【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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彼女への想いと、空回りな自己満足(Side フウタ)

 ――――

 

 それから、しばらくして。

 

 フウタ達の乗る電車は、ようやく目的地に到着した。

 電車から降り、駅から出たフウタとミユ。二人はともに家への帰路についていた。

 

 

 時間は昼間の二時半をいくらか過ぎたばかり、もうすぐ三時になる辺り。

 

「さてと、今日は天気が良いな! ジンさんとの用事も済んだことだし、息抜きに外を散策するのもいいかも」

 

 快晴の青空を眺めながら、気分良さそうなフウタ。

 

「今日はジンさん、仕事があるからって早めに切り上げたけど、まだ時間があるし……。うん、良いかも!」

 

「なら、どこに行こうかなー? ちょっと考えないと、だね。

 けど……」

 

 そんなフウタであったが、いくらか考え込むような様子を見せ、こんな事を話す。 

 

「……ちなみにGBNの事だけどさ……やっぱり、そう簡単には行かないよね。

 ミユだって見ただろ、ハクノさんのあの強さ。これは苦労、するだろうな」

 

 歩きながらフウタは、そんな事を話す。

 やっぱり彼も、色々気にしていたらしい。

 

「ふふっ、大丈夫だよ……フウタなら。

 だってジンさんと一緒に、とても頑張っているじゃない。

 私は見ていることが多いけど、それくらいちゃんと、分かってるよ」

 

 ミユは得意げに、少し心配そうなフウタに、素敵な笑顔を見せた。

 これにはフウタもつい、いつもの調子に。 

 

「そう、かな! ミユがそう言ってくれると、嬉しいよ!

 こうして僕の事を……いつも見ていてくれて、ありがとう」 

 

 フウタはそんな感謝を、彼女へと伝える

 彼の言葉に、ちょびっと頬を赤らめる、ミユ。 

「ふふっ、どういたしまして。何かそう言われちゃうと、私だって――」

 

「だってこうした感謝くらい、機会があるときにはちゃんと、伝えたいから。

 伝えられるときには、ちゃんと」

 

 

 

 ……すると、フウタはふと、何かを思い立った様子で、こんな事を話す。

 

「あっ……そうだ。ごめんだけど、今日は先に帰っていてもらってもいいかな? 僕、ちょっと寄りたい所があるんだ」

 

 いきなりの事に、ミユは不思議がるも。

 

「……? 私は良いけど、どこに行くの?」

 

「ちょっとジョウさんの所にね。プラモも見たいしそれに、少し話がしたくてさ」

 

「それだったら! 私も一緒にジョウさんの所に――」

 

 これを聞いて彼女はそう言うも、フウタは首を横に振る。

 

「悪いけど、今回は僕一人で、行きたいんだ。ちょっとミユに聞かれるのが恥ずかしい、話もするかもだし」

 

「……そっか。……うん、分かった」

 

 フウタの願いにミユは、寂しそうではあったものの、受け入れる。

 もちろん彼女の様子は、フウタにも分かっていた。

 

「本当に……ごめん。

 ……けどけど! すぐに用事を済ませて、ミユの所に戻って来るから。

 デートの予定もそれまでに考えとくからさ、家で準備してて」

 

 弁明するフウタ。ただ、これもミユの事を、愛しているからこそだった。

 ミユも彼が何かを隠しているのは、分かっていた。しかし同時に、彼の想いも……また理解していた。

 

 

 ミユは寂しさを振り払い、フウタに微笑みを投げかける。

 

「気にしないで、私は大丈夫。

 じゃあ、フウタが戻って来るの……待ってるからね」

 

 

 

 ちょうど道は、ここで別れていた。

 フウタとミユは、一旦離れ離れに。

 

「じゃあここで、一旦お別れか」

 

 そう言う彼女に、フウタは頷く。

 

「うん。でもすぐ僕も戻るから……じゃあ、また」

 

 彼は別れを告げ、ミユから去ろうと――。

 

 

 だが、フウタは一度、後ろの彼女へと振り返る。

 

「フウタ……?」

 

「――あのさ、僕だってミユの事、ミユに負けないくらい大切に思っているんだ。だから……」

 

 胸の想いを振り絞るように、彼はミユへと……そう伝える。

 これにミユは、優しい表情で……。

 

「もちろん! ちゃんと私も――分かってるから!」

 

 これを聞いて、フウタも安堵する。

 

「ありがとう、嬉しいよ。じゃあ、またね!

