此処は古代樹の森の奥地、此処まで来ればまともに太陽も拝めず、辺りに不気味さを醸し出してる。
まるで瘴気の谷の奥地みたいだがあの忌々しいモンスターは生息していない。プケプケやらトビカガチがいるくらいだろう。
今回の目的はプケプケでもトビカガチでもなく、ジンオウガだった。
クエストで来た訳ではないが、ジンオウガに縄張りを広げられたら予想も出来ない被害が出てしまう為、急遽狩りに行くわけだ。
そんなジンオウガを狩りに来た私とミコトは別々に行動していた。私は導蟲頼りに、ミコトはソラことリオレウスに乗って空から索敵を行っている。
しかしジンオウガが嘘のように見つからない。ミコトからの信号も無いし、どれだけ導蟲を追っても追っても見つかるのは痕跡だけでお目当てのジンオウガは見つからない。かれこれ1時間は経つだろうか、導蟲が反応しているということは確実にこの森に居るわけだ。
なんだか宝探しをしている気分になってくる。しかし、子供のように無邪気に、楽しく探している訳じゃない。今後の人生全て宝に託したような…まるで賭け事に似ている。命を賭けた勝負だ。もし、そこの木々の間から飛びかかって来られたら次こそ本当に死んで奴の餌になる。その危険はジンオウガだけじゃなく、他のモンスターにもいえることだ。
もしかしたら、私達が相手をしているのはジンオウガなんて存在じゃなくこの森、否、自然そのものじゃないかと思ってしまう。
自然からしたらジンオウガなんてちっぽけな存在で私達人間なんかハコビアリみたいなものだろう。じゃあハコビアリは?……この話はもう止めよう。
今はジンオウガに集中しろ、いつ狙われててもおかしくない。
今の私には背中を預けれる存在はいない。とうの昔に瘴気の谷で亡くした。
ジンオウガからすれば私は飛んで火に入る夏の虫だ。私はその死んでいった虫達の中の一匹にならぬよう気をつけなければならない。
『パチッパチッ』
ふと右側の木々の奥で何かが光ったように感じる。視線を前に戻すと目の前でパチッと音を立てて青く光った。それがあちこちに起きてゆく。
そして、ジンオウガを追っていた導蟲が赤くなったと思えばサッと散ってゆく。この時、異常な重圧を感じる。圧倒的な強者に見下される感覚。死という名の敗北を身近に感じさせる。
その重圧は木々の中から正体を現した。
「ジンオウガ…!」
ソイツの目はあの時よりも鋭かった。
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まるで鋭利な刃物を突きつけたような視線だった。それからは”生きては帰さない”と語りかけてこられたと錯覚するくらいに恐怖をおぞましさを感じさせた。
その恐怖は私に行動をさせた。それもすこぶる臆病な一手を。
ミーナに知らせる為の信号弾が入ってるポーチに手を送り、卑怯者の証を取らせた。数の有利を得ようとした。本当に卑怯で臆病な一手だ。
信号弾を射つため引き金に触れる。その瞬間『バチッ』
と音が鳴り、痛みが腕から脳へと伝わる。とても強い静電気が不運にも発生してしまった。
「イタッ!?」
手から信号弾が物凄い勢いで跳び跳ねる。まるで生きてるみたいに信号弾はジンオウガの元へ吹っ飛んでしまい、そのまま……『グガキィ』と音を立てジンオウガに踏み潰されてしまう。私は絶対あんな風には死にたくない。
信号弾を潰された以上、増援を呼ぶことも出来ない。腹をくくるしかない。覚悟を決めるしかない。死ぬことは許されない。私なら出来る。こんなピンチさっさと乗りきってやろう。ジンオウガに勝ってやろう。自然に勝ってやる。
「来い!雷狼竜ジンオウガ!テメェは私に負けるんだよ!!」
『ワァ”オ”オ”オ”オ”オオオォォォン”ン”!!』
私は武器を構え、ジンオウガは攻撃の態勢をとる。先手は出来るだけ取りたかったが、ジンオウガはそれを許すことはなく、その強靭な前足で地面を叩きつける。バンッっと殺気が入ってることが分かるような一撃。しかし、私はそれをひらりと避けて隙だらけになった前足を四、五回斬りつけてやる。ザシュッっと生々しい音を立てている。攻撃は通っている。このまま優位な状態を保つ為、ジンオウガの頭の真下に行き、反るように太刀を叩きつける。まるで大剣みたいな使い方だ。
『ワ”ァ”オ”オオン!?』
想像以上に効いたのかジンオウガは拍子抜けた声を上げる。確実に効いてはいるが油断してはいけない。図に乗って馬鹿やって殺されるのだけは勘弁だ。
少しバックステップでジンオウガと距離をとる。
『バギィ”ィ”ッッ!!』
突然、隣の木が折れ、青い弾が飛び出してくる。その不意討ちを避けることが出来ず命中してしまう。
今のはジンオウガと共存関係にある雷光虫が束となってぶつかって来た。
雷光虫一匹の電力は弱いが、数が集まれば意図も容易く生命体の活動を停止させられる。実際に見たことがあるが、あれは凄まじいものだ。
「ウッ!?」
こんなことになるならジンオウガに張り付いて攻撃しとけば良かったと後悔しながら回復薬を口に流し込む。コイツは決して美味といえる物ではなく、むしろ不味い物なのだがハンターとして生きていく為には欠かせない物なのだ。勢いよく回復薬のボトルを空にしたらジンオウガに投げつけてやる。
ボトルはジンオウガにの顔面に命中した。別にダメージは期待していなかった。ただ目眩まし程度になればいいなと思って。
どうやらジンオウガにとっては当たり所が悪かったみたいで、おもいっきり怯んでいた。
「オラァ!!」
私はその隙を突いてジンオウガに畳み掛ける。まずは頭を二回斬りつけてやる。その次に右前足を力任せに太刀を叩きつける。
