【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
ここに来て、ジンによる勝負宣言。
フウタはそれに、慌てて間に入る。
「ちょ、ちょっと!? 確かに最初の目的は悪質ダイバーへの敵討ちだけど、本人だって改心しているって事だし、今更戦うのもどうかと思うよ」
「おいおいフウタ、ここまで特訓したのは、まずはそいつを倒すって、目先の目的もあったからだろ?
誰があの時の悪質ダイバーか分かったんだ。次に進むためにも、やはりケジメはつけるべきじゃないか」
「それに、『俺たち二人』って……改めて考えると、実質二対一じゃないか。それって、いくら何でも……」
二人は、そう言いあっていた。
すると――ロッキーが、不敵な笑いを見せる。
「ふふふ……そう言うことなら、面白そうだな。いいだろう、そのガンプラバトル、受けてもいいぜ!」
ロッキーもバトルをする気、満々な様子。
「ほう? ノリが良いじゃないか。あの時の事はともかく、そこは気に入ったな」
さらにはジンもそんな様子。
だが一方で、フウタは――
「ええっ、本当に……バトルするわけ」
「何を今更、そもそも今回GBNに行こうと言ったのは、フウタじゃないか」
相変わらず、二人の言い合いは続いている。
ここに来て乗り気じゃなくなったフウタに、言い返すジン。
確かに、今日悪質ダイバーへの敵討ちに行こうと、言い出したのはフウタだ。しかし……。
「だから! これじゃ二対一だって、言っているだろ! 悪い人じゃないみたいだし、それってあんまりだと思わないわけ!?」
どうやらフウタは、ロッキーが一人しかいない事を、気にしているみたいだ。
だがこれに……当の本人はこんな事を言った。
「ハハハ! お気遣いはありがたいな。
だが、お前たち二人を相手にしても、俺は勝つ自信があるぜ」
「……なっ!」
「あの時二人の戦いを少し見ていたんだが、……あんなのじゃ、全然俺の方が上だな。確かに奇襲をしたにはしたが、もし仮に――正面から戦ったとしても、一分も経たずに蹴散らせる自信があるぜ。
確かに悪質ダイバーなんかやっていたが、普通にバトルしてもそれなりに強いんだぜ。アマチュアの一人や二人、楽勝だとも」
ロッキーは彼なりに、言い争いをなだめようとして、そう言ったのだろう。……が、如何せん言い方が不味かった。
これにフウタは、ムッとした表情になる。
口数もなくなり、少し沈黙。そして……。
「なぁ、ジン」
「……改まって、どうしたんだ?」
「前言撤回。お望み通り、二人で返り討ちにしようよ。あれから僕たちも成長したって――思い知らされてやるよ」
さっきとは打って変わり、戦意に満ちた、フウタの様子。
「ふっ! ようやくその気になったか。
ああ、俺たちの力を、見せてやろうぜ!」
二人とも、戦う準備は満タンだ。
ロッキーはこれに、面白そうに笑う。
「ようやく準備が、出来たみたいだな。
一応は言っておくが、こっちもこっちで手加減はしないぜ。もしまたやられたとしても、恨みっこナシだぜ」
「……はっ! 言うじゃないか。そうと決まったら――さっさと始めようぜ、ロッキー!」
ロッキーとジン、二人の視線の間に、火花は走る。
「もちろん、いいとも。
――ま、そっちが二人な分、こっちは戦う場所くらいは指定させてもらうさ」
あの時自分たちを襲った、元悪質ダイバーのロッキー。
彼との因縁の戦いが、今始まろうとする。
――――
ロッキーが指定したのは、周囲を海に囲まれた、孤島のエリアであった。
――この島、なかなかに小さいかもだな――
自身のガンプラである、ガンダムF91に乗り込んでいるジンは、辺りを見渡す。
砂浜と、岩場、そして少々の草木が生える、平坦な島……。
大きさも小規模、陸上をメインにした戦闘では、苦戦するかもしれない。
〈さて……と。張り切って行こうぜ、ジン!〉
F91の横に並ぶ、フウタのレギンレイズは、既に戦闘態勢に入っていた。
そして――。
二機の前には、額にドクロマークがペイントされた、ハイゴックが立ち塞がる。
〈ハハハ! ライオンは兎を狩るにも全力を尽くす、と言うだろう?
