Re:ゼロ RTA エミリア陣営・なんでもありチャート 《完》   作:青煉瓦

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Part.16 後半

 プリステラ南部にて大兎殲滅戦が行われていた。目論見通り歌によって大兎が大人しくなっているため、討伐自体は一切の負傷なく進んでいる。

 ただ一つ問題があるとすれば、

 

「予想以上に数が多すぎる、か」

 

大兎が多すぎたことだ。リリアナやオットーの体力を考えれば長期戦は好ましくない。そのうえ、大兎は一匹でも残ればそこから無限に分裂できてしまうため、悩ましい事態となっていた。

 

 陣頭指揮をとるクルシュと『鉄の牙』団長のリカードが優秀だったため素早く討伐が進んでいるものの、リリアナたちの体力が尽きるまでに殲滅しきれるかどうかは五分五分といったところだろう。

 

「一か所に集まってくれたら楽なんやがなぁ……ん?」

 

 そうしてクルシュとリカードが悩んでいたとき、仲間たちの悲鳴が聞こえてきた。その方向に視線を向けると、そこにいたのは――青い髪をお下げにした少女、それと列をなして進行してくる大量の大兎たちだった。

 

「なんやあの嬢ちゃん!? あれが大兎を嗾けてきた魔女教の主犯格ってことかいな」

 

 リカードの叫びを聞いて、その少女がカラカラと笑う。

 

「あはは、お兄さん面白いこと言うわねえ。期待されてるところ悪いけど、私は魔女教の手先じゃなくてロズワール様の手先よお。あなたたちが手間取ってるから、兎たちをまとめて連れてきただけ。感謝してほしいわあ」

 

 そう、その少女とは『魔獣使い』メィリィだ。カペラとエルザが死んで身寄りの無くなった彼女をロズワールがこっそり引き取り、今回の件を見越してプリステラに寄越していたのである。

 スバルくん大好きおじさんと化したロズワールがまたしても手助けをしていた。

 

「卿が嘘を言っているのかと思ったが……『風見の加護』によると嘘は言ってないようだな」

 

「当たり前じゃない。ま、私の『魔操の加護』がこの子たちに効くのは大人しくなってる今だけだから、一か所にまとめてる間に早くやっつけてちょうだいねえ」

 

 味方と分かれば話が早い。あとはパパッと殲滅するだけだ。

 

「ようわからんが、ありがとうな! お前らァ! 嬢ちゃんがまとめてくれてる間にやっつけてしまうでぇ!」

 

 リカードが声をあげて、部下に指示を飛ばす。まとまった大人しい大兎を倒すのは非常に容易い。難航するかと思われた大兎殲滅戦は、メィリィが登場したことにより瞬く間に終わったのであった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 プリステラ西部のアルファルド戦は、ヴィルヘルム達の一方的な優勢が続いていた。二人の連携は正に完璧で、アルファルドが付け入る隙が無かったのである。

 

「なにさ、なんでさ、なんなんだよッ! 僕たちの中の記憶じゃ剣鬼はこんなに強くなかっただろうッ! それに『剣聖の加護』が消えた先代剣聖だってッ!」

 

 防戦一方の状況に怒りが募るアルファルド、一方でそれを見るヴィルヘルムの視線は冷ややかだった。

 

「単純な話だ。私は妻の前で格好悪い姿を見せられない。そして妻はお前ごときに後れをとるほど柔な剣士ではないというだけの話」

 

「何それ何それ、愛の力が二人を強くしたってこと? そんな腹の足しにもならないモノで強くなるなんて、馬鹿な話があってたまるかッ! クソッ」

 

 アルファルドはそう言いつつも、この場でこの二人相手には絶対に勝てないことを悟り、逃走を図り始める。

 元々、悪食のアルファルドは食べ物の質に拘る性格ではなく、食べられればどんな人間でも良いという性格なのだ。この二人に拘った結果死んでしまい、食事の機会が失われるなんて馬鹿馬鹿しい。

