Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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7月から学校なのでそれ以降は更新遅れがちになるかもしれませんがご容赦を()


69話 六日目:お前の罪一回数えてこい

「・・・・・・あらかたの情報は集まったし、向こうからこの集まりを解体される前に難所はつぶしといたほうがいいんじゃねえか?」

 

俺たちの目的は、アーチャーの打倒である。俺とマンドリカルドがボコボコにされている場面を二人とも観測しているはずなので、そのあたりは変わらないはずだ。

俺は新しく紙を引っ張り出してきて、再びペンのキャップを開ける。水性なのでそこまできつくはないが、やはりインクの匂いが鼻を突いた。

 

「この場にはいないがセイバーたちも計算に入れた上で作戦を練るぞ。まずアーチャーの特徴的な点として、絶大な量の宝具を使用した絨毯爆撃がある・・・・・・そいつをやられりゃあさすがにひとたまりもない」

 

どれだけ敏捷性が高かろうと、周り一帯を破壊することも厭わないような攻撃の前には逃げ切れまい。

よっていかにアーチャーをその気にさせないかというのが重要だ。

 

「あの金ピカだって英霊だろ。アイツ本来の宝具はあるはずだ」

 

「そうなんだよな・・・・・・アレの性格からしてよほどのことがなけりゃ使わんだろうけど、世界が壊れかねんブツを普通に宝具として持ってそうだ」

 

人間の時代と神代の狭間に位置するときを生きた男。冥界下りやら女神との喧嘩やらとんでもないことばかりやらかしているのが伝承に残っているのだし、相当なものを持ち合わせているに違いない。

これは難しいぞと俺は頭を抱え、顔の横でペンをもにょもにょといじくり出す。なおそんなことをしても出ないもんは出ない。

 

「ま、やるとしたらライダー&セイバーでそれとなく注意を引きつつアサシンが後ろからずばしゃーって感じだろ。そんな単純な手が通用するかと言われたら微妙だが」

 

「それについては俺らとセイバーたちの話でも出てたんだわ。奇襲戦法・・・・・・でも今になってできるかどうかわからんくなってきた」

 

一番シンプルかつ的確な作戦なのだが、やはり単純故に読まれている気しかしない。

ギルガメッシュはそれなりに頭の切れる男だと聞いたせいでなおさらそう思う。

 

「でも、真っ向勝負で戦うのってかなりきついっすよ・・・・・・3人がかりでも下手したら返り討ちなんじゃ」

 

マンドリカルドの言う通りでもある。あの圧倒的な火力と範囲だ、数的有利とはいってもその差は埋められているようにしか考えられん。対抗するには少なくとも軍の師団一個二個レベルの数でサーヴァントが必要だ。

 

「それは否定しねえな。いくら俺たちとて、消滅覚悟で最後の切り札出しても倒しきれるかわからねぇし」

 

アサシンも正面衝突は防ぎたいらしい。となると、やはり奇襲及び搦め手が必要だ。

ギルガメッシュのクラスはアーチャー。マスターが消えても数日は実体を保っていられるはずなので、マスターを殺して魔力供給をストップ、弱体化したところを叩くといった方法が使えない。

弱点を突くといっても、生前の話から出た弱みは他人の宝具を利用することで無効化できるだろうし現実味がない。

唯一露出している欠点が、あの俺より強い奴はいないという慢心ぶりくらい。

彼を打倒できるぞという力を見せれば怒って本気を出すだろうから、やはりやるとすれば一瞬。

令呪のブースト効果をつぎ込んで、一気にぶちのめすしかない。

 

「これも通用するか怪しい話だが、多重フェイントとかどうだ?」

 

簡単に言うと、アサシンで奇襲すると見せかけてセイバーを突撃させる・・・・・・と見せかけ俺の魔術をたっぷりと食らったマンドリカルドが攻撃、という話だ。

戦力の逐次投入はこういう場合御法度。故に一か八かの大勝負を仕掛ける。

 

「俺っすか・・・・・・そういう、大事な仕事任されるってのは・・・・・・なんつーか、怖いっつーか」

 

「つってもお前しかいないんだよ。火力を出すにゃ令呪も切ることを想定しなきゃならん・・・・・・タイミングも重要だ。セイバーにこの役を任せるとなると、俺と来栖さんで完全なシンクロができなきゃいけない。今からそんなことやる時間はあるかわからねえんだ・・・・・・それに、アサシンは重要なフェイントを担わせる。てなわけでセラヴィがやってくれ」

 

他に選択肢がない、ということをかなり強く突きつける。消去法というマイナスな論法で結論づけるのはなんだか微妙だが、伝えるにはこれ以外なかったのだ。

 

「・・・・・・ま、俺はそれでいい。特に他の作戦も思いつかねえしな。アサシンは?」

 

「マスターの決めたことならば異存はない」

 

二人とも首を縦に振った。あとはセイバーたちに確認をとらなければならないのだが、今から行っても大丈夫だろうか・・・・・・そもそも家にいるのだろうか。

連絡先を交換していたらこういったことにはならなかったのだろうと思うとかなり後悔する。通信の重要さはわかっていただろうが俺。なんでやらなかったんだ俺。

 

「んじゃ、明日セイバーんとこに了解とりに行くか。俺は研究室いるから、なんか用あったら言ってくれ。冷蔵庫の中身は・・・・・・常識の範疇に収まる程度なら食っていいぞ」

 

勝手に食っていいと言ったらおそらくきれいさっぱりなくなっているはずだから一応注意だけしておこう。

 

 

「・・・・・・どした、セラヴィ」

 

研究室に移っていろいろ情報を纏め、例のノートに記していた俺のところへマンドリカルドがやってきた。

なにやら申しわけなさそうに縮こまって、何を言うわけでもなく俯いている。

これは重要な話かもしれないと判断した俺は、彼を急遽引きずり出してきた椅子に座らせて話を聞き出そうとした。

 

「冷蔵庫のアイス食われました」

 

「・・・・・・は?」

 

「いかにも高そうなあのカップのでっけーやつ、きれいさっぱりと」

 

ひさしぶりに思考凍結。

いかにも高そうなカップのでっけーやつ・・・・・・うちの冷凍庫に入れていた中で該当するのは一つしかない。

まさか、そんな極悪非道・・・・・・さすがに海でもしないだろう。確認のため、もう一回聞く。

 

「まさか蓋が赤紫っぽいカップのアイスか?こんなサイズの?」

 

「そうっす・・・・・・俺も止めるべきだったんすけど、鬼の形相で睨まれて動けなかったっす。すんません」

 

お前は悪くないと慰めつつ、内心俺は蛮族どもへの怒りに震えていた。

天誅くらいはやらねば気が済まん、さすがに許されざる行為なのだから。

どかどかと階段を下り、リビングのドアを乱雑に開け放つ。

台所の上に置かれていたのは、やはりハーゲンダッツのアイスクリーム。

 

「てめぇら勝手に765円(+税)食いやがったなこの野郎!!」

 

「えーなんのことかなーおれしらなーい」

 

「私も心当たりがありませんねーありませんよー」

 

白々しいにも程があるぞこいつら。俺はそこまで甘いものに狂ってるわけでもないが、さすがにこれは怒っていいだろう。

ちょっとずつ食べるのが楽しみだというのに全部、慈悲もなく食われたのだから。

 

「次の買い物任せるから買ってこい、絶対にな」

 

「はいはい」

 

「はいは一回じゃあほんだらぁ!!」

 

あ、マンドリカルドが入り口付近で見てるけどめっちゃ引いてる。アイス一つでなんであそこまで怒るのって顔してる。

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