【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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フウタ、ジン、そして一緒にミユも、ガンプラバトルの特訓に参加していた。
「と、こうして参加したのはいいんだけどさ。……この格好、必要なの?」
フウタは自分の身にまとう、ジャージの上着の生地を、片手で引っ張る。
「あはは……GBNでこんなの着るって、ちょびっと不思議だな」
「いくら仮想空間だからって、俺も結構、恥ずかしいんだぜ」
ジャージ姿はフウタのみならず、ジンとミユも。
ちなみに男性組はブルーで、ミユだけピンク色のジャージだ。
そして三人の前には、両腕を組み堂々と立つ、ジョウの姿がある。
恰好はさっきのままだったが、額には気合を入れるためか、バンダナを巻いていた。
「ははは! まずは形から、ってことさ。その方が、やる気出るだろ?」
「まぁ、そう言うなら……。いいか」
理屈はよく分からないが、とりあえず納得することにした、フウタ。
「……と言うことで、君たちには俺直々に、特訓することにした。
ちなみに内容はシンプル、前もって俺の考えたスケジュールを、きっちりこなしていくことだ」
彼らは今、あるミッションに参加していた。
「まずは、効率的な動作の仕方を、色々学ばないとな」
マップには、競争競技に使う、トラックが広がっていた。……それも、人間が使うものを、ずっと大きくしたものを。
このサイズ、まさしくMS用のものだろう。
しかも、そのコースには網やハードル、平均台にタイヤ等など、まさ障害物競走で使うような、多種多様な障害物が置かれていた。
当然、これらもすべてMS基準の大きさ。見るとかなり、圧巻されそうだ。
「最初はこの、障害物競走をやってもらおうか。無論……自分たちのガンプラでな!」
フウタ達の後方には、自分たちのガンプラ、改造レギンレイズ二機と、ガンダムF91があった。
「障害物競走……ガンプラで、か」
ジンは実感が沸かない様子で、呟く。
「もちろんバーニアで飛んだりはなしだ。そっちはそっちでまた、別のコースを用意しているからな。岩山や宇宙空間だとか、色んな地形とかさ。
ただ、ここではあくまで、人間と同じ動きで突破してもらうぜ」
ジョウが用意したのは、これだけではなかった。
「動作の特訓の他にも、射撃精度を上げるためのバクや戦闘機の撃墜ミッションなんかや、回避運動の向上を目指す、トーチカなんかの砲台が多数用意されたエリアの突破ミッション、後は索敵・捕捉能力の力を付ける、探索そして捕獲ミッションだ。
……もちろん今日だけじゃない。これから数日はこうした色んなミッションを、俺の考えたスケジュール通りにやってもらう。
くくくっ、しばらくは忙しくなるぜ」
自信たっぷりの彼、だったが。
どうやらジンは、これにやや、不服そうだ。
「あのさ、ジョウさん」
「……ん?」
「そのスケジュールや、ミッション内容については、大体分かっているさ。ただ……」
「ただ?」
「これって全部……、しょせんただの基礎ミッションじゃないか。初心者だって、わざわざこんなミッションを受けないような内容なのに、本当に大丈夫なのか?
もっと、こう、強い相手と戦ったり、難しいミッションを攻略したりとか……じゃないのか?」
そう、これらジョウの用意したミッション、それは全て初心者がガンプラの操作を覚えるために用意された、基礎ミッションであった。
フウタも、ジンも、アマチュアであっても初心者ではない。これにはいささか不本意な感情も、なくはなかった。
最も、そんな感情はジョウも分かっていたらしい。
「そりゃ、そう思うのは無理ないよな。
だが、ガンプラバトルだとかの上達には、一つ一つの基本動作をちゃんと身につけた方が手っ取り早い。
多分二人ともそこもちゃんと出来ていないだろうからな、その辺りが出来さえすれば、その後は自分たちでバトルやミッションに挑戦するなりで、上げていけるはずだぜ。
……それに」
ついでに彼は、こうも付け足した
「だが、基礎ミッションだとしても、難易度調整とかもあるんだぜ。
まだこれは簡単だが、徐々に難しくしていくから、覚悟してくれよな」
マリアとハクノとの闘いまで、残り約一か月……。
ジョウによる特訓で、フウタとジンは果たして、どこまで様になるか……今はまだ、定かではない。