恐竜少女のヒーローアカデミア 作:抹茶
竜音は家に向かって住宅街を歩いていた、あたりは薄暗く人通りもないせいか竜音の足音だけがコツコツと響いていた。やがて10分程度で一般的な二階建ての家屋に着いた、クリーム色の壁にグレーの屋根がある竜音の実家である。竜音は玄関に行き扉を開けた、『ただいま』と言うと奥のリビングの方から『お帰り~』という声と空腹なお腹を刺激する美味しそうな夜ご飯の匂いに迎えられた。玄関で靴を脱ぎリビングに向かう、リビングのドアを開けて部屋に入るとキッチンでせっせと野菜を切っている女性が目に入る。
亜麻色の髪をボブカットにし、竜音と同じ赤い虹彩に爬虫類独特の縦に切れ長な瞳孔を持つ瞳をたたえ、40歳を越えているとは思えない艶のある肌に優しげな顔をした女性が竜音の母である 古代 白奈(こしろ しろな)だった。
「ただいまー」
竜音はリビングに竜音が入ったことに気づいていない白奈に向けて最初に言った時に比べて声量を落とし同じ部屋内で聞こえる程度の声で繰り返した。
「おかえり」
白奈はたださえ優しげな顔に柔らかな微笑を追加して答えた。
「お腹減った~」
「もうすぐ出来るから着替えてきな」
「は~い」
いつものように繰り返されるようなやりとりをしたあと竜音はリビングを後にした、階段を上がり右手にある自分の部屋に入る、全体的に薄い緑色で統一された部屋に入り鞄を壁に掛けて手早く制服を脱いだ、そいてクローゼットの中から簡素なルームウェアに着替えた。そして階段を降りてリビングに戻るのだった。リビングに戻るとなにやら白奈がなにかをよそっているのが見えた。キッチンに覗きに行くと大きめの深皿にご飯が小山のようによそられていた、そして丁度白奈が皿を手に取りなにかをご飯にかけている最中だった、それは食欲を刺激をするスパイシーな匂いを放つカレーだった。
「わぁカレーだ!」
竜音が嬉しそうに呟くと白奈はフフッと笑っ。
「この前竜音が食べたいって言ってたでしょう?だから久しぶりにやろうと思って」
「覚えてくれたんだ!ありがと!」
「よそったやつから運んでくれる?」
「は~い」
竜音はカレーやサラダ、福神漬けなどをダイニングテーブルに運び席に着いた、少し待つと軽く片付けを終えた白奈が竜音の前に陣取るようにして席に着いた。驚くべきことに竜音と白奈の前にあるカレーは軽い山程になっており一般的な女性の食べる量の5倍はあろうかという量だった、これは古代家では結構日常的な光景だったりする。尚父親は単身赴任をしているため家を空けている。
「「いただきます」」
二人で同時に食事に感謝の言葉を述べて食べ始める。竜音は早速スプーンを手に取り、口にいっぱいになってしまうほどカレーを頬張った出来たてなのでハフハフと言いながら食べる竜音を見て白奈は柔らかい眼差しを向け見守っていった。
「美味しい?」
「ムグムグ!」
「いっぱいあるんだから落ち着いて食べな」
白奈は竜音が美味しそうに食べるのを見届けてからスプーンを手に取りカレーを食べ始めた。
「カレーのルーも案外侮れないわね」
久しくカレーを作っていなかったため手頃に作れて味も間違いないカレーのルーを使ったがなかなかに美味しかったため驚きと共に感嘆の声を漏らした。そうして母娘は和やかな雰囲気で夜ご飯を食べて行くのだった。
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「はぁ~お腹いっぱい!」
カレーを食べ終え食後の休憩をしている時だった。
「竜音」
白奈が真剣な声音で竜音のことを真っ直ぐ見つめて竜音に話しかけた。竜音はすぐに大事な話をするのだろうという事に気づき居住まいを正し、白奈をしっかりと見返した。
「雄英の推薦のことどうするの?」
数瞬の沈黙の後、白奈は今日の放課後のついて聞いてきた。
「受けるよ、やっぱり雄英に行くのがヒーローになる上で一番経験を積めるだろうし、私の個性で誰かを救えたらいいし、みんなも期待してくれてるから」
竜音まるで予め用意していた台本を機械的に読むような風に答えた。
「そっか...」
白奈は眉間にしわをよせ、一応の理解をしたように呟いた後、少し迷いながらも竜音に問うた。
