【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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第五話 閑話休憩
閑話(Side ジン)


 ある平日の、朝――

 

 ジリリリリ………… 

  

 狭いアパートの一室に、目覚ましの音が響く。

 

「うーん」

 

 私服のまま蒲団で寝ていたジンは、眠たげな目で頭を上げ、手を延ばして目覚ましを止めた。 

 

「……ふぁーあ」

 

 上半身を起こし、欠伸をしながら、背伸びをする。

 恰好は私服のまま。……朝着替えるのが面倒だから、前日の夜に前もって着込んで、そのまま寝るのが癖だった。

 

 

 

 若干寝ぐせがついたまま、ジンは起き上がり、先ずは洗面台に行き、顔を洗って髭をそる。そして野菜ジュースとカ〇リーメイトと言った簡素な朝食を口にし、再び洗面台へ、歯磨きと髪を整えて、荷物を取って仕事に行こうとした。

 

 

 

再び洗面台へ、歯磨きと髪を整えて、荷物を取って仕事に行こうとした。

 

 ――おっと、忘れる所だった――

 

 すると直前にある事を思い出し、慌てて部屋に引き返すジン。

 向かったのは部屋の片隅。そこには四角く小さいケースがあり、中の回転車の所に、灰色の毛玉がぽつんと乗っかっていた。

 

「やぁやぁ、ハム次郎。……腹が減ったかな?」

 

 ジンは指をケースに伸ばすと、ハム次郎と名付けたペットのハムスターが近づき、体を摺り寄せる。

 ケースの扉を開け、中から動き小さな毛玉を、その手の平に乗せる。

 

「一匹だけだと寂しいと思うが、俺が仕事に行っている間、留守を頼むぜ。

 ほら、餌もちゃんと、食べるんだぞ」

 

 そしてケース内の餌桶に餌を用意すると、再びケース内にハムスターを戻す。

 寂しい一人暮らしのジンにとって、これはちょっとした癒しのひと時……

 

「んじゃ、そろそろ俺は――」

 

 と、ふと今度は、別の物に目が映り、苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 ――そう言えば、結構溜まっているな。……時間を見つけて、作りたいところだけど――

 

 そこにあったのは、積み上げられたプラモの箱。戦車、航空機などのスケールモデルでなく、全てロボット関係のプラモ。

 宇宙世紀、アナザー系を問わない各種ガンプラに、またその他の、〇トブキヤの〇レームアームズなどと言ったバンダイ以外のキットも、全体の半分を占めていた。

 ガンダムシリーズを問わず、ロボット関係は幅広くプラモデルを作るジン。しかし――

 

 

 ――けど、今はバトルの腕を上げてから、でないと。

 じゃあ……そろそろ仕事に向かうとしますか――

 

 そして今度こそ、ジンは仕事場へと向かうことにした。

 

 

 

 ――――

 

 タケヤマ・ジン、二十七歳。

 元々はどうだったかはともかく、今は複数のアルバイトを兼業して生計を立てる、言わばフリーターであった。

 フリーターをしながら、何とか正職を見つけようともしているが、そっちも上手く行っていないらしい。

 

 

 今は町の大型スーパーで、契約社員として働いている、ジン。

 商品の品出しを、現在はしている所……。

 

 ――ふぅ。ざっとこんな感じって、ところか――

 

 もうすぐ昼休み、それまでには、今やっている品出しを済ませたい所だった。

 すると――

 

「ん?」

 

 見ると中学生くらいの少年が一人、カゴを持ちながら何かウロウロと、辺りをうろついていた。

 その視線に気づいたのか、少年はジンの元へと駆け寄る。。

 

「あの、お兄さん」

 

「……どうしたんだい?」

 

「母さんにお使いを頼まれたんだけど、あと一つ、言われていた調味料がどうしても見つからなくてさ。良かったら、探すのを手伝ってくれたら嬉しいな」

 

 軽い様子で、そう頼む少年。

 正直、探し物の手伝いは余計な手間だし、面倒くさくもある。

 

 ――面倒では、あるんだけどね。

 ……でも、世話を焼くのもいいだろうさ。それにあの少年、フウタにも似ている。フウタには俺の願いを叶える手伝いも、してもらってるしな、今は俺が手助けするのも悪くない――

 

 ふと、GBNでのタッグバトルのバディ、フウタの事を思い出した。

 ジンは仕方ないな、と言うように肩をすくめる。そしてくすっと笑って――

 

「ああ、構わないぜ」

 

「やった! それで俺が探している、調味料ってのは……」

 

 少年から、調味料の種類を聞くジン。

 

「ふむふむ、あーね。それならこっちだな、ついて来てくれ」

 

 ジンはそう言い、スーパーの中を案内する。

 

 

 

 ――――

 

 向かったのは、当然、スーパーの調味料コーナー。

 

「ねぇ、この辺りは俺も見たんだけど……」

 

「まぁまぁ、ここは俺に任せてくれよ。確かこの辺りに……」

 

