【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
もう、大パニック!(Side ジン)
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大都市を再現したバトルフィールドにて。
フィールドに立ち並ぶ幾つもの高層建築物。それらをなぎ倒し、辺りを火の海にして闊歩する赤く巨大なモビルアーマー。
「あああああっ! ちょっ、マジかよ!」
〈だーかーら! 僕たちには無茶だって言っただろ! 見てみろよ!〉
迫りくる巨大モビルアーマーに、ただ逃げることしかできない二人とその機体、レギンレイズ・フライヤーと、ガンダムF91。
とてもでないが、反撃する余裕もない。最も、二人で反撃したところで、大したことはないだろうが。
周囲にいる他のダイバーも、迫る大質量に押しつぶされ、物体から伸びる大型クローに握り砕かれ、ビームに貫かれたりと、すぐ近くで次から次へと壮絶な最後を遂げる。
〈中級ミッションさえまだまともにこなせないのに、いくら合同でもシャンブロ討伐ミッションだなんて、中でもとりわけ難しいやつじゃん。
あんなにバタバタやられてるのに、まだ僕たちが無事なのは、ある意味奇跡だよ!〉
「それは、まぁ……。ところでフウタは、大丈夫なのか」
若干不機嫌ながらも、フウタは頷く。
「何とか、ね
ビームに関しては大丈夫……と言いたいけど、こっちは何発も機体に命中して、大分装甲が剥がれているんだ。多分もう限界が近い感じさ
……誰かさんが、積極的に僕を盾代わりにしたせいで」
画面越しに彼は、ムッとジンをにらむ。
「仕方なじゃないか。レギンレイズのナノラミネートアーマーはビームに耐性があるんだから、チームワークって奴だ」
「そう言うなら、あの化け物に一撃くらい、当ててみたらどうなのさ!
見てみろよ。あんなの相手に、どうやって…… 」
背後から迫りくる大型の機体。それは例えるなら、エビやザリガニにのような甲殻類に近いフォルムの、超巨大モビルアーマー『シャンブロ』だ
『機動戦士ガンダムUC』に登場する、大型の肩部と頭部、そしてクローが特徴的な本機体。
水陸両用の機体であるが、その脅威は凄まじい。
モビルスーツまでも掴める程の両腕のアイアン・ネイルとその巨大な図体そのものと言う物理的脅威は無論、頭部に内蔵された大口径メガ粒子砲に、両肩にそれぞれ一門用意された拡散メガ粒子砲……そして。
「……ちっ! 今度は一体何を」
今度は、シャンブロは背部からいくつものプロペラ付きの物体を射出した。
〈あのヘリコプターもどき、何だって言うんだよ〉
「知るか! 俺だっていちいち全部のモビルスーツやモビルアーマーを知っているわけではないんだ」
ジンもフウタも、実はシャンブロの事はあまり分かっていなかった。
そのプロペラが付いた物体は一体何か、二人は知らなかったが……。
あちこちに浮かぶ、謎の物体。
だがそれを気にする余裕はない。
「やっぱり、逃げるだけでは勝てない……攻めろ! って事か」
幸いシャンブロも、進撃を止めた。このチャンス、逃す手はない。
他のダイバー達のガンプラも、これを機にシャンブロに攻勢に出る。
バズーカにライフルによる遠距離攻撃に、ビームサーベルなど近接武器による格闘戦。
一見無茶だが、でかい図体である分、懐に入られたら弱い部分もある。
〈そう言うことかな。僕たちも続くよ! ジン!〉
「まだこれだけいるんだ! 一気に攻撃を与えればあのデカブツも!」
レギンレイズ、F91もそれに加わり、攻勢へと。
フウタは機体持ち前の飛行能力を生かし、高く跳躍そして滑空。シャンブロの頭部側面に回り込んでライフルの弾丸を撃ち込む。
一方、ジンは胴体下部へと接近し、F91最大火力の武装であるビーム兵器、ヴェスバーを最高出力で放つ。
――くっ! やはりボスキャラか。あまりダメージは入らないな――
二人を含め、辺りから次々に攻撃を受けているにも関わらず、シャンブロは全く意に介す様子はない。
しかし、それでも。
――だがダメージはちゃんと入っている。さっきの俺の一撃だって――
見るとさっきのヴェスバーを受けた個所も。いくらか損傷しており、煙を上げている。
してやったと、ジンは笑みを見せる。
――所詮はデカブツ、動かない今に攻撃を叩き込めば――
そう考えたとき、シャンブロの両肩部の拡散メガ粒子砲砲門にエネルギーの充填される音がした。
周囲の機体の多くも、次々とシャンブロから距離をとる。……が。
――こっちは射程外だ! そう警戒する必要もない――
ジン、そして上空のフウタは、一切気にせず攻撃を続行する。
彼のF91は再度ヴェスバーを撃ち込み、そして三撃目を与えようとしたその時、シャンブロの拡散メガ粒子砲が放たれた。
砲門から放たれた、広範囲に広がる幾筋ものエネルギー。
それらは全てジンやフウタには、当たりはしない、はずだった。
しかし――エネルギーの光筋は、先ほどまで全く気にしなかった、あのプロペラ付きの物体に当たる。
それは物体に当たった瞬間、全く別方向へと反射、そしてそれがまた別の物体に当たり、反射する。その攻撃範囲と射程は、まさに予想不能に、近いものだ。
物体の正体は、シャンブロの無線誘導兵器――
リフレクター・ビット。
それそのものには攻撃力はないが、ビットにはビームを反射させる役割があり、今のように自身のビーム攻撃を反射し、より広範囲の攻撃が可能となる。
先ほど他のダイバーが退避したのも、リフレクター・ビットの存在を知っていたからだ。
対してジンとフウタを含め数人のダイバーはそれを知らずに、気にしようとしなかった。
その結果が――。
〈うあぁぁぁっ!〉
リフレクター・ビットによって反射されたビームは、レギンレイズ・フライヤー腰部のウィングに当たり、そして墜落。
周囲のダイバーの機体、退避したのも、そうでないのも、次々とビームが飛来し、中にはそれで撃破される者もいた。
そして……
ヴェスバーを放とうとしたF91、その背面に高エネルギーのエネルギーが直撃する。
「ぐっ! しまっ――」
今まさにヴェスバーを使おうとしたのが、不味かった。
ビームの直撃により、そのエネルギーはまさにヴェスバーを放つために充填したエネルギーにまで誘爆し、本体巻き込んでの大爆発を起こした!
