【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

31 / 88
第七話 優秀なコーチ!?
もう、大パニック!(Side ジン)


 ――――

 

 大都市を再現したバトルフィールドにて。

 フィールドに立ち並ぶ幾つもの高層建築物。それらをなぎ倒し、辺りを火の海にして闊歩する赤く巨大なモビルアーマー。

 

「あああああっ! ちょっ、マジかよ!」

 

〈だーかーら! 僕たちには無茶だって言っただろ! 見てみろよ!〉

 

 迫りくる巨大モビルアーマーに、ただ逃げることしかできない二人とその機体、レギンレイズ・フライヤーと、ガンダムF91。 

 とてもでないが、反撃する余裕もない。最も、二人で反撃したところで、大したことはないだろうが。

 周囲にいる他のダイバーも、迫る大質量に押しつぶされ、物体から伸びる大型クローに握り砕かれ、ビームに貫かれたりと、すぐ近くで次から次へと壮絶な最後を遂げる。

 

〈中級ミッションさえまだまともにこなせないのに、いくら合同でもシャンブロ討伐ミッションだなんて、中でもとりわけ難しいやつじゃん。

 あんなにバタバタやられてるのに、まだ僕たちが無事なのは、ある意味奇跡だよ!〉

 

「それは、まぁ……。ところでフウタは、大丈夫なのか」

 

 若干不機嫌ながらも、フウタは頷く。

 

「何とか、ね

 ビームに関しては大丈夫……と言いたいけど、こっちは何発も機体に命中して、大分装甲が剥がれているんだ。多分もう限界が近い感じさ

 ……誰かさんが、積極的に僕を盾代わりにしたせいで」

 

 画面越しに彼は、ムッとジンをにらむ。 

 

「仕方なじゃないか。レギンレイズのナノラミネートアーマーはビームに耐性があるんだから、チームワークって奴だ」

 

「そう言うなら、あの化け物に一撃くらい、当ててみたらどうなのさ!

 見てみろよ。あんなの相手に、どうやって…… 」

 

 

 背後から迫りくる大型の機体。それは例えるなら、エビやザリガニにのような甲殻類に近いフォルムの、超巨大モビルアーマー『シャンブロ』だ

 『機動戦士ガンダムUC』に登場する、大型の肩部と頭部、そしてクローが特徴的な本機体。

 水陸両用の機体であるが、その脅威は凄まじい。

 

 

 モビルスーツまでも掴める程の両腕のアイアン・ネイルとその巨大な図体そのものと言う物理的脅威は無論、頭部に内蔵された大口径メガ粒子砲に、両肩にそれぞれ一門用意された拡散メガ粒子砲……そして。

 

「……ちっ! 今度は一体何を」

 

 今度は、シャンブロは背部からいくつものプロペラ付きの物体を射出した。

 

〈あのヘリコプターもどき、何だって言うんだよ〉

 

「知るか! 俺だっていちいち全部のモビルスーツやモビルアーマーを知っているわけではないんだ」

 

 ジンもフウタも、実はシャンブロの事はあまり分かっていなかった。

 そのプロペラが付いた物体は一体何か、二人は知らなかったが……。

 

 

 

 あちこちに浮かぶ、謎の物体。

 だがそれを気にする余裕はない。

 

「やっぱり、逃げるだけでは勝てない……攻めろ! って事か」

 

 幸いシャンブロも、進撃を止めた。このチャンス、逃す手はない。

 他のダイバー達のガンプラも、これを機にシャンブロに攻勢に出る。

 バズーカにライフルによる遠距離攻撃に、ビームサーベルなど近接武器による格闘戦。

 一見無茶だが、でかい図体である分、懐に入られたら弱い部分もある。

 

〈そう言うことかな。僕たちも続くよ! ジン!〉

 

「まだこれだけいるんだ! 一気に攻撃を与えればあのデカブツも!」

 

 レギンレイズ、F91もそれに加わり、攻勢へと。

 フウタは機体持ち前の飛行能力を生かし、高く跳躍そして滑空。シャンブロの頭部側面に回り込んでライフルの弾丸を撃ち込む。

 一方、ジンは胴体下部へと接近し、F91最大火力の武装であるビーム兵器、ヴェスバーを最高出力で放つ。

 

 ――くっ! やはりボスキャラか。あまりダメージは入らないな――

 

 二人を含め、辺りから次々に攻撃を受けているにも関わらず、シャンブロは全く意に介す様子はない。

 しかし、それでも。

 

 ――だがダメージはちゃんと入っている。さっきの俺の一撃だって――

 

 見るとさっきのヴェスバーを受けた個所も。いくらか損傷しており、煙を上げている。

 してやったと、ジンは笑みを見せる。

 

 ――所詮はデカブツ、動かない今に攻撃を叩き込めば――

 

 そう考えたとき、シャンブロの両肩部の拡散メガ粒子砲砲門にエネルギーの充填される音がした。

 周囲の機体の多くも、次々とシャンブロから距離をとる。……が。

 

 ――こっちは射程外だ! そう警戒する必要もない――

 

 ジン、そして上空のフウタは、一切気にせず攻撃を続行する。

 彼のF91は再度ヴェスバーを撃ち込み、そして三撃目を与えようとしたその時、シャンブロの拡散メガ粒子砲が放たれた。

 

 

 砲門から放たれた、広範囲に広がる幾筋ものエネルギー。

 それらは全てジンやフウタには、当たりはしない、はずだった。

 

 

 しかし――エネルギーの光筋は、先ほどまで全く気にしなかった、あのプロペラ付きの物体に当たる。

 それは物体に当たった瞬間、全く別方向へと反射、そしてそれがまた別の物体に当たり、反射する。その攻撃範囲と射程は、まさに予想不能に、近いものだ。

 