 

 アルファルドは防戦をしている間に、着実に逃走経路を見繕っていく。そしてタイミングを見計らって魔法で足場を崩し、縮地と呼ばれる高速移動の技により一気に距離をとった。

 

「むっ、小癪なっ」

 

「戦略的撤退ってやつさァ! あばよ爺さ――」

 

 だがアルファルドが逃げきることは叶わなかった。なぜなら、血のように赤い瞳の女に斬り伏せられて絶命したから。

 

「誰が舞台を降りて良いと言った?」

 

 彼女の名前はプリシラ・バーリエル。王選候補者の一人、世界に愛された女である。隣には従者のアルも立っていた。

 

「あなた様は……」

 

「妾のことは名乗るまでもなく知っておろう。そこな老骨、見事な舞台じゃった。小汚い此奴のせいで幕切れは微妙であったが、満足したぞ。褒めてつかわす」

 

「姫さんが礼を言うなんて珍しい。良いもん見られたな、爺さん」

 

「あなた様のために舞っていたわけではないのですがね」

 

 手助けをしてくれたことに対する感謝はあるものの、勝手に娯楽の対象とされていたことに少しムッとする。

 

「気にせずとも良いぞ。世界も人の動きも妾に都合の良いように出来ておるが、それに気づかない愚か者はごまんといるからの。今まで何度も見たから慣れておる。――さて、アルよ。これ以上留まるのは無粋というもの。ここに用はないゆえ、そろそろ帰ることにするぞ」

 

「あれっ、姫さんが空気読めるなんて珍し――痛ェ! いってぇ! マジすんませんでした!」

 

 プリシラたちは言いたいことを一方的に言うと、漫才のような掛け合いをしながら去って行ってしまった。

 

 

「……スバル殿とはまた違った、嵐のようなお方でしたな。さて」

 

 プリシラが去ったのを見届けると、ヴィルヘルムは隣に立つテレシアに視線を向けた。見れば、テレシアの身体がポロポロと崩れ始めているではないか。

 

「無理矢理な復元ゆえに、もって三時間、激しい戦闘をすれば加速度的に崩れていくという話でしたな」

 

 灰からの復元という無茶をして、完全な蘇生などできるわけがない。こうしてテレシアが戦える状況にできたこと自体、奇跡のようなものだったのだ。

 そして今、奇跡の終わりが来ようとしている。だから最後に、あの日言えなかった言葉を言おう。二人の結末に相応しいあの言葉を。

 

 

「テレシアよ。私はお前を、愛している」

 

『――――――』

 

 

 その告白にテレシアがどのような返事をしたのか、そもそも屍兵になった彼女が返事をすることができたのか。それはヴィルヘルムのみぞ知る。

 

 剣鬼恋歌、ここに終演。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 一方そのころ、プリステラから離れた北方にて。

 

「ふぅ、ようやく倒すことができたね。スバルたちは今頃どうしているだろうか」

 

 そこには激闘の末、黒蛇を討伐したラインハルトの姿があった。ラインハルトさんマジ半端ねえ。

 化け物同士の戦い、これにて終結。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 はい、ライ・バテンカイトス戦が始まりましたね。説明した通り、『暴食』の権能によりスキルマシマシのこいつは戦闘力が非常に高く、糞雑魚スバルくんでは攻撃を通すことすら難しいです。

 

 ですが、そんなこいつにも隙を晒す瞬間が一度だけあります。では早速、適当に動いてスバルくんを捕らえてもらい、『暴食』の権能を発動してもらいましょうか。良いよ!来いよ!

 

「甘い、甘いね、甘いとも、甘いじゃないかッ! やっぱり頭が切れるだけで、腕っぷしは微妙みたいだね。ちょっと拍子抜けだけど、まあいいや! それじゃ、ナツキ・スバル……イタダキマス」

 

 狙い通りバテンカイトスが権能を発動しようとしていますね。この瞬間、スバルくん版見えざる手、『インビジブル・プロヴィデンス』を発動!

