【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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これで、周囲の敵は最後だった。
ようやくこれで、一息つくことが出来るはずだ。
――ははは、VRMMOはちょっと苦手なジャンルだけど、このGBNはまぁまぁ悪くない。……おっと!――
突然、グラリと揺れたかと思うと、機体が傾き出した。
とうとう脚部に限界が来たらしく、足関節の一部が破損し、地面に倒れようとする。
〈……っと、捕まえた〉
倒れる瞬間、ガンダムF91が飛んで現れ、レギンレイズを支えた。
〈大丈夫かい、フウタ?〉
「ぐらって揺れて、小さく酔ったくらいだね。あはは……本当に、ゲームの中で酔うなんて、余計な所まで再現するものさ」
心配するジンに、軽く苦笑いをするフウタ。
これを見て彼も、安心したような、表情を見せる。
〈まぁそう言うなよ。それより……今回はご苦労さま、こうして無事に勝てたのも、フウタのおかげだ〉
ジンの賞賛に、フウタは少し照れたようだ。
「ん、ありがとう。でも、ジンさんの作戦も、あったおかげでもあるさ」
二人がそう会話している時、ミユもまた戻って来た。
〈お疲れ様、フウタにジンさん〉
フウタは彼女の機体に気づき、手を振った。
「ありがと、ミユ。御覧の通り、僕のガンプラはボロボロだったけど、どうにか勝てたよ」
〈本当に……ハラハラさせちゃって。助けに行こうって思ったけど、二人で頑張るって言ってたし……見てる方も大変だったんだから〉
ガンダムヴァサーゴ、そしてアシュタロンとの二対二の戦い。ミユはその様子をずっと見守っていたわけだが、随分とドキドキさせられた。
特に、メガソニック砲の直撃を受け、ボロボロになったフウタの機体が目に入った時には、つい助けに行きそうになる程だった。
今の彼女は、どうにか無事でいてくれて、ホッと安堵している様子である。
〈だってよ、フウタ。彼女を心配させるなんて、いけない彼氏じゃないか〉
そうジンはフウタ、茶々を入れる。
「むぅっ、言ってくれちゃってさ。でも、確かに心配させ過ぎたかもだし、後でお詫びにデザートとか奢るよ」
〈ふふっ! それじゃお言葉に甘えて……と言いたい所だけど、頑張ったのはフウタだし、私が奢らないとね。
うーんと、夕方にプリンアラモードでも手作りして、持って行こうかな。……ジンさんにもご馳走したいから、良かったらお家の場所、教えてもらっていいかしら?〉
〈それは嬉しいな。けど、俺の住んでいる所は遠いし、悪いかも……〉
と、そんな風にしている時、イベントに関する情報が届いた。
それはイベント戦の結果発表。
――結果は、ジオン軍側の勝利。この辺りの防衛にこそ成功したが、別の侵入口から進行され、ジャブロー基地は陥落……連邦軍側は敗北したのだ。
〈残念だけど、私たちの負けみたい〉
「あーあ、これでも結構、頑張って戦ったのに」
何しろ、あれほどの戦いの後だ。フウタは、ガッカリした感じを隠せずにいた。
が、一方でジンは、彼に比べればその様子は薄かった。
〈合同での大きなイベントだから、仕方ないさ。それでも戦績分のポイントは入るんだし、良しとしようぜ〉
これを聞いて、
「……ま、それはそうか」
加えて、タッグバトルの経験値も、十分に上がった気がする。
……これなら、そろそろ例の悪質ダイバーが乗るハイゴックにも、リベンジが出来そう、かもしれない。
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各々の機体から、地上に降りた三人。
フウタはジンに声をかける。
「さてと……なら、そろそろ解散だ。ジンさんと今日約束したのは、今回のイベント戦だけだから、いいよね」
「それはまあ、な。どの道こっちも、今日は夜のバイトが入っているから、そろそろ切り上げるつもりだったしな」
今の時間は、夕暮れの七時と、それなりに遅い時間である。
もうそろそろ、帰るには良い頃合いだ。
「それじゃ私たちも帰ろうか、フウタ。あまり遅すぎると、お父さんお母さんも心配しちゃうよ」
「時間だって遅いしね。それじゃ、またねジンさん。……今度は、アイツへのリベンジマッチだ」
フウタの元気ある返事に、ジンは頷く。
「ああ! 前回とは違うって所、見せてやるよ」
あくまで、二人の最終目標は、ある兄妹タッグの打倒だ。
……だが、物事には順序がある。
タッグとしてはそれなりに戦えるようになった、フウタとジン。なら、今度は次の段階に進む時だ。
そんな信頼し合う二人を横目に、微笑ましげなミユ。
「うんうん。二人とも、良い感じのコンビ。ジンさん……これからも、フウタをよろしくね」
彼女のお願いに、ジンは言った。
「もちろん。こっちも世話になってもいるけど、まぁ任せて欲しい」
「そう言ってくれて、嬉しいな。……あ、そうでした、ジンさんのお家がどこか、まだ聞いていませんでしたね」
つい先ほど、ミユがプリンアラモードを作って来ると言う話……その続きはまだ残っていた。
「ははは……。ミユちゃんには、負けたな。俺の住所は、そうだな……」
そう、ジンは苦笑いしながらもうれしそうな様子で、彼女に住所を教えることにした……。