 …………あと少し、待ってて」

 

 最後の言葉は、ミユに聞き取れないくらい小さく、そう呟いた。

 

 

 

 ――――

 

 あれからミユと別れ、一人ジョウの経営する、ヒグレ模型店へとやって来た、フウタ。

 

「いらっしゃい! ……ん、フウタか? 今日はミユちゃんと一緒じゃないんだな」

 

 彼の姿に気づいたジョウは、少し物珍しい様子であった。

 

「まあね。今日は一人で、見に来たんだ」

 

「何だか珍しいが。けどまぁ、そう言う時もあるか。ま、適当に見て行ってくれよ」

 

 

 

 フウタは店内にある、プラモを眺める。

 

「今日は久しぶりに、ガンプラでも買おうかな。ちょっと、そんな気分な……感じがするし」

 

 そう言ってガンプラの置かれているコーナに足を運び、色々と見ていた彼。

 ――すると、ジンはそれを見て。

 

「……はぁ、何ていうか、面倒くさいな。

 見ていてソワソワしているようだし、プラモ以外に別の用事でもあるんじゃないか?」

 

「……」 

 

 この指摘に、フウタは沈黙し、複雑な様子になる。

 そして彼はちらと、ジンに視線を向ける。

 

「ははは……。実は、ちょっとね」

 

「ならさっさと、話したらどうだ。俺は回りくどいのは好きじゃないし、それに……そっちだって、早く話した方がスッキリするだろ」

 

「……分かった。じゃあ、ちょっと長くなるけど……」

 

 

 

 ――――

 

 どの道ジンには、話すつもりだった。

 フウタはこれまでのと経緯と、そしてGBNで苦戦している今現在の状況も、全部伝えた。

 

「ふーん、大体、状況は分かったとも。

 そりゃ……フウタの腕じゃ、厳しいだろうな」

 

「だから、僕たちにはGBNに手練れで、良いコーチが欲しいんだ。

 ……ジョウさんも、店が閉まった後でGBNを結構遊んでいるみたいじゃないか。だから、そんな相手を知ってたら、教えて欲しいんだ」

 

「――そう言えば、そんな話も俺はしてたっけ、な」

 

 実はジョウもまた、時間帯こそ違えどGBNをプレイしていたのだ。

 そもそも、店に接続端末に用意したのも、自分で遊びたかった事もまた、理由であったくらいだ。

 

 

 

「GBNのコーチとはな。……ふーむ」

 

 ジョウはフウタの頼みに、腕を組んで考え込む。

 

「もし知っていたら、どうか頼むよ。僕とジョウさんの仲じゃないか」

 

 強く頼み込むフウタ。これには彼も弱った表情になるも、やがてため息を一つ……。

 その後、返答を返した。

 

「ああ。それは構わないとも。丁度、一つ心当たりもあるからな」

 

「――やった!」

 

 フウタはやったと、ガッツポーズをとった。

 しかし……。

 

 

 

 ジョウはやや困ったような顔で、こう話す。

 

「ところで……だ。話の途中で悪いんだが、この前、ミユちゃんが一人でここにやって来たんだ。

 フウタ……お前があの子に、色々内緒にしているって、俺に相談して来たんだぜ」

 

「えっ……」

 

「まぁ。多分、変な事ではないのは彼女も分かってはいるみたいなんだが、何しろそんな状態が長く続いていて、心配している感じだったぞ」

 

「……うっ」

 

 これには下を向いて、フウタはしょげた。

 

「やっぱり、そうだよな。

 実はその事も、気になってはいたし、ジンさんに聞くつもりだったんだ」

 

 だからこそ、フウタはここに来たのだろう。この話は、どうしてもミユに知られたくはなかった。

 

「ミユってさ、近頃やけに心配そうにしているし。……責任はずっと隠し事を続けている、僕にあるんだけどさ……どうすればいい?」

 

 

 

 フウタはフウタなりに、切実だった。

 しかし、これにジョウは呆れたようだ

 

「どうすればって、そりゃ、本当の事をちゃんと言った方が、いいに決まっているじゃないか」

 

「――そんな!」

 

 するとフウタは強く動揺し、カウンター越しにジョウへと詰め寄る。

 

「うわっ! 急に驚かせないでくれ!」

 

「今のままじゃ、ミユに言えない! だって……だってさ……」

 

 言葉に詰まったように彼は、そのまま何も言うことが出来なかった。

 対してジョウは、さっきいきなりフウタが迫った驚きを、どうにか落ち着かせている。

 

「いきなり顔を近づけて、寿命が縮んだぞ、全く。そもそも、お前がこうしているのは、ゼロカスタムが目的だろ」 

 

 

 

 そう、フウタがジンとともににマリア、ハクノら上位ダイバーを倒すことに協力しているのは、ジンが持っているガンプラ、PGのウィングガンダムゼロカスタムが目的だった。

 このガンプラと交換条件に、ジンとタッグを組んでいるわけだが。

 ジョウは軽く一息つくと、なおも続ける。

 

「ゼロカスタム、か。……ははは、俺も覚えているとも、あの思い出は二人ともまだ、小さかった時だからな。

 だから、どうしてフウタがそれにこだわっているかも知っているが――大体、わざわざこんな事をしなくても、ミユちゃんはちゃんとお前の事を……」

 

「もちろん、ミユの想いくらい、僕も分かっているよ。だからこそ……こう頑張っている、わけだしさ」

 

