Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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塾があるので今日は短い(いつもと変わらんだろってツッコミやめてくださいしんでしまいます)


73話 六日目:夕餉の時間

「そういうお前はどうなんだよ、まさか金目当ての女にまんまと釣られるほど馬鹿じゃねえだろ」

 

「そりゃそうだ。平尾家の資産目当てですり寄ってくる女なんざ願い下げに決まってらぁ」

 

高校までもあったが大学に入って露骨になったあの手の奴。工業大でサークルの飲み会も出来るだけ断っていたというのに出会う頻度は凄まじかった。

就職してから1年目も結構な数やられたが、時間が経つと共に『平尾はそういうやつを歯牙にもかけない』ということが周知されて減少傾向・・・・・・今ではほぼ0というところにまできていた。

 

「だろーな。お前のお眼鏡にかなうような奴、どこにいるんだろうなー」

 

「どうだろうな。俺も知らねえよ運命の相手は」

 

来栖のことは少し気に入っているが、こちらより仕掛けるほどの勇気はない。

戦争中にそんな浮ついたことをやっていたらそれこそ死亡フラグ直結なので、終戦の時まではキープを続けるつもりだ。

 

「結婚式の時は俺の会社の商品使えよ、強制だからな」

 

「話がいきなりぶっ飛び過ぎだろお前・・・・・・まあ、最初っからそのつもりだけどさ」

 

ここまでの腐れ縁だと使わなきゃ呪われそう、とかいう幻想が頭をよぎる。

エーデルシュタイン・グランツのジュエリー自体はそんな見たことがないが、記憶にあるうちだけでも相当よいデザインをしている。

大量仕入れ大量制作大量販売という一歩間違えれば赤字間違いなしのやり方なだけあってお値段も随分と良心的なのだ。

 

「はーいご成約あざーすあとで契約書書けよとりま1億前金払え」

 

「足下をガン見するんじゃねえよ」

 

「あのーもうご飯しませんか?勝手に作っちゃってよかったのかわからないんですけど、もう夜になっちゃったんで」

 

階下から聞こえてきたアサシンの声と共に、醤油のいい匂いが鼻をつっついた。

口調からして今の彼は”芯”だろう。

せっかく作ってくれたのだから断るのも失礼な話だと思い、俺は海と一緒に階段を降り食卓へと足を運んだ。

 

 

「あれ、セラヴィは?」

 

「呼びに行ったんですけど、ちょうど就寝なすってて・・・・・・何回か声をかけて起きなかったんでそのまま」

 

普段に比べ随分と寝つきが早いのはいささか不自然だが、ここで問いただしに動くわけにもいくまい。

彼の分だけ残しておいて、先に頂くとしよう・・・・・・さすがにぼっち飯は可哀想なので俺は一応いてやるつもりだ。

 

「じゃあ先に食うか。いただきまーす」

 

「じゃあ俺も。いただきます」

 

「どうぞどうぞ・・・・・・いただきます」

 

なぜか無言で白飯をかきこむ二人。この様子じゃ会話することもないなと思い、俺はいつもの調子で飯を食った。

やっぱりアサシンの作る料理は旨すぎる。この天ぷらなんか新しい油を使ったらしくからっと揚がっていて、衣がそこはかとなく軽い。もはや空気と紛うレベルだ。

 

「ごっそさーん」

 

「はえーよ」

 

自分の皿にあったものを全部胃に収めた海はゆったりとした足取りでリビングのど真ん中に設置した布団へと寝ころんだ。

まるでここが我が家かのような振る舞いっぷりに少々苛立ちを覚えるが、これが司馬田海という女のあり方なのでもう諦めるしかない。

 

「そんな食ってすぐ寝ると牛になるぞ」

 

「なってもお前にサーロインは食わせねえぞー・・・・・・ふぁあ・・・・・・ねむ」

 

とかいった直後に奴は轟沈。なんかあいつ。いきなりバッテリーが上がって眠りがちな小学生に見えてきたぞ。

困った奴だと幾度も言った言葉を呟き、苦笑を浮かべる外ない。

 

「やっぱお前も大変だな、あんなのをマスターに持って」

 

「いえいえ、全然大変じゃないですよ。俺は基本プレイヤードで働きつつ情報を集めていればよかったんで、振り回される機会もないから実感がないです」

 

そういえばそうかもしれない。

あの店で完全な新人の料理係として潜伏をしていたのだから、海に直接命令される機会はあまりなかったはず。

戦闘もしてこなかったようで、今まで怪我することもなく安全にやってこれたのだと言う。

 

「・・・・・・そういや、お前って4体の英霊が一つにまとまったっちゅうとんでもないサーヴァントだったよな。上司に勝手についてこられたってのはどういう気分なんだ」

 

ふと疑問に思ったことを、話の腰を叩き折って言った。

複合英霊になったという当事者・・・・・・完全に被害者側である”芯”はどう思っているのだろうか?

 

「気分、ですか。サーヴァントとしての力を出すときはちょっと息苦しい時もありますけど、出力を抑えていれば大丈夫です。精神的には仲間の人がいてくれるって安心感もありますし・・・・・・」

 

どうやらそこまできついわけでもなさそうだ。

生前の上司たちが常に一緒であるというのは場合によっちゃ自害したくなるほどの苦痛だろうが、彼にとっては安心をくれるらしい。

かなり仲がよかったと見える。

 

「それじゃあ宝具ってどんな感じなんだ?個人のがそのもの残ってるのか、全く別のものになってるか・・・・・・」

 

「そこらへんは秘密にさせてください。いくら仲間と言えどそれは漏らせないんで」

 

そりゃそうか。

最終的には戦う相手になるのだから、宝具とかいう重要情報をおいそれと敵に渡すわけにもいかない。

しれっと聞き出せれば幸いだなと思って聞いたがさすがにそれは許されなかったか。

 

「ギルガメッシュとの戦闘になればご開帳すると思いますのでお楽しみにってところです」

 

「そうか、見るまでは死ねないな・・・・・・」

 

見たあとも聖杯戦争が終わるまでは死ねないのだが、そこは世辞というわけで許していただきたい。

 

「別に大したもんじゃないっすよ、俺自体の力ってのは。仲間の力がなきゃ、こそこそ隠れること以外なにもできないやつなんで」

 

「隠れるってのも戦いの中では重要だと思うがな。相手の情報をかき集め隙を見つけて仕留める、合理的なやり方ができるだろ」

 

なにしろ、5日・・・・・・開幕前までも含めると14日・・・・・・二週間もの期間、他のマスターにバレることなく人として振る舞っていたのだから。俺も全然感知できなかったほどの能力なのだから、それは立派な武器であると言って間違いない。

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