導きの青い星と蒼い絆の物語   作:MAMYU9

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ワケわからんタイトル。だが、これでいい


女と男と男と女と男と男

 変哲もない日が昇った朝、シーツが乱れたベッドに下着姿で寝ていたミーナがようやく目を覚ましてボサボサの髪を手で直す。

 カーテンで遮られている日光が薄く部屋を照らして埃が輝いて見える。狭い部屋に乱雑に片付けられた箒やバケツ、散らばった衣服などを踏みにじって彼女は身嗜みを整える為キッチンへ向かった。

 

 (そういえば前にミコトが来て掃除するように言われたなぁ…………)

 

 キッチンへ辿り着く前に屈んだ彼女がバッチい物でも持つ持ち方で拾い上げた何日か前の寝間着を適当に畳む。畳まれた寝間着は直ぐにベッドの上にほられてぐっちゃぁと崩れる。

 すっかりミコトのせいで妨害されてしまっていたが本来の目的であるキッチンへ再び足を進めて壁に貼り付けられている鏡で最低限の身嗜みを整えようとした。

 

 (洗面周りも汚ねーなぁ……)

 

 そんな事を思いながら顔を上げたミーナは途端、不機嫌そうな顔をして唸るような声を上げた。

 

 「…………………あァ?」

 

 鏡に映る自分は幾つも亀裂が走っていて区切られた小さな部屋一つ一つに自分がバラバラに映る。

 幻覚、疲れすぎかと騙されたみたいにそっと鏡に触れると亀裂の肉が挟まるような感覚を確認出来た。

 

 「鏡ィ割れてんじゃん……」

 

 最悪な始まり方だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おっ、おっはーミーナちゃん。昨日はぐっすり?俺ァ勿論ぐっすり寝れたぁ……寝癖ヒドっ」

 

 髪を整えることを諦めていつもの防具を身に付けて家を出たミーナは待ち伏せしていたスーツ姿のメイリンに捕まった。

 

 「鏡ィ割れててロクに直せなかったんすよ。買わなきゃなんなくて…取り付け代も掛かんのかなぁ…金が早速吹っ飛びそうです」

 「アララ…そりゃ可哀想に~って鏡って普通割れるかぁ?付けられてるヤツだろ?家の中で暴れてたの?」

 「暴れませんよ……」

 「十六の少女が家で暴れてたら鏡が割れてるよりもっと異常だな」

 

 

 呆れられたような顔をされるミーナは更に不機嫌なになる。信じてねーだろうなこの人。

 確かに信じる意味もなければ疑う価値すらない会話は直ぐに終えてメイリンが待ち伏せていた理由に話題は変わった。

 

 「つーか何で待ち伏せてたんですか?用件なら他を通してくれれば直接来る必要も無かったのに」

 「誰に通すんだよ………まぁ、加工屋にも用事があったからね。近くなんだテメーの足で寄れるなら寄るさ」

 「その意気込みなら年取っても大丈夫そうですね」

 「あっ!!もしかして老い先の事心配してくれてる!?キャッ!メイリンうれしッ!」

 

 

 五月蝿いと思いながらも口には決して出さず引きつった顔をしながらミーナは適当に頷いた。こういう場合、メイリンに対して適当な態度をしても彼も何も言わないので歳の差を気にせずに疎通が出来る場面でもあった。

 

 ミーナとメイリンの仲は短い期間だったのにも関わらずy長年続けてきたパートナーのような深い仲になっていた。言葉要らず、手だけの合図にも慣れてメイリンにとってもミーナは頼りがいのある人物に成長していた。

 

 「あぁ”……それで?用件は何なんですか?」

 「まぁ…俺らは呼ばれた側の用件だ。三期団…陰気臭い連中だと聞いたが苦手だな…過度なオタク連中と馴れ合いをしなきゃいけないんだが…これだけ聞かされた。後は知らねぇ」