 

 フウタもまた、そう彼に言い返す。しかし……

 するとジョウは、何か躊躇いながらも、ある事を聞いた。

 

「これは聞いていいかどうか、怪しい所なんだが……。ジンとの約束だったか、そもそもだ、どうしてわざわざ、あんな回りくどい事をしているんだ?」

 

「――ううっ」

 

 

 

 多分、とりわけ痛い所をつかれたのだろう、フウタはふいに顔を反らし、また俯く。

 

「大体、たしかにゼロカスタムのキットは珍しいかもだが、プラモはプラモ、必要なら他の店舗やネットで探すなりで、買いなおせばいいじゃないか。

 そりゃあ……値は張るだろうが、フウタがどうしてそんな面倒な真似をしているか、大方想像がつく。

 多分だが…………」

 

 と、ジョウは、自分の考えた予想ついて、フウタに話す。

 

 

 

 ――――

 

 ジョウの話を、一通り聞いたフウタ。 

 すると彼は、目を見開き――

 

「どうして、そこまで」

 

「はぁ、もしかしてとは思ったが、図星だったか。

 本当に、仕方がないな」

 

 こう言われて、フウタはなすすべもないようだった。

 ジョウは更に、彼にこう諭す。 

 

「なぁ……。俺から見ても、フウタはよくやっているじゃないか。

 彼女の想いにちゃんと応えているし、愛情を伝える努力だって頑張っている。ミユちゃんはお前の気持ち、もう十分に分かっているはずさ。

 ――なのに、まだ足りないと思ってるのか、フウタ? ある意味、お前のやっている事は、はっきり言って自己満足って奴じゃないのか。

 改めて聞くが、そうかもしれないと言うのに、やっぱりこんな事を……続けるのか?」

 

 最後に再び、フウタの意志を確認する、ジン。

 彼の言う事は、大体は正しかった。

 フウタの瞳は躊躇いで揺れるも、やがて意を決したように。

 

 

「それは、確かにあるかもしれない。……だけど! 僕が彼女のために出来ることは、全てやりたいんだ!

 自己満足かもしれないけど、そうでもしないと……僕は」 

 

 

 

 やはりフウタのかける想いは、強かった。

 ジンはこれに、お手上げであるかのように。

 

 

「分かった、分かった

 そこまで言うなら、もう止めはしないさ。

 ただ、一つだけ言わせてもらうなら……」

 

 彼にはあと少し、伝えるべき事があった。

 それは……

 

 

 

「実は少し前、ミユちゃんが一人でここにやって来て、俺に相談して来たんだ。

 フウタ……お前があの子に、色々内緒にしているってな。

 変な事ではないのは分かってはいるみたいなんだが、何しろそんな状態が長く続いていて、心配しているみたいだぜ。

 フウタの気持ちは分かったが、そのせいで彼女を心配させたら元も子もないだろ?

 今回は俺が何とか胡麻化して、ミユちゃんも一応安心した様子だったが……いつまでもこんなのは続けられないぜ」

 

 フウタは、こくりと頷く。

 

「僕も、もちろんずっとこんな状況を、続けるつもりはない。

 後一か月くらい後、どう転ぶにしろ決着をつけるつもりさ。

 正直無茶だとも思うけど、それまでに全力を尽くして、その後……ちゃんとミユに全部、伝える。……たとえ、勝っても負けても」

 

 そう、フウタだってミユに心配は、本当はかけたくない。

 自分のやっている事だって、ある意味ワガママであるのは分かっていた。

 だけど、あともう少し……。

 

 

 

 これにジンは、仕方ないな、とも言う表情で。

 

「――オーケー。なら俺も、フウタに協力しないとな。

 ただし! さっき言った通り、結果はどうなろうと、ミユちゃんには必ず打ち明けることだ」

 

「もちろん! ……ミユには、必ず」

 

「ミユちゃんには俺からも、今度会ったらこの事は伝えておくぜ。つまり、もう後には引けないってことだ。

 いいな? フウタ?」

 

「――ああ」

 

 再び、今度はさっきよりも強くフウタは頷いた。

 

 

 

「よし! 俺も、これで安心したぜ。

 さて、ようやく本題に入るが、フウタ達のコーチが必要なんだってな」

 

 再び話を戻し、ジョウはこう切り出す。

 

「そうだった、ガンプラバトルで勝つために、どうしてもね。

 ところで……コーチとなるダイバーって、どんな人なんだい?」

 

 これに、ジョウは得意げな表情。

 

「ふふふ! 誰かって? 今ちょうど目の前にいるじゃないか」

 

「……まさか、ジョウさんが」

 

 まさかの展開に驚くフウタと、そしてジョウの

ニッと見せる笑い。

 

 

「その通り! フウタは知らなかったかもだが、思っている以上に俺は、GBNをやりこんでいるんだぜ?

 ――お前たちに、いろいろ教えられるくらいにな」

 

 

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