プロローグ 夢
「そんな…顔、しないで…お姉ちゃん…私、お姉ちゃんの、妹で、いられて、良かった……ずっと、ずっと…大好き、だよ」
私の腕の中にいた少女はそう、言い残すと次の瞬間ポリゴンの欠片へと姿を変え 宙を舞った。 腕の中についさっきまであったはずの温もりは既に無く、残ったのは寂しい寒さだけだった。
「…ッ」
「そんな…」
後ろから私達を、いや私を助けてくれた刺突剣使いと片手直剣使いの気配が 今更のように意識に流れ込んでくる。 なぜこの人たちの気配は感じ取ることができ、 あの子襲った 、 殺したモンスターの気配は感じ取ることが出来なかった…?あの日、この世界(デスゲーム)が始まってからこの子は私が命に代えても守る、絶対にあの世界に還す、そう決意したのはずなのに…。
その時だった。
視界の端でずっと揺れていた何かが動いた、そう認識したと同時に私は軽い衝撃と共に温かい何かに包み込まれていた。私を包み込む何かが震える。何かが聞こえる。
「ごめんね…ごめんねッ…」
嗚咽交じりの幼子のような震え声がただ、同じ言葉を、私への謝罪を繰り返す。彼女は何も悪くないはずなのに。私は気付いていなかった。
自分の頬を伝う一筋の雫の存在に。
「ラ、イム…?ら…は、葉憐どこ…?はれん…返事…して…っ!」
やがて私はその温もりと鼻先をくすぐるどこか懐かしい香りが遠ざかってゆくような感触を味わいながら意識を浮遊させていった。
2024年11月3日 浮遊城アインクラッド第47層、青い花弁が舞う中また一人、命を落とした。
「…?」
朝、眠りから醒めて自分の頬を濡らしてる存在に気づき、驚いた。
「泣いて…た?」
なぜ…?どうして?湧き上がってくる疑問と共にもう一つあることを思い出す。…そう言えば、妙な夢を見た気がする。何か手がかりになるかもしれないと内容を思い出そう試みるが記憶が霧がかかったみたいに霞みはっきりと思い出せない。何か大切な…忘れてはならないものだった気がする。今、この時私の中に残ったのはどこか切ない抱擁感と締め付けられるような胸の痛み、そしてどこか懐かしい優しい香りの余韻だけだった。ふとあることを思い出し時計を確認する。その細い今にも折れてしまいそうな華奢な秒針は私に残された時間が残り僅かな事を告げていた。
「準備、しなきゃ…」
私はこれから久しぶりに、そして再び会うことになるどこかつっけんどんな、でも実は心優しい幼馴染と過ごすこれからの毎日へ思いを馳せた。
『注意事項』
・基本ゲームオリジナルストーリーではなく原作に沿って書いています。
・不定期投稿になります。
以下の内容でも大丈夫という方はどうぞお楽しみ下さい。