1、
体育祭が中止になって、数日後校内で小規模の体育祭を開催し、それを編集して公開する予定だ。
体育祭での活躍は生徒にとって大切なチャンスだから、完全にキャンセルするのが流石に無理だ。
だから、今は生徒たちの力の
一人一人呼び出して、アドバイスをしたり、戦い方の相談を受けたりする。
たとえば、
作れるもののバリエーションは少なすぎる。
「サポート科の課程を
たとえば
「炎を使えと言わない。それはあなたの選択だ。しかし、せめて欠点を埋めろ。体温のコントロールはもっとも大事な問題だ。サポートアイテムを使うか、個性の使い方を工夫するか、よく考えろ。あと、接近戦を磨いておくがいい。あなたは中距離と遠距離戦が強いが、接近戦に不慣れだ。少なくとも、敵から距離を置く技術を身につけろ」
このように、半分の生徒にアドバイスをした。
残りの半分はオールマイトに任せた。
職員室に帰る途中で、オールマイトと緑谷に会った。
「ちょうど良かった!緑谷少年、さっきの話はタウラスの方が詳しいぞ」
「何の話?」
三人は空いた教室に入って、話を続いた。
「実はオールフォーワンのことについて、一つ疑問があります」
「疑問?」
「どうして彼の勢力は海外に及ばないですか?」
「ああ、そういうことか……それは、運がないから」
彼は最初の海外進出で特大の地雷を踏んだ。
「彼が初めて外国に勢力を伸ばそうとしたのは90年前。あの時は日本に対する
「どの国なのですか?」
「アフリカ大陸。あの時は
「90年前のアフリカ大陸………え、まさか!」
「そのまさかだ。あいつ、よりにもよって
アフリカ共和国国父・ナデル=エンゲマ。
《
まあ、サハラ砂漠の一部を傭兵国家キャラバンを売り払ったから、
「後で、私が持っている日本の資料に合わせて読むと、オールフォーワンがあの戦いで重傷を負って、それから十年まともに動けない。今の日本政府はあの時、力を増えて彼の統制を打ち破ったのだ!つまり、ナデル=エンゲマは日本の恩人でもある!」
「アフリカ共和国にかなり詳しい資料が残っているよ。あそこは
オールフォーワンは戦士ではない。
「いいか、緑谷。オールフォーワンは強いが、オールマイトより少し弱い。それでも、
「しかし、私は彼と戦った時は一瞬、冷静を失ったから重傷を負った」
「強敵だからこそ、落ち着かなければならない。オールフォーワンだけじゃない。すべての敵に対してもそうだ。オールマイトを尊敬するのがいいけど、彼の失敗から学べることもある」
「はい、わかりました!」
そして、タウラスは職員室に入った。
「ファブニールは一体どこへ行ったのか?」
「そもそも、なんで今ころ出てきたのでしょうか?」
そこで、教師たちはファブニールのことについて話している。
オールフォーワンは叔父の正体をメディアにばらした。
ご
幸い、オレのことは新聞に乗っていない。
知らなかったか、あるいはばらす気はないか。
どっちにしろ、早く解決しなければならない。
オレはオールマイトの
そのため、叔父さんのことはオルフェに任せた。
「ねえ、タウラス先生はどう思いますか?」
「オレとしては、彼の家族に同情するよ。彼の息子はヒーローを
従兄はヒーロー活動をやめ、叔母さんのところに帰ったそうだ。
「ああ、確かに……」
「それに、少しおかしいと思う。ファブニールだと思われる人は行方不明で、どこにいるのかが分からない。ニュースに色々な
ヒーローたちを混乱させる誰かがいるのが真実が、それ以外はでたらめだった。
今の自分ができることは少ない。
叔父さんを助けに行って、その時オールマイトが狙われたら、任務が失敗する。
………頼むぞ。オルフェ。
2、
オルフェは
二階建ての家の周りに、ハイエナのように
時に、大声で家の中にいる大叔母と従伯父に、「逃げ隠れしないで、さっさと出てこい」「犯罪者をかばうな」などと騒いでいた。
………不愉快だ。
オルフェはこいつら全員を吹っ飛ばす気持ちを抑えて、二階に潜入した。
「誰だ!」
二階の床に降り立った瞬間、敵意を向けられた。
兄さん(ポラリス)と同じタイプだ!
自分の
★
自分を縛った狼はかなり困った表情をして、爪でスマホを操作している。
この狼は何がしたい?