 見えざる手を、バテンカイトスが舐めようとしているスバルくんの手に重ねます。こうすることで、

 

「うげェ……ッ」

 

『暴食』の権能を失敗させることができます。

 

 『暴食』の権能を完全に発動するには、相手の名前を認識したうえで、その名前に対応する人間の手を舐める必要があるんですよ。

 そしてこのゲーム、スバルくんの見えざる手はペテルギウスが使ったモノを使いまわしているので、見えざる手の内部判定がペテルギウスの身体の一部となっています。だから見えざる手を舐めさせると、『暴食』の権能失敗を誘発できるんですね。ちょっとした裏技です。

 

 解説終了。バテンカイトスは権能発動のためにスバルくんの傍に来ており、権能失敗により苦しんでいるので隙だらけです。

 お前のそこが隙だったんだよ!この瞬間を狙って、袖に隠していたあるモノを取り出し、バテンカイトスの懐に突き刺します。

 

「あァ? アアァァァァ――――」

 

 今突き刺したモノは、『パックが収められた魔鉱石』です。バテンカイトスが苦しんでいるのは、彼と接触したパックがマナドレインを行っているからですね。

 パックは基本的に大罪関係で本気モードの姿になれません。ですが、マナドレインは初歩的な技なので、この状況でも発動することができます。そして、大精霊パックが行うマナドレインは並の人間なら数秒で干からびるほどの威力なため、致命的なダメージソースになります。

 

 パックはおまけみたいなモノだと言いましたね、あれは嘘だ。利用価値があることに思い至ったので、骨の髄までしゃぶりつくしましょう。

 親(パック)の脛をかじるのは……うん、おいしい!

 

 

 さて、苦しんでいるバテンカイトスがルイ・アルネブと人格交代する前に、見えざる手で取り押さえ、剣で首を斬り飛ばせば――工事完了です……。

 

 ちなみに、今の一瞬でアルネブと人格交代されていた場合、魔鉱石に仕掛けた術式を発動することでパックもろとも爆破する予定でした。使わずに済んでよかったですね。

 

 

 他のボスキャラも倒されたようなので、これにて第五章終了です。そして『怠惰』『憤怒』『強欲』『暴食』『色欲』の大罪司教を撃破したので、ここで計測終了。

 ルイ・アルネブ?なんのこったよ(すっとぼけ)。

 

 

 さて、完走した感想ですが……これ、オリチャー多すぎて半ば新規ルート開拓になってますね。まぁ、かなり良いタイムが出たので、RTAの体裁を保っていると言ってもいいのではないでしょうか。

 

 知らない展開が連続したときは焦りましたが、同時にワクワクしました。ボスラッシュ中は正直かなり苦しかったですが、その分乗り越えたときの爽快感が凄いと思いました(小並感)。

 ゼロから始めるオリチャー構築はもうお腹いっぱいですけどね……。

 

 反省点としてはスピード重視で、楽しいイベントやキャラとの会話が消え去ったことでしょうか。まぁこれはRTAの宿命みたいなものですが……本来どんなイベントが用意されてるかは自分でプレイして確かめてください。

 スバルくんの恋愛フラグがバキバキに折れたのは少し可哀想ですが、人は何かを失わずに何かを得ることはできないなんて言いますからね。記録の代償に恋愛フラグを失ったのは仕方ないね♂

 

 リゼロは魅力的なキャラや設定が多いので、かなりの可能性を秘めていると思います。みんなもリゼロRTA、走ろう!

 

 では、長かったRTAもここでおしまいです。皆様、ご視聴ありがとうございました。

 




 次話、エピローグ。
 原作にほぼ追いついたので、これ以上のチャート増設はありません。
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