さっきよりも苛烈になった彼女によるセイバーへの投げつけ行為・・・・・・だが標的にはちっとも当たっていない。もれなく流れ弾が数発俺に直撃している。
人間がサーヴァントに傷をつけるには相応の技術や魔術がいるため、当たりはしてもそこまで痛いわけじゃないが・・・・・・克親にこれがヒットすればそれなりの怪我になるので庇うのに必死をこかねばならぬ。
「刃物はさすがに克親が危ないっす!!ってうぎゃああああ!!」
ハサミまで空を飛んで壁にぶっささった。
よく見たら壁には何個も同じような跡が残っていて、過去何度もこんな行為を繰り返したであろうことが容易に想像できる。
「はー、はぁ・・・・・・ごめんなさい、取り乱しちゃって」
「・・・・・・怖かったぁ」
いくら攻撃を食らおうと怪我にならないとはいえ無差別爆撃は恐ろしい。
「すまんな。ついからかっちまった」
「すまんなじゃないですよもう!」
むくれ顔の来栖が立ち上がったと思うと、クローゼットの中から一本の棒みたいなものを取り出す。
真ん中に巻かれていたバンドを取り広げたかそれは大人の男1人を包み込めるようなブランケットへと早変わり。
その上にベッド上でなんとか投擲の餌食になっていなかったクッションを置いた。
「・・・・・・こ、こんなところで申し訳ないんですけど。平尾さんはそこに」
「わざわざすんません。気ぃ遣ってもらって」
克親の体をそこへ寝転がし、クッションを頭の下にねじ込む。
これで目を覚ましても体の節々が痛い・・・・・・ということはある程度防げるはずだ。
「ま、落ち着いたところで・・・・・・少し大事な話がある。マスターの方から言うか?」
部屋の中にある小さいテーブルを囲むようにして克親を除く3人が座る。
同盟関係でも結びたいのだろうが、あいにくと俺に決める権限はない。あくまでも決定するのはマスターである克親だ。いくら友達と呼ばれてもそれは変わりない。
「そう、しますね。あの、ライダーさん」
意を決して俺の顔を見つめ、話し始める来栖。
「私・・・・・・魔術師じゃ、ないんです」
「え?」
まさかの重大発表に思考回路が一時的な凍結処理をされた。