【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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イベントの始まり(Side フウタ)

 ――――

 三人はしばらくカフェでゆっくりした後、店から出た。今は再び、ロビーへと戻って来ていた。

 ロビーにはいつも以上に

 

 

「さて……と、実はミユ、今日はジンさんとあるイベントに参加する予定だったんだ。

 タッグバトルの練習を兼ねて、ね」

 

 フウタはそう、横にいるミユに話す。

 

「へぇ! イベントって、どんな感じの?」

 

「ふふん! 今から受けるのは、これさ」

 

 端末を操作し、彼がある画面を表示させる。

 

 

 それは丁度今開催されている、アマチュア向けのイベントの紹介画面だった。

 内容は、初代機動戦士ガンダムの一大戦場、ジャブロー戦の再現イベントである。

 南米アマゾン川流域に位置する、地球連邦軍の大軍事基地。作中では一年戦争の半ば、地上で劣勢を強いられたジオン軍による大攻撃が、当基地に敢行された。

 対する地球連邦軍はジャブロー基地の堅牢さと、充実した戦力によりジオン軍を撃退、その後の主戦場は宇宙へと移って行ったきっかけにもなる。

 今回のイベントでは、大勢のダイバーが連邦軍、ジオン軍の両陣営に分かれて参加し、攻防戦を繰り広げると、言ったものだった。

 

 

 画面を見ながらジンも、こんな事を話す。

 

「参加資格は一定ランクより低いプレイヤーだけだから、それなりに対人戦の練習にもなる。

 ちなみに俺たちは、連邦軍側で参加する予定だ。かなりの相手と戦えそうだし、一週間の練習の成果や更に経験値を上げるには、丁度いいはずだ」

 

 フウタも頷く。

 

「ああ。最初にジンさんとGBNに行った時、ある悪質ダイバーにやられてさ。まずはソイツを倒せるように、なりたいって思ってるんだ」

 

 あの時、フウタとジンが腕試しで戦っていた時、いきなり襲って来た悪質ダイバーのハイゴック。最初の目的として、二人はその相手を倒すことを考えていた。

 

「フウタ達も、大変なんだね。でも、それだったら私は……邪魔かな」

 

 ミユはそう言うも、フウタは――。

 

「そんな事ないさ。今回の目的はジンさんとのタッグバトルの練習だけど、良かったらミユも参加しようよ! 

 せっかくミユと会えたんだから……僕だってもっと一緒にいたいしさ」

 

「いいの? なら――私も、フウタといたいかな」

 

 少年少女の、甘々な雰囲気。

 ジンはそれを後目に表情を緩め、少しやれやれと言った様子を見せる。

 

「全く、お熱いことで。……それじゃ、三人でイベントを、やって行くとしますか」

 

 こうしてフウタ、ジン、そしてミユ達三人は、ジャブロー戦の再現イベントを受けるべく、エントリーを行った。

 

 

 

 ――――

 イベントが行われる、バトルフィールドにて。

 フウタ、ミユのレギンレイズとジンのガンダムF91、そして他の参加者と思われるいくつかの機体は、地上の密林地帯で敵を待っていた。

 

 ――僕たちが任されたのは、この辺りの防衛って訳だ。特に――

 

 フウタが見るモニター映像には、地下に存在するジャブロー基地に通じる大型エレベーターの入り口がある。

 イベントにおける地球連邦軍側の参加者達は、地上と地下、それぞれのポジションごとに防衛範囲を定め、ジオン軍側のプレイヤーによる侵攻を防ぐことが目的となる。

 

 

 周囲にはガンダムООにおいて、太陽炉の搭載された初の量産機体であるジンクスに、Wガンダムに登場する複数のガンダム機の一つ、双剣を武器とするガンダムサンドロックなど、宇宙世紀とは異なる世界の機体が見える。

 また同じ宇宙世紀の機体ではあっても、初代よりも数年後の機体である黄金色のMS百式や、更に十数年先の機動戦士ガンダムUCの主人公機であるユニコーンガンダムまで、本来のジャブロー戦には決して集結しないものばかりだ。

 

 

 これらの機体はすべて、参加者であるダイバーのガンプラとなり、物によっては自分なりの塗装や改造が加えられているのもちらほら見える。

 また、この世界観に合わせ、NPDの操作する初期型ジムも配備されており、この辺りだけでも数十機のMS、MAがあちこちに存在していた。

 

〈思ったより、大きいイベントって感じだね〉

 

 通信画面ではミユが、そんな事を話していた。

 

「まあね。あんまりイベントとか、正直面倒で参加するような事、なかったんだけどさ。

 こうして見るとなかなか……ワクワクするな!」

 

〈私も! みんなの足を引っ張らないように、頑張らないと〉

 

