導きの青い星と蒼い絆の物語   作:MAMYU9

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死への挑戦

 こうやって一人で瘴気の谷に出向くのは何だかんだで久しぶりだった。

 殺風景とは言い難いし学者達からして見れば情報の倉庫とにでも見えるのだろうかこの谷の景色はこの前とはだいぶ違っているように見えた。

 壁には白く線が引かれているようにも感じれる何かに斬りつけられた痕、そこら中に討ち捨てられたギルオス達の酷い死体の山が大地を作り上げていた。

 いつもなら私が今通っている道も本来、オドガロンがよく通る道であって歩くことは推奨されなかったし、此処を通らないことはパーティーを組んだハンター同士での暗黙の了解でもあった。

 しかしオドガロンは通っておらず導虫も反応しないあたりこの瘴気の谷の生態系が根本的に変わっているように思えた。

 それもこれも全てあの憎きディノバルド亜種の仕業なのだろう。

 この地を牛耳っていると言っても過言ではないヴァルハザクと対等に渡り合いその上、古龍の翼を丸々一本切り落としたと言われれば生態系がガラリと変わっても何一つ不思議ではない。

 実際にオドガロンは棲みかを奪われて陸珊瑚の台地に逃げ込んでそれを狩りにミーナが向かったのだ。

 私はというとこの騒動の被害を受けた存在でもあり今まさにこの地の生態系を荒らしているヴァルハザクを狩りに来たのだった。

 古龍を相手に一人で対峙するのは些か心許ないが、それでも頼れる仲間達も皆クエストに出かけ、普段大きな出来事がないと動かない暇してるミーナとミコトもクエストへと出向く程の事態に陥ってた為、何度も言うが本当に心許ないが一人でヴァルハザクを相手する羽目になってしまった。

 

 「ん…」

 

 暗く、鼻の奥を突くような刺激臭が漂う道中を歩いていると腰に付けていた籠から導虫が青く光、目の前の地面に群がった。これはモンスターの痕跡があると教えてくれる行動だった。

 

 「さぁて……狙いのヤツならいいが…」

 

 私は背を低くして屈むとじっくりと形を作っている導虫達を睨み付け、まだかまだかと屈んだ状態で貧乏揺らしをする。

 徐々に徐々に形を作っていくと導虫は縦長い足跡を作り出した。

 

 「ビンゴッ!ヴァルハザクはこの先か」

 

 あまりにも嬉しかったので思わず指を鳴らして声を上げてしまったがこんな早くヴァルハザクの痕跡を見つけ出すことに成功したのだった。

 意外と苦労せずに済んだといつの間にかかいていた額の汗を腕で拭いながら一息つく。

 ラフィノスがいつの間にか私の頭上を二、三匹の群れをなして飛び回っていたが襲ってくる様子も無いし今気にすることではない。

 しかし何だか今日の瘴気の谷は妙に蒸し暑く、身体中が素直になって汗をかいていた。

 すると突然、ベタついた肌に奇妙な感触が触れてきた。涼しく、優しい感触。

 

 「風……?」

 

 まだ浅い所だとはいえ、風何かが吹くわけも入ってくる訳でもない風は肌を触れてきたのだ。それも目の前の奥深くへと進んで行く道から。

 その奇妙さはとても不気味でまるでこの瘴気の谷全体が生まれ変わろうとしているようだった。

 

 「何で……不思議なことばかりだな…」

 

 

 私は頭上に目をやるとさっきまでいた筈のラフィノス達が突如、姿を消していて橙色の岩肌を見せていた天井は暗闇に侵食されていた。

 するとヴァルハザクの痕跡の周りをうろちょろしいていた導虫達が青色から真逆の赤色へと変わって暗闇に吸い込まれていく。

 そして暗闇から瘴気のブレスが飛んできて急いでその場から離れると暗闇から姿を露にしたのは丈夫な棒に糸をくくりつけたような頼りない翼、長い頭部と鋭利な小さな牙は巨大な魚を連想さる古龍、ヴァルハザクだった。

 

 「お前さんの方からのお出ましか…」

 

 ヴァルハザクはその夕焼けの虚ろを向いているような夕焼けの目で私のことを凝視すると飛ぶのを止めて降りてきた。

 翼で空気中をさ迷う瘴気を私の方へと吹き荒れさせて咆哮する。

 

 龍は骸のような身体で生あるものへ正しい死を贈る為、今私の前に立ち塞がった。

 

 

 

 

 ~~~~~~~

 

 

 ヴァルハザクはただ私を見詰めながら確実に瘴気で追い詰めようとしていたようだが、私は双剣を手に取ると鎖に握り替え、そのままリーチの効いた中距離攻撃をヴァルハザクの頭部に命中させる。

 そしてもう一本で鎖をヤツの首に絡ませるとしっかり引っ張り絡んだことを確認すると思い切り走りだしヴァルハザクを壁側に引っ張って衝突させる。

 その激痛にヴァルハザクは倒れてしまい、私は何回も双剣の乱舞を叩き込むがやはり古龍といったところかまだ体力には少し余裕があるように見えて、そのままヴァルハザクは地面に向けてブレスを放ち、瘴気を辺りへ散布する。

 

 「これは離れるしか…」

 

 すると瘴気に姿を眩ましたヴァルハザクは突然、瘴気の中から突進を仕掛けてきたが、それは難なく回避してカウンターを喰らわせる。

 

 「まだ!」

 

 そして二つの刃を地面に走らせ、下から上へ振り上げる形で攻撃をしているようだったヴァルハザクを怯ませる。

 よし、と私は心の中で叫び、ヤツの細い骨に肉片をくっつけてだけのような心許ない脚を踏み台に宙へと跳ぶと何回、何十回も竜巻のように斬りつける。

 ヴァルハザクの頭部、翼の部位破壊に成功し、古龍相手に異常すぎる程の手応えと違和感を感じた。

 いくらなんでもおかしい。古龍は普通のモンスターの何倍もの生命力を持ってる筈なのにこの闘う前から体力を消耗しきっていた感じには違和感ばかり感じる。

 けれどこんなのは今考えなくてもこいつを狩った後に好き放題考察すればいい話だと自分に言い聞かせ、次に飛んできたヴァルハザクのブレスを回避し、爪攻撃、尻尾の薙ぎ払いも難なく避けた。

 もうヴァルハザクの攻撃の一つ一つが苦し紛れの一手にしか見えなかった。

 私はもう一度、力を籠めて双剣を振るうとヴァルハザクは簡単に脚を崩し倒れてしまった。

 

 「…………」

 

 私はこのチャンスを黙って見逃した。ただ、もう限界を迎えているように見えるヴァルハザクのことを傍観しながらずっと立ち尽くしていた。

 ヴァルハザクは立ち上がると、ふらついた足を地面に叩きつけて強い古龍としての意志を見せたが夕焼けの目は本当に虚ろを向いていえ口からは涎を垂らしていた。

 するとヴァルハザクはまるで私に興味を無くしたように後ろへ振り向くとそのまま足を引きずって谷の奥深くへと進んでいった。

 私はこのヴァルハザクの謎を突き止める為、意志を抱いて奥へ共に進んでいった。

 

 




読了ありがとうございました‼️
前回、更新できなくて本当に申し訳ない‼️
先週は結構多忙でして…(言い訳)
あんまり話すこともないのでこの辺で❗
ではまた‼️
導きの青い星が輝かんことを…

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