【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝 作:双子烏丸
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「それから、だよな。俺とマリアの仲が、深まっていったのはさ」
その時の話を振り返りながら、やや恥ずかしそうにしながらも、ジンは話す。
「初めて出会ったのがあの時で、それからは時間を見つけて、何度も会ったりしたわね。
毎回お兄ちゃんに気付かれないようにしながら、大変だったんだから」
苦笑いしながらマリンは、そんなことを話す。
しかし同時に、こんな事も。
「けど、それからのジンとの思い出は、楽しくて面白かったわ。
Gガンダムだとか∀ガンダムみたいな、比較的悲惨じゃない作品を薦めたり、後は不幸なキャラの救済ルートのある、二次創作を探したりとかね。
ジンにガンダムが少しでも好きになってもらえるように、頑張ったな」
「マリアにオススメされた、ステラとシンとのハッピーエンドもの二次創作、あれは今でも忘れられないぜ。
戦争が終わって、普通の暮らしに慣れないステラに、手取り足取り教えながらイチャイチャするシン……。少しは、原作の悲劇と言うか、トラウマが和らいだよ。
もちろん原作とは違うかもしれないが、やはり救いのある二次創作も、またいいさ。これもマリアの、おかげだな。」
「どういたしまして、と言うべきかしら」
「おかげさまで。俺もいくらかは、ガンダムが好きにはなったさ。
そしてGBNも始めて、そこでもマリアと一緒に過ごしたりと、な。
現実でも、ゲームでも、マリアとの時間はとても楽しくて、大切なものなんだぜ」
今の二人の関係があるのは、まさにそうした積み重ねが、あったからだ。
あのフウタとミユ程の長い付き合いではないにしろ、その絆は引けをとらないはずだ。
「だからこそ、俺はフウタとともにマリアと、お兄さんであるハクノに、勝たないとな」
ジンの語りには、まさにその本気さが感じられた。
「ふふ! 期待しているわよ。きっと、ジンもフウタくんも、成長しているはずだから!」
信頼しているマリアに、彼は頷く。
「もちろんさ! あれからまた練習して、腕だって上がったんだぜ。
約束の大会ではきっと勝つさ」
「ふむふむ……へぇ、なるほど……」
するとマリアは、何やら含みのあるような表情を、ジンへと向ける。
「ん? どうしたんだ、マリア?」
気になったジンは彼女に聞く。
すると……。
「いえ、ね。実は丁度……また、どれくらい成長したのか、試してみたいの!」
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「……で。いきなりいなくなったと思ったら、今度はいきなりこんな所に呼び出して。
せっかく休みを満喫してたってのにさ」
さっきまでミユとイチャイチャしていたフウタ。
ではあったのだが、いきなりジンによって外に呼び出され、少し不機嫌そうな様子だ。
横に並んで、町のとある場所へと向かう二人。
ちなみにミユは今、もう少し服を選びたいと言うことらしい。二人とは、後で追いつくとのことだ。
「悪い悪い。けどさ、今回はようやく成長した実力を、実戦で活かせるチャンスなんだぜ」
「とは言っても、今回はゆっくりするって話だろ? 困るな。僕の断りなしにそんなの引き受けるなんてさ」
「そう言うなよ。まぁ俺だって、マリアと出会えて浮かれてたのはあるけどさ、少しくらいいいじゃないか。
イチャつくのはその後ってことで、な?」
ジンはなだめるも、やはりフウタは不満そうだ
「うー! でもマリアさんが、まさか来ていたなんてさ。
ってことは、彼女と待ち合わせでもしたってわけ」
これに頷く、ジン。
「その通りだぜ。……ちょうど、この道の先の広場で、待っているはずなんだ」
二人の向かった道の先には、先ほどジンとマリアが一緒にいた、町の広場であった。
しかし……。
「おかしいな。マリアとはさっきまで、ここにいたんだけどな」
ここで彼女と待ち合わせをしていた、ジン。
彼は周囲を見渡して辺りをうかがうも、探しているマリアの姿は、どこにもない。
「マリアさん、いないね。
姿が見えないようだと、どっか少し、外しているんじゃない?」
一方でフウタは、どこか気楽な、そんな様子。
「まぁいないならいないで、仕方ない。
戻って来るまでの間、僕たちも適当に待っておくとしようか」
「たしかに。……どうせそう、遅くはならないしな」
マリアが戻ってくるまで、ここで時間をつぶす……
その考えにはジンも賛成だ。
「うん。そうしようか」
……でも、ちょっと腹が減ったな。――すみません!」
するとフウタは、近くの目に入ったクレープ屋の屋台へと向かう。
「へい、らっしゃい!」
「……どうも」
屋台の店員は、眼鏡をかけた黒い短髪の穏やかそうな青年。そして横には、紫のパーカーを被った、無口なおかっぱ頭の少女が、クレープを口に立っていた。