 「三期団ってあの研究者連中ですか?」

 「あれ?もしかして俺と同じ?」

 

 どうやらミーナもメイリンと同じく彼らと面識が無いようだった。

 メイリンはえぇー、と驚いた。てっきり経験があったと思っていたのが何だか裏切られた気分に陥った。顔馴染みならば彼女だけを陰気臭い気球へ寄越して内容の報告だけを又聞きで済ませようと算段を踏んでいたが念入りにミッチリ組まれた計画が一瞬にしてパーになった。

 メイリンの口から大きな溜め息が出る。

 

 「マジかよ……会わなきゃならんのかい?嫌だなぁ……長話、お世辞、食事に…だから上の連中は嫌いなんだ。全部嫌いだ!死ねっ!糞モス供め!!」

 「そんなに嫌なら二つ名ハンター辞めちゃえば良いのに…」

 

 ボソッと呟やかれたミーナの言葉にメイリンは一瞬、言葉を詰まらせた。

 

 「ん~………それはムリ!」

 「そんなに嫌なのに?」

 「そんなに嫌なのに!」

 

 どうして?とあからさまに顔に出てしまっているミーナにメイリンは素直に包み隠さず話した。彼女もその言葉に疑問はあるが疑いは決してしなかった。

 真っ先に分かったのは理由の真相ではなく、それが事実だということだったからだ。

 

 「フユメさんとの約束でね。どっちかが死ぬまで俺はあの人に付いていく約束。ちっさい頃に契約の形で従ってねー七年くらいは共に行動してきたね。そんなんで俺は死ぬまでフユメさんに付いていかなきゃなんねーの」

 「へー大変そうですね~」

 

 大変という言葉にメイリンは過剰に反応して声を上げた。

 

 「そうなんだ!よ!!マジでフユメさん基本、不祥事やらかした時、俺の事指差すから殆ど俺の責任になるんだよなァ!!やってらんねーぜェ!!ホントよォ!!」

 「じゃあ何で約束したんですか?」

 「タイプだったからァ!!」

 「じゃあ約束は何で守るんですか?」

 「スキだからァ!!」

 

 自信満々に勢い激しく答えるメイリンに彼女は腕を組んで顎を上げて目も瞑ったミーナは少しの沈黙の後に口を開いた。

 

 

 「立派な理由じゃないですか」

 

 彼は予想外の事にキョトンと───するハズも無くメイリンは腹正しい位に口角をつり上げてニンマリと笑っているのだ。さもその答えが当然だよね!!と確信していたかのような端から見たら気色の悪い笑みだ。

 

 「ンだぁろォ~~!!」

 「んすねぇ~~」

 

 メイリンとフユメは長い付き合い。そこには二人以外に共有し難いような話も有るだろうし話されても返答に困るだけのミーナは自然に返していた。ただ、嘘は一つも吐かず本音だけを馬鹿正直に口にして細かい所に気を配る。

 最低限の歳の差はここで空ける。

 

 「そう言えばさ、ミーナちゃんは何でハンターになったのさ。少なくとも生きてても地獄で早死にするような職業だというのは知っててなってるんだよねぇ?」

 「あ”……理由ですかぁ……(あれ…何でだっけ)」

 

 彼女がハンターになると決断したのは十年も前。幼くて無知で、外の広さを何も知らなくて、ただ何かにすがる為に認められる何かが欲しかったような気がする。

 朧に霞む霧のように薄く漂っていた記憶が隅の奥へ引っ込んで思い出せずもどかしい彼女は一掴み霧を取り出してそれを返答に変えた。

 

 「─────メイリンさんと同じですよ」

 

 死んでも良いからあの人に尽くしたかったのを思い出した。それくらい感謝しているのだ。

 その言葉を聞いたメイリンは悪人面をニコッと笑わせて握り拳を寄せてきた。暫し彼女は訳の分からぬまま戸惑って雰囲気に合わせて拳を合わせた。

 