この海に囲まれたフィールドなら、俺のハイゴックが有利だからな。……さぁ、実力の違いを、思い知らせてやるよ!〉
ロッキーに対し、ジンも言い返す。
「はんっ! 動画では開始早々に、出オチで真っ先にやられたくせに」
〈……うっ、嫌なことを、思い出させるじゃないか。
だが、俺があの時あっさりやられたと言え――それがお前たちが俺より強いってことに、なるわけじゃないぜ?
御託はいいから、かかってきな! 先攻は譲ってやるぜ!〉
「それなら……お望み通り!」
F91はビームサーベルを抜き、構えた。
「フウタ、ここは俺に任せてくれよ。この一撃で――!」
バーニアを噴かし、機体はハイゴックに接近する。
そしてサーベルを振り上げ、斬撃を繰り出そうとするも……。
だが斬撃を受ける直前、ハイゴックは後ろに跳躍し、これを避けた。
――くそっ、外したか!――
跳躍した先は、後方に広がる海面。
敵機は水飛沫を上げ、海中へと姿を消す。
〈おいおい! 逃がしたのかよ、ジン〉
「水中に逃げるとは……卑怯な! 正々堂々と戦えよ」
姿を見せないハイゴックに、ジンはいら立つ。
これにロッキーは、得意げに高笑いをしてみせた。
〈ハハハハハ! 言っただろう、全力を尽くすってな!
海中はこの俺のフィールド、アマチュアのお前たちではどうしようもない!
……そして!〉
突如、警報音が鳴り響く。
――なっ!――
高速で迫る、飛翔物体の影。
とっさにジンは回避運動を取った、そしてフウタのレギンレイズも、同じく別方向に。
それと同時だった。
飛来したミサイルが、さっきまで二人がいた場所に着弾し、爆発を巻き起こす。
〈これはあの時、僕を倒したミサイルかよ!?〉
「らしいな! ……って!」
と、今度は目の前の海中から、水面を突き破って四基のミサイルがジンのF91へと向かって来る。
とっさに握っていたビームライフルで、ミサイルを撃ち落とそうと試みる。
放たれたビームが、四基のうち二基のミサイルに当たり、爆発した。
だが……残りのミサイルは、なおも接近する。
回避も間に合わないと、ジンは機体腕部の、ビームシールドを展開して防御を行う。
シールドに衝突したミサイルは爆発、煙で周囲の視界も一時的に悪くなった。
通信でフウタの声が届く、
〈ジン! 大丈夫!?〉
「ああ、どうにかな。そっちは?」
〈こっちも何とか。……くっ!〉
煙が晴れ、周囲を見渡すと、今度はさらに別方向からレギンレイズに向け、ミサイルが飛んで来るのが見えた。
あっちはどうにか、回避運動をとり、それを避ける。
〈海に潜って、そこから攻撃をとばすなんて……僕たち、どうするんだよ。
どこから来るかも分からないし〉
「とにかく、まずは視界を確保だ。こうすれば――」
F91は孤島の中央で、レギンレイズの背中につき、二機で360度の視界を確保する。
すると、水中からぷかりと、ハイゴックの頭部が顔を覗かせる。
ロッキーからも、通信が届き――
〈ほう、そう来たか! 二人であることを活かすわけか〉
「ああ! これで思わない方向から、攻撃が来るなんて心配はないぜ!」
〈確かにそうかもだが……ガンプラバトルはそう、甘くないぜ〉
「ほざけ!」
ジンは背部のヴェスバーを展開し、高出力のビームを浮かぶハイゴックの頭を狙い、放った。
だが、すぐにまた海中に潜り、それを回避。ヴェスバーのビームは海面をかすった程度である。
――また、海に潜んだか――
海に潜ったハイゴック。……と、すぐに海中からビームの弾が幾つも飛来する。
これをビームシールドで防ぐF91だが、間髪入れずにレギンレイズの方にミサイルが飛来する。
フウタは何とかライフルで撃ち落とすも、攻撃は止むことを知らない。
二人の機体が位置する、孤島を囲む海。
それこそまさにハイゴックの独壇場、全方向の海から、一方的に遠距離攻撃を振りまく。……完全に、向こうが圧倒していた。