青年はスーツ姿の上からエプロンを下げ、屋台の番をしている姿は、少しだけ不釣り合いにも、フウタは見えた。
彼のそんな考えに気づいたのか、青年は照れ笑いをして、こう答えた。
「いやはや、実はここの店員が、用事があると言うことで席を外してさ。
俺は偶然ここを通りかかったときに、少しの間店番を任されたんだ。……半分無理やりに、な」
「あはは……それは、災難だね」
「しかし一度頼まれたからには。きっちり仕事はしないといけないからな。
そこはケジメ、ってやつさ」
「……私は、手伝ったらクレープをくれるって、言ったから。
ようするに……ギブアンドテイク……はむはむ」
一応少女も、店番のつもりらしい。
しかし、全然やる気を感じず、呑気と言うか、マイペースなそんな感じだ。
相変わらず横でクレープを食べてばかりの彼女に、青年は苦笑いだ。
「あはは……彼女のことは、まぁ気にしないでほしい。
そんな事より、さぁ遠慮なく、何か頼むといい」
そんな店番の青年に、フウタは少しメニューを眺めてから、注文した。
「なら、バナナクレープをお願い! ……ジンも同じのでいいよね?」
これにジンは頷く。
「俺はそれで、大丈夫さ」
「決まりだね。じゃあバナナクレープを二つ、注文するよ」
注文に青年は、了解する。
「オーケー! なら少しだけ、待っていてくれよ」
彼はそう言うと早速、クレープ作りにとりかかった。
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それから間もなくして。
「はいよ。これでいいかい?」
出来上がったバナナクレープを、青年から受け取るフウタ。
「ありがとう! とても甘くて、美味しそうだ!」
ホイップクリームとバナナの、見た目だけでも甘そうな、そんなクレープだ。
「はい、ジンにも、ね」
フウタはジンにも、クレープを一つ手渡した。
「ありがとう、フウタ」
二人は広場のベンチに腰掛け、クレープを口にする。
思っていたとおり、甘くて美味しいクレープ、二人はその味を満喫した。
「ごちそうさま……と。
美味しかったのは、良かったさ。でも……」
ジンはふうと息をついて、改めて周囲を見る。
「でも、マリアはやはり来てないな」
「たしかに、これはちょっと。遅いかも」
フウタもこれには、遅いと感じた。
「もしかして、マリアはもう……」
さすがに不安すら感じはじめた、その時……。
「ごめんごめん! 遅れちゃったわ!
一回野暮用でログアウトしていてね、またログインしたりで時間がかかっちゃったの」
遠くから二人のもとへと、駆け足でやって来る、マリア。
「……! やって来たか、マリア!」
「マリアさん、久しぶりです。それに……」
やって来たマリアの傍には、後で追いつくと話していた、ミユの姿もあった。
「思っていたより、買い物で遅れちゃった。それでこっちに来る途中、マリアさんと出会って、こうして一緒について来たんだ!」
「ふふふっ、途中でミユちゃんにも出会ってね。ガールズトークにも花を咲かせてたのよ?」
マリアは横のミユに肩を並べ、にこっと笑いかける。
「……さてと、ジンも、フウタくんも来てくれたのね。
それじゃ、本題に入りましょうか」
「僕は一方的に、ジンに連れて来られたわけだけど、マリアさんは僕たちに何をさせたい訳?」
実は細かい話は、まだ聞いてはいないフウタ。
彼はそれについてマリアに尋ねる。
「それはね、フウタくん。二人がどれほど実力をつけたか、見てみたくてね。
要するに、今からちょっと、ガンプラバトルをしてもらいたいってわけ!」
マリアの提案、それにジンは反応する。
「実力を知りたいとは言っていたから、こんな事だとは、思っていたとも。だけど……」
「ガンプラバトル、と言うことは、マリアさんが僕たちと戦ってくれるわけかな?」
二人の最終目標は、マリアとその兄、ハクノと戦って勝つことだ。
マリア一人だけでも、かなりの強敵だ。今彼女と戦えば、経験値としては大きいだろう。
……だが。
「残念だけど、今回戦うのは私じゃないわ」
思いもよらない、マリアの言葉。これには二人も驚く。
「えっ、俺はてっきり……」
「じゃあ一体、誰と戦うと言うのさ?」
そんな反応に。マリアは少し可笑しそうに、答えた。
「ふふふ……。実は私の知り合いが、二人に興味を持ったみたいでね。
あなたたちには――――その彼に戦ってもらうわ」
すると、ある方向から別の声が、割って入る。
「成程な。君たちが、例のアマチュア君か」
「……ふーん……よろしく」
その方向を見ると、そこには。
「――! あなた達は、クレープ屋の!」
フウタとジンの前にいたのは、さっきクレープ屋台で店番をしていた、メガネの青年と、パーカー少女の姿があった。
「君たちの話、マリアから聞いているぜ。
……さて、どれほどの腕か、楽しみだ」