【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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海中から飛び出した、二機。
レギンレイズはハイゴックを下にして落下し、ハイゴックは背部が、地上に強く叩きつけられた。
〈……やってくれるじゃないか。だが戦いは、これからだぜ!〉
だが、いまだにロッキーのハイゴックは健在だ。
再びクローで掴みかかろうとするも、間一髪でレギンレイズは後退し、距離を取る。
「やっぱり、これで済むわけがないか」
〈当たり前だろ。こっちなんか機体がガタガタになってまで頑張ったのに、出来たことと言ったら、海から引きずり出しただけじゃん。
向こうにだって、そこまでダメージはないみたいだし〉
レギンレイズは、海中での取っ組み合いで、あちこちの装甲が外れ、間接もガタガタで動きもぎこちない様子だった。
対してハイゴックは、一見大したダメージは、ないように見えたが……
「いや、そうでもないぜ。左腕が若干、調子が悪そうだし――バックパックと右足の方だって」
確かに、取っ組み合いでパイルの刺さった、左腕の関節からは火花が見られ、ダメージのせいか少し下がっていた。
それにバックバックも半分へしゃげ、右足からは煙が上がっていた。
「多分、さっき落下した、衝撃でのダメージだろうな。
あれじゃもしまた海中に潜ったところで、さっきのような動きはもう、出来ないはずさ」
〈そうか、あの戦法が使えないなら、数で有利なこっちが……〉
「――危ないっ!」
だがその瞬間、ハイゴックが巨体に似合わない俊敏さで、一気にレギンレイズに距離をつめ、無傷な方の左腕のクローで鷲掴みにしようとした。
とっさにジンのF91は、全力でレギンレイズを突き飛ばして庇った。だがそれでも――。
すれ違いざまにクローが、機体の左腕が、握っていたビームライフルごと引きちぎった。
凄まじい勢いで腕を持って行かれ、F91はよろめいた。
「くっ! 見た目の割には、ずいぶん早い動きじゃないか」
モニターでは、ロッキーが余裕な様子を見せていた。
〈くくっ。まさか、地上での勝負なら、俺に勝てるとでも?
さてと……第二ラウンドを、始めようぜ!〉
ガンダムF91、レギンレイズは左右に分かれる。
〈このっ!〉
フウタが乗るレギンレイズは、右腰にマウントしたライフルを引き抜き、ハイゴックを狙い撃つ。
〈あんなにデカい的、外すかよ!〉
そう息巻くフウタ。ではあったが……。
アマチュアの射撃など、動作で簡単に弾道が予測できる。
ロッキーはその操縦で、銃弾をことごとく避けた。
〈やはりまだまだだな! これぐらい簡単に――〉
と、そんな時、ハイゴックの真横から迫るF91。
「真横が、がら空きなんだぜ!」
ビームサーベルで斬りかかろうとするも、相手はクローで防ぐ。
〈このクローは、普通よりも強化してある。そしてビームコーティングによって、こうしてビームサーベルを防ぐことさえ、造作もない!〉
そして力も圧倒的。ハイゴックはその力で、ジンの機体を弾き返す。
「くはっ!」
F91は浅瀬に飛ばされ、飛沫を上げて倒れこむ。
〈ジンっ! …………うわあぁぁっ!〉
今度は、フウタのレギンレイズに、魚雷兼ミサイルが撃ち込まれる。
〈さてと、これで終わりかい。せっかく挑んで来たんだ、もっと楽しませて欲しいぜ!〉
確かに、ロッキーは悪質ダイバーであったこともあり、闇討ちなどの卑怯な行為も、一度や二度ではない。
それに実力も、上級ダイバーの域では、決してない。せいぜい中級ダイバー辺りが積の山、で、あるのだが……。
〈それならお望み通りっ!〉
ミサイルを受けながらも、今度はパイルで向かって来る、レギンレイズ。
だが――
〈ただ突っ込むだけではな!〉