「ねぇ...それはさ、ほんとに竜音のやりたいことなの?」
瞬間、竜音は自分の顔がこわばっていることがわかった。図星をつかれたのを誤魔化す様に早口でまくしたてるように答え、うつむき下を向いていた。
「そうだよ!...前からヒーローになりたいとは思ってたから、それに私の個性は強力だからヒーローになった方がいいじゃん、みんな応援してくれるし...」
末尾なるにつれて弱くなる声で答えた竜音、実際には自分でもなんて言っているのかわからないような状態だった。そんな竜音を白奈は心配そうな表情で見つめていた、そしてまたリビングを沈黙が支配していた。そんな空間の中で先に切り出したのは白奈だった。
「竜音はきっと個性というものがなくなったら竜音の価値がなくなってしまうような気がしてそれが怖いんでしょう?」
先ほど見せていた心配の面影を残すことなく、慈しみを含んだ声音で語りかけるように、諭すように竜音に質問した。
当の竜音は冷や水を浴びせられたよう気持ちだった、竜音は他人から"個性"という色眼鏡を通して見られ価値をつけられる事を憂いていた、にもかかわらず竜音も竜音自身を"個性"通して見て自分を決定してしまっていたことに気づいたからだった。周りから期待されるだけなく無意識のうちに『私は強個性だから』や『個性が強いから仕方ない』と自分で選択することを放棄し、それを周りの期待や嫉妬のせいにして逃げているだけだった。それを自覚してしまった竜音は内心『そんなことはない』と強気に否定する自分もいたが『もうどうしたらいいの...』という弱気な気持ちでる自分もいた。そして頭の中では色々な考えが渦巻き混沌とした状況だった。それ故か目尻にうっすらと涙を浮かべていた。
「わかんないよ...」
自分でも意識せずに漏れ出てしまった本音、竜音は自分の口から漏れ出た言葉の驚きつつも自分で弁解する気力もないほど参ってしまっていた。そんな中でも白奈は優しく言葉を続けた。
「きっと竜音は勘違いしてるよ、確かに竜音の個性は強いしそれも竜音の価値だとは思う」
「でもね、竜音の価値は個性だけじゃないよ、竜音は素敵な人間だもの価値なんていくらでもあるよ」
「人を思いやれる優しい心、意外と負けず嫌いで頑張り屋さんな所、こうやって今竜音が悩んでるのもちゃんと自分について考えられているって事だしね、後ご飯をすごく美味しそうに食べるところとかね」
「上げ始めたらきりがないような素敵な所がいっぱいな竜音だもん近くにいる人が竜音の素敵な所に気づかないはずないよ、竜音自身も周りの個性に対する期待が大きくてそれに隠れちゃっているだけできっと竜音の個性以外に気づいてくれている人がいるけど気づけないだけだよ」
竜音は白奈の言葉を聞いて考えていた、そして『私が個性を意識するあまり他の部分に関心を向けてくれる人たちに気づけなったのではないか』と思うようになっていた。
「そう...かな...」
「そうだよ!」
弱々しく問う竜音に自身満々で答える白奈。
「そっか...」
なにかつきものが落ちたような顔をしている竜音、そんな竜音をみて白奈はとても安心した顔をし竜音の頭を優しく撫でる、竜音の髪はサラサラで灰色だが光の当たる角度によっては銀髪に見えなくもなく一本一本が細く繊細な竜音の髪を丁寧になでるのだった、撫でられている竜音の方も気持ち良さそうに目を細め身を任せていた。
「お母さん...ありがと!」
元気に感謝を述べると共に少し頬を染めはにかみながら可憐に笑う竜音に白奈は同性、ましてや親子ながらも魅了され惚けているのだった、そして気を紛らすようにわざとらしく『オホンッ』と咳払いをするのだった。
「竜音今みたいな笑みは簡単にやっちゃだめよ」
「...?」
竜音は突然の指摘に不思議そうに小首をかがげるのだった。そんな様子を見て白奈は戦慄し『こんなにも恐ろしい価値があるじゃない』と苦笑いするのだった。
一回書いた話が消えてしまってちょっと萎えそうですT_T
おおまかなストーリーは頭のなかに入っているのでいいですが、試行錯誤の結果が!と思うと結構心にくるものがありますね。
でもまぁタイピングの練習と思って頑張って書きたいと思います