 「じゃぁ…お仲間だね」

 「あっそう言う事」

 

 理解した顔で少女は「なんだー」と微笑んだ。十六歳のしていい顔でなかった彼女がようやく年相応の活気溢れる顔をしてくれた。

 過酷な職に就きながらも彼らもまた人間であるのなら笑うのだ。

 

 そうして彼らは三期団の空飛ぶ研究施設へ向かうべく翼竜の止まり木へ足を進ませたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アズマ・サッガルン(26) クー・ハイシュ(22)

 ヒスクマ・ブリルア(17) ハブルガドロ(44)

 ゴヂ・ガンガシット(39) イズク・ノノリ(12)

 マナ・ガンガシット(34) トウホク・ノノリ(35)

 ボア・ガンガシット(14) ガーランド(59)

 アガバト・キラ(81)

 

 イナ・ディーマルラ(45) シナト・ディーマルラ(42)

 コルクト・バーバル(45) ディナ・バーバル(73)

 ダトナ・バーバル(78)  シストシア(17)

 ササラ・アネコ(17) ネマ・アネコ(41)

 レノマ・サックル(18) ヨツバ・サックル(11)

 ササクラ・バンダ(46) キズク・ススメ(61)

 テンドウ(33) ホクサイ(93)

 

 ササマ・アキ(21) ガルラ・ハァル(27)

 チモト・ヤッツ(22)

 

 アスカ・クリュヒュリュデ(34) ヌコラ・シシマ(29)

 マツマ・ヨルフサ(31) バン・タイリード(37)

 

 ■■■■(▲▲) ■■■■(▲▲) ■■■■(▲▲)

 ■■■■(▲▲) ■■■■(▲▲)

 ※以下五名は機密保持の為、名前を伏せてから処分をお願いします。

 

 計三十七名は一連のライダー殺し■■■の犯行により一ヶ月の内に現在殺害されている事を確認。

 処理に向かったギルドナイトは速やかに■■■の殺処分を遂行して下さい。───△日

 

 訂正。リスクレベルの改正。

 ■■■の殺処分を一般ギルドナイトから二つ名を持つハンター、もしくはその地域に在中しているハンターに変更。地域在中のハンターに協力を要する場合は大型モンスターの討伐だと説明し、事後処理後に協力した人物の殺処分、もしくは買収を行ってください。買収された人物の処分はギルドが請け負い、その金額も保障します。

 

 ■■■の身柄拘束に成功した場合は当面、ギルド下の監視に置き、幾つかの実験後に兵器として利用が不可能であれば直ぐに殺処分が実行されます。

 また、彼と深く関係があると思われる□□□の処置について二つ名ハンターとギルドの監視の下、特に異常性、■■■との連絡が視られない場合は安全と見なし監視を取り止めるようお願いします。もし、異常性、■■■との連絡、接触が視られた場合は直ぐに担当している二つ名ハンターは拘束を行って下さい。抵抗があった場合は殺処分を行って下さい。

 

 ※現在、上記に対応し、内容を把握している二つ名ハンターは一名しか居ない為、早急にギルドナイトの派遣をお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ■■■の移動先が新大陸と判明。

 直ぐ様ギルドナイトの派遣を優先して下さい。

 目的が不明な為、最大限警戒しながらの作戦となります

 

 

 

 

 

 

           ─ ─ ─ ─△△日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新大陸調査拠点アステラの生活区画はまるで蟻の巣をくり抜いて巣の断面を仰向けにしたように入り組んでいる。突き当たれば壁、拓けば海と迷えばキリがない。それが此処へ初めて来た彼らの印象に強く残っていた。

 存外、調査拠点と云う堅苦しい名目の生活区画であってもくまなく目を細めて見ればこの区画は良く機能している町のように昼夜問わず活気が溢れ外出する人の足が途絶えない。個人で出す店も増えたのは人口の増加に伴った自然作用のように右肩上がりになった。

 