 そう言って、調味料の棚に手を飛ばし、中でも大きな調味料が並ぶ間に少し空いた、隙間へと入れた。

 隙間から取り出したのは、小さめの調味料だ。

 

「――! こんな所にあったのか!」

 

「分かりにくい場所だからね。そりゃ、仕方ないさ」

 

 ジンから調味料を受け取り、少年はニコッと笑う。

 

「ありがとう! お兄さん!」

 

「まぁ、いいってことさ。……うん?」

 

 するとジンは、少年の持つカゴの中身に反応した。

 

「……へぇ、SDガンダムのフィギュアじゃないか。成程ね、SEED Destinyのインパルスガンダムかい?」

 

 カゴには食玩が入った箱が一個、混じっていた。パッケージに載っているのは、ガンダムSEED Destinyの主人公機、インパルスガンダムの姿。

 

「へへっ! 僕の一番好きな機体なんだ! お兄さんも、ガンダムが好きな訳?」

 

 相手もガンダムを知っていると分かり、目で見て分かるほどに、少年は目をキラキラさせて顔を近づけた。

 おそらく、この少年――よほどガンダムが好きなのだろう。

 その勢いに、ジンも思わずたじろいでしまう。

 

「ん、まぁ……それなりには、知っているとも。

 インパルスで言えば、ザフトのパイロットである、シン・アスカの機体……だったっけ」

 

 大体知っているくらいのことを、ジンは簡単にこたえた。

 それに少年はうんうんと頷く。

 

「そうそう! Destiny前半の主人公機でさ、後継機のディスティニーガンダムも大好きだけど、やっぱり僕の一番はインパルスだね!

 ほら、こんな風に主翼を備えたバックパック『フォースシルエット』を備えた、フォースインパルスガンダムが基本形態なんだ。他にもバックパックを『ソードシルエット』に換装することでレーザー対艦刀を二本装備し、近接戦闘に特化したソードインパルスガンダムに、銃火力の『ブラストシルエット』に換装すると、ブラストインパルスガンダムになるんだ。

 このシステムはまさに、初代SEEDの主役機、ストライクガンダムの換装を踏襲した感じになるね! どちらも元々はザフトが開発した機体であるし、まさに技術の継承ってのを感じるよ。どの形態も、最高にカッコイイしね!」 

 

 と、早口で機体について、少年は語りだした。

 

「へぇ……それは良かったな。だけど、俺はまだ仕事が残って」

 

 さすがにジンは、ここで引き下がろとする。

 ……だが、少年の語りは止まらない。

 

「まぁ、少しくらいいいじゃないか。もうちょっと聞いて行ってよ!

 それにインパルスガンダムには、インパルスシステムってのがあってさ、中央の戦闘機、コアスプレンダーに、上半身と下半身はチェストフライヤーとレッグフライヤーの航空機になり、これら三機が合体してガンダムになるんだぜ。

 この合体システムも魅力だし、パイロットのシン・アスカもまた……」

 

 ガンダムファンらしい熱心な口調で、語り続ける少年。

 どうも聞き終わるまでは離してくれそうにない。ジンは観念した様子で、それを聞くことにした。

 

 

 

 ――――

 休憩室には、ジンの先輩と、同期のケイジが余りものの弁当を昼食にしながら、彼が来るのを待っていた。

 

「……遅いな、ジンの奴。まだ品出しが終わっていないのか?」

 

 休憩が遅いことを気にする先輩に、ケイジはまぁまぁと言う。

 

「いくらジンでも、そろそろ戻ってくるはずですよ。しばらく待っても来ないなら、僕が様子を見に……」

 

 二人がそんな会話をしているさ中――

 

「すみません! 品出しに遅れてしまいました!」

 

 丁度、そこにようやく、休憩に入ったジンの姿が現れた。

 先輩はジンに視線を向け、意外そうな様子でこう聞く。

 

「ご苦労さまだ、ジン。……だが、ちょっと仕事が終わるのが遅かったな。何かあったのか?」

 

 この質問に、ジンは苦笑いした様子で……。

 

「ははは、ちょっとガンダム好きの男の子に、絡まれましてね。

 インパルスガンダムについて熱く語られて……ずっと聞かされていましたよ」

 

 これには先輩も、ついでにケイジもつい笑ってしまった。

 

「ずっと聞いていたのか? くくっ! そうかそうか!」

 

「あはは、それは災難だね、ジン」

 

 ジンは少し、不貞腐れた様子でパイプ椅子を広げ、腰かける。

 

「はぁ、そう笑うことはないでしょう」

 

「まぁまぁ、悪かったよジン。だがそれより、腹も減ったろう。ほら、机にはジンのステーキ弁当が用意してある、ゆっくり食べて、腹でも膨らませば落ち着くさ」

 

 ジンの机の上には、余りもののステーキ弁当。

 

「……ま、それもそうか」

 

 消費期限は少し過ぎているがだが、食べれないことはない。

 休憩に入り、さっそく昼食でも口にしようと、彼は弁当の容器に手を伸ばす。 

 お腹はもう、ペコペコだ。

 

 

 

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