【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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ボロ負け……(Side ジン)

 ――――

 

 そうハクノが宣言した、次の瞬間――

 赤いGN粒子を放出し、アヘッド・ブロッケンは宙を駆ける。

 

〈まずは見せしめに――悪いがフウタ、お前からだぜ!〉 

 

 右腕部の剣を構え、高速で迫りくるアヘッド。

 これにはフウタのレギンレイズ、その迫力にたじろぐ。

 しかし、それでも。

 

〈こうなったら、や……やってやるさ!〉

 

 レギンレイズは近接武器であるパイルへと持ち替え、応戦しようと試みる。

 猛スピードで迫り来るアヘッド相手に、パイルを構える。が、相手の右腕部の剣……それがある動きを見せた。

 

〈――まさか! あの武器は!〉

 

 それにフウタは何かを察した。

 しかし、もう手遅れだ。

 

 

 

 レギンレイズに僅かに動く暇さえ許さず、アヘッドはその真横を横切った、だけのように見えた。

 

〈え……うそ……〉

 

 唖然とするフウタ。

 それとほぼ同じタイミングで、彼のレギンレイズの腕や足、胴体に頭部などのあちこちが、不自然に、ズルっとずれた。

 そして、次の瞬間、機体の各部が無残にバラバラになって――地面に崩れおちた。

 

 

 たったの一瞬で、いくつものパーツに切断され、分解されたレギンレイズ。

 

「たったの、一瞬であんなに!」

 

 その様子をただ、見ているしか出来なかったジン。

 

〈さて、次は……ジン、お前がああなる番だぜ〉

 

 シロノはにやりと笑い、アヘッドをジンのF91に向けて、ゆっくりと歩みを進める。

 

「ひっ……」

 

 怯え、ただただ立ちすくむばかりのジン。

 すると無傷のまま転がっていた、レギンレイズの胴体から通信が入る。

 

〈気をつけろ! あのアヘッドの剣は、ただの剣じゃないんだ!〉

 

 この声に、はっと我に返ったジンは、反射的にバーニアを噴かして後退し、距離を離そうとした。

 そしてそのまま左右のヴェスバーを展開する。

 

 ――見たところ、向こうの武器はあれしかない。距離をとって攻撃すれば――

 

 ジンはそう考えた、しかし!

 

 

 

「なにっ!」

 

 バーニアで後退して間もなく、展開したはずのヴェスバーが両方とも、何か鋭利なものでスパッと切断された。

 ジンはわけが分からなかった。

 

 ――向こうの剣のリーチからは、確実に離れてたはずだ! なのにどうして――

 

 と、今度はビームライフルを構えようとした。だが……。

 その時正面のアヘッドが、剣を振るった。

 もちろん距離は離れている、当たるわけがないはずだが……。

 

 

 瞬間、振るった剣は形を変え、蛇のように曲線を描き、伸びて襲い来る。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……!」

 

 そしてビームライフルを握っていた右腕ごと、バッサリと切断する。

 

〈まだまだ行くぜ!〉

 

 再び鋭い軌跡を描き、続けてF91の両足を、一気に切り落とした。

 

「……くうっ!」

 

 姿勢を崩し、F91は地面に落下し、強烈に叩きつけられる。

 

 

 

 対して、ハクノのアヘッド・ブロッケンはゆっくりと、そして華麗に着地する。

 ヴェスバーにビームライフルも失い、更に両足と右腕まで失い、地面に転がるジンのガンプラ。

 そんなボロボロな機体に、悠々と歩み迫るアヘッド。

 

「この、よくも!」

 

 せめてもの抵抗として、F91はヘッドバルカンを打ち込む。

 しかしそんなもの、アヘッドの装甲には豆鉄砲に等しい。

 結局すぐにヘッドバルカンを使い切るが、相手には傷一つすらない。

 

 

〈くくく! 何とも無様な姿じゃないか、ジン!〉

 

 そう勝ち誇った様子のハクノ。

 もはやジンに打つ手なし、と思われたが。

 

 ――あくまでヘッドバルカンは、気を反らすための劣りだ

。本命はこの――

 

 唯一残ったF91の左腕。背中に隠したその手にはビームサーベルのグリップを隠し持っていた。

 

 ――いいぞ、あと少し近づくといい――

 

 ジンの望み通りアヘッドは更に歩みを進め、ついにすぐ傍にまで迫った。

 

 ――今だ!――

 

 ついにチャンス! 残り僅かな可能性をこの一撃にかけ、ジンのガンダムF91は全力でビームサーベルを薙いだ!

