Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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ライダーネタが増えてきたのを自分でも感じている・・・・・・(遠い目)


86話 七日目:討伐じゃー

「ははは!RXたあまた俺と趣味が合うじゃねえか!俺も黒は大好きだぜってな!」

 

先程の一撃でオルクはかなりの傷を負ったらしく動きが鈍っている。回復される前に倒しきるつもりなのか、二人とも休むことなく攻撃を続けていた。

不破が鱗の間に差し込んだ黒鍵で無理やり空間を開け、そこにマンドリカルドの剣が刺さる。

 

「いやあ時間があったら全部見たいんすけどねぇ、何しろ毎日大変で!っとあぶねっ」

 

「そりゃ戦争してりゃおちおち見てられねえだろうよ、可哀想なこって!」

 

最後の力を振り絞っているのか、これまでとは各段に違う力で暴れ出すオルク。

海面がかなり揺れて俺の三半規管も狂いそうになる・・・・・・元から船はあんまり得意じゃないだけにきついのなんの。

 

「でけぇの来るぞ!」

 

「え、でけぇのってなんだ────!?」

 

狂乱したオルクが触手を振り回し、無差別に海面を叩いた。

生まれる波紋と衝撃、俺の乗っていたものはそのまま揺られて宙に投げ出されてしまう。

これはヤバいと実感した俺はエンジンを再駆動させ岸へと引き揚げていく。

 

「・・・・・・ん?」

 

波止場に戻る前、灯台の下に誰かがいたのが見えた。

灯台下暗しという言葉もあるだけに随分暗くどんな奴だったかはわからないが、白っぽい服にパンプスらしい靴を履いていたのでおそらくは女性・・・・・・なんだろう。

方角からして確実にオルクと二人の戦いを見ているようだ。おそらくは魔術師及び魔術使い、マスターであれば今ここで消してしまってもよいが、ぬかった時の取り返しがつかないのでここは一度泳がせておこう。

 

「克親後ろぉおおおお!!」

 

「何だよセラヴィ、今逃げるって・・・・・・え」

 

後ろを見た。

ちょうど俺の脳天を叩き割るような軌道で振り下ろされる、オルクの触手。こんなもの食らったらさすがに俺でも耐えきれる訳がない。

 

「いっ嘶けっ、ブリリアドーロ!!」

 

がくん、と軌道が唐突に変わる。

マンドリカルドのすぐとなりに現れたブリリアドーロが大きく嘶き、空気を震撼させる。

スキル発動によるタゲ取りをここで発揮してくれたのはいいが、ブリリアドーロという名前から真名がほぼほぼバレているがもう命には代えられない。

 

「助かった、ありがとな!」

 

「うっす!!」

 

ブリリアドーロに乗りマンドリカルドは空中を駆け回る。

オルクの注目を一斉に浴び、とにかく逃げ回って隙を作っていった。そしてその隙を不破が余すとこなく突きまくる。

かなり衰弱してきた海魔だが、最後の最後で全員巻き込んで自爆する可能性がある・・・・・・なんて思考にたどり着いてしまった。

 

「・・・・・・Détonation(爆現)

 

瞬間的な強化をマンドリカルドにかける。なお距離が遠いためかなり魔力のロスが生まれているがもはやそんなことを気にもしていられない。

 

「一気に片付けろ、セラヴィ!!」

 

「了解っす!」

 

「っしゃあ、もっかい穴ぶち開けるからテメェがトドメ刺せ!!」

 

不破が天を指差し、くるりと大きく円を描く。

月光を遮るように顕現するのは2.5mほどの大砲・・・・・・口径は確実に5インチ以上。

 

「食らえっ100ポンドキャノン!」

 

今度こそ鼓膜が片方破れた気がした。

完璧なまでの零距離砲撃、いくら硬い鱗でも吹き飛ぶと言うものだ。

 

「はぁああああああああ───────っ!」

 

開いた穴に剣を根元まで刺し、マンドリカルドは咆哮する。

結構な量の魔力を食らい、それを全て注ぎ込む。

言うなれば体中の穴という穴を塞いでおきつつ口に水をどばどばと流すような拷問。

途中まで肉体が耐えられようとも、いつかは限界が来て爆発する。

ばんっ、という風船の割れるような音と湿っぽい音の混じったようなものが響いた。オルクの体は弾け飛び、海中に破片として散らばってゆく。

 

「あー疲れた。糖分不足」

 

「昼にあんだけ食ってたのにっすか」

 

皮膚に浸食していた黒い何かを収め、呑気にケツを無造作に掻く不破。さっきまでの戦闘狂っぷりはどこへやら、なんか何をするにもめんどくさそうな少年になってしまった。

 

