導きの青い星と蒼い絆の物語   作:MAMYU9

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なんかサブタイトル気に入らない。


恐怖の刃

 それは本当に早かった。運があるのか無いのか分からない。もしかしたらこれも運命というやつなのかもしれない。あぁ…本当に…本当に早すぎる。心の準備もまだなのに…クソッタレ。もうお前と闘う羽目になるの?もう復讐のチャンスが巡って来たというの?

 リーダーの言っていたハンターからの報告だと瘴気の谷の深層で”異常なディノバルド亜種”が発見されたと。

 もし、これが”あの時のディノバルド亜種”だとすれば…きっとこれは神がくれた千載一遇のチャンスだろう。

 このチャンスでカムイの仇を取れる筈。否、取らなければいけない。

 

 「で、本当に瘴気の谷で異常なディノバルド亜種が確認されたわけ?そのハンターの勘違いだった、じゃ済まされないわよ。」

 

 私とミコトはリーダーに呼ばれて急遽、会議室に来ていて。私もミコトも私服で来ていた為、場違い感が歪めない。

 そこには、既にサシャとアステラの指揮を執る総司令がいた。余談だが、サシャは元ギルドナイトといって、ギルドの方で働いていた為、総司令とも知り合いだったみたいで彼女は調査団の中でも数少ない総司令にため口をきける一人だ。

 

 「特徴が一致してるからな…まぁこの数の少ない特徴で断定するのもあれだが、行ってみる価値はあるだろう。」

 

 「やっと復讐を果たせるわけね?本当に長かったわ。ねぇミーナ?やっと仇が取れるわ。」

 

 「本当に長かった…それで総司令、勿論討伐に向かいますよね?その任務は私達に任せてくれませんか?私とサシャはアイツとの戦闘経験があります。」

 

 総司令は少し、いやだいぶ考え込んだ。

 そして──

 

 「……分かった。お前達に任せよう。だが必ず生きて戻ってこい。これは命令だ。無理をするなよ。」

 

 「分かったなお前ら必ず生きて戻れよ?俺から三期団の期団長に伝えとくから、信号弾を射てばすぐに迎えを寄越すようにな。」

 

 リーダーからも総司令からも許可をもらった。

 これであのディノバルド亜種との闘う準備が出来た。待ってろ、あの時のようにはいかない。一方的に殺されていくのはお前の方だ。

 自然と拳に力が入る。

 

 「出発は明日の早朝だ。万全の状態で挑めるように武器のメンテナンスも済まして置け。しっかり身体も休ませておけ分かったな?導きの青い星が輝かんことを、以上、解散!!」

 

