Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
リヨ絵のマイフレンドが可愛かったので他の全ては些事・・・・・・三白眼よき・・・・・・
ちょくちょく話に挙がるローランですが基本はただの変態扱いです()
というわけでやってきました、山名地区では一番でかい商業施設(というよりアーケード街)。
スーパーのように一店舗で全部揃えるというのは難しいのだが、そのかわりにあちらこちらで売られている商品の味や出来は外れなしだ。
基本個人経営の店ばっかりが並んでいるが、所々にチェーン店も店舗を構えている。そのおかげで様々なニーズに答えられるなかなかよい空間なのだ。
「らっしゃい、今日は何がええかな?」
「一番いい奴くれ。今日友達の歓迎パーティーなんだわ」
「さすが富豪やね平尾くん、ありがたやありがたや」
俺に歓迎パーティーするほどの友達がいたのかっていう指摘はない。そこらへん配慮はしてくれる。
んで魚屋の店主が奥から持ってきたのはマグロの大きいブロック。
筋も少なく適度な脂の散り具合が美しい・・・・・・どうやら本マグロとかその類な気がする。
「はい、本マグロ中トロのさく。最小ロットの1キロでしめて5000円や」
「足元ガン見したな・・・・・・買うけど」
財布から札を取り出し店主に握らせる。
まいどあり、とにやにや笑って1キロのマグロが手渡された。
・・・・・・今日は刺身とかでいいと思うけど、余ったら何に使おう。
煮るか焼くか蒸すか、いろいろ調理法を考えてはみるが悩むのなんの。
「なーセラヴィ、お前マグロだったら何にして食いた・・・・・・ん?」
振り返ると彼の姿が見えない。
一瞬敵のサーヴァントに拉致されたとかいう可能性が頭を去来したが、落ち着いて魔力のパスを辿ると全然そんなことはなかった。
魚屋の斜向かいにある古本屋にいるらしい・・・・・・一応マスターの隣から勝手に離れたことにお咎めなし、というわけにもいかないので、ちょっとマンドリカルドを怒りに俺は本屋へと入る。
「おい勝手にほっつき歩くなよ、いきなりいなくなってびっくりしただろうが」
「・・・・・・すまん」
彼は何やら文庫本を立ち読みしていたらしく、本棚へ戻される前にそれをマンドリカルドの手から取って見たところそれは『イリアス』であった。
ホメーロスが伝えたとされる長い叙事詩で、古代ギリシャあたりの戦いが描かれているものだ。
・・・・・・なぜこれを読んでいたのかと疑問に思ったが、その答えには案外簡単にたどりつく。
イリアスといえばトロイア戦争が題材、そしてトロイアの王子として登場するのが九偉人のひとりとして名高き英雄ヘクトール。
そしてマンドリカルドは・・・・・・
「ご先祖様の話、そんなに読みたかったのか」
「・・・・・・そう、っすね。ずっと昔読んだっきりだったんで」
なぜか視線を俺から意図的に逸らしているマンドリカルド。
俺の目は魔眼でもなんでもないのに、なぜわざわざ視線のバッティングを避けるような行動をするのか。
「まあせっかくだから買ってやるよ。この程度安い安い」
俺はイリアス片手にレジへと足を運ぶ。
背後から何か言いたげな彼のオーラを感じ取ったが、俺は気づかないふりをしてそのまま会計を済ませ本の入った袋をマンドリカルドに手渡した。
「別にお返しとかそういうのはいらんからな。これは全部俺が勝手にやったことだから・・・・・・な」
本屋を出て、3軒隣の服屋に入る。
そろそろ俺の勝手な行動に向こうもやっと折れたのか、今回は無言でついてきてくれた。
店内でゆっくりマンドリカルドに合う服を探していたのだが、途中で店員に捕まりもう俺の目の前であれやこれやの着せ替え祭り。
試着室を出入りするたびに彼の目がどんどん死んでいくさまを見て、これはさすがに悪いことをしたかと後悔した。
そして約30分後。
