Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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迷走してますねえ!!!!!


83話 七日目:仕置は十分にやれ

「・・・・・・セラヴィ?」

 

いつの間にか目が覚めてしまった俺は寝かされていた寝室のベッドから起き上がり、辺りを見回した。結構な時間意識をすっ飛ばしていたらしく、もう外は暗くなりつつあった。

マンドリカルドが近くにいないということを感覚的に悟り、少し焦る。

もしかして俺が寝込んでいる間に拉致でもされたのか、と思ったが緊急での発信はないし信号がとぎれているわけでもない。ということは、自らの意志でどこかに行ったのだろう。

だとしてもどこへ?

 

「起きたかねぼすけ。お前のマブダチ勝手に家出してったぞ」

 

ドアが乱雑に蹴られたかと思うと、大あくびをかましつつ海がそう報告してきた。

マンドリカルドが、家出?

俺はそんなにまずいことをしてしまったのか?彼には悪いが俺には全く心当たりがない。

 

「なんでだ、理由言ってなかったかあいつ」

 

「不破のヤローにお前のことを教えてもらいに行くっつってそのままびゅーんだ。俺も一応は止めたんだぜ?でも珍しくあいつ聞かん坊モードでさあ」

 

あのめちゃくちゃ攻撃的な代行者か。俺の全部を知っているからと言ってそれをやすやすと信じて行くか普通。

俺の記憶している範囲であればいくらでもしゃべるってのに、後ろめたいからってさすがにそれはないだろ・・・・・・!

 

「あんの馬鹿・・・・・・!!」

 

唐川を押しのけて監督役になったくせして普通に参加者へ私怨攻撃を加えるような奴だ、それにサーヴァント相手でも普通に圧倒できる程のいかれた戦闘力・・・・・・嫌な予感しかしない。

 

「どうせまた追いかけ回して連れ戻す気だな」

 

「・・・・・・わかってんなら協力しろや」

 

「やだね。これはお前とセラヴィの問題だろ、俺らはしーらんしー」

 

「あってめっこの野郎!!」

 

無責任なやつめと文句を反射的に吐いたが、よくよく考えれば海の言い分も仕方ない点はある。

俺を友達であると仮定しても、友達の友達と俺のいざこざなんて首を深く突っ込んだところで利点はあまりない。

やはり俺がひとりで行くべきだろうか。

 

「・・・・・・わかったよ、俺ひとりで探しに行く・・・・・・鬼のいぬ間に好き勝手すんじゃねえぞ」

 

財布と携帯、そして最低限の防御礼装のみをつけて俺は家を出た。

魔力のパスがかなり弱い・・・・・・だが途切れてはいないので、どうやら単に遠出していっただけらしい。

大まかな居場所を探るために辿ると、出てきた答えは明海のかなり南側。海岸付近で何かをしているようだ。

面倒な事件に巻き込まれていたり、不破に完膚無きまでにやられていないか心配なので全速力で向かうしかない。

 

「見つけたらほっぺた全力で抓ってやろ・・・・・・」

 

皮膚が赤くなるくらい強く摘まんで好きにさせてもらおう、今回の勝手な遠足はそれくらい俺を怒らせた。

 

 

「・・・・・・はぁ」

 

明海行きのバスに乗り、俺は一つ大きなため息をつく。車内には学校帰りであろう学生や老人などがそれなりの人数詰まっている。時間が時間だけに当たり前なのだが。

使っていない定期券をぼんやりと眺めながら、また一つため息。

これほどまでに俺を悩ませよって・・・・・・許さんぞマンドリカルドめ。

 

「次は明海海浜公園、明海海浜公園です」

 

いつの間にか目的地に着いていたらしく、俺は急いで降車ボタンを押しバスを停めさせる。

舞綱を走るバスはだいたい市営で、料金はどこに行こうと一回の乗車につき220円。移動の多い人間にとってはかなりありがたい交通システムである。もれなく定期券はどの系統に乗っても使えるという超便利仕様(代わりに普通の交通カードと比べるとちょい割高だが)。

 

「あざっした」

 

