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ウェンディにお兄ちゃんと呼ばれはじめてから二週間後、ウェンディの傷は完治した。普通の人であるならば一ヶ月ほどかかる傷を短期間で治癒したのは流石滅竜魔導士と言うべきだろう。
今日は傷が治ってギルドに帰れる嬉しい日だと思うんだけどなんだか機嫌が悪い気がする。いや、機嫌が悪いというよりなんだか不安そうな感じを受ける。
「ソルさん、本当にありがとう!! 嬢ちゃん達も気をつけてな!!」
「こちらこそ!」
「お世話になりました!」
村の人と別れた時まではこんな感じで元気よく挨拶したりしてたんだけどな。森に入ってギルドが近づいていくほどに口数が減っていって、不安そうな感じも増している気がする。
「……」
「……」
「……」
き、気まずい。ウェンディにどうしたのか聞いてみれば済む話なのだがウェンディが放つ雰囲気はそんな事が出来そうではない。
森の猛獣達も活性化していると言われているが全く出てこない。ウェンディのプレッシャーが凄まじいせいかもしれんな。
「…………お兄ちゃん、今何考えてたんですか?」
「な、何も」
失礼なことを考えていたのがバレている……だと?!
ごめんよ、ウェンディ。お願いだからハイライトをONしてくれ。多分今、八割増くらいで頼りない顔してる。
シャルルに助け舟を求めて視線で訴えてみるとため息をつかれてしまった。
しばらくハイライトOFFウェンディ、シャルルと一緒に歩いていると森が開けた。その先には民家が立ち並んでいる村があって、村の一番奥に猫みたいな耳と目がついてるテントみたいなのがギルドだろう。村人の方々はあまり見かけない衣装を着ている。民族衣装だと思うのだが本当に見かけないものでびっくりした。
「着きましたよ」
ギルドまで帰ってきたところでウェンディのハイライトがONに変わった。雰囲気も心なしか嬉しそうな感じに変わってはいる。確かに変わってはいるのだが不安そうだ。そして、俺のことをチラチラと見ている。失礼なことは考えていないのだが。
村の中央にある広場に着くと何処からか帰ってきたぞ、という声がした後に村中の人がすぐ集まってくる。みんなウェンディの帰りを待っていたんだ。
少し遅れてギルドから立派な長いお髭を蓄えたおじいさんが出て来る。あの人がマスターだろう。
マスターらしき人を見た人達はマスターが通れるように道をさっと開いた。
「ワシはローバウル。この化け猫の宿のマスターだ」
「俺はソル・グランドと言います」
「グランド?」
「はい、そうですが……」
名を名乗ると首を傾げられ、顔をじっと見つめられた。知り合いにグランドと言う姓を持つ人でもいるのだろうか?
「いや……そんなはずはない。もう400年も前のことだ……」
「あのー」
「すまない、少し取り乱してしまった。この度はウェンディを助けてくれてありがとう。なぶらありがとう」
「いえ、助けられる人は助けると決めていますから」
助けられる人は助けるんだ。妖精の尻尾の評判を少しでも上げるためになぁ!
それにしてもどうしたんだ。さっきからローバウルさんの様子がおかしいぞ。耳がいいから呟きを全部拾ったが四百年前? 一体なんのことなんだ。もしかしてグランド姓の持ち主が伝説の大魔導士だったのか。それならこの頼りない男にも箔がつくのだが。
「これからどうするおつもりですか?」
「列車に乗り、マグノリアに帰ろうと思います。ギルドのみんなが心配してるでしょうから」
「そうですか。なら、迷わないようにウチから案内を出しましょう」
「大丈夫ですよ。森の中を歩くのは慣れてるので道は覚えました」
マスターのローバウルさんとの会話の後に村の人達___ほとんどがギルドの人らしい___に感謝され、お揃いの民族衣装を貰って帰った。
森を進んでいると後ろから足音が聞こえる。振り返るとウェンディがいた。相当急いで来たんだろう。息が上がっている。
「ウェンディ、どうしたんだ?」
「お兄ちゃん……どうしても話したいことがあるんです」
あの不安そうな感じと関係があるのだろうか? 村に戻って不安な感じは吹き飛んだと思ったのだが勘違いだったのか。
「……また、会いに来てくれますか?」
今日で一番不安そうな表情を見せた。何かに怯えてるみたいだ。何かは分からないけど。
「もちろん」
「信じていいんですよね?」
「必ず来るよ」
まだ、不安そうな表情は取れない。どうしてだろう。何に怯えているんだろう。分からない。頭の中の知識を全て絞っても何も出てこない。
……そういえばウェンディはドラゴンが姿を消してからギルドに入るまで何をしていたんだ。これだけは聞いたことがない。
「私、前にもこんなことがあったんです……」
「前?」
「はい。グランディーネが居なくなってから一人でグランディーネを探していたら偶然ジェラールって言う人と会ったんです。それからしばらく二人で旅をしてたんですけど急に置いていかれちゃって……」
涙を必死に堪えていたようだけど遂に耐え切れずに泣いてしまった。これで何に怯えてるか分かった。グランディーネやジェラールのように誰かがいなくなることに怯えているんだ。
「それで俺も二人みたいにいなくなると?」
「はい……」
「寂しいの?」
「はい……。ギルドのみんながいるんですけど、それでも寂しいんです」
ウェンディは短い間だが俺を本当の兄のように感じてくれていた。それだけ仲が良くなった人が居なくなってしまうのだ。寂しいのは当然だろう。
「なら、ちょっと待ってろ」
リュックを下ろして中身を漁る。確か、このポケットに……あった。取り出したのは盾の上に槍が乗ったような形の銀のエンブレムの付いたネックレス。それをウェンディに渡す。
「これは?」
「師匠がくれたんだ。お守りとしてな」
「そんな大切なものを……」
「もう一個あるんだ」
そう言ってから服に手を突っ込んでネックレスを出して見せてあげる。
「でも、いいんですか?」
「あぁ、コイツは師匠から大切な人に渡してやれって言われてんだ。ウェンディは大切な俺の妹だ。だからこれを持っていてくれ」
「ありがとうございます」
ウェンディが嬉しそうにはにかむ。不安そうな感じがなくなった。ちょっとの間、会えないだろうけどコイツを俺だと思ってくれよ……ってこれ会わない感じがする台詞だな。
「じゃあな、ウェンディ! また会おう!」
「またね! お兄ちゃん!」
それからしばらく話した後にウェンディと別れ、列車でマグノリアに戻った。
ヒロイン二人目について
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ウェンディだけで十分
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カグラ・ミカヅチ
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シェリア・ブレンディ
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ミネルバ・オーランド
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その他(ブランデッシュなどなんでも)