 フウタが乗るレギンレイズの横には、ジンの機体であるガンダムF91が並ぶ

 そしてそこに、彼も通信に加わる。

 

〈俺もあんまり、こう言ったのは参加しないしな。だけど……ふむ、面白そうじゃないか〉

 

〈ジンさんも、頑張ってね!〉

 

〈ありがとう、ミユちゃん。

 ――それとフウタ、イベントを楽しむのもいいけどさ、本来の目的は忘れないでくれよ〉

 

 ジンの言葉に、フウタは勿論と、頷く。 

 

「一番は、僕とジンさんとのタッグバトルの上達のため、だよね。

 ミユには悪いけど、今回は僕たちがタッグで戦ってみることにするよ。だから――」

 

 実はフウタ、タッグバトルに関しては未経験と言うわけでは、決してない。

 ミユとよくGBNで遊ぶこともあり、ミッションなどで一緒にタッグを組んで、戦うことも珍しくなかった。

 腕は相変わらずアマチュアではあるものの、それでもアマチュアの中では、割とタッグには慣れている方だと自負もある。

 

 

 つまり、フウタとのタッグパートナーで言うなら、ジンよりもミユの方が先輩――なのだ

 

〈うん。ちょっと悔しいけど……ジンさん、私の代わりにフウタの事、お願いね〉

 

〈ああ! 君の代わりにフウタの面倒、ちゃんと見るとも〉

 

 二人の会話を聞き、少しぶすっと不貞腐れる、フウタの姿。

 

「バトルの腕は、どっちもどっちじゃないか。むしろ、ジンさんの方こそ、足を引っ張らないでよね」

 

〈了解了解。――さてと、だけどそろそろ、始まるっぽいぜ〉

 

 

 

 地上の密林を覆う、幾つもの黒い影。

 見上げると、上空には大きな翼を広げ、巨大な図体を持つ紫色の大型輸送機が見える。

 輸送機は一機だけでなく、十数機も――。その巨体で、青い空を覆っていた。

 

「ジオン軍の輸送航空機……ガウか。あんなに飛んでいるなんて」

 

 これこそジャブロー戦イベントの、スタートの合図だ。

 上空のガウはハッチを開き、多数のMSを降下させる。

 ザクにグフ、それにドム、加えてズゴックやゴックなどの水陸両用機と言った、当時ジオン軍に配備されていた機体が多く見られた。

 恐らく、こっちの方はNPDのMSであるだろうが、ジオン軍側に属するダイバーのガンプラと考えられる、ガンダムSEED のシグーに、続編のSEED Destinyのザクウォーリア等々の機体も多く見られる。更にはガンダムⅩの敵ガンダムとなる、刺々しい翼を広げる赤黒い機体……ガンダムヴァサーゴまでもがあった。

 そして――

 

〈なぁ、あれを見てみなよ〉

 

 F91が遠く指さす先には、降下するハイゴックの姿が、何機か見られた。

 確かに一年戦争期のMSであるものの、この戦場はアニメ『機動戦士ガンダム』の舞台だ。外伝作品である『機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争』の機体であるハイゴックがNPDとして登場するとは考えにくい。

 だとすると――

 

〈多分、ダイバーの機体だと思うけど、もしかして――〉

 

 もしかするとあの時のハイゴックかと、ジンはそう考えた。しかし……。

 

「いや、あれは違うと思う。だってほら、頭部にドクロマークが書かれてないし」

 

 あの時二人を襲ったのは、ドクロマークのハイゴック、恐らくは別のダイバーのガンプラだろう。

 それはともかくとして、やはり改めて見ると、敵の数も多い。仮に他の味方と孤立し、集中攻撃でもされれば、厳しくなる。三人のみならず。出来るだけ別の味方ダイバーとも、一緒にいた方がいい。

 

〈やっぱり敵さんも……あんなにたくさん〉

 

「大丈夫! ミユの事は、僕が守るからさ」

 

 フウタは頼もし気に、そう言った。またジンも、こんな事を……。

 

〈それを言うなら、『僕たちは』だろ? 今は俺がタッグなんだから、忘れてもらっては困るな。

 ……と言うわけだから、ミユちゃんには傷一つ、付けさせはしないとも〉

 

 そんな二人の言葉に、ミユは嬉しそうに笑う。

 

〈あはは、まるでお姫様みたいね。でも……一番守んないといけないのは、拠点の方だって言うのは、忘れないでよ。

 ――私だって、ちゃんと戦えるんだから〉

 

 ジオン軍側の機体は、すぐ近くにも降下して来た。  

 三人は戦闘態勢を整え――迎え撃つ準備をする。

 

【挿絵表示】

 

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