Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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ばんばか情報ぶちまけてるけどこのまま進んでいいのか・・・・・・?()


68話 六日目:テコ入れくるか?

「んで、そのマスターっつうのは誰だ?」

 

「まあそう早とちりするな。俺が書いてやるよ」

 

俺の右手からペンを強奪し、海は紙の空きスペースに2項目程書き連ねていく。

その中には俺にもまあ馴染み深い・・・・・・と言ったら齟齬が生まれそうな表現だが、とにかくそれは互いのことを知っている存在であった。

 

「八月朔日が、まさかマスターとはな」

 

「まああんなデケェ家だ、どこぞに魔術師としての軸ができてもおかしくはない話なのはわかってんだろお前も。重要な箇所はもっとある」

 

海が八月朔日の項を人差し指で示した。無言の指示に従って、俺とマンドリカルドはその部分を覗き込む。

 

八月朔日しのぶ、1995年生まれの25歳で女性。

令呪の位置はうなじ周りで、使用回数は3。

アメリカの大学で飛び級などを利用したこともあり25歳という若さで研修医を卒業、舞綱中央医療センターの脳外科長にまでなったというあからさまなスーパーエリート。

親の七光りがどうのと言われる事もあるが、どれもこれも結局本人の技量に圧倒されて黙ってしまうらしい。

言うことを守らない患者などに対してはとてもきつく当たり『儼たる神のしのぶ』などと呼ばれている。反面それ以外の人にはいつでも腰が低く礼儀正しい態度のため、人気は高い。

八月朔日家は魔術師としての歴史が短い(はず)なので、サーヴァントに早い時点で見限られた可能性はある。

 

「・・・・・・令呪をこの時点で全部使ってるのか」

 

「そこだ。重要なポイントは」

 

俺が顔を上げると、海は3回程首を縦に振った。

確かに、サーヴァントを良くも悪くも締め付ける令呪がないとなると一大事だ。殺されかけたとしても防御する手段がなく、非常に危険な状態・・・・・・令呪の痕跡がある時点でまだ敗北はしていないということだろうが、今後真っ先に落ちてもおかしくはない。

 

「現状で倒されたのはランサーだけだろ?それもうちのライダーがやった話だ、ほかの奴に介入なんてされてない・・・・・・」

 

「おそらく、サーヴァントが令呪を全部切らないと制御できないかなりのクセ者だったか、ものっそい弱い奴で消滅回避するだけで令呪を使う必要があるか・・・・・・ってところだな」

 

そう考えると彼女のサーヴァントはアーチャー、ギルガメッシュである可能性が高い。

圧倒的な火力と殲滅性能を前に、ブースト目的での令呪は必要ないと判断したのだろうか・・・・・・本人じゃないので内情は全くといっていいほどわからんが、多分そういう話なのだろうと俺は思う。

 

「あんな性格のヤツっすからね・・・・・・対等なコミュニケーションOKにするため令呪全部持ってったっつう話でもおかしくないっすよ」

 

「ありうるな。そんで気に入らない奴になったら即サヨウナラって道まで見える」

 

あんなヤツのマスターにならなくて良かった、とつい口から漏れ出てしまう。

海もそれに関しては全面的に同意らしく、俺もこいつが召喚できたのは運が良かったなとまで言った。

 

「セラヴィみたいなかわいいやつで良かったわほんと。あんな金ピカ自己中なんて相手してたら途中で絶対血反吐吐く」

 

「男に向かってかわいいとかそれ言っていいのは女子高生とかだけだぞ気持ち悪い」

 

「偏見が過ぎる」

 

ここは日本国なのである程度表現の自由が認められているはずだ。非人道的な話でもないのになんでそんな言われようになるのか理解できない。

 

「・・・・・・まあいい、八月朔日に関しては取りあえず泳がせとこう。召喚したサーヴァントを確定させた上で徹底的に叩く。例え相手がギルガメッシュだろうとな」

 

顔の前で手を組み不敵に笑う海。俺にはここまでの自信がないので、奴の図太さが羨ましく感じる。

取りあえずセイバーたちにも頼んで八月朔日周辺を気づかれないレベルで洗っておいた方がいいとだけ呟き、俺は海が書いたもう一人について話し出す。

 

