Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
いいもん!うちにはマンドリカルドくんがいるもん!!宝具未だに1とか運営確率操作してんじゃねえのってくらい来てないけどいいもん!!(血涙)
63話 六日目:フラグはたいがい回収される
あれから特筆することも起きないまま翌日となった。
一度海のところに戻るべきか、と思ったのだが・・・・・・向こうから来たメールはプレイヤードでの待ち合わせ。
あそこは地味に人が集まる場所だから、あまり込み入った話はできないのだが・・・・・・どういう意図であそこを選んだのだろう。
「ただ朝飯食いたいからとかの単純な理由じゃないっすよね?」
「あそこの飯は篠塚くんがやってるし家に帰ってくりゃすぐ食えるだろ。そういう説だったらコーヒー目当ての方がしっくりくる」
理由がまるでわからんが、とにもかくにも呼ばれたのだから無視するわけにはいくまいと・・・・・・俺はマンドリカルドと一緒にプレイヤードまで歩いていった。
本日の天気は晴れ。玄関から外に出ると眩しい陽光が網膜を焼いたと勘違いするくらいの晴天であった。
からんからんとドアのベルが鳴る。
すでに海は来ていて、早い時間帯だからまだモーニングを食いに来る客もいないため篠塚を侍らせサンドイッチを食っていた。
「おはようだな。んで、今日は何の用だ。そうややこしい話は言えんぞ」
「今回はそう難しいことを話すために呼びつけたんじゃねえよ。まあ単刀直入に言うとだな」
どうせたわいもない話だろ、とたかをくくっていたのがいけなかった。
「お前の家に居候させろ」
「はーーーーん!?!?」
思わず変な声が出た。
いや匿うという話は出たがなんやかんやで断念ということになったはずだ。なぜ今更蒸し返すのだ。
「そんな天変地異が起きかねない話でもねえだろうが。なんだ、寝室に俺には見せられんブツでもあるか?」
「特にそういったもんはねえが・・・・・・ただただ汚い。普段使ってる部屋以外は滅茶苦茶だ」
マンドリカルドに与えた部屋くらいしか客人に使ってもらえる空間がない。
研究室とか平尾家の最高機密まみれだし、俺の寝室は論外だし・・・・・・地下室も研究室と同じ理由。あとはリビング位だが・・・・・・布団はあっただろうか。
「リビング位はあいてるだろ。布団がねえんなら持って行く」
「なんとしても来る気だなお前」
海の目は本気である。こうなるともうよっぽどのことでもない限りてこでもTNTでも動かないのが奴の性質だ。
「・・・・・・しゃーねーな。布団持ってくるんなら場所貸すけど・・・・・・男二人に女一人だぞ」
「陰キャ×2が手を出せるわけねえだろ俺に。つかそういう目で見る奴は100割異常性癖だ」
「1000%アレだって言い切れる精神力が羨ましいっす」
おうおうマンドリカルド、海のもはやあるのかわからん神経に感心するんじゃない。確かにすごいかもしれないが羨望の眼差しを向けるべき相手では決してないぞ。
「まあお前をそういった目で見たことは生まれてこのかた一度たりともなかったが」
「そうだろ、つかあったならしばき殺す」
なぜこんなにも殺意溢れる目が普段から出来るのだろうこいつは。
八木澤の入れたエスプレッソを朝っぱらから一気に飲み下し、大きくため息をついた。
「えー・・・・・・まあ交渉成立ということで」
「場合によっちゃ即引き取ってもらうつもりだが、篠塚くん腕っ節の方は」
「そこまでですがまあ、なんとか」
自信なさげに目を伏せる篠塚。彼の肉体は度重なる重労働の中で成長したかのような印象を抱いていたが、別段そんなでもないのだろうか。まあ海一人くらいならいくらでも回収して家に持って帰れるだろう。
「あと約束しといてくれ、俺とセラヴィが外に出ていても研究室は荒らすなって」
「誰が荒らすか。お前のことだしどうせ人っ子一人どころかネズミ一匹寄せ付けやしない魔境になってんだろ」
お前は俺を何だと思っているのだ。いや確かに研究室は結構汚いが物の所定位置は決まっている、言わば理性ある混沌ってやつなのだ。
『克親、それ威張れることなんすか』
『念話でツッコミ入れてくんのかよ!まあそこはいいとして・・・・・・威張れる、絶対威張れる』
俺の研究室はただのぐちゃぐちゃなどではない、断じてない。
向かいに座る海の顔が露骨に疑りぶかーい表情になる。そこまで信用ならんか俺の部屋の美しさは。
新しく客が来て、篠塚は厨房に行ってしまった。
そのまま俺とマンドリカルドはモーニングをいただきつつ海との話を続ける。
「そういやこないだお前の会社ビルで謎の轟音が云々とか言われてたが、ありゃどうしたんだ?」
「あー・・・・・・まあそれは、聖杯のアレだ」
あまり大きな声で言えることでもない。ここにアヴェンジャーのマスターとかいないとも限らないし。
「そういうことか。それにしても、アレ関係なしに近頃物騒な話ばっかりだな・・・・・・どっかで俺も巻き込まれそうだ」
お前俺と関わり合いになってる時点でアレ関連の話にはほぼ巻き込まれたも同然だがな、と言ってやったが向こうは聞こえないフリを貫いてくる。
全く都合のいいやつだ。
「まあ巻き込まれても守ればどうにかなるっすよ。俺ができるかどうかは別として」
俺のサポートが完璧であればある程度の戦闘能力にまで持っていけるはずだが・・・・・・さすがにギルガメッシュのようなチートそのもの野郎みたいな奴には分が悪い。
幸いああいうタイプは簡単に力を見せたがらないやつだし、出会いさえしなければまあ大丈夫だろうと少々甘ったれた考えを浮かべた。
サブ回路の一つをまるまるセイバーの維持に使っているため、最大出力は少し下がってしまうだろうがアヴェンジャーくらいならいけるはずだ。バーサーカーも対策さえ取れればだが何とかできる。
アサシンの戦闘力に関する手がかりはまるでないからなんとも言えないのだが、ここまでこそこそ隠れてるとなるとよっぽど弱いのではないかという推測も出てくる。
漁夫の利狙いでずっと潜んでいる可能性はけっこう高いので・・・・・・見つけ次第殺すか利用するかってところだが、そもそも発見できるかどうかは未知数である。
寝首を掻かれるかもしれないと思うとおちおち寝てられもしない。
「まあそっちにも色々あるんだろうがよろしく頼むわ。俺が死んだら家の会社が総力を上げお前に金を請求するから覚悟しろ」
「そんなことに総力を使わせるな」
同年代らしい軽口を飛ばしあっていたところまではよかったのだが、その空気はある一瞬を境に霧散する。
ドアのベルを鳴らして入ってきたのは全身黒ずくめの男二人。サングラスに黒マスクとかいう花粉症にありがちな装備であるがずびずび言ってないところを見るにそうではないらしい。
「金を出せ」
「出さないのならここの客と一緒に殺すぞ」
その言葉に、店内でお茶をしばいていた人たちが悲鳴を上げ店の隅っこに固まる。
焦って外に出ようとしなかった点は評価できるが、集まったのがいかんせんよろしくなかった。人質を取る手間が省けたと言わんばかりに男のひとりが銃らしきものを見せつつにじりよる。
案の定面倒なことに巻き込まれたな、といった表情で海を見る。奴は呆れたような顔をして、ただ強盗たちを見ているだけであった。