「一緒に戦ってくれてありがたかったんだが・・・・・・よかったのか、俺らに肩入れしてるとも見られることなんてして」

 

「いいんだよ、俺がルールなんだから」

 

「・・・・・・あっそう、それならいいんだが・・・・・・うん」

 

答えになってるんだかなってないんだかよくわからない言葉を返され、俺はお茶を濁すしかなくなってしまった。

聖杯戦争というものは監督役が勝手にルール変更できるとかいう代物でもないのに平然と言ってのけるあたり、こいつはどっかおかしい。確かにその気になりゃサーヴァントすら制圧できる技量はあるが、ギルガメッシュのようなチートの塊とか絶対勝てるわけないだろう。預託令呪もないはずなので制御できるわけもなし。

 

「そう言えば、戦況についてはどれくらい把握してるんすか?」

 

「んぁ?まあ今日までの流れと街中で起きたいざこざについては89%ほど完全に把握してるぞ。未確認の話と流れを理解してないやつもあるが、せいぜいそこらへんは公園で鳥が死んでたくらいだしほっといても大丈夫だろ。それ以外はきっちりもみ消しといてやるからな、ライダーさんよ」

 

なんちゅう邪悪な顔をしているんだこいつは。

確かに4日ほど前そっちの人らに喧嘩売られて買い叩いたっつうトンデモ事件(向こうが悪いとはいえ)を起こしているので心当たりがないとは全く言えないが、これをダシになにかされたらたまったもんじゃない。

 

「すいませんでした」

 

「まあそれが俺の仕事だしいいんだけどな。神秘の秘匿を口実にして口封じ扱いで潰せるし一石二鳥だ」

 

「おい」

 

どさくさに紛れて舞綱をカオスにするなと言いたい。

いや確かにここいらを支配している組の奴らはめんどくさいし、山名一帯の龍脈を握っている俺としても少し魔力が澱む場所を増やされるのは嫌だった。

正面衝突したらめんどくさいことになるの間違いなしなので、どうにかして裏から崩壊させようと狙っていたのだが・・・・・・

 

「お前にとっても目の上のたんこぶだろアレは。そして俺にとっては人の平和な生活を脅かす敵だし・・・・・・言っちまえば崩壊する予定がちょいと早まっただけだろ」

 

人差し指を鼻に突っ込んで雑にほじくり返しながら不破はけたけたと快活ながらも性悪な笑い声をあげた。

 

「・・・・・・悪い奴じゃ無いんだろうけどさ」

 

「まー俺は正義だし悪いわけがないな。俺の言ってることは正しいから・・・・・・ま、冗談だけど」

 

「・・・・・・妖怪ボタンむしりみたいなこと言いやがって」

 

遊び心塗れなので途中に爆発する的なことは心配しなくてもよさそうだが、別の方向に心配せざるを得ない。

見たところ俺より年若いっぽいのでまだ若気の至りで片づけられそうだけどもこのままだとなんともめんどくさそうな大人になりそうだ。

俺らは帰路につくためバス停まで歩いているのだが、なぜか不破もついてくる。

 

「なんで来るんだよ」

 

「教会とテメェらの家ってだいたい同じ方向だろ」

 

ぐうの音も出ない正論をぶつけられ俺は言葉に詰まった。

確かに明海から俺の家近くに行くバスは途中教会前にも停まる。よく物事を考えないで発言すると恥ずかしい例だ。

 

「まあ今日はもうちょい話付き合えや。せっかく同じ敵と戦った仲間だし」

 

「信用ならなさやべえな」

 

「そっすね」

 

初対面で普通に俺の命狙ってきたような相手なのでまだ気は許せない。会話していて根っこはとにかく自分に正直なタイプだとはわかったが、それ故に『俺は俺の正義を貫く!だからやっぱお前死ね』といった展開になる可能性を大いに孕んでいるからだ。

あまり懇意にしてると寝首を掻かれそうなので恐ろしい。

 

「ひでえやつだ。俺ほど正義感溢れる男はいねえぞ」

 

「その正義ってのが社会的な常識と完全一致してりゃ信用するけどな」

 

あくまで不破独自の基準を設けているのでまだそういうのは無理、絶対無理。

 

「ライダーがいるうちは手出ししねえよ。神に誓う」

 

「・・・・・・わかった、セラヴィがいる間だけはある程度信じるさ」

 

神への誓いまでされちゃ無碍に扱うのも反感を買うため少し妥協してやった。

全く真意の読めない男め。

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