Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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あれ不破くんちょっと強すぎん?()


82話 Interlude:異質な強さ

「けっ、これまた厄介な野郎だ・・・・・・な!」

 

吐き気がしそうなほどに濃い魔力の波を感じた。不破の手に顕れたのはなんとも大きな爪形の武器・・・・・・透明な結晶がごとく透き通り、日の光を反射している。

 

「ダイヤモンドも作れるんだな、それ売れば金になるんじゃねえの」

 

「はっ、大した戯れ言だ──────!」

 

やはりダイヤというものは硬い。熱に弱いという話もあるが今俺の手元には熱源がない。

となると俺の力でこいつを破壊する方法は一つ・・・・・・だがかなり高度な芸当だ、俺みたいなへなちょこに出来るわけもなく・・・・・・

 

「ほらほらどうしたどうしたぁ!!さっきまでの心地いい殺意もっと見せろよなぁ!!」

 

狂ったような笑い声を上げながら、不破は俺に猛攻を加えてくる。

盾で防いではいるが、このままじゃあ一向に攻撃が入れられない・・・・・・どこかでタイミングよく形勢逆転がしたいところだ。

 

「ぐ・・・・・・きっつ・・・・・・!」

 

未だに不破の腕からは血がこぼれていってるが、彼の神経は現在断線しているのかと言わんばかりに気にされていない。

失血により動作が鈍重になるということもないあたりが厄介だ。完全に戦闘狂と化した向こう相手に為すすべもなく圧されていく。

一度距離を取りたいがあの黒鍵が怖い。普通の武器よりも霊体に干渉する力が強いそれは、あまり多く被弾してしまうと危険だ。

 

「舐めんじゃねえ!!」

 

無理やり自分を奮い立たせ、剣を振るう。かなりダイヤモンドの刃によって傷を付けられたが、まだ使える・・・・・・なんならただの棒になってしまったとしても、それはデュランダルになるのだ。

それにしてもどうすれば一番あの爪にダメージを与えられるか、演算が間に合わん・・・・・・それさえわかってしまえば、ダイヤの対処なぞ簡単なものだというのに。

 

『こういうのでお助けするのってどうなのかと思うけど、どうする・・・・・・わたしが出ようか?』

 

「いやいい、これは俺とあいつの戦いだ!」

 

もはや心の内だけで会話するのも不可能になるくらい焦ってきた。

不破はデルニのことをなにか知っているような気もするし、今更隠したところでという深層心理でもあったのだろう。

大見得は切ったが正直言ってデルニの手を借りたい。でもなけなしのプライドがそれを許さない。

俺の意志でこいつと戦うと決めた、俺の意志で・・・・・・克親のことを洗いざらい吐かせてやると決めた。だからこれは、俺の問題。いくら同じマンドリカルドという存在でも、デルニには任せられない。

 

「くっそ・・・・・・がああああ!!」

 

無我夢中で放った一発の斬撃。

こんなんじゃ勝てる訳ないと思いつつ、剣を振り下ろしただけだった・・・・・・だが。

 

「・・・・・・ちっ」

 

ぱき、と軽い音を立ててダイヤモンドの爪が割れた。

 

『劈開だな』

 

「・・・・・・そうか」

 

どれだけ強く砕けないダイヤモンドでも、ある方向から力を加えれば割れる。

そいつさえわかれば対処はまだできるほうだ・・・・・・偶然だが方法が見つかって良かった。

 

「まだ終わりじゃねえだろ、もっと来いよ!」

 

「言われずとも!!」

 

相手はそこまで驚いたわけでもなく、黒鍵を生成しては投げつけてくる。

先ほどよりも段違いに数が多いので避けきれない、仕方ないがここは受けるしか────

 

「っぐぁ!?」

 

あり得ないほどの衝撃が俺の足首に走る。踏ん張りきれずバランスは崩れ、その場に倒れ込んでしまった。

この状況でこれは相当危険・・・・・・さっさと起きあがらなければ本気で仕留められてしまう。

だが時すでに遅し。不破が俺の腹を右足で踏みつけ、容易に動けなくしてきた・・・・・・サーヴァントとしての力を出せばこの程度はすぐ抜けられるのだが、ここで無理に脱出しようとしたら逆に危ないと本能のアラートが鳴っていた。

 

「・・・・・・お前曲がりなりにもサーヴァントだろ、俺の足くらい軽くへし折って抜け出せんだろうが」

 

「そうしようとすれば即俺の額に風穴空けるつもりなんだろ?乗れるわけぬぇーじゃねえか、そんなあからさまな死亡フラグ」

 

「・・・・・・そこらへんはちゃんとわかってんだな」

 

軽く上体を起こすと、待ってましたなんて言わんばかりに黒鍵が額へと突き出された。あと1cmかそこらで切っ先が俺の額に刺さりかねないような距離である。

この状況でも向こうは殺害の意図を持っていないようで、ただただ制圧した俺の姿を見てくつくつと笑っていた。

あくまでこれは殺し合いでなく、試合のような・・・・・・

 

「なんでお前がランサーを倒せたのか全く意味がわかんねえな。それにその弱さでどうやってマスターを守るつもりだ」

 

「・・・・・・こんな俺でも、俺なりの戦法ってのがあるんだよ」

 

人外そのものみたいなアンタにはわからんだろ、と精一杯の口撃も虚しく不破はまた面白そうに笑うだけ。

俺がいくら知名度補正0でくそ雑魚の底辺サーヴァントだからって、さすがに強すぎではないか?

 

「勝負は俺の勝ちだな。んでテメェに一つ質問があるんだが・・・・・・いいか」

 

「答えるまで解放してくれねえんだろ、さっさと・・・・・・言ってくれっす」

 

疑似陽キャモードのタイムアウトにより口調がまた元に戻ってしまう。

もう少し長い時間保たせたいとは思っているのだが、やはり陽キャになりきるのには莫大なエネルギー(精神的ななんか)が必要なのである。なおあまり長い時間やりすぎても元に戻ったときの反動(さっきのは黒歴史だったな現象)が起こりやすくなるので兼ね合いが重要なのだが。

 

 

「お前は、たった一人のために他のすべての人間を殺せるか」

 

ずん、と胸に沈むような言葉が俺を刺す。

これは俺の覚悟を問っているのか、はたまた自分の敵か否かを見ているのか。

前者であればはいと答えるべきだし、後者であればいいえと答えるべきだ。答えを間違えると殺されかねないし、出来るだけ無難に行きたいが・・・・・・不破の目を見たところそういった逃げの答えは必要としていなさそうだ。

 

「・・・・・・殺せる。それが、使命だというのなら」

 

意を決してそう答えた。

できるできないの話は置いといてだが、俺はそうする。克親の為ならどれだけ酷いこともやる。命令であるなら何だって遂行する。

克親と一緒にこの戦いを生き残るということが俺の使命だと、もう一人の俺に言われたことを思い出した。

 

「・・・・・・そうか。それがテメェの答えか」

 

少しだけ意外そうに返事をした不破。

 

「気に障ったってんなら謝るっすけど」

 

「んなわけあるかよ、思想の違い程度でいちいちイライラしてられるか」

 

俺の腹を踏みつけていた足、それを離して不破は一度大きくため息をついた。

相容れはしないが、他の考え方も理解はしてくれる奴なのかもしれない。

 

「・・・・・・アンタは、人を守りたいんだろ」

 

そう他人から聞いたぞと付け加えて、彼の顔を見やる。

さっきまでの殺意凛々とした姿はどこへやらと、不破はまだまだ青い学生のような表情を見せた。

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