 

 

 

 

 ――――

 

〈はぁ……駄目駄目だぜ〉

 

 溜息交じりの、呆れたようなハクノの呟き。

 

 ……ザンッ!

 

 ジンのビームサーベルが届く暇さえ与えず、彼は機体の左腕までも切り落とした。

 アヘッドの剣は変幻自在に曲がりくねり、伸縮し……。彼の装備は、いわゆる蛇腹剣であった。

 そのトリッキーな攻撃に、 彼は手も足も出なかった。

 ……いや、それよりも。

 

 

 ハクノのアヘッドは、剣を元の形状に戻すと、その剣先をガンダムF91の頭部に突きつける。

 

〈これが俺とお前との……実力の差だぜ!〉

 

 

 

 

 ――――

 

 GBNをログアウトし、ガンダムベースを出た五人。

 

「さっきは 残念だったね。でも頑張っていたところ、とても素敵だったよ、フウタ!」

 

 さっきのバトルでボロボロに負けて、落ち込んでいたフウタを、ミユは励ます。

 彼女の気遣いに、フウタは微笑む。

 

「ありがとう。ミユがそう言ってくれて、元気出たさ」

 

「いいなフウタは……。一方で、俺は」

 

 フウタが元気を取り戻した一方、ジンは相変わらずの様子。

 

「えっと、ジン……」

 

「放っておけ! あんな負け犬、気にする価値もない!」

 

 同じくジンを励まそうとするマリアであった、しかし隣を歩くハクノに止められる。

 

「うっ……」

 

 猶更落ち込むジン。これにはたまらずフウタは……

 

「そう気にするなよ! 僕たちのレベルじゃ、負けることなんて珍しくないだろ?

 それよりも、次は勝てばいいんじゃないか。ようはもっと頑張ればいいんだ」

 

「……言われてみれば、確かにそうかもな。また頑張って、上達すれば……」

 

 

 

 と、その時。いきなりジンの前にハクノが立ちふさがる。

 その表情は、なかなかに不機嫌な感じに。

 

「――ホントに、物分かりの悪いな!

 さっきのバトルで、分かっただろ。お前と俺との圧倒的な実力差がさ。

 せっかく思い知らせるために、こうして戦ってやったんだ。――分かれよ」

 

 ハクノの威圧的な態度に、思わずジンは縮こまりそうになる。

 ……が、どうにか踏みとどまり、言い返す。

 

「それでも――俺はマリアを諦める、わけにはいかない!

 絶対に、ハクノさん、あなたに勝って見せる!」

 

 

 

「……ジンってば」

 

 思わぬ言葉に、マリアはドキッとする。

 その一方、ハクノもまた。

 彼は可笑しそうに、大笑いした。

 

「ハハハ! おかしな事を言うじゃないか。

 ……いいだろう! なら――」

 

 ハクノはビシっと、ジンを指さす。

 

「実は一ヶ月半後、GBNで中規模のタッグバトル大会がある。俺とマリアも参加する予定だが……その時、また相手してやろう。

 それまでにどれだけ追いつけるか、見ものだぜ!」

 

 一ヵ月半後の、タッグバトル大会。思いもよらない事実に、ジンは驚く。 

 しかし、こう言われた以上、後に引けない。

 

「ああ! ならその時、マリアとそして、ハクノさん! 俺とフウタが二人に勝利してやるとも!」

 

「えっ!? 一ヵ月半はちょっと……」

 

「何言っているのさフウタ! 次勝てば良いって言ったのは、君じゃないか!

 ……なに、それだけあれば、もっと上達するはずだ」

 

 

 

 ハクノは再び、笑いを見せる。

 

「本当に、面白い! なら一ヶ月半後……楽しみにしているぜ。

 せいぜい――ガッカリさせるなよ」

 

 そう言い残してハクノは、マリアとともに去って行った。

 残されたフウタとミユ、そしてジン。

 

「何だか、大変なことになっちゃったね」

 

 ミユの言葉で、今更我に返ったジンは、頭を抱える。

 

「ううっ……勢いに任せて、余計な事を言うなんて。たった一ヶ月半で、本当に大丈夫か?」

 

「だから、言わんこっちゃない」

 

 フウタはあきれたように、肩をすくめる。

 ……それでも彼は、こうも続ける。

 

「けど言ったからには仕方ない。できる限り……頑張ろうよ!」

 

 そう。こうなった以上、やれるだけはやりたい。

 それはジンも、同じだった。

 

「――ああ! どうにか、やるっきゃないだろうな!」

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