ソードアート・オンライン〜離れ離れの冬と春〜   作:雪憐

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 お知らせ
・別の読み方のある物は【】で囲んで本文に表示させたあと後書きにて紹介します。
・紹介後はなんの印もなく表示させ、混乱を招かないようにしたいと思います。



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 アクアブルーに発光する ウィンドウの中に並ぶ数字たちを眺め、 俺はゆっくりと 詰めていた息を吐いた 。 俺が今いるここ《 ガンゲイル ・オンライン》こと通称《 GGO》 で今日ペア対抗 … 簡単に言ってしまえば生き残り大会が行われる。 俺、 キリトは長年のパートナーであり恋人である アスナ と この大会に参加していた。 大会は約二日間にわたり、 昨日の予選を突破し今日は二日目の本大会に行くところだ。 ちなみにこの大会は一日目と二日目でパートナーどちらかを変えることが可能であり、 ( 参加登録したどちらかは二日とも大会にでなくてはならない) 昨日はこの世界と出会うきっかけともなった狙撃種シノンと参加し、 無事予選突破を果たした。 シノンの狙撃距離は相変わらず 反則的だったなぁ と大会シーンを頭の中でリプレイしつつ今度は装備のチェックに移ろうとしていると 何やら服の裾を引っ張られるような感覚が…。

「ん?」

 見下ろすと光の妖精とも見紛うような雰囲気を醸し出す少女がこちらを見上げていた。 俺とアスナの愛娘である ユイだ。 愛らしいその瞳を不安そうに 揺らしながら口を開く。

「パパ…。また、無理しちゃダメ、ですよ?またどこかへ一人でいっちゃ、ママや、私を置いていっちゃ、ダメですからね?」

「…あぁ大丈夫だ。どこかに行ったりなんかしない。パパはいつもユイと一緒だ」

 ユイはかつて、旧【SAO】の【MHCP】であり 本来の役目を禁止されるという矛盾が発生したことが原因でエラーを蓄積し、記憶喪失するということがあった。 矛盾という存在が彼女の負荷となったのだ。 まあそのおかげで俺らがこうして今、 ユイと会うことができるのだから結果的に良いこと… なのだろうか。 でももう、 あの時のように二度とユイに負担や負荷をかけたくはない…、 そう願っているのに… 俺はいつもいつも…。 ついこの間だって ほんのわずかな間とはいえ 救急車に運ばれた挙句行方不明になり、 おまけに 心神喪失状態になってしまった。 行方不明の原因となったアンダーワールドの対戦の時助けに来てくれたALO のプレイヤー達だってユイや仲間たちが多くのプレイヤーに罵倒されてもめげず懇願し助けを求めてくれたから 今のアンダーワールド があるのだ。そこまでしてくれた 愛しい娘を俺はまたこんなにも辛そうな顔をさせてしまっている。

「 いつもいつも、ごめんなユイ… 大丈夫だ。 ただ俺はレアアイテム狙いで参加するだけなんだから」

 不安がる娘を少しでも安心させるため思わず強張り始めた顔を無理やり笑みに変えようとする、が…。

「 本当に ? また怖い顔してる 、キリト君」

声がした方に振り向くと一人の少女が不安と疑念が入り混じった表情でこちらを見つめていた。 どことなく怒っているようにも見える少女…アスナ は ぷくっと頬を膨らませ 続ける。

「 何でも一人で抱え込んじゃって…。 あのね キリト君、 君は一人じゃない 、頼れる人はいっぱいいるんだよ。 もちろん私もその一人。 いつか言ったでしょう? 私は死なない。だって私が君を守る方だから」

