【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
――――
その一方で……。
〈行くわよ、お兄ちゃん!〉
「ああ! 今日こそアイツに、目にもの見せてやるさ!」
GBNの世界ランキング、その三桁台に入る実力を持つシラサキ・マリアとその兄ハクノ。
そして二人の駆るガンプラであるガンダムバエル・クリムゾン、そしてアヘッド・ブロッケン。
舞台は荒野のフィールド。
荒れた大地に、障害物となる岩山が複数存在する……ガンプラバトルの場。
そして二人の対戦する、相手とは――
「フォース『GUNSTARDOM』の所属ダイバー、ta‐zuさんとそのガンプラ……ターミナス・ハーキュリー! そして――ジュピタリオス!
今回のバトルこそ、必ず勝ってみせるぜ!」
岩山の先に見える、通常のガンプラよりも大型かつ、武装を満載した刺々しいシルエットと、四足で大型のランスを持つ、さながらギリシャ神話のケンタウロスを思わせるシルエット。
〈お互いに二対二のタッグバトル。だけど、向こうは……〉
と、マリアがそう言った瞬間、ケンタウロス型のシルエットが掻き消えた。
「消えただと! ……いや!」
モニターに目を凝らすと、続けていくつもの残像が瞬間、瞬間に大地、岩山、そして宙に姿を残し、二人に迫る。
――あそこまで高速移動が可能だとは、やはり流石――
ハクノの乗るアヘッドは、右腕の剣を構える。 ……何故なら、相手の狙う先は――彼だからだ。
――ギィン!
相手のガンプラが持つ大型ランスと、アヘッドの装備する剣が交差する。
――はは……っ、二機同時に操縦するなんてさ。しかもジュピタリオスは遠隔操作だってのに……何だよ! この相変わらずの動きと、攻撃の重さは!――
至近距離にいるためか、今ならガンプラの姿を、よく把握出来る。
相手機の一つ――ジュピタリオスは、ガンダムWに登場する量産機リーオーとそして、リーオーのプロトタイプと言う設定を持ち超加速度と高機動を誇る高性能機……トールギスを元にした、純白の改造ガンプラだ。
四足の脚部を持つ下半身はもちろん、金と銀の装飾が施された上半身と、水色のマント、さながら白銀の騎士とも感じさせる。
アヘッドとジュピタリオスが、鍔迫り合う。……だが。
――こっちが押されているってか! 性能だって向こうのガンプラが高いってのも、分かっていたが。出力も……ダンチだな――
腰の下部に装着された複数基のブースターを噴かし、ジュピタリオスとそのランスは、アヘッドを圧す。
――このままじゃ、やられる。一旦ここは――
危険を感じたハクノは、今度は逆方向にGN粒子を出力方向を変換し、飛びのくように後退する。
ジュピタリオスのランスは空を切り、外した。……かに見えたが。
「……っつ!」
近接武装が装着された右腕、その動きが悪い。
見ると、アヘッドの右肩は大きく抉れ、火花とスパークを散らしていた。
――完全に避けたつもりだったが、いつの間にこんな傷を!――
攻撃は避けた、かに思えた。
しかしアヘッドが飛びのく瞬時、ジュピタリオスは追撃を加えていたのだ。
――あんな一瞬で、よくも! だが、まだまだっ!――
それでもハクノの戦意は喪失していない。
腕はどうにかまだ動く、彼のアヘッドは再度態勢を整えそして、ジュピタリオスへと挑む。
――――
ハクノのアヘッド・ブロッケンとジュピタリオスが戦闘を繰り広げている中、マリアのガンダムバエルは空中にいた。
機体が持つ大型ライフルを構え、彼女はハクノの援護を試みる
――やっぱり動きが速いわね。これじゃ――
しかし、ジュピタリオスの動きは早く、マリアでも狙いが定まらない。
――これでも射撃には、があるんだけどな。……くっ!――
すると彼女のバエル目掛け、大型の弾が飛来して来た。
これを何とか、間一髪で避けるマリン。
――うわっ、ととと! 何よあのデカい弾、冗談じゃないわ――
弾が飛来した先には、ジュピタリオスとはまた別の機体が、大型のロングレンジバズーカを両腕で構え、深紅に鈍く輝くモノアイでマリアのガンプラを見据えていた。
濃緑色で大型のガンプラ、バズーカの他にも機雷に榴弾砲、大斧、複合ライフルを各部にマウントした、物騒な姿。
それは機動戦士ガンダムの外伝作品に登場するザクの強化機体となる、重武装かつ強大な推進力を誇るモビルスーツ、ケンプファーをモチーフとしたものになる。
しかし、その身体を構成するのは、マリンのガンダムバエル同様、鉄血のオルフェンズの登場機体、マンロディとガンダムグシオンのパーツが主だ。
機体の名はターミナス・ハーキュリー。
この機体とそしてジュピタリオス、二機のガンプラを操るダイバー、ta‐zu。
ジュピタリオスは遠隔操作だが、今このターミナス・ハーキュリーは彼が直接操縦していた。
――向こうは鉄血の機体、となるとナノラミネートアーマーでビーム攻撃は得策ではないわね。……なら、これならどうかしら!――
実は彼女のバエルの装備である、大型ライフルもまた、ビームと実弾の使い分けが可能な複合兵器であった。
マリアが乗るガンダムバエルは今度は、ターミナスへとライフルを向け、実弾を放つ!
