【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝   作:双子烏丸

41 / 88
マリアの提案(Side ジン)

 ――――

 

「それから、だよな。俺とマリアの仲が、深まっていったのはさ」

その時の話を振り返りながら、やや恥ずかしそうにしながらも、ジンは話す。

 

「初めて出会ったのがあの時で、それからは時間を見つけて、何度も会ったりしたわね。

毎回お兄ちゃんに気付かれないようにしながら、大変だったんだから」

 

苦笑いしながらマリンは、そんなことを話す。

しかし同時に、こんな事も。

 

「けど、それからのジンとの思い出は、楽しくて面白かったわ。

Gガンダムだとか∀ガンダムみたいな、比較的悲惨じゃない作品を薦めたり、後は不幸なキャラの救済ルートのある、二次創作を探したりとかね。

ジンにガンダムが少しでも好きになってもらえるように、頑張ったな」

 

「マリアにオススメされた、ステラとシンとのハッピーエンドもの二次創作、あれは今でも忘れられないぜ。

戦争が終わって、普通の暮らしに慣れないステラに、手取り足取り教えながらイチャイチャするシン……。少しは、原作の悲劇と言うか、トラウマが和らいだよ。

もちろん原作とは違うかもしれないが、やはり救いのある二次創作も、またいいさ。これもマリアの、おかげだな。」

 

「どういたしまして、と言うべきかしら」

 

「おかげさまで。俺もいくらかは、ガンダムが好きにはなったさ。

そしてGBNも始めて、そこでもマリアと一緒に過ごしたりと、な。

現実でも、ゲームでも、マリアとの時間はとても楽しくて、大切なものなんだぜ」

 

今の二人の関係があるのは、まさにそうした積み重ねが、あったからだ。

あのフウタとミユ程の長い付き合いではないにしろ、その絆は引けをとらないはずだ。

 

「だからこそ、俺はフウタとともにマリアと、お兄さんであるハクノに、勝たないとな」

 

ジンの語りには、まさにその本気さが感じられた。

 

「ふふ! 期待しているわよ。きっと、ジンもフウタくんも、成長しているはずだから!」

 

信頼しているマリアに、彼は頷く。

 

「もちろんさ! あれからまた練習して、腕だって上がったんだぜ。

約束の大会ではきっと勝つさ」

 

「ふむふむ……へぇ、なるほど……」

 

するとマリアは、何やら含みのあるような表情を、ジンへと向ける。

 

「ん? どうしたんだ、マリア?」

 

気になったジンは彼女に聞く。

すると……。

 

「いえ、ね。実は丁度……また、どれくらい成長したのか、試してみたいの!」

 

 

 

――――

 

「……で。いきなりいなくなったと思ったら、今度はいきなりこんな所に呼び出して。

せっかく休みを満喫してたってのにさ」

 

さっきまでミユとイチャイチャしていたフウタ。

 ではあったのだが、いきなりジンによって外に呼び出され、少し不機嫌そうな様子だ。

 横に並んで、町のとある場所へと向かう二人。

 ちなみにミユは今、もう少し服を選びたいと言うことらしい。二人とは、後で追いつくとのことだ。 

 

「悪い悪い。けどさ、今回はようやく成長した実力を、実戦で活かせるチャンスなんだぜ」

 

「とは言っても、今回はゆっくりするって話だろ? 困るな。僕の断りなしにそんなの引き受けるなんてさ」

 

「そう言うなよ。まぁ俺だって、マリアと出会えて浮かれてたのはあるけどさ、少しくらいいいじゃないか。

 イチャつくのはその後ってことで、な?」

 

 ジンはなだめるも、やはりフウタは不満そうだ

 

「うー! でもマリアさんが、まさか来ていたなんてさ。

 ってことは、彼女と待ち合わせでもしたってわけ」

 

 これに頷く、ジン。

 

「その通りだぜ。……ちょうど、この道の先の広場で、待っているはずなんだ」

 

 

 

 二人の向かった道の先には、先ほどジンとマリアが一緒にいた、町の広場であった。

 しかし……。

 

「おかしいな。マリアとはさっきまで、ここにいたんだけどな」

 

 ここで彼女と待ち合わせをしていた、ジン。

 彼は周囲を見渡して辺りをうかがうも、探しているマリアの姿は、どこにもない。

 

「マリアさん、いないね。

 姿が見えないようだと、どっか少し、外しているんじゃない?」

 

 一方でフウタは、どこか気楽な、そんな様子。

 

「まぁいないならいないで、仕方ない。

 戻って来るまでの間、僕たちも適当に待っておくとしようか」

 

 

 

 

「たしかに。……どうせそう、遅くはならないしな」

 

 マリアが戻ってくるまで、ここで時間をつぶす……

 その考えにはジンも賛成だ。

 

「うん。そうしようか」

 ……でも、ちょっと腹が減ったな。――すみません!」

 

 するとフウタは、近くの目に入ったクレープ屋の屋台へと向かう。

 

「へい、らっしゃい!」

 

「……どうも」

 

 屋台の店員は、眼鏡をかけた黒い短髪の穏やかそうな青年。そして横には、紫のパーカーを被った、無口なおかっぱ頭の少女が、クレープを口に立っていた。

 青年はスーツ姿の上からエプロンを下げ、屋台の番をしている姿は、少しだけ不釣り合いにも、フウタは見えた。

 

