Re:ゼロ RTA エミリア陣営・なんでもありチャート 《完》 作:青煉瓦
Part.Final 『勝利は誰の手に』
大罪司教を撃破してもルグニカの王選は終わらない。王が選ばれる日まで、まだまだ時間は残っている。ゆえに、決着がつくその日に備え、各陣営はそれぞれ努力の日々を重ねていた。
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大商人アナスタシア・ホーシンは、プリステラ防衛戦でのことを思い出しながら次の策を練っていた。
「うーん、やっぱナツキくんウチのところに欲しいわぁ。プリステラでのあの采配、ぶっとんだ発想! 手元におったら絶対楽しいんやけどなぁ」
「またですか……一の騎士を引き抜くのは無理だと、仮に出来ても不要な争いを招くとなんども申し上げたはずですが」
またしてもスバル引き抜き作戦を考え、ユリウスを振り回していたのである。
「せやから、無理に引き抜くんじゃなくて、ナツキくんの意志でこっちに来てもらったらええんやろ。男もダメ、女もダメ……そうや! フタナリならいけるかもしれん!」
「アナスタシア様……」
アナスタシアに振り回されるユリウスの苦難は今日も続く。後日、迷走したアナスタシアの一手によってフタナリのガキがスバルに夜這いを仕掛けるのだが、それはまた別のお話。
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カルステン公爵家の主、クルシュ・カルステンは忙しい日々に追われていた。元々管理している勢力は多かったのだが、白鯨討伐やプリステラ防衛戦の功績を聞きつけた様々な新勢力が擦り寄ってきたことで、その対応に追われていたのだ。
「まったく、こちらはおこぼれに与った側面が大きいというのに」
「その辺りはスバルきゅんが功績を山分けにしたから仕方にゃい面もありますけどね~。ま、名誉は貰っておいて損はないですし、ガンガン活用しましょう」
クルシュは白鯨戦やプリステラ防衛戦のことを思い出し、ため息をつく。
クルシュ陣営に組する者は多いが、最近ではエミリア陣営につく勢力も増え始めている。今では嫌われ者のハーフエルフ陣営などと侮ることは誰にもできないだろう。だから新勢力を飲み込み利用することも今後必要だとはわかっている。だが、それはそれとして対応は疲れるものなのだ。
「しかし、ナツキ・スバルか……面白い男だったな。私にはあのような頭の柔らかさが足りていないのかもしれない」
「いやいや、あの子の発想はちょっと真似できませんし、真似するべきではありませんって。ところでクルシュ様、綺麗なドレスを注文していましたが、あれってばフェリちゃんへの贈り物だったり? だったり?」
「ん? あれはナツキ・スバルへの贈り物だぞ。最近気づいたのだが、彼はフェリスと同様、ドレスが似合うのではないだろうか」
「えっ? ク、クルシュ様……」
疲れてしまったのか、はたまたスバルの悪影響を受けてしまったのだろうか。どちらにせよ、クルシュはすでに手遅れな状態になっていたのだった。フェリスは泣いた。
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盗賊から姫へと駆け上がった少女、フェルトはロム爺を振り回していた。
「ロム爺早くウンチしてくれよな~頼むよ~」
誰が予想できただろうか。なんとフェルトがロム爺限定のウンチ提案少女になっていたのである。
「フェ、フェルトが頭のおかしい子になってしもうた……儂の教育が間違っていたのかのぅ……」
「おかしくなってねーよ! あの兄ちゃんの功績が広まったついでに、ロム爺のウンチが厄除けに効くって噂が広まっちまったんだ。こりゃ大きい商売のチャンスだぜ。アタシの陣営は経済的な余裕がないんだから、何でも利用しないとな!」
そう、プリステラの一件でスバルの功績が大きくなり国中に広まったのだが……同時に過去の所業、ウンチ浴び事件の情報もどこからか漏れ出してしまったのだ。その噂に尾ひれがついて、今やロム爺のウンチは厄除けのアイテムとして一大ムーブメントを引き起こしていた。
「ロームーじーいー、早くウンチしてくれよー」
スバルの奇行を笑いながら自分とアイツは違うと馬鹿にしていたフェルトはもういない。完全にスバル側の人間になってしまっていた。
「とほほ……もうこりごりじゃ……」
ロム爺は、あの日スバルに糞を渡してしまったことを、トイレに行く度に後悔するのであった。
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傲岸不遜な女、プリシラ・バーリエルは大層不満な顔をしていた。
「おいアル、あのハーフエルフの陣営の方が妾より目立っておるではないか。お主も妾のために何か目立つことを、面白いことをするのじゃ」
「いやいや無理だって姫さん、そいつぁ無茶振りが過ぎるぜ」
今日も今日とて……いや、いつも以上にアルが無茶振りされているのであった。
現在エミリア陣営は『怠惰』『憤怒』『強欲』『暴食』『色欲』の討伐という頭のおかしな功績を作った陣営となっている。あれより目立つとなると、最果てにある大瀑布を真っ二つにしたり嫉妬の魔女を世界から抹消したりといった化け物級の実績が必要になってしまうだろう。
「お主はあの黒い小僧と同郷なんじゃろう? ならば、あの程度のこと軽々成し遂げて妾を楽しませてみよ。ところで……以前から気にしていたようじゃが、あの小僧と連絡をとらなくても良いのか?」
「いや、正直語録使いのホモガキとは反りが合わないっつーか何つーか……」
語録を知っているアルは、語録使いのスバルに対して正常な感性を示していた。
もっとも、語録を判別できる時点でアルも……。異世界に飛ばされる前の記憶を失ったことは、彼にとってある意味幸せだったのだろう。
こうして、アルが無茶振りされる日々が過ぎていく。
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そして、各陣営に波紋を呼んだエミリア陣営の騎士、ナツキ・スバルがどうしているかというと……。
「クッソ、世界を書き換えるなんてチートすぎるだろ、『虚飾の魔女』パンドラ! おいエキドナァ、準備あくしろよ」
いつも通り、高難易度の糞イベントにぶつかっていた。何度も苦難を呼び寄せる疫病神のようなスバルは、されど孤独ではなく――
「ナツキ・スバル、おまたせ。リューズの複製体は114,514体しか用意できなかったけど良いかな?」
その傍らに、常に謎の少女が付きまとっていたという。
「でかした! いいゾ~これ。世界を書き換えるのがお前の専売特許だと思うなよ、パンドラァ! 俺は114,514体の複製体を同時爆破することで―――世界を処理落ちさせる」
その二人はいつも不思議な発想と策略で、どんな困難も砕いてしまったとかなんとか。
またしてもスバルが奇行に走っていたとき、その光景を離れた場所から鑑賞する男が一人。彼はワインを飲みながら楽しそうに笑っていた。
「うーん、やはりスバルくんは面白いねぇ。私は良い拾い物をした」
その男とは、メイザース領の領主、ロズワールだ。彼は舞台裏からスバルを眺め、いつまでもいつまでも楽しんでいたという。
此度の王選の一番の勝者は、五陣営のトップでもスバルでもエキドナでもなく……スバル鑑賞という新しい趣味を見つけて人生を謳歌しているロズワールなのだった。
完