Fate/Serment de victoire 作:マルシュバレー
アヴェンジャーももう少しで出せる(つかもう今回の話で90%くらいバレてるんすけどね)
「セラヴィ!」
「克親!どうしたんすか、予定外っすよ!?」
「すまんが独断だ!怒るなら怒ってくれていいぞ!」
海の方は万一のためにと一応魔眼で姿を隠している。
まあそいつは置いといて、俺は周囲へ簡易的な結界を張り、出来るだけ周囲に被害を及ぼさないようにした。
自動車の走行を止めるくらいなら出来るのだが、いかんせんサーヴァントの攻撃ともなると耐えきれる自信がない。
外から中への力には強いのだが、内側からの破壊にはちと弱いのが特徴なもんで・・・・・・あまり派手なことはされたくないのだ。
「克親が、決めたことならっ・・・・・・俺は従うっすよ・・・・・・!!」
会話の合間合間に挟まる剣戟の音。
刀と木剣では耐久力の差がありすぎるため、せめてもの抵抗として剣に刺さった金属片の部分で受けているがそれももうきつそうだ。なにしろ今までそれでいなしていたが取れてしまったのだろう、残り1つしかないのだから。
「我が主を殺した罰を受けよ、これは仇討ちだ!」
マンドリカルドがなんとか怒涛の突きを避け反撃の機を狙っているが、相手もこちらの動きを見て即座に行動を合わせてくるため全く付け入る隙がない。
・・・・・・それにしても、俺らはアヴェンジャーのマスターを殺した覚えなんて全くない。というかこの戦争で人殺しをした覚えがないのだ。マンドリカルドが前に暴走したときあっちの道の奴をボコボコにはしたが、誰一人死亡まで追い込んではいないし、なにしろ奴のマスターは女性だったはずだ。
「身に覚えがないっすよ!俺がやったのはランサーと海魔だけっす!!」
「貴様らの行動が周り回って主を殺したのだ、覚えがあろうとなかろうと仇討ちされる義務がある!!」
完全に自分の正義に取り憑かれてしまったのか、鬼気迫る表情で彼女はマンドリカルドにどんどん詰め寄っていく。
民家の塀まで追い詰められ、機動を制限され始めた・・・・・・このままではどこへ行こうと一撃をまともに食らいかねない、どうするべきだ、令呪で一度此方に瞬間移動でもさせるべきか?
「・・・・・・訳がわからぬぇーっすよ、説明くらいしてくれっ・・・・・・おっと!!」
彼も追い詰められたことに危機感を覚えたか、一度後ろを向いて塀を勢いよく蹴って駆け上がり跳んだ。
アヴェンジャーのちょうど後ろで着地し、今度こそ一撃を加えようと腰をひねり剣を振りかぶる。
「篠塚!」
海がその名を叫んだ直後、アヴェンジャーから血しぶきが上がった。
何もない場所から斬撃が飛んできたことに一瞬混乱しかけたが、篠塚のことをよくよく考えれば不思議な話でもない。なにせ気配遮断Aだし、やろうと思えば攻撃時にレベルが下がってしまうそのスキルも海の力で簡単にカバーできる。
「どうも、前から間者行為や闇討ちに心が痛まないド外道です」
刀・・・・・・にしては随分柄の長いものを持ち、戦いの場にそぐわぬ笑みを浮かべている篠塚。
よっぽど余裕があるのか、それともお調子者を偽ったただの隙作りか。
「道場稽古じゃこいつを使ったが、サーヴァント稼業じゃあ久方ぶり。そしてここいらは摂津、つまり・・・・・・俺の庭だ」
「篠塚、あんまペラペラ喋らんほうがいい」
「おっと失礼しました・・・・・・ちょいと気分が高揚しすぎたもんで」
今までにない不敵な笑顔。
先日の強盗相手に見せたような雰囲気とは段違いの強さに、俺ですら圧倒されてしまう。
「・・・・・・まあいい。で、アヴェンジャーの真名はもう推測出来てんだろ?」
海がさも当然というように言い放った。
さすがに俺でもこの情報の乏しさでは判別がつかないのだが、篠塚はもうわかっているというのか。
確かに情報収集に長けているような話はよく聞いたが、そこまでとは・・・・・・
「ええ。おかげで・・・・・・局長とかがちょいといきり立ってますよ」
局長?