 

 ~~~~~~~~~~

 

 

 

 「ミーナ、貴女に聞いておきたいことが──」

 

 私とミコトがお互いのマイハウスに帰っている途中だった。話し掛けて来たのはミコトだった。

 

 「私の過去のことでしょう?」

 

 「……はい。そのことです。」

 

 ミコトは少し怯えながら聞いてきた。いや私に聞きにくかっただけかもしれない。

 

 「えぇ…教えてあげるわ。私の過去のことを──」

 

 

 

 

 ────────あれは一年前

 

 

 私はアステラに五期団の推薦組として此処、新大陸に来た。来たばかりの私はずっと一人で狩りを続けていた。

 知り合いなんていなかったし、誰かとつるむ気もさらさらなかった。ただモンスターを狩れれば良いと思っていた。アイツと出会うまでは。

 その日の事はよく覚えている。リオレウスの討伐に向かおうとした矢先のことだった。

 

 「やぁ、君もしかしてこれからクエストに?もしよかったら僕も同行させてくれないだろうか?あぁ…まぁ、足手まといになるつもりはないよ。」

 

 空のような澄んだ水色の髪をした高身長の男が話し掛けて来た。こんなひょんな出会いだった。私とカムイが知り合ったのは。

 カムイの実力は凄まじいものだった。腕も私より立つし、モンスターの生態にも詳しかった。けれど彼はモンスターに優しかった。

 彼は関係の無いモンスターは傷つけなかった。今思うとミコトに似てる気がする。瞳や髪なんてそっくりだ。けれどカムイはハンターを生業としていた。

 そのクエストから私はカムイとパーティーを組み沢山のクエストをこなしていった。サシャとも知り合って三人でクエストに行くようになっていた。

 この日は瘴気の谷で”オドガロン”が暴れていると報告があったから討伐に向かっていた。パーティーの中にはオドガロンを発見したハンター、イリッシュを入れて向かった。

 まぁ何度も討伐した経験があったから別に苦戦を強いられることはないだろう。そう思っていた。

 

 しかし、その日の瘴気の谷は違った。

 瘴気は濃く、腐った卵のような臭い、血の臭いが鼻を突く。そこらじゅうに転がっているモンスターの死体。

 地獄。誰が言っただろうか。目の前の光景に私達は唖然としていた。

 

 「あぁ…何よこれ。全部オドガロンが?あり得ないでしょ…もうさ一回、アステラに戻って報告した方が良いんじゃないの?もうさ、ヴァルハザクでも出たんじゃないの…?」

 

 サシャが珍しく臆病になっていた。

 

 「いいや、こんな時こそ、原因を探る方が賢い判断かもしれない…それにヴァルハザクの痕跡も見当たらない…」

 

 「私もカムイの意見に賛成。何も原因が分からないまま帰るのは愚策だと思う。」

 

 今思えばこの時、サシャの意見に賛成しておけば良かったと思う。

 

 「なぁ見てくれ、この痕跡。」

 

 イリッシュは目の前の大きな岩を指差した。そこには…

 

 「これ…まさか…ディノバルド亜種の痕跡?大きい過ぎない…?いくらなんでも…?」

 

 まるで剣でも研いだかのような跡。ディノバルド種特有の痕跡だ。

 

 「ッ!?」

 

 突如として感じる、”殺気”。何かが私達の背後に居る。

今までの臭いや光景がどうにでもなるくらいの恐怖を感じさせた。他の皆も感じていたらしい。全員顔が青ざめている。

 そして、何かを凄い勢いで引き摺る、というよりは滑らしているに近い音が聞こえ始めた。この金属音のような

 

 「避けてッ!!」

 

 私も含めた全員が急いでその場から離れる。巨大な剣のような何かがなんと目の前の岩を斬り裂いたのだった。

 私達はすぐに武器を構えた。目の前の──

      硫斬竜ディノバルド亜種に。

 

 「こいつがこの惨劇を…?あり得ないと言いたいが…クソッ仕方ない。こいつを討伐するぞ。」

 

 そう言いながらイリッシュはトビカガチの弓を構え、ディノバルド亜種に近づく。近づくといっても、ディノバルド亜種の間合いには入らず、かつ自分は攻撃出来る距離だ。きっとディノバルド種を狩り慣れていたのだろう。ただし、それが通常のディノバルド亜種だったらこちらが有利だったろう。

 ディノバルド亜種は己の大剣のような鋭い尻尾をイリッシュ目掛けて突き刺した。

 この距離なら届かない。きっとイリッシュはそんなことを思っていたのだろう。彼はその攻撃を避けなかった。

 だが──

 

 「ウッ!?アァ……何でだ!?クッソ!?」

 

 その光景を一言で表すなら”ディノバルド亜種の尻尾が伸びた”。正確にはディノバルド亜種の尻尾にこびりつく”硫晶”と呼ばれる結晶が急に伸びたのだった。そしてイリッシュの身体を貫いたのだった。イリッシュはバタリと倒れる。

 

