闘神は踊る   作:カサミノ

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今回とても短いです。

最近の悩みはヒロインは一人に据えた方がいいのか、複数いた方がいいのか。分かりませんな


闘神と妹

 カーテンの隙間から陽が溢れる。布団に入ったままグーっと身体を伸ばして起き上がりカーテンを開く。

 太陽はちょうど山と山の間からちょこっと顔を出し、村を照らしていた。太陽の傾きから見て、いつもと変わらぬ起床時間に目が覚めたらしい。だったらいつも通り顔を洗うことにしよう。

 この家の住人から借りているタオルを持って洗面台に向かう。今回の依頼をした村は大きな家がいくつも立ち並んでいる。どれも豪邸と言えるほどではないが広い。この家も例に漏れず広い。だから、洗面台に行くのも少しだけ面倒くさい。

 洗面台のある部屋には陽が届いておらず、寝室との温度差がかなりあるのか時期外れの寒さを感じた。

 洗面台に備え付けてある鏡に映った自分の顔がどことなくいつもより頼りなく感じ一人で苦笑する。妖精の尻尾のマスコットである青い猫には優しい顔と評されたのだが、それで頼りなく見られてしまうのはいい事なんだか、悪いことなんだか。

 顔を洗って寝起きの独特な体の怠さがすっかり抜けた。どうやら、この家の住人も目覚めたようなので朝食の準備でも手伝いに行こう。

 埃一つなく片付いた部屋と廊下を見て住人のマメさを改めて思い知らされる。台所も調味料などが綺麗に整頓されている。そんな綺麗な台所に目立つ背の高い艶のある金の髪が腰ほどまで伸びている女性の姿を見つける。どうやら朝食を作っている最中らしい。

 

「もう起きていたんですか? あと少し眠っていてもいいんですよ」

「いつもこのくらいに起きるので大丈夫ですよ」

「大変なんですね」

「もう慣れてしまいました」

 

 彼女が朝食を作り終える時にはこの家にいる全員が居間に出てきた。この家にいるのは子供が三人に父と母の五人家族だ。みんな綺麗な金髪に碧眼を持っていて説明不要の美男美女である。

 仲のいい美人家族に一人突っ込まれると非常に居心地が悪いがみんな優しく話しかけてくれるおかげで結構馴染めた。いつもは一人飯だがこうやって誰かと食べる食事もいいものだなぁ。

 仲の良い家族と一緒に食事を取った後はウェンディの見舞いに行くことにする。友人の回復力を参考にするともう治っているか、治りかけにまでなっているはず。

 

「失礼するよ」

 

 ドアをノックして病室に入る。ウェンディの傷の具合は思った程は良くなっていない。しばらくはこの村に滞在することになりそうだ。

 

「ソルさん、来てくれたんですか?」

「傷の具合を見に来たんだ」

「痛みはだいぶ引きました。でも、完治には遠いですね」

「まぁ、ゆっくり治すといいよ。俺もちょっと休みたかったから」

「治癒魔法で自己回復が出来れば良かったんですが……」

「ウェンディ! それを言っちゃダメよ!」

「ごめん、ついうっかり……」

「治癒魔法が使えるのか?!」

 

 こりゃ驚いた。治癒魔法といえば失われた魔法。凄く大事な秘密じゃないか。知られれば闇ギルドやらなんやらから希少性故に狙われる事間違いなしだ。

 

「あんたも絶対に他言してはいけないわ」

「分かってる。ウェンディ、これからは絶対に言うなよ。俺みたいに言わない奴ばかりじゃない」

「はい、すみません……」

 

 そう言ったウェンディは泣きそうだ。やばいやばい。泣き出したら止める方法を俺は知らんぞ。あぁ、ギルドの色男に聞いておくんだった……。でも、結局、奴の方法が少女にも効く気がしないから意味が無いな。

 

