Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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ギャグに入れそうで入れない悲しみ
ぴえん()


57話 五日目:違うそうじゃない

「まずこちらから持っている情報を出させてもらおう。消滅したランサーも含めて3騎の真名がわかっている・・・・・・はじめに、ランサーはシャルルマーニュ伝説でも有名な女騎士ブラダマンテ」

 

マンドリカルドの仇敵でもあるロジェロの恋人であり、はいて捨てるほどにいた求婚相手を武力で一掃するほどの武力を持つ騎士である。

ロジェロのことになると途端にポンコツ化するようだがそれ以外では騎士道に忠実な性格。

装備として特徴的だったのはあの大盾だ。マンドリカルド曰わく魔術師アトラントのものであり幻覚を見せる能力があるようだが、俺はその力が行使されている場面を見ていないのでわからない。

 

「ほう。あの嬢ちゃんそんなヤツだったのかい。どうりでオジサンの名前を察した瞬間ああも──────」

 

「・・・・・・なにか彼女と関係が?」

 

「あると言っちゃああるし、ないと言っちゃあない。そんなとこかね」

 

どこからか取り出してきた電子煙草をふかし、適当なことを言った風にセイバーが笑った。

シャルルマーニュ伝説の関係者だということをほのめかされたのだが、真偽のほどは不明である。

 

「・・・・・・まあいい。アーチャーが最古の叙事詩における主人公にして英雄の王、ギルガメッシュ」

 

「それって、古代メソポタミアにあった都市の王様じゃ」

 

恐る恐る聞いてきた来栖。俺はそうだと頷いて返答した。

正直言って叙事詩に関しちゃほぼ知らないのだが、一応名前などは聞いたことがある。深淵を覗き見たひとなどと表現されることがあるようなので、生前からとんでもない奴だったのは間違いない。

 

「あの英雄王を自称するギルガメッシュ・・・・・・おそらくアーチャーっすけど、神と人の中間って存在なんすよね。無限に武器と金の鎖を射出してきて、拘束されたら最後・・・・・・死ぬ二歩手前まで嬲られるっす」

 

トラウマになっていてもおかしくはないほどの苦痛をギルガメッシュから受けたというのに、あくまでマンドリカルドは苦虫を噛み潰したような顔をして私情を挟まず淡々と事実だけを述べる。

あれで宝具の真名解放を行っていないし、ギルガメッシュのことだ・・・・・・より神に近い、言うなれば権能と等しいような宝具を持っていてもおかしくはない。

そして主となる戦闘スタイルも、他の英雄が使っていたものをどこかから取り出し撃ち出してくるタイプ・・・・・・まるで意味がわからん。

射出ということもあって近接し戦う必要がないし、いざという時は壊れた幻想による爆破も可能だと思われる。よって彼は相当な脅威だ。

 

「・・・・・・あいつは、どっか俺らを見くびっているとこがあるんすよ。まぁーそうなっても仕方ないくらいの差が俺とあいつにはある訳っすけど・・・・・・その慢心につけこむぐらいしか倒す糸口はないっすね」

 

確かにそうだ。

奴には自分より強い奴などどこにもいないと確信しているように見受けられた。

その油断を狙うしか手はない。本気を出されたらこの舞綱市丸ごと巻き込んで消されるかもしれないのだ。

 

「俺もアーチャーの戦闘は見た。アヴェンジャーとの戦いだったと思うが、ありゃ数の暴力そのものって感じだったな。最後の最後に『今日はこの辺にしておいてやる』とか言って攻撃を取りやめたがな。アヴェンジャーがマスターによって連れ帰られたあと、彼はそれとなーく武器を回収している・・・・・・つまり」

 

「たくさん出てくる武器は、とても多いけど決して無限ではないってこと・・・・・・です、よね?セイバーさん」

 

来栖の出した結論にセイバーは首をゆっくり縦に振る。

無限でないのなら出させきれば勝機はある、と一瞬考えついたがそれはすぐ別の考えによって否定された。

 

「だが、奴はゲイ・ボルクなど他の英雄の宝具に相当するものを撃ち出してくる・・・・・・ならば英霊の数だけ・・・・・・ひとりで複数の宝具を持つ英霊もいるだろうからそれも込みでいくと、もはや出せるものは無限じゃないのか?その上、いくらでも出てくる金色の鎖だってある」

 

英雄の数だけ宝具はある。もしかしたら本人にしか適用されない概念的な物などは使えないかもしれないがあったとしてもそれはごく少数に過ぎないはず。

クー・フーリンというギルガメッシュにとっては後世の人間に該当する者の所持品も使えるとなると、人類が歴史を紡ぐだけ英雄は生まれるはずだからこれからも増えていく可能性が高い。

 