しかし相手は、それを余裕で避けた。
マリアは更に連撃を撃ち込むも、それもまたかすりもしない。
――あんなに的が大きいのに、上手くいかないものね!――
これもまた、実力と性能の差か。
――なら、もう少し距離を詰めれば――
射撃の精度を上げるため、バエルはターミナス・ハーキュリーに迫り、射撃態勢をとる。
だが……。
ターミナスは再度バズーカを向けて、放った。
しかしその一撃は、大きくガンダムバエルから
外れる。
――ふふっ! どこ狙っているの! こんなの全然――
マリアはそう、甘く見ていた。
確かにバズーカの一撃はガンダムバエルを外した。けれど、その本当の狙いは――
ターミナス・ハーキュリーに接近し、再びライフルを構えるマリアのバエル。
――この短い距離なら外さないわ! 覚悟してよね――
……その時だった。
背後から激しい爆発音が聞こえたと思った、瞬間、硬い何かがいくつも飛来し、ガンダムバエルの背部を直撃する。
「きゃああっ!」
激突したのは全て、大小様々な岩の塊だ。
あの時ターミナスが狙ったのは、ガンダムバエルでない。そのすぐ後ろに位置していた、岩山だった。
バズーカの弾の一撃は岩山を砕き、その破片はマリアの機体を襲う散弾となった。
岩石の散弾はバエルのバックパックにも命中し、損傷を与えた。
機体は墜落し、地面に激突しそうになるが、どうにか態勢を整え、上手く着地した。
――っと、まさかあんな手段を使うなんてね――
地上に着地した、ガンダムバエル。その正面に、悠々と出現するターミナス・ハーキュリー。
機体はバズーカから、下部にガトリングが装着された複合ライフルへと持ち替え、戦闘態勢をとる。
――向こうはまだやる気ね。なら私も、それに応えないと――
戦いはこれからだ。マリアもまた、バトルを再開する。
――――
あれから両者は激闘を繰り広げ、しばらくして……
「結局……また、俺たちの負け、か」
〈あはは、やっぱり強いものね〉
ハクノのアヘッドと、マリアのガンダムバエル。両機は満身創痍の姿で、並んでいた。
対して、ta‐zuのガンプラであるターミナス・ハーキュリーとジュピタリオスは、無傷のままだ。
〈そうは言っても、二人ともなかなかやるじゃないか。
まぁ、まだまだ……って所は、あるかもだけどな〉
通信で二人に届く、青年の声。
この声の主こそ、兄弟を圧倒したダイバー、ta‐zuなのだろう。
「そう言ってくれるとは、光栄だ。さすが世界ランク二桁台は、格が違うな」
ハクノの言葉に、ta‐zuは笑って反応する。
〈ははは! といっても、上にはまだ、上がいるからな。
チャンピオンのクジョウ・キョウヤにそして……『ビルドダイバーズ』の彼らとか、な〉
ビルドダイバーズ……。ハクノとマリアも、その名前は知っていた。
〈二年前、GBN全体を大きな影響を与えたフォースね。……あの頃は私たちもまだ、GBNを始めたばかりの初心者だったわ。けど、あの出来事は凄かったから、よく覚えているな〉
〈ああ。第一次有志連合戦ではGBNを救い、そして第二次では今度は、一人の少女を救うためにGBNそのものを相手に戦った。……まさに、伝説だな。
……ところで〉
するとta‐zuは、何か思い立ったかのように、こんな事を話した。
〈初心者……で、思い出したんだが、確かハクノとマリアは、アマチュアの二人と何やら因縁があるみたいじゃないか。
確か一か月後くらいに、戦う約束までしてさ〉
「それは、な。まぁ相手はアマチュア、俺たちが負けるようなことは、ないけどな!」
これには自信のある様子の、ハクノ。だが……。
〈さて、それはどうかな? あんまりそうだと、足元を掬われかねないかもだぜ〉
こう話すta‐zuであったが、彼はこの事に、いくらかの興味を持った、そんな様子だ。
〈にしても……ちょっと、気になるな。もし時間があったら――〉