 それこそ此処での生活に慣れてしまえばお気に入りの店も出来る訳で眩しい壮観が味わえるミコト行きつけのカフェテラスにフユメと来ていた。

 テーブル上に置かれるコーヒーカップと皿に乗ったサンドウィッチが何の色気も出さずにいる。

 

 「最近になって仕事の疲れが一気に襲ってきてね……楽しい食事もこの前が最後だから…こうやって景色を楽しみながら話すのも良いねぇ…」

 「意外と穴場なんですよ此処。ほら、周りも席が空いてますし」

 

 彼女のコーヒーの水面は揺れない。高所に佇んでいるテラスで風が一切吹かない不吉を漂わせる空はどんよりと空気を落とした。鍛冶屋の煙突から流れ出るような灰の積乱雲が奥にびっしりと並んで後数時間で晴れ間の空を覆い尽くそうと迫ってくる。

 

 「………ミコトはこの世界をどう思う」

 「………っえ?」

 

 呆けた様子で景色を眺めていたフユメが口を開いた。あの積乱雲の中に何があるのか分からぬようにミコトにはその問いの意図が理解できなかった。

 

 「いつまでも経っても誰も最高責任の玉座には座ろうとせず、民衆の声に怯んで支配出来ぬままのこの世界は……私は間違っていると思う。この世界にはいずれ支配者が必要だ…。人でなくても世界はある一つの下に支配され、全てが平等に生きるべきだと私は思う」

 「ハァ…僕にはよく分かりません」

 

 静かな空間が迫って心臓を圧迫してきている。コーヒーの湯気も灰空に融けて小鳥一匹も囀ずらぬ二人だけの空間はただの壁の透けた密室のようであった。

 フユメの眼の輪がぐるぐると廻って催眠をかける。

 

 「─────君は独裁者をどう思う」

 「どく…さい…しゃ…?」

 

 不気味さに()が掛かる。

 

 「この世界は法律で支配され、犯罪者は息を潜めて永遠の眠りに着く。全てが正され悪は一つも見逃さず法律によって裁かれる。世界は法とそれを築く支配者をもとめている…それを遂行するには独裁者が居なければならない」

 「えっ…いきなりどうしたんですか?」

 「ミコト…私は元々うんざりしていた。この世界はクソだ。何処まで行ってもクソみたいな悪党が息づいていて正しく裁かれる事も事実が公になる事もない。誰が望んでいるんだこんな世界」

 

 ミコトは訳が分からなくなる。四方八方から五月蝿く罵声を浴びさせられてる気分に陥る。

 目の前に広がる花鳥風月も楽しめぬまま光の速さで彼は混乱する。

 

 「なぁ…ミコト。─────私と契約しないか」

 「あぁ…え、あぁ……?」

 「私と契約しなさい」

 

 段々脅迫じみてくる彼女の口から放たれた言の葉は彼を縛って鎖付けにしては逃げられなくする。例え、鎖が朽ちとけ縛りが無くなったとしても今の彼には逃げる程の理性が残ってはいない。

 

 ミコトはフユメの罠にまんまと引っ掛かったのだ。落とし罠でもシビレ罠でもない言葉の罠にはまっていた。

 それでも彼はなけなしの理性を振り絞って反発する。

 

 「────いや…で…す…!」

 「………そうかい。嫌ってゆーなら無理強いはしないしこれ以上言う気もない。ただ…」

 

 引き下がったと思われたフユメから予想外の事を告げられる。

 

 

 

 

 

 

 「君はこの先いずれ、ミーナを殺したいと思う筈だ。デマカセでも催眠でもなく、君の心の奥、本心から彼女の死を望む。その時にまた君は私や彼ら(・・)のところへ自分から戻ってくるよ」

 「…………何…言って…」

 「分かるよ。その内ね」

 

 ミコトの頭の中に残った廻る彼女の輪がどんどん大きくなっているのを実感した───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「陰気くせー……」