「・・・・・・これが、ランサーの元マスターだな」

 

「ああ、もう権利は失ってるからほっといても大丈夫だろうがな。万一はぐれが出た場合にはこいつと再契約する可能性が高いし一応ってところだ」

 

一理ある。

サーヴァントを失い戦争に負けたマスターは、令呪を剥奪されそのまま終了。それ以降については生き残っている他マスターへの攻撃くらいでしか関わることができない。

なお、死ぬなどの要因でマスターを失った・・・・・・所謂”はぐれサーヴァント”がいると、優先的にそれと再契約させてくれるという。一度令呪を失っても、余ってる分が聖杯からもらえるらしい。

そう考えると一応対策しておかねばならない存在だ。サーヴァントを奪うべく、マスター狙いで奇襲をかけてくる可能性だってあるのだから。

 

貴志文晴、2002年生まれで17歳の男性。

特記事項

調べたところ貴志家で二代目の魔術師。刃学院高校の2年2組出席番号15番。

魔術師としての家が完全に構築されていなかったせいか、性格はほとんど普通の人間である。

基本誰にでも優しく接するタイプで、よほどのことがないと怒らない(彼を知る人間談)。

 

「・・・・・・名前がわかりゃ十分だな」

 

「すまんな、さすがに高校生の情報ぶっこ抜きは難しいんだよ。学校のデータベースからいくらかちょろまかしてきたけど、魔術師としてのデータとか書いてあるわけもねえし」

 

ペンを顔の横で器用に回しながら海が皮肉っぽく言う。

しれっと言っているがものすごい犯罪を犯しておいて随分飄々とした口ぶりだ。こいつの性格からして『バレなきゃ犯罪じゃない』みたいなことでも考えているのだろうが。

 

「初めて見たときはちょうどヤツの登校中だったんだがな・・・・・・驚くことにランサーはいなかったし令呪も丸出しだった。あれでよく殺されなかったなって思うわ」

 

そりゃサーヴァントをその場に連れていないマスターなんて全裸でここ狙ってねと急所を晒しているようなもんだ。

サーチアンドデストロイされる可能性だって大いにあったはずなのだが・・・・・・彼はおそらくそういうことを知らないらしい。

 

「まぁーこいつはとりまほっといて、一番の厄介ネタだが」

 

「・・・・・・あいつか」

 

一瞬で察しがついた。舞綱に根を下ろして長い魔術師ならだいたい知ってる悪魔の擬人化の話である。

 

唐川俊也、1993年生まれの27歳で男性。

所属:聖堂教会

特記事項

舞綱教会の神父であり、この聖杯戦争の監督役。金髪天パの関西人で怪しさとうざさはこの上ない。

面白い展開になるならばどんな悪行にも手を染める本物の快楽主義者。敵に回すと厄介だが味方につけても厄介なので結局は関わり合いにならないのが最善である。

本人曰わくそういった嗜好を持つものたちが集まる場所があるらしいが、1000%魔境なので興味があっても近づくべきではない。

味覚もかなり常軌を逸しており、店主は人を殺しにかかっているのではという疑惑まで囁かれる激辛料理店ヴィクテムエルドラドの料理を好んで食す。おやつ替わりに世界最強レベルに名を連ねる唐辛子をよく食べている。

聖杯戦争で起こった事故などの処理はかなり雑で、整合性があまりとれていない。

黒鍵の扱いはかなりうまく、特に投擲での使用となると9割は目標に命中し、そこから鉄甲作用で相手を吹き飛ばす。

 

「・・・・・・改めて書き出すとやべーなこいつ」

 

「近々テコ入れ入るだろうな。場合によっては代行者が来るかもしれねえぞ・・・・・・そうなったら唐川のやつそれなりにボコられんじゃねえか」

 

「そうなるとめんどくせぇな・・・・・・あの五枚舌がどうなろうと知ったこっちゃないが。客観的に見りゃ、完全に3陣営が結託してるうちみたいなとこを解体しにかかる可能性は高い」

 

今残ってるサーヴァントのうち半数が同盟を結んでいるので、ここから先加入していないサーヴァントとマスターを倒したらもっとここは狙われる。基本1対1のバトルロワイヤル形式なのに、そうなってしまってはさらに事態が膠着するに違いない。

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