「ありがとうございましたー」
だいたいのものに合わせられるコーチジャケットとスキニージーンズ、白いパーカー、群青色のTシャツなどなどたっぷりと買わされ今日の財布が危なくなるところだった。
全くああいうやつに引っかかると口車に乗せられ引くに引けなくなるのが恐ろしい。
「すまんなセラヴィ・・・・・・俺も止めりゃよかったんだけど」
「陽キャがあんなに怖いなんて・・・・・・俺の体めっちゃ触ってくるし・・・・・・ある意味ローランより怖い」
すっかり疲労困憊のご様子なのでもう帰宅した方がいいだろう。明海ほどじゃないがこのあたりにも時折”パリピ”と呼ばれる人種が顕れるので、今の状況でそれとエンカウントしたら彼の精神が保たないと判断した。
「・・・・・・詫びはあとでする」
「・・・・・・いいんすよ、これも、コミュ障治療のための修行って考えれば」
はははははと乾いた笑い声をあげるマンドリカルドの顔には精気が宿っていなかった。
今この状態で襲われたら多分普通にやられると思うので、さっさと家へ退散である。
「いやほんとごめんな?」
食卓の椅子に座ってうなだれるマンドリカルドを見るとなんだかいたたまれない気持ちになって、つい声をかけてしまう。
意識を逸らしすぎて刺身づくりが疎かになり怪我しかけたが、ギリギリ手は切らないで済んだ。
「大丈夫っすよ克親。おーれは大丈夫っす」
腕へ押しつけていた顔を俺の方に向けてきたマンドリカルド。
かなり長い時間そうしていたからか、きっちり頬には服の跡がついていた。
よく起きる事故だが、マンドリカルドのような整った顔がこうなるとなんだかかわいそうに思えてくる。
手さえ離せればすぐ元に戻せるんだがなあなんて考えながら、俺は顔についた跡のことに言及せず調理を進めた。
晩飯はマグロうめえなとかいう会話以外特に話すこともなく進んで、時刻は現在午後8時。
日曜のゴールデンタイムということもあって番組は基本バラエティに偏っている。
俺は今日も今日とて若手芸人がドッキリに引っかかっては爆破オチで済まされるという適当さが面白い(と巷では話題らしい)の番組を適当に流し見していた。
「マンドリカルドー勝手にチャンネル変えていいからなー」
床に転がってクッキーを貪りながらテレビを見ているだらしない俺と反対に、マンドリカルドはなぜかソファーの上で礼儀正しく番組を見ていた。
どうやらテレビというものがとても新鮮で見ていて飽きない、だとか。
俺が先述したとおりの言葉を吐いたちょうど1分後くらいにチャンネルが切り替わる。
『時は8世紀、まだスペインがイスラム教徒のものであった時代・・・・・・大帝の開いた試合にやってきた美姫アンジェリカに騎士たちは恋い焦がれていた。その中の一人が・・・・・・』
嫌な予感がした。この展開から考えると現代のコンプライアンスに絶対引っかかるようなやつが出てくる。
冷や汗をかきながら続きを見守ると、画面にはどんと見たくもない男の尻がドアップで映った。
「うわースペシャルとはいえそれはねーだろまだ飯時だろうが」
そう、案の定出てきたのはローランである。
きっちり原作通りにすっぽんぽんの姿で現れたインパクトはそこはかとなく、これをOKした俳優も事務所も頭いかれてんじゃねえのと思うくらいだ。
つか今うちには当事者がいるってのにこれを見せるのはいかがなものか・・・・・・
「すごいっすね、俺の知ってるアレとそっくりだ。全裸に剣一振り、鞘も持たずの素っ裸で」
「・・・・・・ええ・・・・・・」
もうツッコミが追いつかねえ。
実際に見た人間が言うのだから間違いはないのだろうが、さすがにローランはトチ狂いすぎじゃないだろうか。
サーヴァントとして召喚しても戦闘のために実体化した瞬間猥褻物陳列罪ものではないか。
陽キャ免疫がないだけのマンドリカルドがどれだけ扱いの難易度的に当たりだったかが実感できた。