1、
《…………》
「こ、これはなんだ!」
黑い靄は欠損したオールマイトの左足に集まり、瞬時に新しい足を構成した。
オールマイトは試しに動いていたら、問題なく立ち上がれる。
彼は即座に
「《
グラヴィティは高ぶる戦意のすべてをオルフェにぶつかる。
消耗は確かに高い。
しかし、それはどうでもいいことだ。
強敵に会ったら勝負がつくまで戦い続けることは、彼の理念だ。
迫り込むブラックホール、重力波などの攻撃を見て、オールマイトは支援しようとしたが、タウラスに止められた。
「大丈夫だ。すぐに終わる」
そして、グラヴィティの攻撃はすべて霧散した。
「なに!」
オルフェの周りにある靄は集めて、一振りの大剣となった。
銀色の
グラヴィティは全力で重力バリアを張ったが、オルフェには効かなかった。
後ろに退避したくても、なぜか動きは遅くなった。
やがて、グラヴィティの首筋に、刃が当てた。
これで、今回の事件が終わった。
★
「で、僕を殺さないのか?」
《オイラは人を殺したくはない》
「へえ、傭兵にしては珍しいな」
《昔は殺しすぎたから、今は殺人をできるだけ避けたいんだ》
「そうか。さて、貴様たちは僕をどうしたい?オルフェに負けたから、彼が言うことを一応聞くよ」
オルフェに拘束されたグラヴィティはオレ、オールマイトとプリンセスに聞いてきた。
「私としては彼を
「キャラバンの牢獄でも彼を閉じ込められないぞ」
グラヴィティは
普段の生活は自分の周りの
だから個性を使う前になんとかするという方法は使えない。
さらに、現存の個性封じの個性は彼に効かなかった。
養父の説明によると、地力の違いだそうだ。
普段の個性封じの個性はある程度の個性を封じられるが、オメガのような超弩級個性には効きにくい。
「……これは一体どうしたらいいでしょう。地球上の牢獄は彼に捕らえません」
「…………オルフェ、彼に勝ったのはお前だ。グラヴィティの
「私は問題ない」
「わたくしも同じです」
《ん……わかった》
オルフェはグラヴィティの
《帰っていいよ》
「「「「はあ?」」」」
オルフェ以外の全員は
解放されたグラヴィティ自身でさえ戸惑っている。
「待て待て、僕から見てもかなりおかしいよ、その
《別におかしくはない。逮捕するメリットはないし、逆にデメリットはたくさんあるから》
「聞いてもいいか?」
自分にまつわる
「南極戦線のためだよ。戦闘狂でコントロールできないお前がいるから、南極戦線の4割は侵入禁止地域に指定された。いきなりお前を排除したら、小競り合いとなった今の南極はバランスが崩れて、やばい状況になる」
「驚いた。貴様はこのようなことを考えているなんて」
「利害調整ができないと、
もっともな理由で、プリンセスもオールマイトもグラヴィティの
「あと、一つお願いしたいだが」
「なにを?」
「二度と、父ちゃんに手を出すな」
「うむ………これは………」
「受け入れたら、これからオメガが事件を引き起こす時、お前を知らせるよ」
「……わかった。しかし、貴様には手を出せるか?」
「いつでもかかって来い。父ちゃんと違って、オイラはかなり暇だから。」
「ハハハ、気に入った。南極に来たら、うちに来い。最高のもてなしを約束するよ」
グラヴィティは
タウラスは彼を見送ったあと、心の重石が消えるのを感じた。
「これで、
が、それは隙となった。
プリンセスの後ろに、ある人が出現した。
ドクターの実験室から
オールマイトとの戦いで変わり果てたオールフォーワンが来た。
「っ!!」
プリンセスは後退しようとしたが、オールフォーワンの
2、
ようやくだ。
すべてはこの一瞬の隙を作り出すため。
オールフォーワンは自分の策が成功したと確信した。
グラヴィティは確かに強い。
だが、オールマイトとタウラスなら退けると信じている。
あの二人を脅威として認識しているからこそ、その実力を信頼している。
プリンセスがここにいるのは偶然だが、かえって好都合だ。
彼女の個性はオールフォーワンでも思わず
ここで、その個性を奪ったら、死柄木はさらなる高みへと至れる。
さらに、イギリストップヒーローが日本で
これは逆転となるはず一手だ。
「君の個性をもらおう、プリンセス」
だが。
「
無慈悲な一撃はオールフォーワンに襲う。
★
「わたくしを護衛もつれずに外で歩き回るほどの間抜けだと思っていますか?」
一人の老人は光学迷彩を解除して、個性を吸収しようとしたオールフォーワンの腕を切り捨てた。
その男を見た瞬間、オールフォーワンは空間個性でこの場から脱出した。
「撤退の判断は相変わらず的確だな」
「私は気が緩まなければ、ここであいつを逮捕できるというのに!!」
「オールマイト、反省するのがいいが、過去を悔やむのは時間の無駄。昔も言っていただろ」
その老人の名前はムラサメ。
キャラバンの教官役をやっている。
「しかし、何回拝見しても、理解できませんね。なんで無個性のあなた方はこのような技を使えるのか?」
「頑張ればなんとかなるだろう」
「「いや。それはおかしい」」
オレとオールマイトの声がハーモニックした。
オレとグラヴィティは化け物扱いされているが、教官は正真正銘、理解の範疇を超える人外だ。
無個性の彼が振るう技は、なぜか、有形、無形問わずに、あらゆるものを両断できる。
オレ、オールマイトや彼の指導を受けた者たちは、個性を使ってかろうじてその技を模倣できたが、
オレから見れば、プリンセスが教官をグラヴィティの近くに送ると一瞬でカタを付けられる。
それをわざと温存している
「しかし、これはどうすればいいのか……」
オールマイトは呆然と雄英跡地を見回した。
《オイラなら修復できるよ……よし、これかな》
オルフェは
森、大地、建物や雄英が誇る最先端の設備の数々は戦う前の姿に戻った。
「何回見てもどんでもないな」
「す、すごいです」
「これは一体何の個性なのか?物質操作、いや創造か。後は過去視、思考加速、分析など。
「オルフェの技をばらさないでくれ。師匠」
「おっと、すまんすまん。ここにいるのは身内ばかりだから、迂闊だったな」
キャラバン双統領のひとりが残した最高の個性。
個性共有個性《
世界中に生きている人間の個性を使用できる個性だ。
オールマイトが初めて多数の個性を使いこなせるキャラバンの傭兵を見て、オールフォーワンの関連を疑った。
だが、オールフォーワンとの大きな違いは《
《
現に、キャラバン内部の会議でも使われている。
そして、オルフェは亡くなった統領を除き、最高の《
《これでいい。しかし、体育祭は中止だね》
「仕方ないだろ。まったく、今回の雄英体育祭は放送事故の連続だ。生徒たちはロボットにぼこぼこされるとか、グラヴィティが襲来したとか。荒れるぞ、これは」
日本では南極戦線のことをあまり知られていない。
オメガのことは普通に最高機密として扱われてきたから、これはどうやって大衆に説明すればいいのか?
現在の報道を確認したいタウラスは、端末を確認した。
ほとんどは雄英の消滅と再生の報道だが、タウラスは一つの小さな記事に目が留まった。
【ヒーロー殺しの凶行まだ止まらず!今回の被害者は、インゲニウム!】