Fate/Serment de victoire   作:マルシュバレー

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学校周りのことで死にそうっぴ!!!!たすけてっぴ!!!!


98話 Interlude:誠意は言葉より金額って時もある

「ご飯出来ましたよーって・・・・・・なんで服脱いでるんですか」

 

「ああ、これにはちょっとわけがあってっつーか・・・・・・」

 

八月朔日に襲われ、霰もない姿になっていた俺。

晩飯を運んできた篠塚の前で、恥ずかしながらも服を着させてもらう。

 

「あの人からいかがわしいことでもされたんですか」

 

「・・・・・・そうだよ」

 

克親を人質にとられたせいで、あんなになるまでやられてしまった。

司馬田がいなければどうなっていたことか、考えるだけでも体が戦慄を覚える。

 

「俺もやられましたよ・・・・・・もっとも俺の場合、やるとこまでやられちまったんですがね」

 

ものすごく嫌なものを思い出す、といった表情で、篠塚はでっかいため息をついた。

やるとこまでやられたというのは、そう、つまり・・・・・・

 

「・・・・・・もってかれたんすか」

 

「俺もマスターを人質に取られてね。ありゃ地獄だった」

 

どんより顔で箸を俺に渡してくれる。

あんなやべえ女に好き勝手やられるだなんてどんな拷問よりも精神に来ること間違いなしだ。

もはや表向き平然としていられる篠塚の方がおかしいと思う。

 

「・・・・・・あ、さめないうちにご飯食べましょう。マスターはやることがあるってんで後回しですんで」

 

監禁生活とは思えないほど多くバラエティ豊かな食卓に、なんだか俺は申し訳ない気分になる。

立場上は一応敵にあたる彼と、ここまで呑気な生活をしていいのだろうか?

 

「克親は、ご飯どうなんすか」

 

「・・・・・・いらない、みたいです。今は深めの眠りについているらしくて・・・・・・」

 

深めの眠りという言葉が少々引っかかった。

まるで一生目覚めないようなニュアンスで言われたような気がして、おかずにのばしかけた箸を止める。

 

「無事なんすか、なにも・・・・・・なにも克親には起こってないっすよね?」

 

「・・・・・・まだ、戻れないレベルでの変化は来てないらしい。でも、このままだといつか人格が破綻して・・・・・・」

 

そんなことを言われたらなにも食べる気がしなくなってきたではないか。

自分がのうのうと生きている間に、彼はどんどん人らしさを失っていく。救いようがなくなってしまう。

それだけは嫌だ、絶対に嫌だ。

 

「どんくらい経てばそれが起こるんすか」

 

「・・・・・・分からないけど、俺の見立てでは明日の晩にでも」

 

明日の晩?

この部屋には時計がないのでわからないが、もう今は夜だ。

となると、もうリミットは24時間もないはず・・・・・・今すぐにでも克親のもとへ行かなければならない。

 

「・・・・・・克親のいるところは、どこっすか」

 

「それは守秘義務違反で俺たちが処刑されかねない。だから言おうにも言えないんだよ」

 

とても苦しそうな顔をして、篠塚は箸をぐっと握りしめた。

俺達だけの都合で全部ことが動けばなんら問題はない・・・・・・だが現実は、彼らの立場も考えなければならない。

死だけは回避したいと彼女は言っていたし、ある程度の暴行程度なら仕方なく耐えるだろうがさすがにそれ以上は耐えられないだろう。

俺の勝手な行動で向こうが死んでしまっては本格的に動きづらくなってくるので、今それだけは避けておきたいところだ。

 

「それはどうしようもぬぇーっすね・・・・・・でも、俺が今できることで最善のこと・・・・・・なんかないんすか」

 

「この空間から出ることを禁止されているということを考えると、今出来るのは救い出す計画を秘密裏に練ることと・・・・・・夢を通しての精神介入くらいか。だが今の状態でマスターと繋がれるかというと微妙だけど」