 

 物体の正体は、シャンブロの無線誘導兵器――

リフレクター・ビット。

 それそのものには攻撃力はないが、ビットにはビームを反射させる役割があり、今のように自身のビーム攻撃を反射し、より広範囲の攻撃が可能となる。

 先ほど他のダイバーが退避したのも、リフレクター・ビットの存在を知っていたからだ。

 対してジンとフウタを含め数人のダイバーはそれを知らずに、気にしようとしなかった。

 その結果が――。

 

 

〈うあぁぁぁっ!〉

 

 リフレクター・ビットによって反射されたビームは、レギンレイズ・フライヤー腰部のウィングに当たり、そして墜落。

 周囲のダイバーの機体、退避したのも、そうでないのも、次々とビームが飛来し、中にはそれで撃破される者もいた。

 そして……

 

 

 ヴェスバーを放とうとしたF91、その背面に高エネルギーのエネルギーが直撃する。

 

「ぐっ! しまっ――」

 

 今まさにヴェスバーを使おうとしたのが、不味かった。 

 ビームの直撃により、そのエネルギーはまさにヴェスバーを放つために充填したエネルギーにまで誘爆し、本体巻き込んでの大爆発を起こした!

 

 

 ……一気に機体は大破し、手足などのパーツが吹き飛び。ギリギリ原型を保った本体が地面に転がる。

 右腕と左足は残っているものの、それすら動きすらしない。

 

 ――うっ、これじゃあもう。……えっ!?――

 

 するとさっきまで動きを止めていたシャンブロ、それが今になって動き出した。

 その進行方向のすぐそこに、無残な姿で転がっていたのがジンの機体。 

 ……つまり。

 

 

 壊れかけまともに映らないモニター一杯に迫る、シャンブロの巨体。

  

 ――ああ、くそっ。冗談だろ――

 

 巨体は次第にF91に迫り、そして……呆気なく潰された。

 

 

 

 ――――

 

「はぁぁぁ。まさか、あんな形でやられるなんてな」

  

 

 ジンはさっきの事を思い出して、思いっきり悔しそうな顔をしている。

 街の駅、そのホームにて、ジンとフウタ、そしてフウタと一緒に来ていたミユはベンチに座って、少し休憩をとっていた。

 今は帰りの電車待ち。それまで少し、時間つぶしと言うことだ。

 

「私は今回のミッションには参加しなかったんだけど……ねぇフウタ、どんな感じだったの?」

 

 ミユの質問に、フウタは少し苦笑いした。

 

「ははは……シャンブロの討伐ミッション、だったんだけどさ。それはもう、僕たちには滅茶苦茶難しかったんだ。

 二人ともやられちゃって、残ったダイバーがどうにか、倒したみたいなんだ。

 一応なんとかギリギリ生き残った僕には、ミッションクリアの報酬がいくらか入ったんだけどさ、ジンは……」

 

「シャンブロにペシャンコ、ポイントもパァ……。まぁ何度も経験はあるし、慣れてはいるんだけどな

 

「……ふーん。大変、だったんだね」

 

 ベンチで両足をふらつかせ、ミユはつぶやく。

 

「そりゃあね。……第一、最近無茶しすぎなんだ。

 やけに難しいミッションばっかり受けて、僕らの身の丈に合ってないんだよ」

 

「何言ってるんだ。今のままじゃ駄目だからこそ、困難なミッションを受けて受けて、腕をあげなきゃいけないだろ?」

 

 ジンの言葉にフウタは反論するも、彼だって負けない。

 

「かと言って、腕を上げるどころか、その前にボロ負けしてるじゃないか。

 何度も撃破されて、ポイントも失って、もうどっちも殆んどスッカラカンじゃないか」

 

 そして、一息ついてフウタは、なだめるようにこう続けた。

 

「そりゃあ……あんな実力差を見せつけられたら、焦るのも分かるよ。

 残り一か月と少しで、簡単に追いつけるってわけじゃ、ない事もね」

 

「……」

 

「だけど、だからこそ着実に、スキルを上げて行った方が良いんじゃないか。

 少なくとも今のような事を続けてたって、どうしようもないのはジンだって分かっているはずさろ?」

 

 図星だったらしく、ジンもこれには、項垂れた様子。

 

「俺も、分かっているとも。

 ただ、ゆっくり上達していっても、二人に勝てるのはいつになるか。

 せめて、誰かGBNの上手い人間に、コーチか何か頼めたらな」

 

 

 

 そんな話をしているさ中、アナウンスとともに、数両連なった電車が駅のホームに到着する。

 

「……あっ! 電車が来たみたいだね。

 それじゃジン、話の途中かもだけど、今日はこれで。今後のことは僕もちょっと考えてみるからさ、また何か思いついたら連絡するよ!

 じゃあね! ――ミユ、行こう」

 

「うん、フウタ! ……ジンさんも。色々大変かもしれないけど、あまり気を落とさないで、ね」

 

 フウタ、ミユの二人は、やって来た帰りの電車

へとのりこむ。

 

「あはは、俺は大丈夫さ。

 ……じゃあな。フウタに、ミユちゃんも」

 

 電車のドアが閉じ、窓越しにジンは二人に手を振る。

 

 

 

 そして電車は動き出し、ホームから出発。段々と、遠ざかって行く。 

 残されたジンは、一人困ったように頭を掻く。

 

 ――と言っても、どうしたものか。俺もちょっと考えなきゃな――

 

 彼もまた、そんな考え事をしながら、引き続き自分の乗る電車を……待つことにする。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。