【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
フウタのレギンレイズ・フライヤーの全身は酷く焼け焦げ、装甲の大部分が剥がれていた。
力なく、膝をつく機体。……F91の姿は、そのすぐ後ろにあった。
〈俺を、庇うなんて〉
「こっちはビームに耐性があるんだ。だから、盾代わりになった方がいいだろ。
……まぁ、見た目はこの有様だけど、どうにかまだ動きそうだしさ」
一度は膝をついたものの、再びレギンレイズは立ち上がる。
前にはガンダムヴァサーゴ、後ろにはガンダムアシュタロンが控えている。
どちらむほぼ無傷。まさに、前門の虎後門の狼――と言った所だ。
「さてと、厳しいかもだけど、ここから巻き返していくよ。……まずは、一体ずつ」
目の前にいるガンダムヴァサーゴ、なにしろあれ程の攻撃の後だ、エネルギーも消耗しているはずだ。
だから、先にこっちから仕留めたい所である。
〈了解だ。
……ただ普通にやっても、厳しいかもしれない。だから、こうして……〉
自分の考えた作戦を、ジンが話す。それを聞いたフウタは……複雑な表情を浮かべる。
「……なかなか、難しそうだね」
〈仕方ないさ、そっちはまともに動かないんだからさ。無理言うかもしれないが、出来るだけフウタが今いる場所の近くまで、誘い出してくれよ。
何しろ……こっちも当てられる自信がないんだ〉
苦笑いし溜息を一つ、フウタがついた。
「はぁ、こっちはボロボロなのに、ずいぶん無茶を言うよね。けど――了解」
レギンレイズは片腕に握るライフルを構え、一方でガンダムF91はビームライフルを握る。
そして……一気に行動を開始した!
レギンレイズが構えたライフルは、正面のヴァサーゴを向けられ、銃撃を放つ。そして同時に、F91はブースターを全開にして、反対側のアシュタロンへと向かって行った。
――恐らく、さっきと同じ分担で、一対一をするつもりなのか。
F91はガンダムヴァサーゴに接近し、その高機動で翻弄しながら、ビームライフル、ヘッドバルカンで応戦する。
ただ、攻撃と言っても牽制する程度、それよりも相手のクロー、ビーム攻撃の回避に専念し、時間を稼いでいるようだった。
一方、フウタと言えば……。
ライフルで何度も狙い撃つも、ヴァサーゴは避ける。だが――向こうもビームによる反撃は、レギンレイズの射撃に阻まれ困難な様子だった。
動かず、狙い撃ちに専念しているためか、最低でもどうにか相手の射撃を阻むくらいの役目を果たしていた。
――どの道、立てたは良いけど、足の関節のダメージが大きい。移動は満足に出来そうにないし、それに、向こうの攻撃を誘うにはこっちが都合良い。
むしろ、こっちがあまり動けない事に、気づいてくれたら――
どうやら、ヴァサーゴを動かすダイバーも、先ほどのダメージで殆ど動けないことに気づいたようだ。
ビーム射撃で仕留めようにもライフルで阻まれ面倒であり、二度もメガソニック砲を放つのもまた、満身創痍の相手には勿体ない。
……だとするなら。
ガンダムヴァサーゴはビームサーベルを抜き、レギンレイズへ迫る。向こうは動けず、近接装備もないに等しい。……これで楽に仕留められると考えたようだ。
ナノラミネートアーマーの大部分が剥がれ、本体も損傷を受けた今、一撃でも食らえば一たまりもない。
銃撃を避けながらも、ゲテモノじみた、異形のガンダムが迫る。
そして、すぐにフウタの目の前にまで。
ヴァサーゴはビームサーベルを、振り上げて止めを刺そうとする。
――しかし、その瞬間フウタは叫んだ。
「ジンさん! 今だ!」
〈――ああ〉
すると、向こうでアシュタロンを相手にしていたガンダム
F91が、途端に別方向……レギンレイズとヴァサーゴがいる方向へと機体を向け、二門のヴェスバーとビームライフルの全門発射を行った!
狙いは始めから、ヴァサーゴただ一機。
フウタは囮として相手を誘導し、ジンはもう一方のアシュタロンと戦うと見せかけ、不意をついて全火力を一気に叩き込むの――それこそが二人の作戦だ。
三本のビーム攻撃は、二人に迫ろうとする。
フウタはどうにか動かせる背部ブースターを使い、すぐ横に避けた。
そして――その場に残されたヴァサーゴ。F91の全門発射のうち、片側のヴェスバーの一撃はその翼に掠った程度であった。だが残るビームライフルの攻撃では右肩を破壊し、さらにもう片側のヴェスバーの光筋は、機体の腹部を深々と貫通した。
肩部の爆発により腕は吹き飛び、穴を穿った腹部からは爆炎と煙が上がる。
ガンダムヴァサーゴはぐらりと、後ろに傾き、仰向きに地面に倒れた。
〈……ふっ、どうやら大成功だな!〉
ジンはその様子を、嬉し気に見ていた。――だが。
彼のF91の背後から、両側の巨大鋏を構えた、ガンダムアシュタロンが襲いかからんとする。
今のジンは隙だらけだった、そんなさ中、開いた鋏が上半身と下半身を真っ二つにしようと迫る。
――ズドン!
瞬間、アシュタロンのガンダムフェイスが、銃撃の一撃で吹き飛んだ。
「へへっ、僕を忘れてもらっては、困るな」
銃撃を放ったのは、レギンレイズの握るライフルだった。
これもまた二人の作戦。ヴァサーゴへの攻撃を放ち、隙の生じたF91を襲おうとするアシュタロンには……フウタが
代わりに相手をするのが、作戦の続きだった。
頭部を失ったガンダムアシュタロン。
視界もクラッシュし、動きが止まる中、ガンダムF91は両手で二本のビームサーベルを抜き、そして――
〈止めだ!〉
一撃、二撃――胴を中心に×の字に、機体を斬り裂いた。
F91は斬撃とともに、その傍から退避する。
斬られた傷から、火花をまき散らすアシュタロン。そして一気に火が上がったと思うと、大爆発を引き起こした。
――やるじゃん、ジンさん――
目の前のジンの活躍、それを見ていたフウタは感心する。
結局はどちらもアマチュアの、アマチュア同士の戦い。その程度ではあるものの……勝ちは勝ち。
上手く戦って、勝てれば嬉しいし、楽しくもある。
だが、その背後では倒したと思われた、ヴァサーゴが動き出していた。
半壊以上の、大破しかけた状態であるものの、片腕のクローをフウタのレギンレイズへと向ける。
せめて、同じく半壊状態のレギンレイズなら……道連れに。
そう考えていたのだろう、クローの先を向け、狙いを定めてビームの一撃で撃破しようとした……が。
「残念、甘いよ」
それよりも早く、フウタはライフルを構え、ガンダムヴァサーゴに目掛けて撃つ。
一撃を受けたヴァサーゴは、小さく爆発を起こして倒れ――今度こそ動かなくなった。