 

夢という形で記憶を共有することができるサーヴァントとマスターの関係。

だがそれはいつできるかわからないし、長さもその時々によってまちまちだ。

強く願えば接続できる確率が高まるけれども、100%できるかと言うと肯定はできない。

そして繋がれたとしても、向こうの精神が汚染されつくしていたら俺にはどうしようもないのだ。浄化する力もないし、話せるまで狂うような芸当だってできるわけがない。

 

「・・・・・・もし克親の精神へ干渉できると仮定したら、俺は何をすればいい」

 

あくまでも仮定の話だ。

もし願いが通じて繋がれたとしても、するべきことを知らなければどうしようもない。

 

「何を・・・・・・ですか。俺にはわからない話ですけど、とにかく・・・・・・優しく接してあげればいいんじゃないかと。もしかしたら、もしかすると・・・・・・何かを取り戻してくれるかもしれない」

 

わかった、とだけ俺はつぶやく。

優しく接するというのが具体的にどんなものかは完璧に想定できないが、少しはましになったかもしれない。

俺はいただきますの言葉と共に、大きなオムライスの付け合わせを口に放り込む。

きっちり蒸された、甘いブロッコリーの味がした。

 

 

「・・・・・・そういえば、アンタって自分のマスターのことどう思ってるんすか」

 

唐突にそのことが気になって、篠塚へと問った。

あんな華麗とはかけ離れた自由奔放っぷりに、振り回されていて疲れやしないのかと前々から疑問だったしちょうどいい。

 

「自分勝手なところもあるけど、ほんとはとってもいい人ですよ。行動がちょくちょく暴力的だけど根っこには思いやりが隠されてたりするんで」

 

暴力の根っこに思いやりという状態があまりよく理解できないが、まあ嫌ってはいないのだろう。

篠塚はにこにこしているし。

 

「あと意外と女の子っぽい一面もあるんですよ!テレビ見ててこの人イケメンかそうじゃないかって時たま話したりしますし」

 

そんなことは知らなかった。

色恋沙汰で男には興味なさそうな顔しておいて意外とそういうこともするんだなと感心してみたり。

 

「あと胸がで」

 

「その先だいたいわかったからストップ」

 

彼女に聞かれていたら俺まで無駄に殴られそうな予感がしたため止めた。

 

「・・・・・・あ”ー八月朔日のヤツも唐川のヤツもめんどくせえよクソが」

 

案の定彼女が戻ってきて、部屋の隅っこにある椅子へどかっと乱雑に座る。

なんだかくたびれたサラリーマンのように、丸まった背が哀愁を漂わせる。

 

「お疲れ様です。ご飯今ならまだ温かいですけど・・・・・・」

 

「もうちょっと落ち着いてから食うわ。あー疲れた、もう無事にことが終わったら平尾のやつにうちの株5000くらい買わしたろっかな」

 

株についてはほとんどわからんのであまり説明はできないが、おそらくとんでもない金を株といった形でふんだくろうとしているに違いない。

 

「マスター、あなたの会社アレでも一部上場企業でしょ。今の株価いくらなんです」

 

「今日の昼情報だが4万飛んで10円」

 

となると5000株で2億飛んで5万円である。流石に一回でそこまでふんだくろうとするのは強気すぎではなかろうか。

 

「克親の家そんな金あるんすかね」

 

「まあ10年前くらいで5000億くらいあったって俺の親父も言ってたしあるだろ。あいつそこまで無駄遣いしないタイプだしそこまで使い込んでないし社会人として築いた貯金を主に使ってるだろうからまあ」

 

俺のマスター兼友達兼家族は思っていたよりもすごい金持ちだったらしい。

どこぞの王族に名を連ねていてもおかしくないくらい持ってるってすごいな・・・・・・それに比べて俺の国は・・・・・・ああもうそういうのやめにしよう惨めすぎる。

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