「はぁ〜、泣いてどうするのよ」

「ごめんね……」

「ソル、あんた確か妖精の尻尾の魔導士よね?」

「そうだけど、それがどうしたんだ?」

「ウェンディ、色々聞かなくていいの? 妖精の尻尾好きなんでしょ? 昨日はあんなに明日来てくれたら聞くんだーって言ってたじゃない」

「そうだった! 質問してもいいですか?」

「なんでもどうぞ」

 

 さっきまでは泣きそうだったのにシャルルが上手く回避した。長い付き合いなだけあって上手いな。

 てか、妖精の尻尾がよっぽど気になるんだな。目がキラキラ輝いてる。割と嫌われ者だと思ってたけど好きな人もいるなんて。

 

「ナツさんってどんな人なんですか?」

 

 よりによってそれ聞いちゃう? まぁ、同じ滅竜魔導士だし、有名な魔導士だから気になるのは当然か。

 俺とナツはずっとチームを組んできて奴のことは結構知ってると思う。でも奴はなぁ。う〜ん、表しづらいな。

 

「猛獣みたいな奴だな」

「猛獣、ですか?」

「そうだ。猛獣だ。めちゃくちゃ強いし、やたらに火を吹きまくるし、依頼を受ければ何かを壊して帰ってくる。おかげでギルドの評判はガタ落ちだ」

「あんた、途中から悪口しか言ってないじゃない。というか猛獣って例えも悪口よね」

「ま、俺も一緒になって大暴れしてるけど」

「人のこと言えないじゃない!」

「そうなんだよ。けどな、あいつは誰よりも仲間思いなんだ。仲間の悲しみを背負えるんだ。仲間の為に怒れるんだ。仲間の喜びを共に喜べるんだ」

 

 なんだかチームメンバーの事を話してると気恥ずかしくなってくるな。話してみると思ってることが整理されて普段は考えてもいないようなことがすらすら出てしまって恥ずかしさマシマシだ。

 

「他にも色々聞いてもいいですか?」

「どうぞ」

 

 それから俺はウェンディとしばらくの間話し続けた。途中お昼ご飯を食べたりしたが、ずっとおしゃべりをした。

 

「あんたたちよく話すわね。もう夕方よ」

「ウェンディと結構気があってさ」

「ソルさんとは色々話が合うんだよ」

 

 気がついたら日が傾いて部屋が橙色に染まっていた。随分と長い間、話し込んでしまったようだ。シャルルはこの長時間、話に付き合っていてくれたようだ。

 

「ごめんよ。シャルルを付き合わせてしまった」

「ごめんなさい。シャルル」

「いいのよ。それにしてもあんたら兄妹みたいね」

「ソルさんがお兄ちゃん…………」

 

 シャルルが兄妹みたいと言ったのがよっぽど気に入ったのかウェンディは瞳を輝かせて俺の顔をじっと見てソワソワと落ち着かない様子だ。

 

「あ、あのお兄ちゃん?」

「ん?! お兄ちゃん? 俺が?」

 

 急にお兄ちゃんと顔を真っ赤にしながら呼ばれたら変な扉が開いてしまいそうだ。落ち着け、頼りないロリコンとかただの不審者だ。これ以上ギルド内の立場を下げる訳にはいかんのだ。

 

「い、いやですよね? 私、年の近い友達が居ないし、お兄ちゃんが欲しくて……。それで嬉しくてつい……ごめんなさい」

 

 悲しんでいるウェンディを見ていると胸が張り裂けそうだ。お兄ちゃんって呼んでもいいよって滅茶苦茶言いたい。でも、それをしたら何か踏み込んだらいけない場所に踏み込んでしまう気がする。耐えろ、耐えろ。そこに行ったらいかん。いかんぞ! 

 

「嫌じゃないよ。喜んでくれるなら構わないよ」

 

 師匠、俺は踏み込んではならない領域に進んでしまったかもしれません。

 

 こうして、俺に可愛い妹が出来ました。

ヒロイン二人目について

  • ウェンディだけで十分
  • カグラ・ミカヅチ
  • シェリア・ブレンディ
  • ミネルバ・オーランド
  • その他(ブランデッシュなどなんでも)
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