1、
《うわ、
「当然だ。ドクターとオールフォーワンが直接に手を下した
オルフェはオレが買った高級アパートの一室にくつろいでいる。
テレビの
さらに、死者からの手紙も凄まじい反響を引き起こした。
死者の手紙について、オルフェの名前は出なかったが、死者と交流できる個性があるという簡単な説明をした。
オルフェは許可したからオレも気にしなかった。
それでも、彼の素性を口外さないように念入りに言っておいた。
《しかし、オールマイトおじさんのことは何もなかったね》
「わざと
オールマイトの今の状況は、あまりメディアに露出しないほうがいいと思って提案したことだ。
彼があと数年で引退するから、民衆にオールマイトがいない社会を段々と慣れてもらわないと困る。
「そして、他のヒーローたちの
《でも、相手もそれを予測したよね》
「ああ、だからこそこちらのアキレス
治安の悪化は政府の
犯罪者は警察を恐れなくなると、罪のない平民を傷つける。
政府が自分たちを守れないと思い込んだ人々は自分の力で自分を守ろうとする。
両方の衝突はやがて
日本の最大の抑止力はオールマイトに他ならない。
今はそれを失うと、大変なことになる。
《なんというか、歪んだね。ここの社会》
「別に、ある意味完成された社会だよ。オールマイトは
皮肉を言っているが、良くも悪くもオールマイトは百年に一人があるかどうかの英傑だ。
社会の構造を一人で支えてきたと言っても過言ではない。
だからこそ、
その時、オールマイトからの電話が入った。
2、
「……こ……これは本当なのか!お師匠が」
「DNA鑑定の結果だ。間違えないだろう」
自分の恩人で、第二の師匠グラントリノからの緊急連絡を受けて、オールマイトは彼の事務所に訪れた。
そして、恐るべき真実を知った。
「死柄木が持っている手はお師匠と彼女の家族の手。死柄木はお師匠の孫……」
「彼女の家族は全員死んだから、警察はパートナーである俺に連絡した。いくら本人の願いで彼女の家族と
「オールフォーワン……なんということをしたんだ!」
沈んでいる気持ちを、オールマイトは無理やりに奮起させる。
志村一家の殺人事件を読み解け、事件解決の糸口を探さなければならない。
さもないと、誰も救えない。
なくなったお師匠も浮かばれない。
その時、オールマイトの頭に一つの考えが閃いた。
★
「なるほど、それでオルフェの力を借りたいか……どうする、オルフェ?」
狼は首を傾けて、答えた。
《……………できない。
仕方なく、オルフェが彼らと話している間、三人は事務所の外で待つ。
「タウラス、あなたは一体なにをしたんだ?お師匠の家族全員はあなたが嫌いって……待て、まさかアレをやったのか!!だから、ドクターの身分と居場所が分かったのか!」
勘が良すぎるだろ。タウラスは呆れた。
「
「……死柄木を攫った犯人は
「そうだ。で、そいつから聞き出した情報によって、前のドクター逮捕に繋がった」
「なんでそんなことをした」
「オレが攫わないと、彼はいつかオールフォーワンに救出されただろ」
「彼に何をしたんだ?」
「情報を聞き出した後、解放したよ。
運が悪かったな。タウラスはそう考えた。
まさか、
「……………………次はないぞ。タウラス」
「わかっている。あと、死柄木を救出するのを諦めるほうがいい。たとえ助けられても、彼は普通にタルタロスに何十年入獄するか、終身刑になるぞ」
後から調べたことだが、死柄木が殺害した人間の数は二桁に上る。
オールフォーワンがわざと彼に人殺しを慣れさせたと見える。
「それでも……彼を助けたいのだ」
「わかった。最善を尽くそう」
甘すぎる友人を見て、タウラスは計画を修正し始める。
3、
《……聞き出した情報は以上だ》
正直、使えない情報ばかりだ。
死者たちは何にも知っているわけではない。
よほどの強い思いがない限り、
死柄木の家族は自分が殺されることについて彼に恨んでいないから、意識はかなり薄い。
オールマイトのお師匠はオールマイトがオールフォーワンを倒したのを見てから、執念が消えた。
「過去の事件を解明したのが、大きな一歩と言える。それに、死柄木の家族が彼に恨まないと知って、ほっとした。ありがとうございます。オルフェ。」
《……先に言っておくけど、あの人たちが彼に許したのは家族だから、他の犠牲者は彼を許しはしないだろ》
それを聞いたオールマイトは静かに頷いた。
「だから、罰を受けさせる必要がある。自分が犯した罪を自覚させなければならない」
次に、オレはこれまでの情報を整理した。
「今回の調査で判明したことだが、志村一家殺害事件の原因は死柄木の
「……
グラントリノは絞り出したように、言い放した。
「…………オールフォーワンがお師匠の手を持っている時点でおかしい。彼はそういう
苦しげに、オールマイトが言った。
「とにかく、オールマイト、あんたは友人たちと連絡してこい。なにか異常があれば言ってくれ、オレの方が調べよう」
「……調査は私がやろう。いや、これはきっと私がやらなければならないことだ」
「わかった。なら並行してやろう。別々の視点から見たものは違うから」
これからの方針を決めて、ここにいる四人は一旦解散した。
★
家に帰ると、長男の連絡がきた。
《今のところ、異常はないようだ》
「そうか。引き続き、警護をお願い」
《あと、なんというが、叔父は弱いな》
「そりゃそうだろう。彼はオレたちのように
長男・ポラリスはオレの頼みを受けて、弟を警備している。
彼の隠蔽技術はキャラバンの中でも突出しているから任せた。
《ちなみに、叔父は今、インターンをしている。場所は……》
「ああ、それはもう知っている。インゲニウムのところだろ。こちらの学生の中であいつの弟がいる」
《彼は今、ヒーロー殺しというヴィランを追っている。叔父もサポートしている。俺の見立てでは十日間で接触できるだろ》
相変わらず、凄まじい
「まあ、危険があれば逃げてもいいよ。これは依頼じゃない。ただのお願いだから」
弟と息子なら、オレは迷いなく後者を選ぶ。
《……心配ない。それじゃ》
ポラリスとの会話が終わったあと、オルフェはオレに近づいた。
《父ちゃん。兄さんは何かをやると決めたようだ》
………何なのだ。この言いようがない不安は!