 「聞こえますよ…」

 

 薄明かり、吊り下げランタン、薬品臭。揺れる狭い室内に木造階段。不気味なすきま風がメイリンの平常心を煽る。

 薄明かりのせいか声は聴こえるものの人の姿が見えず、幽霊なんじゃないかと不安を募らせながら二人は階段を慎重に上がった。

 

 お呼ばれした筈の身、何かしらの一杯や手土産でもくれるのかと膨らんだ期待は三期団の期団長と面会し、内容を聞いた直後にシャボン玉のように破裂した。

 

 「あ…?バゼルギウスだぁ…?」

 「私知ってますよ。ソイツ、蒼紅蓮ってヤツです」

 「二つ名か?」

 「それが二つ名じゃないのヨネ。実に興味深いでしょ?だから実力のあるアナタ達にソイツを調べて欲しいの」

 

 メイリンは欠伸をすかしては吐き捨てるように告げた。

 

 「そこそこ難易度があるんじゃないか?これは上からの仕事じゃねんだ。勿論はずむよな?」

 

 親指と人差し指で輪っかを作って俗なポーズをして薄ら笑いを浮かべる。それを見ると期団長は頭を抱えてため息を吐く。

 

 「勿論報酬は高いケド……まぁもう少し話を聞いて頂戴ナ」

 「あぁん?話だぁ…?」

 「長くなるんすかね?」

 

 パイプをふかして副流煙を撒き散らす期団長は少し思い詰めたような顔つきで語り始めた。

 

 「実はネ……現在、そのバゼルギウスの簡易的な調査が以前行われた事があったんだケド…彼の痕跡が三ヶ所で発見されたの。一つはアナタが遭遇した龍結晶の地、二つ目は大蟻塚の荒地、そして───瘴気の谷深層付近で発見されたワ」

 「大蟻塚って最近行きましたね…変なディアブロスと殺りあって大変な目に遭いましたけど…」

 「………関係でもあんのかぁ?わざわざその話するっていうのはよ~」

 

 メイリンの核心を突いた質問は数秒間の沈黙の後に期団長の口によって一つの仮説が告げられる。

 

 「痕跡からでも発せられる蒼紅蓮の膨大なエネルギーを彼らが吸収した可能性があるノ。今のところ蒼紅蓮の持つエネルギーは古龍にも匹敵する位の力も持って、それを彼らがどう吸収したか分からないけれど間違いなく出現時期からバゼルギウスの移動場所まで被っている事からここ説は濃厚なノヨ」

 「けどバゼルギウスの目的ってヤツ?が分からねぇんじゃ追えねーんじゃねぇのか?導蟲使っても痕跡が足りねぇンなら使いモンにならねーだろ」

 

 浅い知識でありながらも導蟲の弱点を知っているメイリンは捜索は不可能ではないかと話を持ち出した。いつもとは変わった姿勢にミーナは気付かぬ内に不信感を覚えていた。

 期団長はパイプをふかすと心配は無いと言い出した。

 

 「幾つかの観測班を配置してもらったノ。蒼紅蓮が現れれば直ぐに私の耳に入るようになってるノ。連絡が届けば至急、アナタ達に向かってもらうワケ」

 「観測班って…よぉ。随分ご立派な~」

 「んなに蒼紅蓮って居たら不味いンすか?」

 

 その言葉は彼女を唸らせた。

 

 「今まさに被害が出ている状況ヨ。どれも古龍と張り合える程のレベルにまで達てしてそれぞれの生息する環境を破壊しているワ。ヤツの脅威は他者にその力を感染させるような形で拡がらせていること…殺されるという脅威とは全く異なった怖さがあるノヨ…」

 「あー……難しい話になりそうだなァ?」

 「何と言うか…ホント聞くほど古龍みたいですねぇ……バゼルギウスの生態上、各地飛び回りますからね。被害は増えますよね」

 