 「え……嘘……」

 

 恐怖が身体を支配した。動かせなかった。本当に不甲斐ない、臆病。

 私達はただ現状に困惑し、イリッシュは激痛に苦しんでいた。

 ディノバルド亜種はイリッシュを貫いていた尻尾を抜いた。しかし急に伸びていた硫晶はまるでモンスターに刺さった矢のように突き刺さったままだった。硫晶だけ残したのだ。普通のディノバルド亜種には出来ない芸当。

 

 「クッソ!?ミーナ!サシャ!早く戻って報告をしてくれ!こいつは…多分、特殊個体にあたる存在だ。」

 

 特殊個体と聞いた時、私はゾッとした。

 

 「特殊…個体…?」

 

 「あぁ…通常の個体より一回り大きい…何よりあの尻尾。いや、硫晶か…普通のは重力に従い、下に伸びるが…あれは逆らうかのように真っ直ぐに伸びている。それが長い間、積み重なってる。」

 

 今なら分かるあの刃の異常さが分かる。だってその刃で

英雄をも殺す”英雄を斬り裂いた刃”だったのだから。

 

 「……ッ僕は先に行かせてもらうよミーナ、………君にはまだ生きてて欲しいんだ。さよならミーナ。サシャ、ミーナを任せるよ。」

 

 カムイはそう告げるとディノバルド亜種の元へ行ってしまった。

 それからカムイは帰って来ず、一度瘴気の谷を隈無く捜索したところ、カムイが使っていた太刀が発見され、カムイが生きてる可能性は殆ど無くなった。

 私はそのカムイの太刀を預かった。それが今の太刀だった。

 

 

 ──────────

 

 

 

 

 

 私はミコトに過去の”一部”だけを話した。ミコトの顔は優れなかった。どこか浮かない表情をしたまま家にへと戻っていった。私もそのまま帰路につく。

 家についてからいつもの何倍も武器の手入れに時間をかけた。

 きっと明日は長く険しい闘いになるだろうから。

 

 

 

 

 ~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 昨日、ミーナから彼女の過去を聞いた。

 何も彼女をささえてあげられなかった。力になれなかった。ただ悔しかった。自分を不甲斐ないと思った。

 けれど時間は待ってはくれない。こんな時に思うことじゃない。反省することじゃない。

 僕達は翼竜に掴まって、瘴気の谷のベースキャンプまで来ていた。

 その時のミーナの顔は恐かった。何処を見ているのだろう?僕とミーナはまるで別の空間に居るようだった。

 

 「ほれっミーナ。さっさと行くわよ。復讐に。」

 

 「………えぇ。分かったわ。行こう……ミコト。」

 

 気分は晴れない。もっとどよんとしていく。

 重い。まるで谷の瘴気が身体の重しになってるみたいに。

 

 「ねぇミコト、あんた武器持ってる?そのコートの中に隠れているわけ?」

 

 「えぇ…このコートの中にありますよ…見ますか…?」

 

 「いや、いいわ…隠しときなさい。モンスターにとって私達の武器は命を刈り取るもの。見ただけで、モンスターの闘争心に火がつく。無用心に見せびらかす物じゃないわ。」

 

 余程僕が武器を持っていないのが気になったのだろう。サシャさんが聞いてきた。

 

 「……この痕跡…サシャ、ミコト警戒して。これはアイツの痕跡の……早く見つけましょう。」

 

 ミーナは目の前の岩に刻まれた、研いだ跡を見て告げる。この近くに居る。そう思うだけで心臓が握られたかのように痛む。あぁ…こんなにも苦しいなんて。

 

 「この近くか…本当にアイツなの…?信じられない…だってアイツは一年間も姿をくらましたのよ…けどアイツなら絶好のチャンスね。」

 

 一年間、姿をくらますなんて到底出来ないことだ。けれど痕跡が此処に存在する。

 きっとこの谷に────

 

 

 「ッ!?」

 

 何かの視線を感じる。ただこちらを大人しく見ている。けれどこの谷だけじゃ収まりそうにない”殺気”。

 全員がすぐに武器を構え振り替える。

 そこには己の尻尾をこちらに構える存在。恐怖を身に纏い、絶望を与え、英雄を斬り裂いた獣竜種。

 

 

 硫斬竜ディノバルド亜種の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございました‼️
いよいよ目の前に姿を現したディノバルド亜種。
そしてそれと対峙するミーナ達。
次回は戦闘回です。
ではまた❗
導きの青い星が輝かんことを…

第二回 人気投票

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