良いぞ!完全に私のペースに持ち込めている!さっきは不意を突かれたがあんな失態はもうしない。
ジンオウガの不意討ちに細心の注意をはらい再びジンオウガに攻撃するために武器を構える。
攻撃していて分かったことだが、コイツの攻撃の後に行動をするとリスクを減らし、より攻撃出来ることが分かった。
「ハハッどうやら勝負は見えたみたいね…あんたの不意討ちももう喰らわないわ。…フフッどうやら飛んで火に入る夏の虫はあんたの方みたいね。」
ジンオウガ相手に挑発をいれてみる。どうやら私は警戒しすぎてみたいだ。不意を突かれただけで弱気になりすぎていたみたいだ。
『ワ”ァ”オ”オ”オン!!』 『ワ”ァ”オ”オ”オン!!』
突然、ジンオウガが咆哮する。それは静寂だった森に響き渡る。
「何?あぁ…これが負け犬の遠吠えってわけ?」
ジンオウガの目はまだ私を映していた。見てろ、今にもその目を見えなくしてやる。
「まずはそのご自慢の角からだバカ野郎。」
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戦闘が始まってからそこそこの時間が経ったと思う。
ジンオウガの自慢の角は折れて、地面に刺さっており、身体は傷だらけになっていた。
「オッラァ!!」
ジンオウガの頭に張り付いていた私はジンオウガの目に太刀を刺す。
『ワ”ァ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ォ”ォンンン!?』
相当な激痛がほどばしったことだろう。
「フンッ、次は左目だ。それとも今すぐ死ぬか?負け犬。」
ジンオウガは残った左目で私のことを睨み付ける。
もはやこのジンオウガは強者としての威厳を無くしたといっていいだろう。負け犬。ただこの言葉がとても似合っている。
『ワ”ァ”オ”オ”オン!!』 『ワ”ァ”オ”オ”オン!!』
またか。馬鹿馬鹿しい。鬱陶しい。
どれだけ騒げば気がすむのだろうか。
『ワ”ァ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ォ”ォ”ン”ンン!!』
今までとは全く違う咆哮。否、”雄叫び”を上げた。
稲妻のような静電気が木々をへし折っていた。ジンオウガの甲殻は開き、毛が逆立ち、稲妻を纏う。まるで別物。
”超帯電状態”
雷光虫を纏い、電力をわけてもらう。ジンオウガの本気の状態といっていい。こうなる前に決着が着くことを望んでいたが…こうなれば負け犬ではなくなった。
雷狼竜 ジンオウガの姿だった。
「本気ってわけ…?フフッ面白いじゃない…!良いじゃない…!
さぁ、あんたがただの吠えているだけの負け犬じゃないってところを見せなさい…!」
どうやら私はいつの間にか熱くなっていたみたいだ。
『ワ”ァ”オ”オ”オ”オォォン!!』
まるでそれに答えるかのようにジンオウガは雄叫びを上げる。そして右前足を挙げる。それには雷光虫を纏っており、パチパチと音を立てながら地面に勢いよく叩きつける。
同時に大タル爆弾が爆発したんじゃないかと思うほどの轟音が響く。地面の焼き焦げた跡と音が威力を物語っていた。
私は紙一重のところで避けて反撃の一撃を与える。
ジンオウガはゆっくりと地面に崩れ落ちる。決まったか?今の一撃で?
ジンオウガはピクリとも動かない。どうやら勝負あったみたいだ。
「ふぅ…終わった…」
急に全身の力が抜ける。少し長く続き過ぎたか?
確かあっちにジンオウガの角が落ちていた筈。
「確かここら辺…」
『ワ”ァ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ォォンンン!!』
すぐに武器を構え後ろを振り向くが遅かった。ジンオウガのタックルに当たり、勢いよく木にぶつかる。
ここでジンオウガが前足で私が動けないように押さえる。
更に最悪な事態に陥る。
丁度、右肩辺りだろうか?そこの防具がぶつかった衝撃で外れてしまった。ジンオウガはそれを逃さずなんとかじりついた。
「っ!?あ”あ”あ”ぁぁ!?」
痛い。顔に血が飛びはねる。生々しい音と共に激痛が伝わる。
「クソッ!?あ”あ”ぁ!?離……れろ!!」
左手で太刀を握りしめ、ジンオウガの脳天に刺しつける。けれどジンオウガは怯みもしなかった。
「あ”あ”ぁ”!?クソッ!?クソッ!?何で!?」
分からない分からない。何で死なない!?このままだと私が………。
隣を見るとジンオウガの折れた角が落ちていた。やるしかない。コイツで!!
「オッラァ!!」
力強く、握りしめ、勢いよく、ジンオウガの脳天に刺さっている太刀の真横に刺しこむ。
『ッ!?ア”ア”ア”ア”ァ”ァァ………」
ジンオウガは噛むのを止めてバタリと倒れる。やっと倒したんだ。
「ハァハァ…もう…意識…が…」
私も限界を迎えていた。少しずつ視界もぼやけてきて、意識が遠退いて来た。
「ごめ…ん…なさ…い」
私の意識は持たず、血が肩から流れてくる嫌な感覚。鉄のような嫌な匂いを感じて途切れてしまった。
読了ありがとうございました‼️
またこの終わり方です…。すいません。
まぁ、4000字をこのペースで書ければ今までよりは良いかなと思っています。
前書きの方でも書かせてもらったとおり、お気に入り人数10人を目指しています。お知り合いなどに広めたりしてもらえれば嬉しいです❗
ではまた次回❗
導きの青い星が輝かんことを…
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