Re:ゼロ RTA エミリア陣営・なんでもありチャート 《完》   作:青煉瓦

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第二章幕間 『道化師は笑う』

 スバルがカペラを討伐した日の夜、屋敷の一室にて四つの影がうごめいていた。それはすなわち、ロズワール、レム、ラム、ベアトリスの四人である。

 今回の件の立役者であるスバルと、意図的に遠ざけられていたエミリアは、今一緒にイ文字の勉強をしているためこの場にはいない。

 

「いやーぁ目まぐるしい二日間だったねぇ。みんなご苦労様」

 

 話を切り出すのは屋敷の主、ロズワールである。彼は満面の笑みを浮かべ、心から嬉しそうにしていた。一方で他の面々はドッと疲れた顔をしている。

 

「ロズワール様、未だにスバルくんが大罪司教を討伐したということが信じられないのですが。レムが見たところ彼はかなり弱いです。恐怖と災厄の象徴のような存在を倒せるとは到底思えません」

 

「そこはラムも気になるわね。あの子、一般人よりは喧嘩慣れしてるかもしれないけど……正直、今のラムでもバルスを倒せると思います」

 

 投げかけられて当然の疑問、それに対してロズワールはさらに笑みを深める。

 

「んふふ、やっぱりそう思うよねぇ。原理はいまいち分からないから説明しにくいけど……かなぁり愉快な光景だったよぉ。敢えて言葉にするなら、ブリュ! バァン! って感じだったねぇ」

 

「「は、はぁ……」」

 

 光景をそのまま擬音で表現しているのだが、二人には理解できるはずもない。だが、理解できなくて幸せだと言えよう。

 

「相変わらず趣味が悪いかしら。ベティーには全く理解できないのよ。とりあえず、もう二度とあんなことせずに済みそうで安心したかしら」

 

 二人が困惑する一方で、『扉渡り』で扉とズボンを繋ぐというクッソ汚い使い方を二度とやらなくて済むことに安堵するベアトリス。

 なおロズワールはあの技を二度と見られないと告げられ酷くがっかりしていた。

 

「ま、レムもラムも安心しなさい。スバルくんが大罪司教……あるいはそれに準ずる実力者を倒したというのは事実だぁよ。対面したときに感じた悪寒が只者じゃないと知らせてくれたからねぇ」

 

「濃厚な魔女の臭いがしたこと、身体が一瞬で再生していたところを見ればロズワールを欺くための生贄ではなさそうかしら。禁書庫が派手に汚れて迷惑極まりないのよ」

 

「まぁまぁベアトリス、そこは大目に見てほしいところだぁーね」

 

 そう言ってロズワールはワイングラスを傾ける。今宵は面白い光景を肴に酒が進みそうだ。

 

「どうやって大罪司教の動向をつかんだのか、かなぁり気になるけど……教えてくれないだろうねぇ。ま、私としてはエミリア様が歩む道を舗装してくれれば問題なぁいね。と・こ・ろ・で。ふふふ、みんなのスバルくんへの評価を聞きたい所だぁね。濃厚な二日間でいろいろ思うところがあるだろう」

 

 レム、ラム、ベアトリスの全員がスバルに対して良い感情を持ってないと知りながら、敢えて尋ねられた質問。それに対して―――

 

「変態ですね」

「変態だわ」

「変態なのよ」

 

満場一致の変態評である。スバルが聞いていたら俺は変態じゃねえ!ありがとうございます!と叫んでいただろう。

 

「くくく、この私を差し置いて変態と言わしめるだなんてねぇ。本人はいたって真面目に、みんなのためを思って行動してるみたいなのに……すこぉし可哀そうだなぁ」

 

「真面目におかしなことをやる人を変態、あるいは狂人と呼ぶのではないでしょうか」

 

「ラムに糞の臭いを嗅がせ、股間に顔を近づけさせたあの子を他にどう評価しろと。毎日咽び泣いて感謝して欲しいぐらいです」

 

「魔法が汚れるなんてことはないけれど……『扉渡り』が汚された気分なのよ」

 

 残念でもなく当然の評価である。スバルの周囲には女性の方が多いのに、女性陣の好感度は凄い勢いで下がっていた。痛いですね……これは痛い……。

 嫉妬の魔女を除いたスバルへの好感度ランキングを作成すれば、ぶっちぎりの一位がロズワールとなり、二位にパックがランクイン。三位にようやくルートヒロインのエミリアが入ってくるぐらいだ。

 

「みんな正直だねぇ。ま、仲良くしろとは言えないけど……大切な仲間だから、いざというときは守ってあげてね?」

 

 スバルという面白く重要な駒が消されないよう身内に釘をさしておく。これが、ロズワールが三人を招集した目的である。

 

「さぁて、屋敷の仕事が残っているだろうし、私もやらなければならないことがある。これにて解散としようか」

 

 パン!と手を叩いて解散を示すと、それぞれが持ち場へと帰っていく。そして、誰もいなくなったことを確認してから、ロズワールは『叡智の書』と呼ばれる黒い装丁の本を優しく撫で、ページをパラパラと捲り始めた。

 

「しかぁし、初めてこのページを読んだときは奇妙な語り口に戸惑ったのだぁけど。なかなかどうして、実際に目の当たりにすると楽しいものだね」

 

 彼は本日何度目か分からない笑みをこぼす。そんな彼の横顔と開かれた黒い本の一節を、月の光が優しく照らしていた。

 

『はーい、よーいスタート。―――――』

 

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