大声で叫んだら、相手が母に傷づけるかもしれない。
いや、そもそも反抗できない。
感じられる範囲の空気が全部、相手に制御されている。
《もしもし、大叔父さん?実は………》
詳しくは聞けられなかったが、大叔父さんと呼ばれる人物に今起きていることを伝えたらしい。
そう思うと、彼はスマホを差し出した。
『
父さんの声だ。
「父さん!?いや、あんたは自分が父さんだということを証明できるか?」
『昔、竜に変身して、五歳のお前を
本当のことだった。
あの時は富士山に行きたいと喚いたら、父さんが仕方なく連れて行った。
今となって、それはどれほど危険なことだと分かった。
「今どこにいる!?大丈夫か!」
『今は海人の家にいるから大丈夫だ。しかし、少し負傷しているから、数日ここから動けない』
「……海人の家?」
『海人のことについて、そちらにいるオルフェに聞くがいい』
《初めまして、オルフェです》
オルフェという白銀の狼は一礼した。
★
「………つまり、海人はタウラスに改名して、今は世界有数の大金持ちで傭兵国家の王の一人で、息子三人いる!?」
《大体そんな感じ。ちなみに、オイラも王ですよ》
それから自分の個性と
なんでみんながオイラの毛に触りたがる?
「さて、これからどうしましょう?」
「正直に言うと、今できることを確認したいが」
《ん……そう言われても……もっと具体的な質問をしてくれないか?》
できることはかなり多いから。
「オールマイトとどっちが強い?」
《今のオールマイトなら完封できるよ……昔の彼なら一方的にボコボコされるかもしれないが》
全盛期のオールマイトの記録を見たことがある。
あれは一体なんなのだ?
《ちなみに、力で解決することはお勧めしないよ。父さんと戦う羽目になるから》
「………なあ、こういう計画はどうだ?」
3、
一週後、タウラスは朝から体育祭の映像を編集している。
生徒たち一人一人の強みをアビールして、弱みをサラッと流したように。
これはテレビで放送するものだから、見応えの方が大事なんだ。
ヒーロー向けの映像はあまり編集していない代わりに、タウラスが書いた参加者たちの評価が付属されている。
三時間後、仕事を完遂したタウラスはオールマイトに廊下で話し合った。
「ヒーロー科の生徒だけでも見たほうがいい」
手渡された書類を見て、オールマイトは眩暈がした。
「これ、ヒーロー科だけでも辞書並みに厚い………!」
「おかしいなのか?キャラバンの新兵評価のつもりでやっていたが」
「いや、大変参考価値がある資料だ。どれくらい時間が掛かったのか?」
「一時間くらいかな?分割思考でやったから、並行処理で時間が短縮できる」
「なるほど、納得した。少しツッコミしたくなるけど」
オールマイトと別れてから、スマホが鳴いた。
「ん?イーヴァルディからの連絡?」
『もしもし、父ちゃん?
「行きたいけど、今は仕事中なんだ、晩ご飯ならともかく。…………待て、叔父さんが帰ってきた?」
『そうよ。これから記者会見をやるそうだ。僕もテレビに出るよ。それじゃ』
タウラスは職員室に駆け込んで、テレビをついた。
【……この私がかのヴィラン・ファブニールという話は、全くの
うわ、完全にしらを切ったな。
マスコミが映像や写真などの証拠を提出したが、叔父さんはすべて偽造だと言い張った。
【さらに、アリバイがあります。映像の時間から五分後、私は傭兵国家キャラバンでパーティーに参加しました。こちらはパーティーの主催者・イーヴァルディ様です】
【
【ご存じの通り、プリンセスほどの
ひでぇ、イーヴァルディは
真実を混じった嘘はもっとも厄介だ。
マスコミは騒ぎ始めた。
散々攻撃してきた相手は突然にアリバイを提出したから当然だ。
「タウラス先生。これをどう思うのか?海外に詳しいだろ?」
相沢先生は聞いてきた。
「さあ、彼は本当にファブニールかどうかが分からないけど、パーティーに参加したのは事実だと思う」
「イーヴァルディという傭兵の発言は真実だと?」
「
画面上が映るのは巨大なドラゴンが一軒家を粉砕した景色だ。
よく見ると、その爪は一人の女性を握っている。
……この場所、叔父さんのうちだろう?
【ファブニールに
そう咆哮した後、伝説の獣は飛び立った。
後を追うものは一人。
鳥人のヒーロー・スカイウォーカー。つまり、タウラスの従兄・飛鳥だ。
【母を返せ!】
…………面倒な策だなこれは。オルフェ。