「 私もですよ、パパ。 これまでもこれからも私は皆さんやパパとママと一緒です!」

 二人の優しい笑顔が俺の凍った心を溶かしていく。 思わず二人を抱きしめる。 どれくらい経ったのだろうか、 後ろからいきなり聞きなれた声が聞こえた。

「 あのー〜お二人さん? 私ログイン早々この光景見るの何度目か分からないんですが」

「あ、 アスナさん、キリトさん。 色々あって大変だったのは分かりますがいい加減ここでも、現実でも毎日いちゃつくのはやめましょうよ〜」

「ほんと、ユイちゃんは 甘え 盛り だからいいけど( 見てるこっちが癒されるし) キリトくんも時と場を考えようよ。 見てるこっちが恥ずかしいよ…」

「 アスナとユイちゃんはともかくキリト 、どうせまたあんたが不安がらせるようなこと言ったんでしょう。 何度アスナ達を心配させたら気が済むのよ」

「うおっリズ、シリカ!?」

「と リーファちゃんとシノのん?どうしたの?」

振り返るとリーファ や シノン達女子メンバーやクラインやエギルといった 数少ない男プレイヤーまで全員( なぜか 皆揃って呆れ顔) 揃っていた。

「 どうしたのってアスナちゃん。 誰だって友達が大会なんかに出るんだから応援くらいしたいでしょ?ね、セブン」

「 あたしもお姉ちゃんと同じ。 キリト君やアスナちゃんが出るんだもの。見なきゃ損、でしょ?」

とレインとセブン。エギルもニヤリと笑い

「俺も今日は仕事ないしな。見に来たぜ」

「おう、俺も昨日の内に金曜の溜まった残業全部終わらしてきたぜ!思いっきりアスナとのコンビネーション、世界に見せ付けてやれ!!」

「日本サーバーだけどね…ここ。まぁ頑張って優勝ついでにお宝アイテム見つけて来てね!」

悪趣味なバンダナをギュッと締め直し笑い掛けてくるクラインに発言を苦笑気味に訂正し、ちゃっかり注文するフィリア。 他のみんなも同じように応援の言葉をかけてくる。 さすがにプレミアから「本妻」や「愛人」という言葉が( 誰が教えたのやら…) が飛び出してきた時には空気が凍ったが。

残りの合間に装備確認を終え、時計を確認する。そろそろ時間が迫ってきていたので同じく装備確認を行っているアスナに俺は声をかけた。

「じゃ、アスナ時間も時間だし総督府へ行こうか」

するとすかさずリズベットが

「アスナ、ちゃんと弾は持った?【弾薬補充箱】はいつでも出てきてはくれないわよ?あと銃の方も大丈夫?なんなら今メンテしよっか?あぁ、あとそれから…」

口を開き確認の嵐を吹っかける。自分より緊張していると思わせるその行動に思わずアスナは笑いながら安心させるように微笑む。

「ふふっ、大丈夫だよ。リズったらお母さんみたい。私の母さんよりも過保護かも。あ、ごめんねキリト君、私も準備万端だよ。時間も近いし、行こっか」

「ああ。じゃ、リズベットお母様、アスナはしっかり俺が守り抜きますんで」

と、少しからかってみた所

「なっ…この!キリトッ!一応あたしは歳上なんだから、からかうなっ‼」

余計に怒らせたみたいだが緊張は和らいだようだった。

 そのままアスナと俺はリズベットの反応に思わず笑みを零しつつホームの転移扉の中へ吸い込まれて行った。




       《今日の紹介用語》
・弾薬補充箱→バレットボックス
 その名の通りフィールドのあちこちに設置されている弾薬の補充箱。基本的にはプレイヤーのメインアームに使用する弾薬が出てくる仕様になっている。

・MHCP→メンタルヘルスカウンセリングプログラム
 旧SAOに存在した感情模倣機能を有したプログラム。主に心に問題を抱えたプレイヤーのもとへ訪れ話を聞くという役目を持っていた。

・SAO→ソードアート・オンライン
 悪夢のタイトル《ソードアート・オンライン》の略。他にも《GGO》は《ガンゲイル・オンライン》の略、
《ALO》は《アルヴヘイム・オンライン》の略である。
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