ロッキーはそう言うと、機体を僅かにそらし、パイルの突撃をいなす。
そして腕を振り、パイルを弾くと、そのままクローで横一文字に装甲を切り裂いた。
〈――くうっ!〉
フウタは後退し、ようやく態勢を取りなおしたF91の横へと並ぶ。
「やっぱりあの男、俺たちには……強敵すぎるな」
そう、確かにロッキーは中級ダイバーには過ぎない。
過ぎないのだが――フウマとジンはそれにさえ、全然届かないアマチュアだ。
現にこうして、二人がかりでも、二人は苦戦している状態だ。
〈ふっ、そう固まっていると、いい的だぜ!〉
ハイゴックは両腕を掲げ、二人の機体に向けて手の平を向けビーム砲からビームを放つ。
二機は別方向に逃れるが、可動域の高いアームは、機体の動きを追う。
追う動きも早く、ビームの弾丸は二機に迫って行く。……が。
F91を追っていた左腕が、突如、その動作がガタつく。
これを見て取ったジン。
――さっきのダメージが、まだ残っているのか。なら――
彼は機体の方向転換を行い、今度はハイゴックの方へと向かって行く。
「……手負いの状態であれば!」
ビームサーベルを抜き、迫るF91の斬撃。ロッキーは、とっさに調子の悪い、機体の左腕で防ごうとした。
……が、突然の行動で、損傷した腕に再び負荷がかかる。
そのため防御に幾分かの遅れが生じ、防ぎきれずに胴体の左部に、一太刀の斬撃を受けた。
〈ぐあっ!〉
一撃を食らい、ひるむハイゴック。
しかし、斬撃は表面の装甲に傷をつけたにすぎず、未だに
相手は健在だ。
〈やるじゃないか……意外とな。だが――これで、決めさせてもらうぜ〉
一撃を当て、油断していたジンの機体に、今度はハイゴックは右腕をぐんと伸ばす。
「――しまった!」
胴体を鷲掴みにされ、途端に動きが封じられた。
〈このままコックピットごと、握りつぶして――〉
〈そうはさせないよ!〉
その時、一筋のビームが、F91を掴んでいたハイゴッグの腕を貫いた。
ビーム射撃によって切断され、長い右腕はボトッと落下する。
〈へへっ、僕を忘れてもらっては、困るな〉
レギンレイズはついさっき落とした、F91のビームライフルを代わりに握っていた。
〈フウタも、やってくれるぜ! だが、バトルはまだこれからよ!〉
ハイゴックは、残った左腕の、ビーム砲をレギンレイズに向けて放つ。
装甲は殆ど剥がれ、フレームを狙ってのビーム攻撃に、フウタの機体はダメージを受ける。
〈ちいっ! まだ戦えるのかよ〉
レギンレイズは膝をつき、動くことが出来なくなった。
〈くっ! ずいぶん手間をかけさせるじゃないか!……だが、やはり一番ボロボロな、そちらからバイバイだな!〉
と、今度は胴体を向け、ミサイルで止めを刺そうとする。
「焦りを見せたな。――今度は、足回りがお留守だ!」
身長が通常よりも低い、ガンダムF91。ジンはそれを活用し、ハイゴックの懐に入り込んだ。
そしてビームサーベルで、二撃、三撃――、両足に斬りつけた!
……火花とスパークが飛び散り、足元から崩れ落ちたハイゴック。
機体状況を確認しているのか、画面上のロッキーの目元がせわしなく動く
〈……足腰が、完全にお釈迦かよ。
くっ……それでもっ!〉
ロッキーもアマチュア相手に、負けるとは考えていなかった。
なおも抵抗しようと、辛うじて動かせる左腕を動かそうとした。……が。
〈ボロボロの僕が言えたことじゃ、ないかもだけど……見苦しいよ、ロッキーさん〉
フウタのレギンレイズは。そんなハイゴックの胴体に、ビームライフルの銃口を突きつける。
更にはF91もまた、ビームサーベルの刃先を向ける。
「その通り。これで俺たちの、勝ちってことだ」
ロッキーは悔しそうに、唇を噛む。
……だが、表情はすぐに、諦めたような顔へと変わり、そして――
〈仕方ない、か。ああ……どうやら俺の負けだと、認めるしかないな〉