「まあそうだわな。一応数に限りはあれど、全部解放すればこの星が半壊するような沙汰になるだろうさ。下手すりゃ世界そのものが崩壊するかもしれん・・・・・・そこまでやられちゃいくらオジサンやライダーくんみたいなサーヴァントと言えど生き残れるはずもない・・・・・・まあこの星は全部俺のものみたいな思考だと思われる以上そこまではいかんだろうが」

 

セイバーは自分の持ち物を破壊するのは気が進まないはずということが言いたいのだろう。

あくまでも敵対者をいたぶりつつ殲滅するのが目的であるのなら、よほどのことでもないかぎり本気を出すことはない。

 

「倒すとしたら、きっ奇襲みたいなのがいいんですよね?」

 

「・・・・・・そうだな。やるとしたらそれくらいだろうなぁ。正面から立ち向かってもそう勝ち目はないだろ、あんな反則サーヴァント」

 

「失敗したら最後だけどな、セイバー」

 

どれだけ奇襲戦法が通用するかは未知数だが、もしもギルガメッシュが脅威と感じられるレベルではあったが回避されたとすれば・・・・・・向こうも流石にこちらを見くびる事を止めるだろう。そうなれば即座に抹殺されること間違いなし、避けられないゲームオーバーだ。

 

「今まで一切尻尾が掴めないほど隠密の能力に長けているアサシンなら、いけるかもしれないっすね」

 

「・・・・・・ああ、ここまで見つけられないとなるとマスターの補助があるとしても気配遮断BからAクラスだろうな。ギルガメッシュの能力にもよるが、気づかれることなく背後まで寄れる可能性は高い」

 

この場にいないしそもそも敵勢力であろうアサシンに頼るなんて無理な話だとは思いつつ、俺は考えだけを提示した。

セイバーもその理論自体には理解を示しているようだが、決して賛成ではないだろう。何しろ見込みも確証もなさすぎる。

 

「確かに、アーチャー包囲網ができりゃオジサンも成功率が比較的高い作戦の立てようがあるんだがな。そうそう組めるようなモンじゃあない。それにあまり大きい同盟を組めば監督役だって黙っちゃいないだろう」

 

確かに監督役としては、現在たった6騎しかいないサーヴァントのうちほぼ半数以上が固まるなんてのは避けておきたいはずだ。

それに加えて唐川のようなクソ神父のことだ。自分の見てみたい光景のためなら大抵のことはやる。

うまいこと興味をこちらの勝利へ引っ張っていければ恐怖も無いのだが、奴の心理を操ることなんて肘に顎をつけるくらい難しい。

難航する会議、俺は気の抜けた声を上げて後ろに倒れ込んだ。いくら七代目と言えど魔術師は魔術師。サーヴァントに傷をつけるなんてのは自爆覚悟の特攻ぐらいでしか無理だと思い知った。

だから俺の出来ることはマンドリカルドとセイバーのサポート。汎用性は高めな強化であるが、一回につき付与できる効果は3つが上限である。

 

「ごめんなさい、私が魔術を使えたら・・・・・・少しは役に立てたのに」

 

「いや、いいんだよ来栖さん。あなたは生きてくれるだけで役に立つ。セイバーを制御する令呪・・・・・・それさえあれば魔術が使えなくても彼を強化できるはずだ。俺なんかの強化よりずっと」

 

令呪がある以上彼女にも少なからず回路はあると見ていい。

まあ今から魔術師として養成するのは難しいだろうが・・・・・・令呪が使えるのはとても大きい。

 

「・・・・・・これのことですか?」

 

着ていたブラウスのボタンを幾つかぷちぷち外したかと思うと、来栖は大胆にそれを広げた。

同盟相手と言えど男に胸部を見せつけるのは如何なものか。反射的に顔を背けるしかなかったじゃないか。

 

「・・・・・・マスター、すごいところで大胆になるんだな。オジサンもこれにはびっくらこいたってやつだ」

 

「へ?あ、そっか・・・・・・う、うわああああごめんなさいいきなり痴女みたいなことしちゃいましたごめんなじゃあああい!!」

 

やる前に気づいてくれよ。

マンドリカルドが気を利かせて俺の両目を隠してくれたのでなにも見えていない、見えてないぞ俺は。

 

「そっちのマスターもうぶだねえ。そこまで顔真っ赤にするか?」

 

「・・・・・・ライダー、セイバーの口封じてきて」

 

「うっす、一撃で殺してやるっす」

 

俺の顔から手を離し立ち上がるマンドリカルド。その手には床に落ちていたクッション。それでしばき倒すくらいなら微笑ましい話なのだが、あいにく彼の特性として・・・・・・”手に持ったものは全部デュランダル”というものがある。

つまりだ。あのクッションも振るえば斬撃が飛び出るわけで・・・・・・

 

「口封じってそういう訳じゃねえからな!?やめろよライダー!?」

 

思わず柄にもない突っ込みを入れてしまった。ああ恥ずかし。

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