……一気に機体は大破し、手足などのパーツが吹き飛び。ギリギリ原型を保った本体が地面に転がる。
右腕と左足は残っているものの、それすら動きすらしない。
――うっ、これじゃあもう。……えっ!?――
するとさっきまで動きを止めていたシャンブロ、それが今になって動き出した。
その進行方向のすぐそこに、無残な姿で転がっていたのがジンの機体。
……つまり。
壊れかけまともに映らないモニター一杯に迫る、シャンブロの巨体。
――ああ、くそっ。冗談だろ――
巨体は次第にF91に迫り、そして……呆気なく潰された。
――――
「はぁぁぁ。まさか、あんな形でやられるなんてな」
ジンはさっきの事を思い出して、思いっきり悔しそうな顔をしている。
街の駅、そのホームにて、ジンとフウタ、そしてフウタと一緒に来ていたミユはベンチに座って、少し休憩をとっていた。
今は帰りの電車待ち。それまで少し、時間つぶしと言うことだ。
「私は今回のミッションには参加しなかったんだけど……ねぇフウタ、どんな感じだったの?」
ミユの質問に、フウタは少し苦笑いした。
「ははは……シャンブロの討伐ミッション、だったんだけどさ。それはもう、僕たちには滅茶苦茶難しかったんだ。
二人ともやられちゃって、残ったダイバーがどうにか、倒したみたいなんだ。
一応なんとかギリギリ生き残った僕には、ミッションクリアの報酬がいくらか入ったんだけどさ、ジンは……」
「シャンブロにペシャンコ、ポイントもパァ……。まぁ何度も経験はあるし、慣れてはいるんだけどな
「……ふーん。大変、だったんだね」
ベンチで両足をふらつかせ、ミユはつぶやく。
「そりゃあね。……第一、最近無茶しすぎなんだ。
やけに難しいミッションばっかり受けて、僕らの身の丈に合ってないんだよ」
「何言ってるんだ。今のままじゃ駄目だからこそ、困難なミッションを受けて受けて、腕をあげなきゃいけないだろ?」
ジンの言葉にフウタは反論するも、彼だって負けない。
「かと言って、腕を上げるどころか、その前にボロ負けしてるじゃないか。
何度も撃破されて、ポイントも失って、もうどっちも殆んどスッカラカンじゃないか」
そして、一息ついてフウタは、なだめるようにこう続けた。
「そりゃあ……あんな実力差を見せつけられたら、焦るのも分かるよ。
残り一か月と少しで、簡単に追いつけるってわけじゃ、ない事もね」
「……」
「だけど、だからこそ着実に、スキルを上げて行った方が良いんじゃないか。
少なくとも今のような事を続けてたって、どうしようもないのはジンだって分かっているはずさろ?」
図星だったらしく、ジンもこれには、項垂れた様子。
「俺も、分かっているとも。
ただ、ゆっくり上達していっても、二人に勝てるのはいつになるか。
せめて、誰かGBNの上手い人間に、コーチか何か頼めたらな」
そんな話をしているさ中、アナウンスとともに、数両連なった電車が駅のホームに到着する。
「……あっ! 電車が来たみたいだね。
それじゃジン、話の途中かもだけど、今日はこれで。今後のことは僕もちょっと考えてみるからさ、また何か思いついたら連絡するよ!
じゃあね! ――ミユ、行こう」
「うん、フウタ! ……ジンさんも。色々大変かもしれないけど、あまり気を落とさないで、ね」
フウタ、ミユの二人は、やって来た帰りの電車
へとのりこむ。
「あはは、俺は大丈夫さ。
……じゃあな。フウタに、ミユちゃんも」
電車のドアが閉じ、窓越しにジンは二人に手を振る。
そして電車は動き出し、ホームから出発。段々と、遠ざかって行く。
残されたジンは、一人困ったように頭を掻く。
――と言っても、どうしたものか。俺もちょっと考えなきゃな――
彼もまた、そんな考え事をしながら、引き続き自分の乗る電車を……待つことにする。