幻影戦記~氷と炎の鎮魂歌~   作:ロバート・こうじ

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1話 鳴坂家の日常

2022年11月6日

 世界初のVRMMORPG、通称『ソードアート・オンライン<Sword Art Online>』の正式サービス開始日となった。

 2022年8月にβテストを開始して満を期して販売される仮想現実大規模多人数オンラインゲームだ。ネットゲームと比べて従来の視覚聴覚のみならず、触覚・味覚・嗅覚の5感すべてを体感して遊べるゲームとして注目されている。

 一番の目玉はアインクラッドの広大な大地を自由に駆け回ることができ、熱い砂漠や寒い雪道といった厳しい環境や、道中のモンスターに襲われる一方、ずっと留まっていたいと思える美しい自然を堪能できるところだ。

 約1000人のβテスターの応募に当選し、ゲームの開始をいまかいまかと待ち望んでいた鳴坂・和人もその一人だ。中性的な容姿で整った顔立ちと線の細い身体をしていた。

彼は日曜の11時に関わらず、まだ眠っているが、もう、そう長くは眠っていられないだろう。

 

1階の下から母の鳴坂葵が息子を起こそうと2階に上がってきた。

「いつまで寝てるの!?いい加減に起きなさい!!」

和人は驚いて目を覚ました。母さんが部屋のドアをドンドン叩いていた。

「まあまあ。せっかくの日曜日くらいのんびりしてもいいんじゃないか」

1階から父である鳴坂行人の声がした。

 

鳴坂行人はコンピューター会社に勤める会社員だ。ほっそりとした痩せた体形のせいで、全体的にスラリとした印象を受ける。顔つきは女性のように整っていた。奥さんのほうは標準的で、茶髪で、長い髪をバナナグリップで止めている。

 

行人は入れ直した熱いコーヒーを飲み、新聞を読みながらそう答えた。

「そうはいいますけどね。お隣の桐ケ谷さんは朝早くからランニングをしているのをみるとね、小言の一つは言いたくなりますよ。」

葵はぴしゃりと言いきった。

和人は寝ぼけた頭でうっすらと母の会話を聞いていた。

 桐ケ谷さんとはお隣で親戚同士の付き合いをしており、年の近い子ども同士を持つ仲のせいか会話はもっぱら娘と息子の話ばかりしている。最近の話題は娘の桐ケ谷直葉だ。

彼女は近所で有名な【桐ケ谷道場】の跡取りとして、幼少期から、ずっと剣道をしている。近いうちに大会があり、早朝から練習をしているというのだが、和人にとっては全くの謎だった。今日は日曜の朝なのに・・・。直葉はたまに和人を誘い剣道の模擬試合をしているが、よく空回りしていた。基本的な型はできているのに、無駄に力の入った戦い方をする。

 息抜きしてみたらどうだと言えは、彼女は怒り、話を聞く耳を持たなくってしまう。

幼いころから妹のように関わっていて、最近はどう接しようかと悩むことが多い。

そう考えるうちに和人の頭は冴えてきて、大きくあくびをして起き上がった。

 

「毎日決まった時間に起きて、ご飯を3食しっかり食べる!こんなぐーたらな生活を続けていたらあの子はすぐに生活習慣病なんてものにかかるのよ」

・・14歳の子どもにかかるわけがないだろう

行人は内心、葵の心配性に呆れながら呟いた

 

ここ数か月βテスターに当選した和人は次世代ゲームのソードアート・オンラインを毎晩遊んでいる。親としてゲームにのめり込む心配をしていたが、和人の成績は学年30位以内を維持しているだけに言い切れないところがある。

 

数分経った頃に和人はうめいた声をだしながら降りてきた。

居間には朝食のベーコンエッグにプチトマト、こんがりと小麦の香りがする食パンが用意されている。

「今日はだいぶ起きるのが遅かったな」

「今日はSAOが始まるから、楽しみで眠れなかったんだよ」

ゆっくりともぐもぐ食べていた時に父の呟きにそう答えた。

「だからといって昼まで寝ていい理由にはならないわよ」

「う・・、気を付けるよ」

 確かにここ最近はゲームをする時間を増やしているせいか睡眠をおろそかにしている気がする。少し眠いのか、生返事をしているような気がした。

「まだ寝ぼけているか。なら和人の寝ぼけた頭を目覚めさせる良い言葉を言おう」

「そんな言葉があるのか」

「あぁ、今新聞に載っているが、お前の楽しみにしているゲームは13時から始まるそうだぞ」

その言葉を聞き、和人は家の時計を見た。

・・・すでに時計は12時30分を過ぎている。

「なんで早く言わないんだよ!?」

「言うタイミングを計っていた。早く起きない方が悪い」

・・身もふたもない言い方をされてしまった。とにかくすぐに準備をしなければならない。

まずは食べている朝食を急いで食べ終えた。

その次は顔を洗い、歯磨きをして、お風呂に入り、化粧水をつけて、あと香水もつけて・・

和人の一連の動作に2人は「これからデートでもいくつもりなのか」と失笑していた。

やがて、一通りの準備を終えて、和人は自分の部屋に戻った。

 机の上に置かれたヘルメット上の機械を持ち、それをコンセントに差し込み、ソフトを読み込んで被った。時間は12時58分、ギリギリ間に合い、安堵する。

―あと一分。早まる動悸を深呼吸して落ち着ける。

―あと十秒。帰ってきたら直葉と話し合ってみよう。

・・三・・ニ・・一・・・ゼロ!

 「リンク・スタート!」

かけ声と同時に、体をそっと包み込むように意識をおとした。

 




二次創作の小説は初めて書きました。
 ご意見、ご感想、アドバイスなどありましたらどうぞ申し上げて下さい。
のんびり投稿ですがよろしくお願いします。

エピソードゼロ:投稿優先の期待値調査

  • 孤独な少女(シリカ編)
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