【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

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思い出話 その1(Side ジン)

 ――――

 

 あれからまた、あちこち巡った後、マリアとジンは街の広場へと来ていた。

 

「ふぅ、とっても楽しかったわね!」

 

 水が噴き、滝のように流れ落ちる、立派な噴水がある広場。

 そこの、噴水のある人工の池の縁に二人は座る。

 手には買い物やゲームで手に入れた景品が入った袋と、そしてさっき買った大きな綿あめを、それぞれ手に持っていた。

 

「この綿あめも、美味しいわね。さっきはホットドックだとか、フライドポテトだとか食べたから、甘い綿あめは、食後のデザートにってね!」

 

 綿あめをなめながら、マリアは隣にいるジンに、ウィンクしてみせた。

 ジンも大人しく、綿あめをなめて、ちらと彼女を見た。 

 

「確かに、な。それに……」

 

「それに?」

 

 彼は照れながら、こうも続ける。

 

「こうしてマリンと共に、綿あめを食べて……、一人で食べるより、ずっと美味しいよ」

 

 これにはマリンは、つい笑ってしまった。

 

「あらら、ジンってば、そんな事言っちゃって。

 本当にジンは、面白いわね」

 

「そう、かな? マリンがそう言うなら、そうかもかな」

 

 彼女はまた、くすくすと笑う。

 

 

 

「そうよ、きっと。

 ……だって、初めてジンと出会った時も、そうだったから!」 

 

 

 

 ―――― 

 

 それは、一年ほど前の事だった。

 

 

 ある日、タケヤマ・ジンは、彼にしては珍しく、街のガンダムベースに来ていた。

 ……と言うのも、ジンはガンプラも、そしてガンダム作品そのものも、あまり好きではなかった。

 

 ――たまには、ガンプラを買って作るのも、まぁ悪くないか――

 

 彼が主に作るのはロボットプラモだが、ガンプラと言ったバンダイのプラモではなく、むしろフレーム〇ームズやヘキ〇ギア、そしてときどきフレーム〇ームズ・ガールと言った美少年プラモと言った。つまりメーカーとしてはコト〇キヤを推していた。

 ガンプラはあまり興味はなく、ガンプラを使った大人気のVRMMO、ガンプラバトル・ネクサスオンライン――通称GBNも、話としては知っていたが、そっちも別にやりたいとも、全然思ってはいなかった。

 

 

 

 今回はたまたま、気紛れでガンプラを買いに来た、たったそれだけだった。

 

 ――と言っても、本当にここは、ガンプラばかりだな――

 

 ガンプラ専門店である、ガンダムベース。

 置いてあるのは当然、ガンプラばかり。それもかなりの種類がある。

 慣れないこの空気に、ジンはやや戸惑っていた。

 それに、こうも沢山あると、何を買えばいいか……。

 

 ――しまったな。何を買うかくらいは、前もって考えておくべきだったか。……ん?――

 

 と、ジンは一つの物珍しいガンプラが、目に入った。

 彼はそれを手に取ると、しげしげと眺める。

 

 ――これは、ガンダムか。だけどカラーリングが――

 

 ジンの手にしたのはガンダム作品の初代となる機動戦士ガンダムの主役機、RXー78ガンダムのHGキット。ではあったが。

 通常のガンダムは、白と青、黄色と赤の、いわゆるトリコロールカラーだ。

 だが、このガンダムは、パッケージ上では白と青、そして水色とカラーリングが若干異なっていた。

 

 

 それに、ガンプラの箱のデザインも、見慣れないものだった。

 

 ――これは、ここでの限定品、って感じか。他の模型店では見かけないしな――

 

 このガンプラベースには、今ジンの持っているオリジナルカラーのガンダムはもちろん、他にも見慣れないガンプラも、ちらほらと見えた。

 ジンはガンダム作品を大まかには知っていて、アニメもいくつか見たこともあるが、決して詳しいとは言えなかった。

 

 

 そんな中、彼がガンダムの箱を、元の場所に戻そうとした。

 すると。

 

「ねぇ、そこのあなた!」

 

 突然、すぐ右隣から声がかけられた。

 ジンがそちらを見ると、自分よりいくらか若くそして美人な赤毛の、女性がいた。

 

「えっ、と!?」

 

 二十数年の人生の中、女性経験はほぼ無かった彼。

 いきなり美人から声をかけられ、思わずドキっとしてしまう。

 

「緊張しないでも、大丈夫よ。

 別に取って食おうって、わけでもないんだし」

 

「それは、悪かった。何しろ、いきなり知らない相手から声をかけられて、少し驚いたんだ」

 

 相変わらず緊張しながら話すジンに、彼女はおかしそうな様子だ。

 

「驚かせちゃったのね、それはごめんなさい!

 でも、知らない人、かー? 私はシラサキ・マリア、花の二十四才よ。……ほら、これで知らない人じゃ、なくなったわ。

 良かったら、あなたの名前も、教えてほしいな」

 

 いきなりの彼女のペースに、ジンは戸惑うも、ここは。

 

「俺は、タケヤマ・ジンと言うんだ。よろしく、マリアさん」

 

「マリア、でいいわ。さん付けはなんだか他人行儀な感じだしそれに、あなたの事も気に入ったから。

 私も直接呼ぶから、気にしないでいいわ、ジン!」

 

そう、これがマリアとジンの、初めての出会いであった。

 

 

 

「ところで……ジンはもしかして、ガンダムやガンプラ、好きなのかしら?

 私は――とっても大好きだな!」

 

 

 

 ――――

 

「初めて会った時、思い返しても懐かしいわね!

 ジンも、そう思わない?」

 

 ここまで昔を振り返って話しながら、マリアは懐かしそうにしていた。

 対して、ジンはと言うと。

 

「まあ、な。

 ここまでは、いいんだよ。ただ……」

 

 と、彼はそう話しながらなぜか、気恥ずかしそうな様子を見せる。

 

「その続きの話は、俺にとっては少し、いやそれなりに、恥ずかしいんだよな。

 あんな事を、ついマリアに言ってしまうなんて、な」

 

「まぁまぁ。その気持ちはある意味分かるし、あれがあったからこそ、こうしてジンとの絆だって、深まったもの」

 

 落ち込む彼を、励ますようにマリンは言った。

 そしてこう、言葉を発した。

 

「でも、あの時ジンがああ答えたのは、ちょっと驚きだったな。

 ……まさか、ガンダムなんて好きじゃない、なんて私に言うなんて」

 

 

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