【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
―――
街のガンダムベースで、フウタ、ジン達はGBNにログインした。
そしてそのまま、フリーバトルをするべく、マップへと。……たどり着いたのは。
「……よし! ここなんか、悪くないだろうよ!」
舞台となったのは、何一つ障害物のない、広大な草原のマップ。
ハクノのガンプラと、それに向き合うフウタ、ジンのガンプラ、レギンレイズとガンダムF91。
「ああ、お兄ちゃんってば、こんな事を始めちゃうなんて」
「……大丈夫かな、フウタ。それにジンさんも……」
バトルに巻き込まれないように、マリアとミユは遠くで三人を見守っていた。
心配そうなミユに、マリアは励ます。
「乱暴な感じはするけど、ああ見えてお兄ちゃんは良い人だから、ちゃんと手加減はしてくれるはずよ」
「それなら、安心かも。……ん?」
と、ここでミユは、あることに気づいた。
「手加減って……。まるで二人が、ハクノさんに――」
これにマリアは……困ったように。
「あ……はは。それは……その、ね」
――――
そんな二人の心配をよそに、ジンは目の前の相手に、高揚を隠せないでいた。
――ようやく、俺はここまで――
ジンの見据えるモニターには、ハクノのガンプラ……その大柄な体躯が映し出される。
上半身が大きく、さながら筋肉質な身体を思い起こさせるこの機体は……『機動戦士ガンダムОО』セカンドシーズンに登場する量産機『アヘッド』である。
ガンダムООの作中において、電波攪乱、ビーム兵器の応用など万能とも言える物質であるGN粒子を生み出し、半永久的に稼働可能な強力なエネルギー源――GNドライブ、通称「太陽炉」。
アヘッドはその模造品である疑似太陽炉を搭載した機体であり、作中ではファーストシーズンの主役機であり、かつオリジナルの太陽炉搭載機であるガンダムエクシアを、撃破さえしている。
量産機と言えど、高性能な機体……それこそ、目の前の機体だ。
ハクノから通信が入り、モニター上で彼は自信満々な様子を見せる。
〈ははは! そう言えば、ジン! お前にはこの『ブロッケン』を、見せるのは初めてだったな!〉
「まぁ……それは、な」
〈俺はこの機体で、いくつものバトルをくぐり抜けて来たんだぜ。どうだ? なかなかのものだろ〉
ハクノの駆るアヘッド、オリジナルが赤に近い成形色であるのに対し、彼の機体は黒とガンメタルを基調とした色となり、頭部はガンダムのようなツインアイ、胸部、肩部など機体各部には装甲の追加と言った、改造が施されていた。
そして……右腕部には、腕と一体型となった剣が、一直線に伸びる。
――やはり手強い、相手になるか。でも、こっちは――
〈随分と強そうな相手だね。だけど……やれるだけは、やらないとね〉
傍らにはフウタのレギンレイズも、臨戦態勢を整えていた。
「分かっている! ようやくの機会だ、俺だって、やってやるさ!」
それでも、決して一人ではない。
ジンは再び気持ちを奮い立たせ――戦いに挑む。
〈威勢だけは、悪くないぜ! だが……俺とこのガンプラ、アヘッド・ブロッケンには、到底及ばないと――思い知らせてやるよ!〉
―――――
真っ先に動いたのは、ジンとフウタ。
――やはり、実力で劣る分は、先手で攻めなければ――
二人のレギンレイズ、F91はタイミングを合わせそれぞれ左右から迫り、微動だにしないアヘッド・ブロッケンにライフルの標準を定める。
いくらアマチュアでも、動きすらしない的を狙うのは、造作もなかった。
〈はっ! 一応動きも、チームプレイも、ちゃんとはしていると来たか〉
二方向からライフルを向けられているにも関わらず、ハクノは余裕の表情。
「距離だって遠くない、この状態なら簡単に――」
二人の機体は互いに、彼のガンプラ目掛けて引き金を引いた。
それぞれの放ったビームと実弾は、相手を貫く。……はずだったが。
瞬間、アヘッドの巨体は一瞬で掻き消え、銃撃はその場に残った、赤く輝くGN粒子を貫通したにすぎなかった。。
〈外した!? あの距離と、タイミングで?〉
通信ではフウタが、動揺しているのが分かった。
「落ち着け! 瞬間移動ってわけでもない、きっとすぐ近くに……」
〈――まぁ、二人の実力では、俺の動きを捉えるなんて、無理か〉
するといつの間にか、ハクノのアヘッドはレギンレイズのすぐ真後ろへと、姿を現していた。
これにはフウタさえ、すぐ気づきもすることさえ、出来なかった。
「フウタ! 後ろだ!」
〈……! 嘘だろっ!〉
ジンに言われ、フウタはとっさに振り返るも、再びアヘッドは高速移動し、二機から距離を置く。
〈全然動きだって、遅い!〉
〈言わせておけば!〉
二人の機体は再度、今度は遠距離に位置する相手目掛けて、ライフル、ヴェスバーの斉射を試みるも、向こうはその全てを余裕で避ける。
当然、全くかすりもせず、無傷のまま……。
〈アマチュア程度の腕で、そんな真似で俺に当たるわけ、ねぇだろ! ははは!〉
ハクノの笑いに、ジンは焦りを覚える。
――たった一撃さえ、かすりもしないのか――
この間のロッキー戦では、周囲が海である以上、相手が有利でもあった。
だが……この何もない地形では、互いに環境による有利不利はないはずだ。
なのに――この差は。
〈だから言ってるだろ? これが俺とお前との差だってな――ジン!〉
その時、一気にアヘッドがジンのF91に、一瞬で距離を詰めた。
ガンプラ同士頭部を向かい合わせ、モニター一杯に移る、改造されたアヘッドのツインアイ。
「ちっ!」
至近距離にいるなら――。ジンは機体のビームサーベルを抜き、斬りかかる。
……が、それは空を切り、アヘッドは再び距離を離す。
そしてハクノは、いくらかガッカリしたような、そんな様子で……こう言った。
〈やっぱり……全然、大したことないじゃねぇか。――さてと、じゃあもう、終わりにしようか!〉