その言葉で、一気に篠塚・・・・・・いや、アサシンの真名が浮かび上がってくる。
”芯”である者は完全に断定できないが、他の3人はほぼほぼ絞り込みが完了した。
文久三年に生まれた、治安維持隊・・・・・・攘夷志士を弾圧するための浪士組。
「・・・・・・新撰組、だな」
正解、と言わんばかりに首を縦に振る篠塚。
局長ということはおそらく近藤勇・・・・・・芹沢や新見もあり得るっちゃあり得るが、こういう場合は大概一番有名な近藤勇であると見ていいだろう。
そしてかねてから表出したりしなかったりを繰り返していたのは土方歳三と沖田総司(逸話とかを調べたが二人の特徴と似通っていた)だろう・・・・・・なんだこのてんこ盛りサーヴァント、ギルガメッシュとは別ベクトル(?)で反則だこんなの。
「まあそこまでわかっちゃ俺の名前もわかるでしょう。答え合わせはまた後でしましょ!」
「・・・・・・私を殺す事を前提として話すんじゃない」
アヴェンジャーの言うことも尤もである、と言いたくもなったが・・・・・・さすがに今の空気感で俺が言ったら白い目で見られるどころの話ではない。というわけでお口チャック。
「局長の憧れっつうわけで、ここは一回譲らせてもらいますよっと!」
篠塚が手に持っていた柄の長い刀を掲げた。
その瞬間それは光の粒子となって消え、変わりに一枚の羽織が顕れる。
「こいつ作っても全く着なかったってのに、現代じゃあこいつがうちの証ってのが面白い!」
浅葱色っぽい羽織の袖口に染め抜かれた白いダンダラ模様。
それは紛れもない新撰組の証。
確かに作ってから一年かそこら程度で使わなくなったという説がかなり有力だと言われているが、まあ近年の創作でイメージが確立されたせいもあって違和感は全くない。
「・・・・・・似たような模様を使いよって」
アヴェンジャーの着ている服にも似たような模様が入っている。ただしこちらは黒地に白という配色だ。
「これも尊敬の表現ですよ」
筋が少し丸みを帯びている特徴的な鍛え肌を持つ刀を手にし、彼は静かに構えた。
おそらく、アヴェンジャーと真っ向勝負でやり合いたいという意志のあらわれだろう。
「・・・・・・さあ、”死合”といきましょう」
「仕掛けられたならば、乗る外ないな!」
アヴェンジャーも無理やり傷を塞ぎ、立ち上がる。
これでかなり魔力を消費しているだろうから、弱っている今のうちに叩かなければまずい。
彼は勝つ気満々な様子なので、不覚をとらない限り大丈夫であるとは思うが・・・・・・なんかフラグっぽい気分がする俺はひねくれているというか心配性なのだろうか。
「・・・・・・そういえばさ、こいつって局中法度の私闘厳禁にひっかからねえのか?」
「馬鹿かお前。これで引っかかったとしたら誰も倒せねえだろ」
確かに。その場の思いつきで言ったがよく考えれば当然のことだった。
明確に試合というものが設定されないバトルロワイヤル形式なのだから、これを私闘としてやらなければ傍観以外なーんにもできない。
「一応これは便宜的な上司たる俺の命令だ、法度にゃ引っかからねえし切腹も命じねえよ」
お前時々天然発言するよな、と呆れたような言い方で俺の肩を叩く海。
「そういやお前の名前ってアサシンとぴったりだよな」
話の腰を叩き折るのも厭わない発言に奴は呆れ果てながらも頷いた。
司馬田海(しまだかい)だし、ちょうど新撰組の監察にいた島田魁(しまだかい)と同音の名前だから。
・・・・・・まあそれがどうしたっつう話なんだが。