 

 彼のそんな考えに気づいたのか、青年は照れ笑いをして、こう答えた。

 

「いやはや、実はここの店員が、用事があると言うことで席を外してさ。

 俺は偶然ここを通りかかったときに、少しの間店番を任されたんだ。……半分無理やりに、な」

 

「あはは……それは、災難だね」

 

「しかし一度頼まれたからには。きっちり仕事はしないといけないからな。

 そこはケジメ、ってやつさ」

 

「……私は、手伝ったらクレープをくれるって、言ったから。

 ようするに……ギブアンドテイク……はむはむ」

 

 一応少女も、店番のつもりらしい。

 しかし、全然やる気を感じず、呑気と言うか、マイペースなそんな感じだ。

 相変わらず横でクレープを食べてばかりの彼女に、青年は苦笑いだ。

 

「あはは……彼女のことは、まぁ気にしないでほしい。

 そんな事より、さぁ遠慮なく、何か頼むといい」

 

 そんな店番の青年に、フウタは少しメニューを眺めてから、注文した。

 

「なら、バナナクレープをお願い! ……ジンも同じのでいいよね?」

 

 これにジンは頷く。

 

「俺はそれで、大丈夫さ」

 

「決まりだね。じゃあバナナクレープを二つ、注文するよ」

 

 注文に青年は、了解する。

 

「オーケー! なら少しだけ、待っていてくれよ」

 

 彼はそう言うと早速、クレープ作りにとりかかった。

 

 

 

 ――――

 

 それから間もなくして。

 

「はいよ。これでいいかい?」

 

 出来上がったバナナクレープを、青年から受け取るフウタ。

 

「ありがとう! とても甘くて、美味しそうだ!」

 

 ホイップクリームとバナナの、見た目だけでも甘そうな、そんなクレープだ。 

 

「はい、ジンにも、ね」

 

 フウタはジンにも、クレープを一つ手渡した。

 

「ありがとう、フウタ」

 

 

 

 二人は広場のベンチに腰掛け、クレープを口にする。

 思っていたとおり、甘くて美味しいクレープ、二人はその味を満喫した。

 

「ごちそうさま……と。

 美味しかったのは、良かったさ。でも……」

 

 ジンはふうと息をついて、改めて周囲を見る。

 

「でも、マリアはやはり来てないな」

 

「たしかに、これはちょっと。遅いかも」

 

 フウタもこれには、遅いと感じた。

 

「もしかして、マリアはもう……」

 

 さすがに不安すら感じはじめた、その時……。

 

 

 

「ごめんごめん! 遅れちゃったわ!

 一回野暮用でログアウトしていてね、またログインしたりで時間がかかっちゃったの」

 

 遠くから二人のもとへと、駆け足でやって来る、マリア。

 

「……! やって来たか、マリア!」

 

「マリアさん、久しぶりです。それに……」

 

 やって来たマリアの傍には、後で追いつくと話していた、ミユの姿もあった。

 

「思っていたより、買い物で遅れちゃった。それでこっちに来る途中、マリアさんと出会って、こうして一緒について来たんだ!」

 

「ふふふっ、途中でミユちゃんにも出会ってね。ガールズトークにも花を咲かせてたのよ?」

 

 マリアは横のミユに肩を並べ、にこっと笑いかける。

 

「……さてと、ジンも、フウタくんも来てくれたのね。

 それじゃ、本題に入りましょうか」

 

 

 

 

「僕は一方的に、ジンに連れて来られたわけだけど、マリアさんは僕たちに何をさせたい訳?」

 

 実は細かい話は、まだ聞いてはいないフウタ。

 彼はそれについてマリアに尋ねる。

 

「それはね、フウタくん。二人がどれほど実力をつけたか、見てみたくてね。

 要するに、今からちょっと、ガンプラバトルをしてもらいたいってわけ!」

 

 マリアの提案、それにジンは反応する。

 

「実力を知りたいとは言っていたから、こんな事だとは、思っていたとも。だけど……」

 

「ガンプラバトル、と言うことは、マリアさんが僕たちと戦ってくれるわけかな?」

 

 

 

 二人の最終目標は、マリアとその兄、ハクノと戦って勝つことだ。

 マリア一人だけでも、かなりの強敵だ。今彼女と戦えば、経験値としては大きいだろう。

 ……だが。

 

「残念だけど、今回戦うのは私じゃないわ」

 

 思いもよらない、マリアの言葉。これには二人も驚く。

 

「えっ、俺はてっきり……」

 

「じゃあ一体、誰と戦うと言うのさ?」

 

 そんな反応に。マリアは少し可笑しそうに、答えた。

 

「ふふふ……。実は私の知り合いが、二人に興味を持ったみたいでね。

 あなたたちには――――その彼に戦ってもらうわ」 

 

 

 

 すると、ある方向から別の声が、割って入る。

 

「成程な。君たちが、例のアマチュア君か」

 

「……ふーん……よろしく」

 

 その方向を見ると、そこには。

 

「――! あなた達は、クレープ屋の!」

 

 フウタとジンの前にいたのは、さっきクレープ屋台で店番をしていた、メガネの青年と、パーカー少女の姿があった。

 

 

「君たちの話、マリアから聞いているぜ。

 ……さて、どれほどの腕か、楽しみだ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。