運転手にお礼を言いつつ料金箱に定期を叩きつける。聞き慣れた電子音が鳴ったので俺は出口から軽く跳んでバスを降りた。

ここまで近くに来れば細かい座標まで把握できる。タワーの展望台だ。

 

「あいつサーヴァントだからってタダで侵入しただろ・・・・・・」

 

まあバレなきゃ犯罪じゃないってかともはやあきらめの境地に達した俺は、仕方なしにチケットを買ってエレベーターに乗った。

ここに来るのは中学校の校外学習くらいだろうか。市民にとってはかなり定番のデートスポットでもあるらしいが、残念なことに俺はそういったことに縁がなく・・・・・・(女性に言い寄られることは多々あったがそんな甘ったるい関係だった例は一つもなかったせいである)。

エレベーターで到達できる最上階のさらなる一つ上に、階段でしか登れないところがある。

この建造物もまあまあ古く、耐久性の問題やら何やらであと一階が伸ばせなかったそうだ。改修するのにもここらへんは海風が強く危険ということで土台の強化くらいしかできず上の方は作られた当時まま。バリアフリーもクソもねえ。

 

「・・・・・・上か」

 

上ろうと俺は階段へと歩を進めたのだが、ある人物の存在を確認した瞬間にそれは止まった。

 

「不破、お前・・・・・・」

 

「なんだ?俺がここいちゃ都合が悪いのかよ」

 

マリンタワー名物の海鮮焼きそばパンをカップル用ベンチにどっかりとひとりで座って貪る不破。周りにそれっぽい客がいないからいいもののそれはかなり酷い行為なのではないか。

 

「・・・・・・いや、悪いっつう訳じゃねえんだけど・・・・・・なんでここにいるのかって」

 

「ライダーのお守りだ。保護者が呑気に寝てたせいだぞ」

 

保護されるのはどっちかというと俺の方なんだが、なんていう無粋な突っ込みを入れると衆人監視とか関係なく殺しに来そうだったので口を噤んだ。

 

「・・・・・・セラヴィに危害は加えてないんだな?」

 

「いや、あいつが昼頃教会に押しかけて喧嘩売ってきたんでお値打ち価格で買い取ってやったぞ。殺してはないから感謝しろ」

 

どうやら正面から向かっていって返り討ちにあったらしいが、無事ではあるらしいのでひとまずの安心。

おそらく情報を引き出すために行ったのだろうがなぜそんながさつで無謀なことをやったのだろうか。普段のマンドリカルドを見ているだけにどういうことか全くわからない。

 

「そういうことならまあいいんだが・・・・・・」

 

そうこうしているうちにマンドリカルドに気づかれて逃げられる可能性だってあるから、俺は早いうちに階段を上る。

かんかんと金属の音が心地よい。

 

「セラヴィ!」

 

「・・・・・・克親?」

 

ちょうど上りきってすぐのところにあるベンチに彼は腰を下ろしていた。完全に日没となって、灯台の光が海を緩く照らし出すこの時間・・・・・・ひとりで何を見ていたのだろうか。

 

「っお前、勝手に遠足すんじゃねえよ」

 

「・・・・・・申し訳ないっす」

 

「申し訳ないっす、じゃあない!」

 

当初の目標通りマンドリカルドの両頬を強めに摘まみぐりぐりと乱暴に揉む。揉む、揉みしだく。

 

「あいででで!悪かったっす、だからやめ・・・・・・ぐぇえ」

 

「勝手に外ほっつき歩いただけじゃなく不破に喧嘩売ったらしいな。俺のことを聞きたいからって」

 

それを言った途端、マンドリカルドの目が露骨に泳ぎ出す。

そういうわかりやすすぎるところは嫌いじゃない・・・・・・とか言っている場合ではない。

 

「それに負けたらしいな?あ?」

 

「い、いやそれは」

 

「言い訳は家でみっちりと聞かせてもらうぞ」

 

諦めがついたのか、マンドリカルドは静かに目を伏せた。

再犯防止のためにもいろいろ搾り取ってやろう。

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