【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
それから後日、再びGBNに集まった、フウタとミユ。
「……でも、ちょっと驚きかな。ジョウさんがそんなにガンプラバトルに詳しいなんて」
GBNの広いロビー、その端のベンチに並んで座っている二人。
ミユはそう言って、隣のフウタに視線を向ける。
「あはは。まぁ確かに、そんなイメージないもんね」
フウタとミユ、二人はそんな談笑を交わしながら、ここに来るはずのジン、そしてジョウを待っている所だ。
前もってしていた話によると、もうすぐ此処に
来るはず。なのだが。
「これはちょっと、遅いかも」
「そうだね、フウタ。ところで……」
ミユは何か思い出したかのように、フウタにある事を聞いた。
「ところでだけど、ジョウさんから聞いたんだ。。フウタがあと一か月くらい、待っていてほしいことがあるって。
……ごめんね。フウタのことが心配で、どうしても気にしないでいられなかったんだ」
やっぱり、ミユはずっと、フウタを気にかけていたのだ。
これにはフウタの方が、申し訳ない気持ちだった。
「謝るのは、僕の方だよ。自分勝手な理由で隠し事をしていて、君にまで不安にさせてさ、本当に僕はダメダメだよ」
「ううん、フウタは悪くないよ。きっと何か、事情があると思うから」
「あはは……ちょっと、ね。
――でも、ジョウさんも言ったように、一か月後には全部話すから……少しでも安心してくれたら、僕も嬉しい」
まだ少し申し訳なさそうな様子の彼に、ミユはニコッと、素敵な笑顔で笑いかける。
「大丈夫! 確かにちょっと気になるけど、フウタがそう言うんだもん。それまで待っていても、全然平気だよ」
「ミユ……! ありがとう」
彼女の励ましと、その笑顔。フウタにとってはそれが、とても嬉しかった。
「うんうん。私もやっぱり、元気なフウタが良いもん。
だけど一か月かー。たしかジンさんと一緒にマリアさんと戦うのも、その時だっけ。もしかして、何か関係があるのかな?」
「あはは……それは、まぁ」
また言葉につまるフウタに、つい気をつかうミユ。
「あっ、ごめんごめん。ちょっと変なこと聞いちゃった。
……じゃあ、あと少し、待ってるからね」
やっぱり、そんなミユに、助けられるフウタ。
――本当に、ミユにはかなわないな――
彼はそう、ふと一人微笑んだ。
するとそんなとき、一人の青年が現れ、声をかけて来た。
「おおっ! 先に来ていたんだな、二人とも!」
手を振って表れたのは、ジンであった。
「やぁジン! ようやく来たんだね」
「悪い悪い、野暮用で遅れてさ。……ミユちゃんも、こんにちは、だな」
「こんにちは、ジンさん。お元気そうで何よりです」
「ははは、まぁ、元気ってことは元気だな。ところで……」
ジンは再び、フウタに目を移す。
「前言ってたコーチ、フウタの知り合いなんだってな。なぁ、一体どんな奴なんだい?」
彼はまだ、どんな相手がガンプラバトルを教えてくれるのか、詳しくは知らなかった。
フウタはそれについて、簡単に説明する。
「今日から教えてくれるのは、僕の行きつけの模型店の店長でもある、ヒグレ・ジョウさんって言う人さ。
僕たちの小さい頃からの長い付き合いで、知り合いではあるんだけど、GBNで会うのは初めてなんだ」
「へぇ……」
「ログインする時間も合わないし、そう一緒にするような機会だって、なかったしね。
だからジン同様、どんな感じなのか……ドキドキしているんだ」
するとミユもまた、こんな事を。
「私も何だか、気になるな! GBNでのジョウさんの姿、どんな感じなんだろう
キャラクターのコスプレかな。それとも、姿形まで全然違ったり、するかも」
彼女はそう、色々と想像を膨らませる。
「あはっ! もしかすると女性の恰好でもしているんじゃない?
ほらよくネットゲームであるじゃないか、現実の性別と違う姿でゲームをプレイするってさ」
「えー。いくら何でも、そんな事しないんじゃない? フウタ?」
フウタの冗談に、ついミユもおかしそうに笑う。
「十分あり得るぜ。ジョウさんって案外、そんな趣味を持ってそうな感じがしない?
ああやって大人の余裕ってやつを感じさせているけどさ、その裏では……」
――ポカっ!
「……いてっ!」
「ちょっと遅れてみれば、ずいぶんと好き勝手言ってくれるじゃないか。えっ、フウタ」
「いたたっ……、痛いじゃないか、もう!」
いきなりげんこつを喰らい、涙目になったフウタは振り返ると、そこには……。
「フウタは置いておくとして……これがGBNでの俺の姿さ、ミユちゃん。カッコいいだろ?」
ようやく現れたジョウ。彼の姿は、年代物のスーツを身にまとい、その上からは灰色の使い古したような、まるでハードボイルド小説に登場する探偵の雰囲気を醸し出す、トレンチコートを着ていた。
「――へぇ! とても恰好良いです! ジンさん!」
ミユに褒められて、ジョウは照れるように頭をかく。
「やっぱり、カワイ子ちゃんに褒めてもらえると、こりゃ嬉しいな。
二人のダイバールックも初めて見たが、なるほど、どっちとも可愛くていいじゃないか。
そして……ジンくん、だったっけ」
と、今度はジンに対し、ジョウは声をかける。
「初めまして。あなたが、僕たちにガンプラバトルを教えてくれるって、フウタから」
「まあな。二人があまりにも、伸び悩んでいると聞いて、力を貸そうとな。
ま、フウタにある条件をつけて、だがな」
これを聞いて、フウタはぼそっと呟く。
「言われなくても、ちゃんと約束は、守るとも」
「……と言うことだから、今日からミッチリ、二人にガンプラバトルのイロハを教えてやるさ。
――少なくとも、これまでより多少は、様になる事は保証するぜ」