 期団長は彼らを一瞥すると肘置きに使っていたテーブルから二つの袋包みを手にとって、彼らにそれを渡すように腕を伸ばした。見てとれる程中には物が入っているようで相当ずっしりとしている。

 ミーナもメイリンも手に取る以前にその物が何なのか分かりきっていた。

 

 「前払いとは随分太っ腹だねー」

 「わぁ、ずっしりじゃないっすか!」

 「アナタ達、全然遠慮しないノネ……まぁ…そのお金の分はしっかり働いてもらうワヨ」

 

 そう告げられると二人は気力も覇気もない敬礼のポーズを取ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愁い帯びた白鳥のラッパ花は狂狂(くるくる)廻って夢を見せう。私は嫌いで貴方が好きなんて、それはただの空虚なのに、可哀想に、可哀想に。

 

 

 

 

 

  ────夢は、夢で終わるべきだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少年はふと、木々に覆われた森の中で目を覚ます。密接し合っている木は彼を陽光から隠すように葉っぱで匿いながら風に揺らされている。横を向いても同じような景色が面白味も感じさせぬまま続いている。

 

 ミコトはやっと体を起こす。上半身だけを起こして頭を抱えた。

 

 「…………あれ?何でこんな場所に……」

 

 彼には此処に来た記憶がなかった。突然、目を覚ませばそこは森の中だったのだ。オオナズチにつままれたような、そんな気分である。

 

 「あ、古代樹の森だ。ここ…」

 「そういう名前なのか」

 「え、あ、はい」

 

 驚いた。本当にオオナズチにでも襲われたかの彼は思ったが隣にいたのはスーツを着込んだ金髪の男だった。身長は物凄く高く、ミーナよりも十センチは超してる程だった。

 男は妙であった。新大陸の顔ぶれの中に居れば目立つような外見をしているのに一切身に覚えがないのだ。整った顔立ちにすらりと伸びた背丈、女のような金髪。ここまで特徴があって何故、覚えがないのだ。ミコトは気になった。

 

 「えっと……僕っていつから此処で寝てました?」

 「あ~~俺が来たときから寝てたな~」

 

 何だかミコトは自分の奥底に眠る本能のような突発的な衝動に駆られ、今すぐに此処から離れなければならない気がしていた。獣が自分へ害を成す恐ろしい化け物を気配で察知するように彼の顔は段々と強張っていき、空の雲行きの怪しさが余計不安を募らせた。

 

 何故こんな男の隣で寝れていた?この男の事を何一つ知らない癖に恐ろしさを全て熟知していたようなこの不安と本能的な恐怖は何なんだ。この男は今から自分に何をするというのだ。

 彼の頬から汗の雫が伝って垂れたその時、男はこちらを向いた。

 

 「怖がるなよ。互いに積もる話があるだろう」

 「貴方に……話す事なんてありません…!」

 「俺はある」

 

 いつでも逃げ出せるように脚に力を入れて直ぐに蹴って飛び出せる準備は済んでいた。後は、タイミングのみ。この男が隙を見せたその瞬間がチャンスとなる。

 本能的な予想は既に確信へと変貌を遂げていた。

 

 「俺の名前はロジエ・クリシアだ」

 「あ…」

 

 予想外の事態が襲い掛かった。ミコトはおよそ三秒間、何も思考する事はなく、力を入れた脚も不思議な事に踏みにじられていた。 

 彼は直後、どうしようもなくなった。もう、逃げ出すには遅かった。

 

 「じゃぁなァ…ライダー…」

 

 ロジエとという男の手から湧いたように取り出された真っ黒の拳銃の銃口はしっかりとミコトの眉間を捉えていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございました!
マジで復帰して読む人が居るかどうか不安でしたけど想像以上に読んで下さったみたいで感謝!
二章も後半へ入っていったんでこれからもよろしくお願いいたします。
ではまた!
導きの青い星が輝かんことを…

第二回 人気投票

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